くらのすけの映画日記

「シネマラムール」の管理人くらのすけの映画鑑賞日記です。 なるべく、見た直後の印象を書き込んでいるのでネタバレがある場合があります。その点ご了解ください。

映画感想「ポセイドン・アドベンチャー」「友だちの恋人」

kurawan2016-08-22

ポセイドン・アドベンチャー
ようやくスクリーンで見ることができました。テレビでは何度も見ていて物語も展開もほぼ覚えているのですが、やはりシェリー・ウィンタースが死ぬ場面は泣いてしまいました。監督はロナルド・ニーム、製作はアーウィン・アレンです。

物語は今更言うまでもないですね。豪華客船ポセイドン号が最後の航海を進んでいる。船主代行の無謀な要求のために、異常なくらいに船底が軽いままで不安定なバランスで進むポセイドン号。さらに、航海が遅れているからとスピードを上げるように無茶を命令している。そこに海底地震が勃発、巨大な津波がこの船を襲う。

あっという間に転覆し、上下が逆さまになった船内で、脱出に向けて、牧師であるスコットが先導して、船尾を目指すのが物語となる。

様々な人間ドラマを描く群像劇の形式をとりながら、そして、ハリウッドの起死回生のきっかけとなるパニック大作という形をとりながら、その背後に、牧師が人々を救おうとするが結局、次々と犠牲者が現れ、ついには自らも死んでいくという神対人間のドラマも展開する。その奥の深い物語構成がこの作品を薄っぺらな大作にしなかったのが成功の所以であり、名作と語り継がれる所以でしょう。

当然ラストは無事に脱出するのですが、先導した牧師は死ぬし、英雄的な行いで太ったおばさんも心臓麻痺で死んでしまう。警察署長と売春婦の恋人夫婦も妻の死となり、決してハッピーエンドではない。しかし、だからこそ描きこまれた人間ドラマとしては、この映画の価値は素晴らしいのではないかと思うのです。

何度見ても飽きない面白さ、時間を忘れる嫌い無駄のないストーリー展開ですが、中身がある。いい映画の見本のような一本です。


「友だちの恋人」
エリック・ロメール監督作品で、以前の特集のときに見逃した一本です。とっても洒落た綺麗なラブストーリーで、ロケーション設定の美しさ、カラフルなファッションの楽しさに魅了されるし、洒落た物語と機関銃のような会話の応酬に引き込まれました。

役所に勤めるブランシェはふとしたことからレアという女学生と知り合う。レアにはファビアンという恋人がいるがうまくいっていない。一方ブランシェはファビアンの友だちのアレクサンドルに心惹かれる。

前半はレアとブランシェの女子トークが繰り返され、レアがブランシェにアレクサンドルと引き合わせようとする展開になるが、やがてファビアンがブランシェに心を惹かれるようになる。

友だちの彼氏だからと躊躇するブランシェだが、どんどん惹かれていき、一方レアも次第にファビアンとの仲が疎遠になるにつれてアレクサンドルと付き合うようになっていく。友達が思いを寄せる男性だとレアも躊躇するのだが、いつの間にかお互いにバカンスを一緒に過ごす約束をする。

そしてラストは、偶然レアはブランシェに会い、それぞれの彼氏の話をするが、どこかちぐはぐ。聞いてみれば、ブランシェはファビアンとレアはアレクサンドルとバカンスに行く予定をしていてという話がわかり、お互い何の遠慮もなく好きな男性と過ごすことになりエンディング。

ブランシェの家は真っ白なソファに、服はオレンジやブルー、グリーン。一方レアはホワイトの服やブルーグリーンの服装。背後に配置したビルや自転車、果物などの色彩と絡めた画面作りがとってもポップで美しい。

ラストの誤解から一気に真相が解決する粋なラストでとっても楽しい気分で映画を見終えることができます。本当に洒落た綺麗な映画でした。