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ご冗談でしょう、kuromagoさん

2012-03-09

【書評風味】『ざっくりわかる宇宙論』

新刊をこのスピードで買って読むことも珍しいので、書評めいた記事を書いてみようと思ったり。

竹内薫著『ざっくりわかる宇宙論』を亜高速で買ってきました。ちくま新書の発売日は毎月9日らしいので、多分今日店頭に並んだと思われる笑。

(余談ですがちくま新書ってもう900番台後半なんですね。来年の今頃1000か?)

この本の独自性を挙げるとすれば、「宇宙論史と現代宇宙論の接続を密接にした」「物理学的解説が豊富」「なのに読みやすい軽快な語り口」といったところでしょうか。

今回は1つ目の特徴「宇宙論史と現代宇宙論の接続を密接にした」に焦点を当てて書きたいと思います。

宇宙論の新書と言えば最近だと村山斉さんの『宇宙は本当にひとつなのか』とか、『宇宙は何でできているのか』(こっちは読んでいません)あたりが有名でしょうか。あとは少し古いのだと佐藤勝彦さんの『宇宙論入門』は岩波新書らしくちょっと堅めな感じでしたかね。

村山本も佐藤本も大体「現代の宇宙論をわかりやすく解説」というスタンスです。それと比べると竹内本の特徴は、宇宙論がどう発展してきたか。現代の理論に至るまで、それこそアリストテレス天動説を言いだして(さすがに紙面の都合で、コペルニクスからでしたが)から、コペル・ガリレオ地動説になり、ケプラーが楕円だと言いだし…でアインシュタインハッブルあたりが出てくる。ビッグバンが提唱されて宇宙の膨張概念が出てきて…みたいな流れ。

今こうやって見ると一瞬で終わってしまう話。でも今の学説になるには長い年月、数多の科学者が悪戦苦闘をした歴史があるわけですね。つまり、何か既存の理論で説明できないところが出てきて、それに対して新たな、以前の事実とも新たな事実とも矛盾しない理論を付け加えていく。この過程が、(ものすごくおおざっぱに言ってしまえば)科学なわけです。

つまり、何か「わからない」とか「困った」ことが出てきたからこそ今の理論がある。そういう事情を丁寧に書いているので、暗黒物質だのインフレーションだの、ちょっと突拍子もない概念もその文脈ですんなり理解できる。この辺は科学史科学哲学学部時代に専攻していた竹内センセイの本領発揮かなといったところでしょうか。


あと、一竹内ファンとして、ちょっと安心したことがあります。それは「はじめに」のところです。

私は大学1年の夏くらい(3年半くらい前ですか)に、同じくちくま新書の『世界が変わる現代物理学』で竹内センセイを知り、『物質をめぐる冒険』で完全にファンになったという過去があります。(『物質をめぐる冒険』は、ちょっとしたきっかけで直筆サインをいただけることになった時に、あえてサインしてもらう本に選んだくらい!)竹内センセイのわかりやすい、アカデミック最先端とは少し離れた目線から語られる物理学、科学が大好きでした。

ところが私がファンになった頃くらいから、ちょっと「迷走してる?」という感じの本が増えたんですね。一番は『バカヤロー経済学』かな笑。評論家っぽい感じになってた時期があったと思うんですよ。それで、あれ?ってなってた。

だけどその違和感はセンセイ自身が一番感じていたんだということが、この本の「はじめに」のところで書かれていてわかりました。ちょうどここ2、3年くらい、アカデミズムの方から色々言われて、科学解説書を書きにくい状態にあったんですね。そのモヤモヤを吹っ切って、今までの(私が好きだった)「竹内本」に戻ったぞという感じを、今回の『ざっくりわかる宇宙論』で受けました。一ファンとして素直に良かったなぁと思ってます。

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