くらのすけの映画日記

「シネマラムール」の管理人くらのすけの映画鑑賞日記です。 なるべく、見た直後の印象を書き込んでいるのでネタバレがある場合があります。その点ご了解ください。

映画感想「テラフォーマーズ」

kurawan2016-04-30

テラフォーマーズ
こんなぶっ飛んだ原作コミックを映画にしようなんていうのは三池崇史監督しかいないだろうなと思う。とにかく、荒唐無稽なストーリーを最も普通に演出しすぎて、いつもの三池のぶっ飛び感が物足りなかったという出来栄えの映画だった。

映画は、まるで「ブレード・ランナー」のような映像感の近未来の日本のようの風景から始まる。主人公の小吉と菜々緒が何かから逃げていて捕まる場面、そしてカットが変わると、これから彼らは火星に向かうというもの。人口爆発のために火星地球化計画を進める日本は、まずその環境を改善するために火星にゴキブリを送り、大気を改善した。そして500年経って、火星で進化したテラフォーマーと呼ばれる人型ゴキブリを駆除すべく、世の中の犯罪者や、極貧民、ヤクザなどを兵士として送り込む計画を進めていた。

義父を殺した菜々緒とその恋人小吉も選ばれ、刑に服する代わりに火星への討伐隊に入れられたのだ。当然、同行するのは曲者ばかり。しかし火星に着くと、いきなり襲ってくる進化した化け物ゴキブリ。小吉たちには出発前バグスオペと呼ばれる、昆虫の遺伝子と人間の遺伝子を結合させる手術が施されていて、昆虫遺伝子を覚醒させることで、強力な能力を発揮するというのだ。

物語はどんどん、確信に流れ、そのままゴキブリと、変身した昆虫人間のバトルが始まる。火星到着でいきなり死んでしまう武井咲扮する菜々緒は着陸船の中で繭になり、一方他のメンバーは、昆虫に変身しながら、膨大な数のゴキブリとった買う。昆虫に変身する際に、その昆虫の能力が具に説明され、いわゆる昆虫博学ストーリーだと読める。

実は、この計画には裏があり、進化したゴキブリの卵を地球に持ち帰り、ゴキブリを操ることができる昆虫に変身できる組織のメンバーに操らせ、世界一のゴキブリ軍隊を作り、世界征服するというものだった。しかし、取得した卵は宇宙船の中で孵化し、しかも操れないように進化していた。

一方、火星に取り残された小吉たちは、ゴキブリの大群と戦うも圧倒的な数の差で、死を覚悟。その時、繭になって死んでいた菜々緒が、蛾となって舞い上がり、その鱗粉を撒いてそれが大爆発して、ゴキブリはほとんど死滅。

最後の脱出ポッドで、小吉とコンピューターの専門家蛭間が脱出し、地球に向かう。途中、すべての計画を世界中にネットで流し、小吉たちは自らを守り、日本の世界制服の野望が費える。小吉は、いずれまた火星に戻ってくるというセリフを残し暗転エンディング。

つまらないわけではないし、ハイスピードで先へ進むストーリー展開なので楽である。ただ、昆虫に変身する主人公たちの昆虫説明と戦いのくだりが、いかにも雑に思えたのが残念。さらに、遺伝子や進化はすでに宇宙で決められていたことで、ゴキブリは人間を操って、火星にゴキブリを送らせ、火星で、ゴキブリは進化したのだという哲学的なテーマも適当に処理したのはもったいない。

もっとはじけた映像や、演出を期待していただけに、意外に普通だったのは物足りなかった。でも冒頭ですぐに死んでしまう武井咲の使い方など、さすが三池崇史、やってくれるよね。まぁそれなりの映画でした。