上陸@五條瑛

上陸

上陸

雑誌に掲載されていた上陸シリーズの単行本化。いやー・・・。切ない。切ないなあ。

頭が働いて経験もやたら豊富だが運と金が全然ない「金満」と、20そこそこにしてムショでのお勤め経験がある短気で口の悪い乱暴者でやんちゃな「安二」と、ちゃっかりしてるようで無邪気で真面目で善良な「アキム」。労働者として暮らす3人の日々。それぞれの事情で、とにかくいつでも金が無い。運勢最悪の日の3人の号泣と怒号がとびかうアパートの1室(プレイ中みたいとつっんでるサイトさんがあったが普通にそういう誤解はありだと思う・・)。
彼らそれぞれの暮らしのオムニバス編と、儲け話編。

数人で組んだ方が仕事が撮りやすいので、3人で組んで、3人で暮らす。距離感を持った上で同居だが、なんのかんの行って3人がちょうどよかったりする。でもきっといつまでもこうしていられないのは皆わかっている。

雑誌連載時はあくまで短編集にすぎなかったのですが、単行本にしたときに、各話の合間に金満の回想がはさまれる形になっていたのですごく切なくなりました。でも雑誌連載分だけ読まされても泣いちゃうから、回想がある分救いになるのかなあ。

ふだん口げんかしてるのは安二とアキムで、金満のおっちゃんが「うるさい!」と一喝してだまらせるわけですが、金満が機嫌最悪の時に、安二にあまりきついこというと、こんどはアキムがおこるです。長男・次男・三男の関係性がほほえましい。

五條瑛好きだなと思いました。

ちょうと2000年の時に掲載だったのね。うまいなあ。リアルタイムで読んでも楽しかったと思うけど、今単行本で読んでも全然遜色ないと思います。ちょい切ない物語。とても好きです。