教科書は国語以外すべて横書きという現状
『縦に書け！―横書きが日本人を壊している』（２６）
〈著者〉石川 九楊 （いしかわ きゅうよう）
・教科書は国語以外すべて横書きという現状
・小泉首相は横に話していたという感あり
＜yuka's fotolife 紫陽花の囁き＞
『縦に書け！―横書きが日本人を壊している』（２６）
きょうの文章に「縦に書くのは重く、書 くことが億劫で、短い手紙もなかなか気 軽には書けません」とありますが、日ご ろ実感しているところでです。 そうなんです。すべてが気軽にやってし まうというのが、現代人の特徴でしょう。 私のものすごく好きな言葉があります。 鷹の立つや睡るがごとく、 虎の行くや病むに似たり。 ゆえに君子は聡明を露わさず、 才華は逞しくせざるを要す。 『菜根譚（第二章 智より）』教科書は国語以外すべて横書きという現状
（前回より続く） 「 縦に書くということは単に書式の問題だ けでなく、言葉の信頼性の根拠をつくる、 いわゆる宗教性を孕むということでもあ ります。 それ故、縦に書くのは重く、書くことが 億劫で、短い手紙もなかなか気軽には書 けません。 しかし、じつは、その重さを格闘しなが ら書くからこそ、文章がたしかな意味を 持つのです。 それに対して横に書くことは気軽にでき ますが、話し言葉と同じで、思考の深さ や言葉の信頼性には欠けるという特徴が あります。 むろんパソコンを操作するということに なると、これはもはや書くということと は異質の作文法になってきます。 にもかかわらず学校では、ＩＴ教育を導 入し、教科書は国語以外すべて横書きと いう有様で、これでは子どもたちが本来 の書く、読むことからますます逸脱して いってしまいます。 もちろん、すべてを縦書きにせよという わけではありません。数式や記号の多い、 算数や理科は横書きがいいでしょう。 一般社会でも数式の多いような技術論文 は同じです。加えて、口述を筆記すると いうときには、天からの重力を感じない 横書きのほがスピードも速いでしょう。 相手が話す内容も抵抗なく投影しやすい という利点もあります。 さらにブレーンストーミングでなんら制 限なく発想を次々にと展開させる、ある いは思いつくままにアイディアを書き留 めていくというようなケースでは、横書 きが適しています。小泉首相は横に話していたという感あり
私は、以前、会社務めをしていたことが ありますが、そのときに、経営計画や企 画書は縦書きすべきだと思いました。 いわゆる高度成長期で、ベースアップが 三十パーセントを超えた時代です。たと えばその年の売上が一五パーセント伸び たというと、あたかもそれが何年も続く という前提で経営計画を立てる。 短期間で、倍、倍に業績が伸びてゆくと いうシュミレーションを平気でやるとい う状態でした。 まあ、当時はどこの会社も同じような状 態だったと思いますが、冷静に考えてみ れば、物事が上昇の一途（いっと）をと いうことはありえません。 売上が上昇する年もあれば、下降する年 もある。黒字の年もあれば、赤字の年も ないわけではない――それが健全なる経 営の姿です。 すくなくとも私はそう考えたのですが、 当時の経営者も社員も、計画を立てると なると、奇想天外と思えるほど楽観的な 右上がりの図を描くのです。 事実、過大なベースアップと将来を見越 しての大量採用の翌年は、利益が激減し、 ベースアップゼロというおかしな結末を 迎えました。 これが経営計画が横書きにされるが故に 出現する問題点です。 縦書きしていれば、もう少し抑制が働く のですが、横書きになると、歯止めがき かず、どんどん昂揚し、舞い上がってし まうのです。 そいう意味では行政でも諮問委員会の答 申等の類の文書は縦書きにすれば、かな り様相が変わってくると思います。 政治で言えば、国会答弁で「人生いろい ろ」とうそぶいている小泉首相は、まさ に横に話しているという感があります。 」 （続く） (N335-73)『縦に書け！―横書きが日本人を壊している』（２６）
石川 九楊 さん：
昭和二十年、福井県に生まれ。京都大学法学部を卒業。 書家・書道史家。京都精華大学教授・同大学表現研究 機構文字文明研究所所長。平成三年『書の終焉 近代 書史論』でサントリー学芸賞、十四年『日本書史』で 毎日出版文化賞、二十一年『近代書史』で大佛次郎賞 を受賞。作品集に、『盃千文字』『歎異抄―その二十 の形象喩』、主著に『中国書史』『二重言語国家・日 本』『一日一書』『日本語の手さわり』など。縦に書け!―横書きが日本人を壊している [単行本]
＜目次＞
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第２章：「日本」とは「日本語」のことである
・日本語は世界でも特異な言語である ・漢語(漢字)と和語(仮名)の二重言語国家 ・日本語は中国の植民地語 ほか第３章：「縦書き」こそが精神を救う
・縦書きをなくそうとした占領軍 ・丸文字とシャープ文字 ・混乱を極める封筒の表書き ほか 以上社団法人 教科書協会
教科書協会が目的としている、検定教科書の質的向上と教科書発行事業の 合理化に関する調査研究などの具体的内容を紹介しています。 http://www.textbook.or.jp/about-us/23textbook.html白書 - Wikipedia
白書とは、日本の中央省庁の編集による刊行物のうち、政治社会経済の実態 及び政府の施策の現状について国民に周知させることを主眼とするもの。 政 府の施策についての現状分析と事後報告を中心とした公表資料であり、統計、 図表、法令などのデータ集は含まれない。 広義においては前述の刊行物すべてを指すが、狭義においては正式名称・通 称に「白書」を含むものを指す。厳密には「白書類」と総称される。 日本において初めて作成された白書は1947年（昭和22年）7月4日公表の経済 実相報告書（経済白書）である。 白書 - Wikipedia観光ビジネス未来白書〈2010年版〉―統計に見る実態・分析から見える未来戦略 [単行本]
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