放送枠の増加がもたらすものは?

最近の能動的な行動を、「ニコ充リア充を模して)」と評していただきました。
意味は「ネト充」と変わらないと思うのですが、語呂がいいので気にいってます。
もしネット流行語になるようなことがあったら、みなさん「初代ニコ充はマダオだよ」と、どこかで言ってくださいね(笑)。

というわけで、すっかり「ニコ充」な僕が、今日も更新いたします。
放送で、「リアルが充実している奴が、こんなに(放送・企画・ブログ等)頑張りません!」なんて言わせてもらったのですが、よくよく考えてみると、最近リアルも充実していることに気づきました。
放送をするようになってからというもの、「ネタ集め」や「企画」について常に考えていて、新聞や本を読んだり、メモ癖がついたりと、能動的になっていく自分。
いままでだったら、足を踏み入れなったことに「これも話のネタになるかも」と、飛び込んでいく自分。
自己充足的かもしれませんが、「ネットでの活動」が、「リアル」を意欲的なものにしているわけです。
放送という「表現」をすることで、日常の思考が「表現者」になる。他の放送主さんも同じような感覚なのではないでしょうか。まさに「一億総表現者時代」ですね。

この実感は、僕が常々主張している「ネット・リアル不可分論(いま適当につけました)」を、図らずも表していて、老若男女、一人一台のPC所有が「あたりまえ」になるであろう、これからの時代にあっては、「リアル」「ネット」と切り離して考えること自体が、ある意味ナンセンスなのではなかろうか、そんなふうに僕は思います。(でもまぁ「ニコ充」なんですけどね)



ともあれ今日の話題、「ニコ生の放送枠増加」についてです。

先日、ニコニコニュースにてこんな発表がありました。以下引用

【ユーザー生放送】放送枠不足のお詫びとお知らせ
2009年02月17日

ユーザー生放送ではサービス開始以降大きな反響を頂いており、現在番組放送枠の不足によって、生放送配信希望者の皆様には大変ご迷惑をおかけしております。

来週後半をめどに増枠を予定しておりますのでもう少々お待ちください。


また生放送の今後の更新予定は以下のとおりです。

【2月中投入予定】
・コメントダウンロード機能
・生放送中にNMM(ニコニコムービーメーカー)動画が流せるようになります

【3月中予定】
・放送枠の予約機能
・放送時間の延長機能
・生放送番組アーカイブのダウンロード
・生放送番組表

その他にも要望の多い機能には順次対応していきたいと思います。


今後ともユーザー生放送をよろしくお願いします。


http://blog.nicovideo.jp/niconews/2009/02/002417.html


どうやら放送枠の増設に加えて、その他の機能が使えるようになるようです。
しかし、この放送枠、果たして本当に増えるべきなんでしょうか?

現状100個ある放送枠ですが、たしかに慢性的に不足していて、日々熾烈な「枠取り競争」が繰り広げられています。
30分間の放送をするために、ひどい時には2時間以上、「放送開始」アイコンをクリックし続けねばならない競争は非合理のように見えるし、コンテンツとしての欠陥とも捉えられるでしょう。
ですがこの「枠取り競争」、放送主の「意欲」をふるいにかけて、ある意味で「放送のクオリティ保持」に寄与している、そんな側面もあると思うのです。
つまり、放送枠は常に需要過多気味がいい、僕はそう考えます。

ニコニコ生放送における「表現」は、それによって対価をえるものではなく、個人の「表現欲求」そのものです。
「表現欲求」というのは、ただ表現できればいいというものではなく、他人の評価を得ることで、自己を「承認」してもらうことに意味があるわけで、「より多くの人に見て欲しい」そんな気持ちが内包されています。
現状では、放送枠不足による「枠取り競争」を乗り越えてでも(1、2時間無駄にしてまでも)「表現」したい人間、その欲求が強い人間だけが放送できる。
労力と時間というコストを支払った「表現」であれば、当然それをペイしたくなるわけで、つまり、人の耳目を惹くような「努力」をするわけです。

放送枠が増えることによりこの構造が崩れ、「いつでも誰でも表現できる」状況になれば、現在以上に没個性な放送が増え、その中に良質な放送が埋もれてしまう・・・そんな恐れもあります。
ですから、増枠をするならば「カテゴリ」や「ランキング」、「みんなの評価コメント」のような技術も同時に導入するべきなのではないでしょうか。
(しかし増枠やカテゴリの細分化によって、mixiのように「閉じたコミュニティ」に堕する可能性も孕んでいます。これを回避するためには、僕らのような「放送横断的な企画(前記事参照)」が必要なんです!!←宣伝乙w)


そんなふうに考えていたところ、昨日新情報が入ってきました。
ガジェット通信(http://ch.nicovideo.jp/channel/ch222)に出演したひろゆき氏が、「有料放送枠」の構想があることを明かしたのです(ひろゆき氏は反対だそうです)。

前述したように、表現にコストがかかれば、耳目を惹くため、それ相応の努力をする・・・それによってコンテンツのクオリティが維持される、それは確かにいいことだと思いますが、そのコストが「お金」になってくるとどうなのかなあ、なんて印象を受けました。

「時間」は万人に平等であるけれど、「お金」はそうではない。(学生や無業の方もいらっしゃるので、一概にも言えませんが)
そうであれば、放送枠の確保にかかる「お金」を、コストとして捉えなくてもいい(ような)人による、自己充足・没個性な表現に溢れてしまう、そんな可能性もありますよね。

さらに「お金を払う」ことにより、放送者の「クライアントとしての性格」が強くなる可能性もあります。
「お金を払っているのだから、嫌な思いをしたくない。意見の違うコメントはBAN(その放送から追い出すこと)だ。」、「クライアントへの荒し行為は一回でアカウント停止、複アカ防止のためIPアドレス開示」、「荒し行為で、ニワンゴへの威力業務妨害が成立。書類送検」なんてことも想像できるわけです。

「荒し」なんて誉められた行為ではありませんが、ことニコ生においては、藤崎荘の「ヘルプ」や、貴☆族の「上野さん」(ともに「荒し」の別名)のように、ある種の予定調和な面もあるし、なにより制約が多くなるのは嫌ですよねえ。


放送枠増設、有料化・・・暴挙になるのか壮挙になるのか、生温かい目で今後を見守りましょう。


次回は、「俺たちがメディアだ!m9(`・ω・´)ビシィッ!!」第一弾企画、貴☆族さんがプロデュースした作品『耳』について、論評したいと思っています。
(やっと文化系らしくなってきた・・・汗)

とりあえず公式↓
俺たちがメディアだ!m9(`・ω・´)ビシィッ!! ブログ版 【ニコ生発企画】第一弾作品: 耳 【俺たちがメディアだ!】

本日の参考文献↓(じつは読了してませんが・・・汗)

クリエイティブ・クラスの世紀

クリエイティブ・クラスの世紀