伊藤大輔監督の映画『大江戸五人男』


 映像文化ライブラリーで今月(4月)の「時代劇特集2014」の1本で、伊藤大輔監督の映画『大江戸五人男』(1951年、松竹京都、132分、白黒)を観る。
 1951年、昭和26年の公開作品である。
 脚本は八尋不二、柳川真一依田義賢。撮影が石本秀雄。
 出演は、阪東妻三郎市川右太衛門月形龍之介高橋貞二山田五十鈴高峰三枝子進藤英太郎、三井弘次、山本礼三郎、高田浩吉、若杉曜子、花柳小菊
  特集パンフレットより。

 歌舞伎や講談で有名な、町奴・幡随院長兵衛と直参旗本の水野十郎左衛門との争いを、阪東妻三郎市川右太衛門の2大時代劇スターをはじめ、山田五十鈴高峰三枝子らの豪華キャストで描く。松竹30周年記念映画として製作され、大ヒットを記録した大作。 

 松竹30周年記念映画というだけあって、見ごたえ十分の映画だった。大ヒットを記録した大作というのも納得。
 町奴・幡随院長兵衛を阪東妻三郎、直参旗本の水野十郎左衛門を市川右太衛門、白井権八高橋貞二が演じている。水野十郎左衛門(市川右太衛門)の寵愛する腰元おきぬを高峰三枝子、おきぬの父親を月形龍之介山田五十鈴が幡随院長兵衛の妻を、吉原の花魁(おいらん)小紫を花柳小菊が演じる。
 三井弘次のお馴染み(?)の酔っ払うシーンが良かった。
 市川右太衛門を頭(かしら)とする直参旗本が徒党を組んで、江戸の町人に乱暴狼藉を働いていた。
 そんな旗本連中と町人のトラブルを町奴の幡随院長兵衛(阪東妻三郎)が町人と旗本の間に立って調停役をして解決し町人から信頼されていた。
 ある日、町人が芝居見物している芝居小屋へ、旗本の一団が乗り込んで来て、町人が座っている席を蹴散らした。芝居の一座の座長が出て来て困りますと口上を述べるも逆に旗本連中は座長にも乱暴狼藉を働きかけた。
 そこへ現われた幡随院長兵衛(阪東妻三郎)がまた間に入って機転をきかせ無法者を退散させた。
 水野十郎左衛門は寵愛していた腰元おきぬを家康公から頂いた南蛮皿の家宝をおきぬが一枚割ったということで水野は切り殺した。井戸へおきぬは落ちる。
 そのことを知った幡随院長兵衛の子分白井権八高橋貞二)が、そのスキャンダルを芝居の演目にすることを一座の台本作者へ提言し、その芝居を興行させた。芝居は町衆に大人気になり、それを聞いた旗本の一団が芝居を見に来た。
 水野(市川右太衛門)らはそれを見て驚き、芝居を仕組んだ者を捜す。
 市川右太衛門を中心とする旗本の無法者と町奴の阪東妻三郎の幡随院長兵衛らとの対決の場面が見せ場だった。
 阪東妻三郎市川右太衛門の屋敷に呼ばれて決死の覚悟で乗り込んで行く。
 吉原の花魁(おいらん)小紫(花柳小菊)と白井権八の悲恋もしんみりと見せる。
 花柳小菊の涼やかな目もとが印象に残る。