ブンガク

2011-11-17

日々のお仕事

ここんとこ このコととことん コントしてf:id:kurasawagaku:20111118001903j:image:medium

2011-10-29

「ステキな金縛り」☆☆☆☆

三谷幸喜と言えば、筆者の母校、日本大学芸術学部演劇学科を出た直属の先輩であり、

在学中に作った劇団「東京サンシャインボーイズ」の作家として名を馳せ、

現在では知らぬものはいないほどの大作家である。

かく言う私も、大ファンの一人だ。


この三谷氏の作った劇団、「東京サンシャインボーイズ」の「サンシャインボーイズ」とは、

三谷氏が「輝かしい男たちになろうぜ!」とアイドルを目指していたわけではもちろんなく、

アメリカの喜劇作家ニール・サイモンの作品、その名も「サンシャインボーイズ」から来ている。

かつてサンシャインボーイズと言う名のコメディアンのコンビを組んでいた、今や老人になってしまった二人が、

甥の計らいでまた昔のようにコンビを組み、テレビショーの収録に向けてネタ合わせをするのだが、

喧嘩別れをした二人はいがみ合ってばかりで稽古は一向に進まない。それでも収録はやってきてしまい、

大失敗。が、ふとしたきっかけで互いの心情を吐露し、二人は出逢った頃のように仲直り、するのかと

思えばまたケンカ。といった、笑いあり感動ありのサイモンの名作喜劇である。

筆者自身も最も好きな戯曲のひとつであり、皮肉にもお笑い芸人になった今また読み返せば前よりも感動しそうな作品だ。


三谷氏は喜劇作家なら誰もがそうであるようにサイモンの喜劇に憧れ、自身の劇団にこの名をつけた。

東京サンシャインボーイズは、当時大人気だったらしく、その頃をリアルタイムで知らない筆者はただただ残念なばかりだが、

三谷氏の舞台「笑の大学」という喜劇が今もなお本当に大好きで、いまだにネタ合わせの合間に相方と話しては、

出演者の西村雅彦さんと近藤芳正さんの物真似をして憧れている。


そんな三谷氏は舞台の世界から、当然のようにテレビや映画の世界に入ってゆく。

古畑任三郎」「王様のレストラン」「振り返れば奴がいる」など、我々の世代では食い入る様に観ていたドラマも数知れず。

国民的アニメサザエさん」の脚本を依頼された時には、「タラちゃん成長期」というタイトルで、

タラちゃんが筋肉増強剤を使ってムキムキになるという異色作品を書いたがボツになった、という嘘かまことかわからないような話も有名である。

映画においては、ニール・サイモン同様、三谷氏が憧れるアメリカ喜劇映画の大監督、故ビリー・ワイルダーという監督がおり、

ワイルダーが師と仰いでいたルビッチに敬意を表し、自身のオフィスに「ルビッチならどうする?」という看板を掲げたというエピソードから、

三谷氏がワイルダーに会った際、「私ならこうする。ビリー・ワイルダー」と書いてもらった色紙をオフィスに掲げているほどの大ファンで、近年精力的に映画も監督している。

ラヂオの時間」「みんなのいえ」「ザ・マジックアワー」など、日本であれほど計算されたハートウォーミングなコメディを書ける脚本家は、三谷氏をおいて他にいないとすら言える。


さて。

そして今回の新作映画「ステキな金縛り」である。

(※これより作品の内容に触れる記述がありますので、ご覧になりたくない方は観終わってからお読みください。)

まず、素直に良い映画だった。

前半の伏線を回収する知的な笑い、それにコントラストをつける感動的なエピソード、素直に映画を観に行って良かったと思えた。

その中で、筆者がいつもの三谷映画と異なるように思えたことがひとつ。

それは、マンパワーである。

役者個人個人の能力・魅力が、脚本を上回るように見えた。これは今までの三谷映画では感じたことがない感想だ。もちろん脚本は素晴らしかったということを前提にして。

「キャスティングが一番の演出」という考えを別にすれば、これは映画監督としての三谷氏の演出術の進歩であるのか、

役者個々人の作品に対する努力の賜物なのか、到底筆者に知る由もないが、それほど素晴らしいと思える役者が数人いた。

まずはもちろん主演の西田敏行さん、深津絵里さんのご両名。

西田さんの魅力ある演技は言うまでもなくお墨付きなわけだが、喜劇俳優としての彼のパワーは目を見張るものがあった。

西田さんの顔の圧力が本当にこの作品の肝で、最早他の役者があの役をやっているところが一切想像できない。

続いて深津絵里さん。

評論として言ってはいけないことなのだが、その、個人的に大好きな女優さんということもあって、

いや、それを差し引いたとしても、今回の彼女は本当に女性としての魅力が満載だった。

今まで彼女が出た作品で、それはあの山下達郎の歌うクリスマスイブで有名なJRのCM以来今まで、

あれだけ魅力的な深津絵里を私は初めて観た。前述のワイルダー作品によく登場する女優、シャーリー・マクレーンを彷彿とさせる。

驚異的な可愛らしさだ。彼女は日本のシャーリー・マクレーンだ。

裁判のシーンで、西田さんの通訳となって西田さんの口調を真似るシーン、公園のシーンで西田さんに「姫と呼んでも?」と言われた後の反応では、

正直、腰砕けだった。38歳となった今なお、彼女は進化し続けている。

そして、脇を支えた役者の中でもひときわ輝いていたのが、中井貴一さん、戸田恵子さん、浅野忠信さん。

コメディを演じる中井さんは本当に面白い。タップダンス後の「異議あり」、愛犬ラブとじゃれるシーンなどでは、

映画館であんなに笑ってしまったのは初めてくらい笑った。あの堅物そうな外見がその演技を一層引き立てる。

戸田さんに関しては言うまでもない、日本が誇るコメディエンヌだが、今回はやはり顔に注目だ。

はっきり言って相当ブサイクだ。普通の女優だったら絶対に嫌がるようなメイクだった。

よく、ヌードやSEXシーンを「体当たりの演技」とか「女優魂」などと言うが、その風潮が私は嫌いで、

今回の戸田さんを観た時、よっぽどこれが女優魂だよなあ、と思った。

浅野さんに関しては、筆者がとても注目したいのがその役作り。

彼は今回、西田さん扮する落ち武者の子孫という設定なのだが、どことなく西田さんと似た印象の役作りをしている。

それが今回の映画で、非常に生きていたように思う。細かいことだがこういった繊細さが映画に深みを与えるのだ。

他にも、一人だけ思い切り浮いているビジュアルの山本耕史さんや三谷作品では今や常連の小日向文世さんなども良かった。


物語としては、中盤が素晴らしかった。

笑いと感動が怒涛のようにやってきた。

公園のシーンは深津さんの魅力も存分だし、その中でふと落ち武者が言う「自分に自信を持て」という言葉にドキッとさせられた。

小日向さんと中井さんが初めて対峙する場面の緊張感、両名の演技は素晴らしかった。

☆4つにした理由としては、まあ☆を5つにしてしまったら、それは私の中で、墓場まで持って行きたい作品であるので、ということで。

具体的には、個人的な感想だが、市村さんの霊媒師?のくだりは果たして必要だったのか、ということと、

クライマックスの法廷で亡くなったお父さんに会うシーンでは、なぜ深津絵里扮する若手弁護士には幽霊が見えなくなってしまったのか、

それはきっと3つの条件のうちのひとつ、「最近うまくいってない」が「うまくいって」しまったからなのだろうけど、

そこの描写が、(見落としてるだけなのかもしれないが)なんらかの形で小粋な感じで欲しかった、ということ。

それからエンディングクレジットがちょっと好みでない部分があった、無理やりにまとめたように思えたこと。もちろん、ピクサーの映画のエンドクレジットのように、CGであるにも関わらずNGシーンをやる、というほど、手間暇かけて作品を創る時間も余裕もこの日本の芸能界にはない、とわかった上でだが。

しかし、やっぱり、日本映画でこんな気持ちになれる作品は稀有だし、お笑いとは違うが、コントという名のコメディを創る身としては、三谷氏の才能にただただ脱帽するばかり。

とにかく、見る価値のあるステキな喜劇映画であることは間違いない。

こんな感想を書いていたらもう朝である。

眠らなくては。

疲れている時には金縛りにあいやすいと聞く。

もっとも、あんな幽霊なら出てきて欲しいものだが。

2011-09-17

『コントロード』第八話「綺麗なお姉さんは、好きですか?」

ラママ新人コント大会

渋谷の小さなライブハウスで行われている、このお笑いライブは、

もうすぐ300回を迎える、由緒あるライブだ。




ひょうきん族以来、お茶の間を賑わせている「リーダー」こと渡辺正行氏が、

事務所の垣根を越えて簡単にライブなどが出来なかった頃、

若手芸人に場を与えたいということで始めたものだ。



ウッチャンナンチャン爆笑問題ネプチューン海砂利水魚など、

今のテレビ界を支える多くの芸人もその板を踏んだことがある。




フリーの名も無い芸人が出ることのできるライブでは飽き足らなくなってきた僕とセティは、

この由緒あるライブに興味を持ち、一度観に行ってみることにした。





初めて観に行くお笑いライブ。



僕でもその名前をなんとなく聞いたことがあるくらいだ、

きっと素敵な劇場で、テレビに出ている芸人さんがこれでもかと楽しませてくれるのだろう。

そう、胸を膨らませて、小雨の中、足を運んだ。



劇場に入ると、思っていたよりもずっと猥雑な匂いのする会場で、桟敷席に座らされた。



「なんだかその辺の小劇場と変わらないね。」


「うん。」



出演者を見ても、知らない若手芸人ばかり。

最先端のお笑いがここで観ることが出来るとは到底思えなかった。


僕は、少しがっかりした。


ぎゅうぎゅうの客席で、体育座りになり、

お世辞にも快適とは言えない体勢で、そのライブは始まった。





その日誰が出演していたかはさほど記憶に無い。


ただ、名も知らぬ若手芸人たちが、

ネタからトークから、

全力でお客さんを楽しませようと躍起になり、

今までに数回出演したフリーのライブとは格段に違うそのレベルの高さ、

真摯に笑いに取り組む芸人の姿に、

僕たちは圧倒されてしまった。



その中でも、ひときわ異彩を放っていたのが、

ブレイク寸前のオードリーさんだったりした。








ライブが終わり、



半ば放心状態の僕たち。






「なあセティ。」


「ん?」


「俺、このライブ、出てみたい。」


「……俺も。」






気づくと、


僕とセティは、


ラママのスタッフの女性に声をかけていた。


知的そうな、綺麗なお姉さんだった。


「あの。」


「はい?」


「えっと、あの、このライブって、えっと。」


「?」


こういうことは苦手だ。セティに任せよう。


「あの、僕らコントをやってる者なんですが、オーディションとかは、開催されてるんでしょうか?」


「あ、芸人さん?」


「芸人……というか、コントユニットをやってまして。」


「そう。……うーん。基本的には、事務所に所属してる芸人さんに声をかけてるんだけど。」


「僕たち一度オーディション受けてみたいんです!」


「……。わかった、じゃあ、毎月ネタ見せやってるから。」


「ねた、みせ?」


「うん、まあ、オーディション、ね。そこで良かった人をリーダーと作家さんで選抜して出演が決まるのね。」


「はあ。」


「で、ある程度先まではもう決まっちゃってるから、空きが出たら、うーん、ちょっと3、4ヶ月先になっちゃうかもしれないんだけど、お声をかけますんで、連絡先教えてくれます?」


「……は、はい!よろしくお願いします!」




綺麗なお姉さんは、綺麗なだけじゃなく、優しいお姉さんだった。



(第九話につづく)

2011-06-15

『コントロード』第七話「Comedian Dream」

お笑いライブ、というものを経験し、

第二回公演「ループ」を終え、

続いての公演はセティの故郷、石川県七尾市からのオファー、能登七尾演劇祭での公演だった。


セティの故郷は、かの無名塾主宰の名俳優、仲代達也氏がその土地を気に入って、

ついには日本でも有数の大劇場を建ててしまうほど入れ込み、

演劇で町おこしをしようと活気づいている小さな田舎町だ。


そこでただ公演をやるのではつまらない。色々な場所で公演を行いたい。

というのが主催者側の考えで、


僕らは町の、すでに使われなくなった議場(小さな国会のようなものを想像して頂ければ良い)で公演を行って欲しい、とのお誘いだった。


この時に、

地元の出身のセティを主役に、

使われなくなった議場を舞台にする、

地元のお年寄りでも楽しめるような作品、

をコンセプトに創られた舞台、「せとたけお」は、

町で育った青年が町長選挙に立候補し、

その周りの幼なじみが大人になるにつれ、

子供の頃の夢を失ってゆくこと、

それに納得がいかないたけおの心情などを描いた、

なんとも青臭いワンシチュエーションの青春コメディで、

これが、僕が生まれて初めて、ほぼ最初から最後まで書いた一本の芝居となった。

演劇に嫌気がさしてきた、それでも誰より演劇を愛している僕が、久々にやった演劇公演だった。

この作品は今でも本当に気に入っていて、

ツィンテル五人組のそれぞれのキャラクターも非常によく活きている、

いつかまた再演したいと思う作品となっている。


この町の町長になって、皆で一緒に仲良く住めるようにする!と言って、今でもその夢を叶えようとしているタケオ(セティ)、

小さな頃からガキ大将で格闘家になることを目指していたが、今では地元の工務店を継いで子だくさんのヒロシ(小島フェニックス)、

子供の頃からガリ勉で、博士になることを目指していたが、地元の中学教師に落ち着いたタカシ(かあきじいんず)、

みんなと違うことをするのが好きで、ハリウッドスターを目指していたマコト(倉沢学)は、東京に出て借金に追われバイト暮らし、

とにかくスケベで女の裸にしか興味がなかったシゲル(デビ)は、結婚した奥さんが横綱級の巨体になってしまった。

そんな五人が織りなすこの「せとたけお」という作品は、当時の僕自身の気持ちがとてもよく表れていて、

地元の温かいスタッフやお客さんにも支えられ、大好評で幕を閉じた。




そんな楽しいひとときを終え、

年末。


折しもこの頃は空前のお笑いブーム

エンタの神様レッドカーペットなど、TVをつければネタ番組ばかりやっていた。

そして年末と言えば、M-1グランプリ

アンタッチャブルさん、チュートリアルさん、ブラックマヨネーズさんなどのスターを輩出した大番組が、今年も幕を開けた。

その年もただ、いち視聴者として楽しみに見ていた。

優勝候補のキングコングさん、ラストイヤーのトータルテンボスさんなどに交じって、

運良く敗者復活の切符を手に入れ、そのまま勢いに乗って優勝したのが、サンドウィッチマンさんだった。



そう、この夏、お台場の小さな劇場で行われた、

街頭で呼びかけなければお客さんも数人しか集まらなかったような小さなイベントライブ。


そのライブに、人生初のお笑いライブイベントとしてツィンテル五人組が出演し、

そこで漫才を披露していた、あのサンドウィッチマンさんである。






あの人たちだ。





信じられない。





セティ、あの人たちが。






M-1で優勝した!





あの時同じ舞台に立っていた、あの人たちが、






日本一の、漫才師や!





素敵な世界やおまへんか!





僕は気づくとメールを打っていた。

さすがの僕も、この時ばかりは関西弁にならざるを得なかった。





一夜にしてスターダムをつかむことなど、

役者の世界ではほとんどないことだ。


だが。


お笑いの世界ではこんなことがあるのだ。


セティも驚いていた。





かつて、カリフォルニアでは、金を発掘するために人が集まり、金鉱脈目当ての山師や開拓者が殺到することになったと言う。

俗に言う、ゴールドラッシュである。



お笑いは、一夜にして大スターを生む世界。

この不景気のご時勢で、そうやって、芸人を始めた人たちが、きっとこの頃ごまんといたことだろう。

時代は芸人ラッシュだった。


そんなお笑いブームは、確実に僕らの心にも影響していた。


別に仕事を持っているフェニ、東大の研究室があるかあきさんと公演の予定が合いづらくなっていたこの頃、


僕とセティとデビは、


お笑いライブへの出演を検討していった。



役者というのも、世の中に目指す人が大勢いる世界だが、

役者は、自分で「役者やってます」と言って、

年に1回くらい100人も入らない劇場で下らない芝居に出ている人たちも沢山いる。

だが芸人は違う。

どこの事務所にも所属していない芸人は、芸人とは呼べない。

出れるライブもそう多くない。


そんな中でも僕たちはキングオブフリーという、事務所に所属していない芸人のトップを決める、という、

小規模なライブを見つけて、応募してみた。


40組ほどの出場者の中、僕ら3人は、2位だった。


お笑い、というものが、

あんなにも遠く輝いたTVの中の世界だったはずなのに、

なんだか近い世界のように思えてきた。



僕たちは、さらに、お笑いライブを探すようになった。


ただ、どのお笑いライブが良いライブなのか、僕にはわからない。


一度お笑いライブを観に行ってみよう。

そう言ってセティを誘った。


どのライブを観に行こう?

まずは巷で、お笑いライブとして評判で、事務所の垣根を越えて様々な芸人が出ているライブがいい。

だったら、






ラママ新人コント大会




その老舗ライブに行きつくのは当然だった。

まさか数年後、毎月のようにそのライブに出ることになるとも知らずに……。


(第八話につづく)

2011-05-14

「わからず屋」

八百屋魚屋わからず屋

今日はわからず特売セール

新鮮なわからず売ってます


いつもはわかってくれるのに

今日はひときわわからず屋


早く閉店して欲しい

わからずじまい 店じまい

Connection: close