くらのすけの映画日記

「シネマラムール」の管理人くらのすけの映画鑑賞日記です。 なるべく、見た直後の印象を書き込んでいるのでネタバレがある場合があります。その点ご了解ください。

映画感想「こどもつかい」「おとなの恋の測り方」

kurawan2017-06-19

こどもつかい
陳腐なホラー映画というレベルの一本で、大劇場で公開するより、ひっそりとビデオ発売したら話題になるような作品だった。なるほどその意味では珍品の面白さがあるかもしれませんが、正直、ありきたりなホラーでした。監督は清水崇

ある街の郊外で一人の子供が母親に虐待されている。、母親がその子をベランダに出して、時間を置いてみると子供がいない。慌てて探し回った末に戻ってみると子供がいて、数日ののち、母親が命をなくす。

トミーの呪いという都市伝説を追う地方新聞の記者江崎は、取材で耳にした歌をたまたま友人でアンティークショップの店長の店で、一人の少女が口ずさんでいるのを聞く。しかもその友人は間も無く死んでしまうのだ。

江崎は真剣にこの事件を追うのだが、彼の恋人の尚美もまた、勤先にくる子供の母親が亡くなるという事件に遭遇。しかもその亡くなった母親の子供を預かり、不用意に母親になってあげると言ったものの、あとで否定したため、何やら不気味な影が付きまとうようになる。

こうして物語は導入部から本編へ流れるのだが、実は、この呪いを執行してくる黒マントの男はあ、かつて上之郷という山深い村にあったサーカスの腹話術の人形らしく、江崎たちが調べると、そのサーカスは火事で全焼、しかも七人の子供の遺体が見つかったことがわかる。

みるみるしょぼい展開になって来て、怖くも何もなくなってくるのですが、結局、そのサーカスの人気の腹話術師は幼児趣味の変態男で、自分の主人の醜態に耐えきれず、その人形自体が子供の復讐を代行するようになったという流れになっていく。

ラスト、実は尚美も幼い頃母親の虐待にあっていて、その時トミーと出会い、母親を呪い殺したことを思い出し、自分を慕って来た少年に謝り、トミーの呪いから解放される。江崎も、アンティークショップで人形を見つけ、破壊。

江崎と尚美は引越しをするのだが傍にその少年がいて、手にしていた呪いのトミーの小指を、虐待されているらしい子供のアパートの玄関に置いてエンディング。普通ですね。

人形を使ったホラーでは「チャイルド・プレイ」という傑作がありますが、今回の作品はとにかく怖がらせ方がそれほど秀でたものはないし、サーカスのスターのエピソードがいかにも中途半端な設定でファンタジックさもない。
全体にホラーとファンタジーの面白さが未完成にしょぼいのが残念な映画でした。宣伝しすぎですね


「おとなの恋の測り方」
フランス映画らしい上品で洒落たラブコメディでした。気の利いたテンポのオープニングと軽いタッチだけれども余計な間を置かない導入部が素敵な映画。中身についてはちょっと気になるところがありますが、それを脇にすればちょっとした作品だった感じです。監督はローラン・ティラール。

一人の女性が家に帰ってくると電話ががかってくる。取ってみると、あなたの携帯を拾ったものだという男性の声。忘れた現場にいたが、すぐ追いかけるより後から連絡したほうがチャンスが生まれるという理由がまず素敵。女性の名はディアーヌ、弁護士でパートナーの弁護士である夫と別れてバツイチである。男性はアレクサンドル。

早速二人は会う約束をしてメインタイトル。軽い音楽のリズムに合わせて約束の場所に行くディアーヌのシーンにタイトル。そしてやって来たのはなんと136センチの小男のアレクサンドル。一瞬戸惑うがアレクサンドルは彼女をスカイダイビングに誘い、一気に関係を縮める。この導入部がうまいし、スピード感があって良いのだが、何かにつけ小男であることを気にするディアーヌがやたら見えてくるとちょっとうざくなってくる。

小男であることはいわゆる障害であるという視点で、障害者と健常者の恋という配置になって行くのがどうも良くない。アレクサンドルの家にはでかい犬がいて毎回帰るたびに飛びかかるというコミカルなシーンなども散りばめられているのに、どんどん物語が深刻さを増して来て、さらにディアーヌの母親の今の夫が耳が不自由な障害者という展開に至ってはこの作品の方向性と意図が明らかになって来て、どうも良くない。

いっときはディアーヌはアレクサンドルとの恋に躊躇し、そのために疎遠になるが、結局立ち直りハッピーエンドになるのだが、終盤にアレクサンドルとディアーヌの元夫との卓球の果し合いの会話からのシーンがないのはどうしたのだろう。

とはいえ、それほどの駄作とはいえない一本で、面白いといえば面白い作品でした。