くらのすけの映画日記 このページをアンテナに追加 RSSフィード

日記ロゴ 「シネマラムール」の管理人くらのすけの映画鑑賞日記です。
なるべく、見た直後の印象を書き込んでいるのでネタバレがある場合があります。その点ご了解ください。
また、大ファンの上戸彩さんのBLOGも運営しています
■■■

2018-04-10 映画感想「ラブレス」「ワンダーストラック」 このエントリーを含むブックマーク

kurawan2018-04-10

ラブレス

ラストシーンボリスは新しい妻との間の子供がいて、遊んでいる子供を保育器の中に放り込む。泣きじゃくる子供。イニヤは新しい夫と生活している。ベランダでランニングマシーンに乗る。彼女のこちらを睨むようなショット。冒頭でアレクセイが学校の帰りに拾って木に引っ掛けたリボンが揺れていてエンディング果たしてアレクセイは生きているのか死んでいるのか。行方不明のまま、捜索願のポスターが木に貼られていて映画が終わる。つまり、彼がどうなったかわからない。といことはこの映画、そこは問題ではないということなである監督アンドレイ・ズビャギンツェフ

十二歳のアレクセイが学校が終わり下校してくるシーンから映画が始まる。

ボリスと母イリヤはまもなく離婚が決まっている。この日も言い争っていて子供アレクセイをどうするかで罵り合っている。部屋の外でその様子を聞いていたアレクセイが泣きじゃくる。両親はそれにも気がつかない。

お互いそれぞれに新しい恋人がいて、ボリス恋人は妊娠している。それぞれがそれぞれの相手とベッドを共にし、家に帰るだけなのだが、ある時子供アレクセイがいないことに気がつき、二人は捜索を始める。警察も他の犯罪で忙しくてまともに相手をしてくれず、結局市民ボランティアが捜索をする。

舞台はロシアのウクライナ。混乱が続く国内は、ただ殺伐とした悲惨ニュース流れるばかりだが、なぜか映画の舞台の街は平穏に見える。

映画はただアレクセイを捜索する場面が描かれて行くが、所々に廃墟になった工場跡や、許可なく入れない巨大なレーダーのある政府軍事施設なども身近にあることがわかる。

この独特の空気感がなんとも不気味なほどに殺伐としている。途中、何度かアレクセイではないかという死体病院に運び込まれた患者なども出てくるが本人ではない。題名が表すように人々に愛などというものはすでに存在しない、あるいは存在する余裕もないのかもしれない。

映像は美しく、しっかりと作られた画面の構図は見事だし、不気味に動くカメラワークも静かなサスペンスを生み出している。しかし、描くべきテーマこそがこの国の今なのではないかと思うのです。クオリティの高さ、しっかりしたテーマ性も見事ですが、ちょっとインテリすぎる気がしないでもない映画でした。

f:id:kurawan:20180410170142j:image:left

ワンダーストラック

サイレント映画のような様相で描く前半部分は個性的面白いのですが、クライマックスで全ての謎を言葉説明して終わりという脚本はちょっと芸がない気がします。トッド・ヘインズ監督ながらもう一工夫欲しかった。

主人公ベンはある時、母の部屋でまだ見たことがない父の手がかりを見つける。時は1977年。そしてその手がかりはニューヨークにあるキンケイド書店の領収書に、ダンよりエレインへというメッセージだった。挟まっていたワンダーストラックという本を頼りにベンはニューヨークに一人旅立つ決心をする。折しも雷に打たれ、命は無事だったものの耳が聞こえなくなり、従兄弟に助けられニューヨークへ。

ここに耳の聞こえない少女ローズがいる。時は1927年ローズは女優をしている母に会うために一人ニューヨークへ向かう。この場面はモノクロサイレントで描かれ、ベンのシーンはカラーで描かれるが、二人とも耳が聞こえないのでほとんどがサイレント映画のごとく進んで行く。

ベンは、たまたま知り合った少年ジェイミーと行動を共にし、ジェイミーの父が勤める自然博物館に忍び込み、そこで、ワンダーストラックの元のオブジェに出会う。そして、目的のキンケイド書店に行くのだが、そこで、ウォルターという主人とローズという女性出会う。そしてローズはベンとわかるのである

こうして物語の真相ローズによって語られるのだが、結局ここでの種明かしだけがこの映画の全てに見えるのが残念。

ローズはかつて一人でニューヨークに来て、兄ウォルターに助けられ、やがてローズは夫と二人で ニューヨークのジオラマ作成を始める。そして男の子を授かり、ダンと名付ける。ダンはやがて成長し、エレイン結婚するが、心臓の病気だったダンは死んでしまう。

全ての真相が明らかになって物語は終わりますが、結局それで終わりというものの、この辺りを巧みな映像演出で語れればもっと面白かったのにと思いました。トッド・ヘインズならできると思うのですが、サイレント映画のような様相に力を入れすぎた感じですね。