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05/03/02 リアルの問題なんであろか

[][]事実/真実/現実 事実/真実/現実を含むブックマーク 事実/真実/現実のブックマークコメント

毎年持ち越しての宿題がある。それは西欧型民主主義を越えることが出来るかということです。ポストモダンがすべては幻想だとして相対化することは、「ホロコーストはなかった」、「南京虐殺はなかった」とする歴史修正主義者の台頭を許す隙を与えたり、逆に民主主義者達の保守化を強化したりする。結局は右派と左派の頑迷を促進するだけだ。夭折した保苅実は遺作『ラディカル・オーラル・ヒストリー』で、そんな宿題のヒントを与えてくれる。

アポリジニのオーラル・ヒストリーによる歴史分析を紹介することで以下に提示したいこと、それは、アカデミックな歴史学とは異なる場所で営まれている多様な歴史実践を、神話や記憶といった歴史の外部へと排除せずにとりあげる試みである。神話や記憶といったオルターナティブを示すことで、歴史のみせかけの相対性を誇張すべきではない。これではアカデミックな歴史性の西洋近代性(=普遍性)に何の影響もあたえないだけではなく、ややもするとそれを隠蔽しかねない。ここでの目標は、西洋出自のアカデミックな歴史(普遍的な「よい歴史」)と歴史学が受け入れられない歴史(普遍化されない「危険な歴史」)とのあいだに対話や共奏をうながす可能性を模索することにある。(210頁)

問題点はわかる。だが、どうしたらいいのか途方に暮れる。本書はそのような方向性にある思考の軌跡(トラック)を痛く感じることが出来る。刺激的な本で学究の徒でない僕でも単に知識の啓蒙吸収にとどまらないで、感情移入してしまった。専門書でありながら、涙してしまったぴぴさんの気持ちもよくわかりました。もっと幅広く色々な人々に読んでもらいたい、全体の問題を正面から対峙している。ここに処世でない立派な仕事がある。

ラ・マンチャの男の有名なセリフで「私が望んでいるのは事実ではない、真実である」という言葉があります。(中略)/ヨーロッパの古い町の中心には大きな建物が二つあります。一つは教会で、もう一つが劇場。劇場もパッケージに「真っ赤なうそ」と書いている建物です。劇場の中で演じられているものを事実と思う人はいません。しかしお客はお金を払い、例えばシェークスピアに涙し、笑う。シェークスピアに真実があります。/もう一つの建物、教会も「真っ赤なうそ」というパッケージに入っています。神様という大きなうそを一つつけば、残りはすべて真実と言っていい世界が出来ます。ヨーロッパの町は、人間が必要とするものは何かをはっきり示しています。−養老孟司講演・2004年4月16日毎日新聞夕刊よりー

教会と劇場にうそをついてもらえばか…、性はどうなんだろう、うそを拠所に真実が立ち上がるのか、うそと事実の認定も困難極まりない。リアリティの問題なんであろう。そうなら、文脈を離れて考えられない。でも文脈を内部に取り込みつつ文脈を離れて外部に接続し得るリアル(真実)でないと、説得力のある公共性を持ち得ない。矛盾に満ちた芸である。再現さえ難しいそんなリアルを真摯な人は模索しているのだろう。メディアは思考停止で悩まないのであろうか、中立、公正なんて、何にも言わないのと同じ、ホリエモンの意味のない記号と変わらない。コンセプトを隠蔽しないで、正直に自分の信仰の正体(文脈)を明かして、それぞれが、信念に基づいて報道する。何にもないならホリエモン流に市場の原理にまかすと居直れば良い。百花繚乱の報道が飛び交うことになろうとも、ゴミも落書きもノイズも混じろうとも、中立という空虚な言説より、悪臭を放つかもしれないが、問題の有様が明確になる。痛みを曝すのです。 そんな風に今のところ、メディアリテラシーを考えています。

[]♪シャンクレール♪暗い旅 (新潮文庫 草 113B)至上の愛二十歳の原点 (新潮文庫) ♪シャンクレール♪暗い旅 (新潮文庫 草 113B)を含むブックマーク ♪シャンクレール♪暗い旅 (新潮文庫 草 113B)のブックマークコメント

梅田でも京都でもクレヨンしんちゃんの大人帝国でも、昭和三十年代の街並をコピーした一角があり、時々タイムトリップモードでソースカツ丼屋やなんかで飯をかけ込むのですが、ジョン・コルトレーンの【至上の愛】の発売が1964年で、僕が二十歳。まさに昭和三十年の末尾を飾り、ロックへと音楽シーンが流れていくモダンジャズの行き着くところまで行ってしまった、あとはフリージャズであるが、もう、それから聴かなくなったぼくの貧しい音楽体験として、この一枚はどうしても、忘れる事が出来ない。ある意味、昭和三十年代はコルトレーンの時代でもあった。

学校を出て横浜に行った後になるので、僕より若い団塊の世代である自死した高野悦子『二十歳の原点』で言及していた立命館荒神口前ジャズ喫茶「シャンクレール」は、学生時代、時々行ったが、ママがコルトレーンと映っていた写真を店内に飾っていた。倉橋由美子『暗い旅』にも登場するが、もう「シャンクレール」もなく、立命館も衣笠に移転している。今、「シャンクレール ジャズ」で検索したら何が飛び出すだろうかと、クリックしたら、「よしなしごと」がアップされていました。あれ!pipiさんところだと、ロムすると、 『〜高槻ジャズストリート〜2002年5/6』の日記にシャンクレール、コルトレーンが登場している。そうか、pipiさんが学生時代にはまだ、シャンクレールがあったんだと、勉強になりました。でも、この日記をアップしたときは、まだ、ぼくはpipiさんのことを知りませんでした。又、一つネットの面白さを知りました。(ネタ元・旧ブログ)

★本日のアクセス数(300)

kuriyamakoujikuriyamakouji 2005/03/02 10:01 ■ 二十歳の原点
『二十歳の原点』は、中学の時、同級生から借りて読んで衝撃を受けました。単純なんで立命館を受けようかと思いました。
『暗い旅』も懐かしいなあ。新幹線がてきて「旅じゃない、移動だ」ってセリフ、覚えてます。
ジャズは、コルトレーン、マイルスからフリージャズも喜んで聞いてました。新宿紀伊国屋からDUGかDIGへ行ったり、ピットインで山下洋輔トリオのライブに圧倒された、耳がキンキンいっていた、それが私の『二十歳の原
点』。
曽根 朗 (2004-06-15 23:17:58)

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■ 閉店セール
東京中の古本屋を探してもなかった倉橋由美子の絶版『暗い旅』(新潮文庫)がこちらに引越ししたら地元の古本屋のワゴンで30円で見つけて驚いて買ってしまったが、今日、その店の前を通ったら、閉店セールをやっていた。ひょとして、高田渡のCDはないかと、思ったが、残念、ありませんでした。
栗山光司 (2004-06-16 16:00:06)

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■ シャンクレール
シャンクレールは、表の看板には「しぁんくれーる」って書いてあったような気がします。「思案にくれる」

「しゃんくれーる」
「シャンクレール」
「しぁんくれーる」

どれが正しい店名なんでしょう???
『二十歳の原点』を読めばわかるのかな。

本はちゃんと読んでいないのですよ、斜め読みしか。映画を先に見ました。二十歳のわたしには印象に残る映画でしたが、なんか「ぬるいな」とは思いました。ゲバルトシーンに迫力なくて、「あんなんとちゃうで」とか思った覚えがあります。

pipi
(2004-06-16 22:04:46)

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■ 誘い
昨日、広河隆一と高校の時、同じ新聞部員であったYに会いました。Yは立命評論の同人で、シャンクレールにはしょっちゅう出入りしていたらしい。pipiさんとシャンクレールの話が出て、随分、年が離れているのに、どうしてpipiさんはシャンクレールを知っているのか、まだなくなっていなかったのかと、そんな話題になりました。彼は大江の『万延元年のフットボール〜』のpipiさんの書評と、たけちよさんの『バグダットからのE〜』を読んで、その感想も聞かせて貰いました。Yの話は面白く、いつも、ぼくは拝聴のみ。体調の良い時、ビヤガーデンでも、行かないかと声をかけられたが、pipiさん、いかがですか?阿倍野でもOKです。


葉っぱ64 (2004-06-16 22:29:24)

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■ ビヤガーデンよりも
おお、ついに噂のYさんに誘っていただけるのでしょうか(笑)。
ビヤガーデンは肴がまずいから、どうせなら魚のおいしい店へ行きましょうよ。天王寺にいい店があります。夏休みになったら夜も出やすいので、ぜひぜひ。葉っぱ64さん、体調を整えていてください。
pipi
(2004-06-16 22:46:49)

tatartatar 2005/03/09 23:38 はじめまして、tatarと申します。

保苅実さんの本、私も途方に暮れつつ、しかし、保苅実と言う人間が存在したことに希望を見ています。意志は継ぎたいと思っています。

養老孟司さんは同市民です。

http://d.hatena.ne.jp/tatar/20050304#1109920614

で、保苅実さんの遺作の引用を行いました。
常に喪の作業です。
よろしくどうぞ。

kuriyamakoujikuriyamakouji 2005/03/10 01:11 tatarさん、いらっしゃい、よろしく。鎌倉ですか、保坂和志さんのBBSによく訪問しているのですが、鎌倉の話題が多いですね、「季節の記憶」「もうひとつの季節」は鎌倉稲村ガ崎を舞台にした大好きな小説です。保苅さんの意志を継いで、頑張って下さい。

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