葉っぱのBlog「終わりある日常」 このページをアンテナに追加 RSSフィード

05/03/06 武田さんちの履修生達のレポを読んでいます

[]地球人の見た出版知財戦争 (新潮新書) 地球人の見た出版を含むブックマーク 地球人の見た出版のブックマークコメント

前日のスレで紹介したように武田徹のジャーナリストコースの履修生たちが自前のブログを持ち、卒業レポをアップしてどれもこれも長文ですので、一つ一つユックリとロムしているのですが、昨日、『火星人の見た出版』大隅亮をとても楽しく読むことができました。近代読者が消えて消費者が神様みたいな出版業界のマーケティング主義は小田光雄『書店の近代』『文庫・新書の海を泳ぐ』『出版と書店はいかにして消えていくか』などで分析されたように戦後の郊外社会との誕生といった共同体の崩壊、教養の崩壊(竹内洋著『教養主義の没落』)と無関係ではありえない。大隈氏の言うように魅力ある著者を探すというコンテンツ主義がこれからの出版業界を活性化することだと提言するが、でも、これは昔から言われていることで、本つくりは読者(消費者)の方を見ないで、「著者を見ろ」は本来でしょう。この選択肢しかない、芸能プロダクションのスター育成とどう違う戦略かそのあたりがはっきりとみえないのですが、中々面白いレポートです。かような言説はどんな土俵でシステムを構築するのか、その土俵問題を正面切って出版業界は回避したのではないかという根本的な疑問があります。

何十年前に現役の書店員の頃、簡単なレポートを大取次ぎに提出したことがありますが、完全に無視されました。テーマは『再販維持制度の検討』です。原則は再販維持制度撤廃が正常なのです。あくまでこの法制度は特例にすぎない。面白いことに営業、書店の現場では、撤廃されることで仕入れの目を磨き仕事が面白くなるのではないかと言う期待があるのですが、既得権の旨味を知った管理職、何故か、再販制が撤廃されると、本のコンテンツの劣化を招き、ひいてはこの国の活字文化の劣化を招くと、憶測で編集権、言論の自由再販制度を結びつけて撤廃に反対するのです。何やらフジテレビとライブドアの対立構図に似たものがある。(社員総会ではホリエモンに反対の声明を出したみたいですが、恐らく個々の現場の社員の本音とは食い違っているでしょう。)

ただ、出版業界にホリエモンのような爆弾を抱えた人がまだ登場していないことでしょう。ゆくゆく、登場するでしょう。まあ、再販維持制度によって、この業界をビジネス対象として魅力ないものにしているから、他業界からの参入がないのでしょうが、ビジネスを度外視してメディアという括りで出版業界にホリエモンのような人が関心を持てば、随分、変わると思う。もう一つは著作権法ですね、ただこれは一国だけの法整備ではダメでしょう。京都議定書のような国際ルールが整備されないと、問題解決にならない。ディズニーであれ、夏目漱石であれ、何であれ、映画のソフトであれ、上限が五十年といったルールです。知的所有権の問題はもっとラディカルに論ずるべきだと思います。当然、ネットの公共圏の問題ともかかわります。大隈氏にこの二点『再販制』・『知的所有権』に問題の焦点を置いた論考を期待したいものです。コンテンツ主義、マーケティング主義はあくまで、表層のことに過ぎず、まず土俵の点検だと思います。

★本日のアクセス数(229)

村人村人 2005/03/07 21:38 武田さんところの大隅さんの論考読みました。出版界の下請け業者としてのコメントも必要かと思い、つい彼のブログにコメントしてしまいました(笑)。頑張って欲しいですね。

kuriyamakoujikuriyamakouji 2005/03/07 21:56 今、拝見しました。ぼくも何かコメントをしたくなりました。でも、この大隅さんのスレはコメントが多いですね、これ以上付け加えることが今思いつきません(笑)。

大隅亮大隅亮 2005/03/08 10:44 火星人の大隅です。読んでいただいて、トラックバックまで頂けて嬉しい限りです。ぼくの想像する「クリエイティブ」は競争・切磋琢磨するもので、その点、芸能のスターとはちょっと違うと思われます。
ホリエモンもラジオには800億出しておいて、出版には合同出資で1000万でしたからねえ…。知的所有権に関して、死んだ人間の文章を死守することで誰が喜んでいるのか、気になるところです。確かにラディカルに考えるべきことだと思います。
というわけで、示唆に富んだ指摘をありがとうございます。今後も精進してまいりますので、よろしくお願いいたします。

kuriyamakoujikuriyamakouji 2005/03/08 18:30 半世紀前、ぼくは「記憶喪失に罹った火星人」で仮に地球に暮らしているという仮説もなりたつなぁと、マジに考えたことがありました。師匠の武田さんは信頼出来る人ですね。思い切ってこの業界を変えて下さい。マーケットは日本だけでなく、世界市場を視野に入れて出版流通を考えるべきですね、今回のホリエモン問題の株売買で講談社の名前が出ましたが、出版社の体質は何ら変わっていませんね、再販問題は文化という憶測で語るのでなく、科学的に検証すべきでしょうね。文化を守るために再版維持制度撤退という思考実験さえ回避していたのが出版業界でしょう。火星人の目か見れば、そういう選択肢もありえると思います。競争原理を取り入れると、共同体は崩壊すると言ったあまりに短絡的な言説が流通していますが、単に既得権を守るために勿体つけているのであって、本当に文化を、共同体を、守ろうとしているのか、大いに疑問です。まさに「クリエイティブ」は競争、切磋琢磨するもので、その土俵上に更新されるものが文化でしょう。文化=既得権というすり替えはもっとも卑しいものですね。

kuriyamakoujikuriyamakouji 2005/03/08 18:33 火星人の目か見れば、→火星人の目から見れば、です。修正。