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弁護士中山知行:神奈川県横浜市泉区在住 このページをアンテナに追加 RSSフィード

2016-09-22 同族会社の株式の相続と議決権行使 このエントリーを含むブックマーク このエントリーのブックマークコメント

同族会社株式相続議決権行使

譲渡制限株式」であっても、相続人は、株式を相続により一般承継(包括承継)することになります。

遺産分割協議が未了の場合には、株式は相続人の準共有状態のままですので、株式の共有について定めた会社法106条の規定に基づき権利行使を行うことになります。すなわち、株式の権利を行使する者1人を定めて、会社に対しその者の指名を通知し、その定められた権利行使者が、株主としての権利行使を行うということになります。

(共有者による権利の行使)

第106条 株式が二以上の者の共有に属するときは、共有者は、当該株式についての権利を行使する者一人を定め、株式会社に対し、その者の氏名又は名称を通知しなければ、当該株式についての権利を行使することができない。ただし、株式会社が当該権利を行使することに同意した場合は、この限りでない。

この権利行使者を誰にするか、という点についても争いになることが考えられますが、この権利行使者の指定は、共有物の管理行為として、持分価格に従いその過半数で決せられると解されています(最判平成9年1月28日判決参照)。

会社にとっては、好ましくない相続人でも株主となってしまうことがあり、会社としては不都合事態にもなりかねません。

そこで、会社は、相続その他の一般承継により譲渡制限株式を取得した者に対して、当該株式を会社に売り渡すことを請求することができる旨を「定款」で定めることにより、相続人から当該株式を取得することが可能となります(相続人等に対する売渡し請求、会社法174条)。

(相続人等に対する売渡しの請求に関する定款の定め)

第174条 株式会社は、相続その他の一般承継により当該株式会社の株式(譲渡制限株式に限る。)を取得した者に対し、当該株式を当該株式会社に売り渡すことを請求することができる旨を定款で定めることができる。

この「定款」の規定に基づき、会社が相続人に対して売渡しの請求をする場合には、株主総会特別決議必要となります(会社法175条1項、309条2項3号)。

取締役の思惑通りの「株主総会の特別決議」ができる見込みのない場合はデッドロックに陥る可能性があります。

この場合は株主側から裁判所許可を得て株主総会を招集して「取締役を解任する」こと等を考えなければなりません。また、売渡しの請求は、会社が、相続があったことを知った日から1年以内にしなければなりません(会社法176条1項)。

(売渡しの請求)

第176条 株式会社は、前条第一項各号に掲げる事項を定めたときは、同項第二号の者に対し、同項第一号の株式を当該株式会社に売り渡すことを請求することができる。ただし、当該株式会社が相続その他の一般承継があったことを知った日から一年を経過したときは、この限りでない。

2 前項の規定による請求は、その請求に係る株式の数(種類株式発行会社にあっては、株式の種類及び種類ごとの数)を明らかにしてしなければならない。

3 株式会社は、いつでも、第一項の規定による請求を撤回することができる。

株主総会は,原則として取締役が招集することとされていますが(会社法296条3項),一定要件の下に,少数株主も,取締役に対し,株主総会の招集請求をすることができます(会社法297条1項,2項)。

株主による招集の請求)

第297条 総株主の議決権の百分の三(これを下回る割合を定款で定めた場合にあっては、その割合)以上の議決権を六箇月(これを下回る期間を定款で定めた場合にあっては、その期間)前から引き続き有する株主は、取締役に対し、株主総会の目的である事項(当該株主が議決権を行使することができる事項に限る。)及び招集の理由を示して、株主総会の招集を請求することができる。

2 公開会社でない株式会社における前項の規定の適用については、同項中「六箇月(これを下回る期間を定款で定めた場合にあっては、その期間)前から引き続き有する」とあるのは、「有する」とする。

3 第一項の株主総会の目的である事項について議決権を行使することができない株主が有する議決権の数は、同項の総株主の議決権の数に算入しない。

4 次に掲げる場合には、第一項の規定による請求をした株主は、裁判所の許可を得て、株主総会を招集することができる。

一 第一項の規定による請求の後遅滞なく招集の手続が行われない場合

二 第一項の規定による請求があった日から八週間(これを下回る期間を定款で定めた場合にあっては、その期間)以内の日を株主総会の日とする株主総会の招集の通知が発せられない場合

そして,少数株主が取締役に対して総会の招集を請求したにもかかわらず遅滞なく招集の手続がされないか,又は請求があった日から8週間(これを下回る期間を定款で定めた場合にあっては,その期間)以内の日を株主総会の日とする株主総会の招集の通知が発せられない場合は,招集を請求した株主は,裁判所の許可を得て,株主総会を招集することができます(会社法297条4項)

取締役の解任に理由は不要です。

株主総会で自由に解任することができます。

取締役は、株主総会の普通決議で解任できるとされています(会社法339条1項。ただし、決議の要件は定款で加重できるので、定款の確認が必要です)。

解任の理由に法律上制限はありません。もっとも、「正当な理由」がないのに任期満了前に取締役を解任した場合は、解任によって生じた損害を賠償しなければなりません(会社法339条2項)。

(解任)

第339条 役員及び会計監査人は、いつでも、株主総会の決議によって解任することができる。

2 前項の規定により解任された者は、その解任について正当な理由がある場合を除き、株式会社に対し、解任によって生じた損害の賠償を請求することができる。


弁護士中山知行

2016-09-18 中小企業を倒産させない仕組みができています。 このエントリーを含むブックマーク このエントリーのブックマークコメント

中小企業倒産させないための仕組みができています。

破産手続とか民事再生手続は,裁判所の都合とか税法上のデメリットで益々利用しにくくなる一方,この中小企業版の債務整理のようなものを利用すれば,税制上のメリットもあり,利益がなかなか出ないような会社でも生きながらえることができます(経済原理に反するようなことが起きていますが,一種社会保障のような制度と考えれば存在意義もあると思います)。

それもこれも,一昔前に比べて債権者がおとなしくなったということがこのようなものが存在できる大きな原因と思います。


中小企業庁サイト

経営サポート「再生支援

中小企業の再生に向けた取り組みを、中小企業再生支援協議会が支援します。

http://www.chusho.meti.go.jp/keiei/saisei/index.html

Q1:企業再生のための相談はどこにすればいいのですか。

都道府県の中小企業再生支援協議会へご相談ください。中小企業再生支援協議会は、中小企業の再生に向けた取り組みを支援するため、産業競争力強化法に基づき各都道府県に設置されている公正中立公的機関です。

企業再生は、早期に最適な手を打つことが重要です。経営の先行きに不安が生じたら、早めに、各都道府県の中小企業再生支援協議会にご相談ください。

秘密は厳守しますので、安心してご相談ください。

Q2:中小企業再生支援協議会では、どのような支援が受けられるのですか。

中小企業再生支援協議会では、企業再生に関する知識経験を持つ常駐専門家弁護士公認会計士税理士中小企業診断士金融機関OB等)が、多様性地域性といった中小企業の特性を踏まえ、再生に向けた相談・助言から再生計画策定まで、個々の企業にあった、きめ細かな支援を行っています。



弁護士中山知行

2016-09-15 末期癌患者の遺言能力を否定した事例 このエントリーを含むブックマーク このエントリーのブックマークコメント

認知症でなくとも,末期癌の癌患者せん妄が現れることが多く,薬剤の影響によって遺言能力が失われることが多いと思います。

東京高等裁判所判決平成25年8月28日

公正証書遺言が遺言能力を欠き無効とされた事例

被相続人は,上記入院中,疼痛緩和のため,麻薬鎮痛薬の処方を受けた。

被相続人には,入院当初から傾眠傾向があり,便失禁も多くあった。

さらに,同年8月初めころから,被相続人には,上記症状以外にも,つじつまの合わない発言意味不明な発言の繰り返しや見当識障害も見られるようになった。

なお,被相続人が,この頃,せん妄状態であったか否かについて断定するまでの証拠はないが,上記症状に加え,被相続人に処方された麻薬鎮痛薬の中には,せん妄をきたしやすい薬剤も含まれ,その投与量についてもせん妄を生じるに十分な量であったことからすれば,被相続人が,当時,そのような状態になっていた可能性は否定できず,かつ,被相続人に係る診療録等の記載に照らすと,被相続人の上記薬剤による精神症状の劇的な改善は見られなかった。

公証人は,同月10日に,本件遺言公正証書作成のため,被相続人の病室に赴いた。公証人が病室に着いた際,そこには控訴人らがいたが,同公正証書作成に先立ち,病室から退出した(なお,そのころ,病室に被控訴人はいなかった。)。

公証人は,事前に,被相続人の意向であるとして,控訴人Y1から,本件遺言公正証書と同旨の内容を聞き,公正証書の案文を用意していたところ,本件遺言公正証書作成の際のやりとりは,基本的には,公証人が,同案文に沿って誘導的な質問をし,被相続人が(酸素マスクを装着したまま)「うん」あるいは「ああ,はい」等の声を発するという形で進められた。

このやりとりの中で,被相続人は,不動産を誰に取得させるかとの旨の質問に対しては,当初「△△」と答えるなどし,その後,公証人の誘導的な質問が繰り返された後,くぐもった声で「△△,××」と聞こえる名を挙げた。

また,事前に用意されていた公正証書遺言の案文を被相続人が見ながら,公証人が読み上げをすることが予定された場面では,被相続人は,すぐに目を閉じてしまった。

さらに,被相続人は,年齢を聞かれ,明らかに実際とは異なる年齢(57歳や67歳)を答えるなどした。

なお,公証人からは,他に,肯定か否定で答えられないような質問も格別なされず,また,被相続人の方からも,積極的に何か言うこともなかった。

被相続人の右手は,著しい浮腫が認められ,ペンを持つことが困難であると見受けられたため,本件遺言公正証書の被相続人署名欄への署名は公証人が代署した。

前記認定事実によれば,確かに,被相続人は,遺言する意思を有し,自己遺産の配分等について,遅くとも平成22年1月ころより検討していたことが認められる。

しかしながら,被相続人は,進行癌による疼痛緩和のため,同年2月末ごろから,慶應義塾大学病院より麻薬鎮痛薬を処方されるようになり,同年7月23日に同病院に入院した後は,せん妄状態と断定できるかどうかはともかく,上記の薬剤の影響と思われる傾眠傾向や精神症状が頻繁に見られるようになった。

そして,本件遺言公正証書作成時の被相続人の状況も,公証人の問いかけ等に受動的に反応するだけであり,公証人の案文読み上げ中に目を閉じてしまったりしたほか,自分の年齢を間違えて言ったり,不動産を誰に与えるかについて答えられないなど,上記の症状と同様のものが見受けられた。

加えて,本件遺言の内容は,平成22年1月時点での被相続人の考えに近いところ,被相続人は,同年7月に上記考えを大幅に変更しているにもかかわらず,何故,同年1月時点の考え方に沿った本件遺言をしたのかについて合理的理由見出しがたい。

以上のような本件遺言公正証書作成時ころの被相続人の精神症状,同公正証書作成時の被相続人の態様及び合理的な理由がないにもかかわらず,被相続人の直近の意思と異なる本件遺言が作成されていることに鑑みると,被相続人は,本件遺言公正証書作成時に遺言能力を欠いていたと認めるのが相当である。


本件事案の概要は次のとおりである。

A(昭和19年生まれ)は,平成22年8月に死亡した。Xは,Aの子であり,Aの唯一の法定相続人である。Y1,Y2はAの従姉妹であり,Y3はY1の子である。本件は,Xが受遺者であるYらに対し,Aが末期ガンによる死亡6日前に作成された公正証書遺言が遺言能力の欠如等により無効であるとして,上記遺言の無効確認を求めた事案である。

もう少し,時系列的に本件をみてみると次のとおりである。Aは,平成21年11月中旬ころ,K病院に入院し,検査を受けたところ,膵臓癌及び肝転移発見されたが,既に進行していて手術適応はないとされ,同病院にて,化学療法が行われた。

Aは,遺言する意思を有し,M信託銀行に対し,遺言信託に係る事務処理を依頼し,同信託銀行は,平成22年1月5日付けで遺産の分割案の試算書面を作成した。

この試算書面における遺産の配分先は,本件遺言書の内容と概ね同旨のものであった。

Aは,同年7月6日付けで,大学ノートに,相続について従前のものを大きく変更するとして,遺産を基本的にXに相続させ,Yらに分配する財産を同年1月5日付けの書面に記載したものよりも大幅に減少させることなどを内容とする考えを記載した。

Aは,同年7月23日のK病院の外来受診時に,食欲不振,下腿浮腫,全身浮腫が認められたため,対症療法・緩和療法を受けるため,同日から同年8月16日まで,上記病院に入院した。この入院中である同年8月10日に本件遺言書が作成された。

本件の争点は,本件遺言書作成時のAの遺言能力の有無であるところ,本判決は次のような理由から,Aには当時遺言能力はなかったと判示した。すなわち,

Aは,進行癌による疼痛緩和のため,平成22年2月末ころから,K病院より麻薬鎮痛薬を処方されるようになり,同年7月23日に同病院に入院した後は,せん妄状態と断定できるかどうかはともかく,上記の薬剤の影響と思われる傾眠傾向や精神症状が頻繁に見られるようになったこと,

本件遺言書作成時のAの状況も,公証人の問いかけ等に受動的に反応するだけであり,公証人の案文読み上げ中に目を閉じてしまったりしたほか,自分の年齢を間違えて言ったり,不動産を誰に与えるかについて答えられないなど,上記の症状と同様のものが見受けられたこと,

本件遺言の内容は,平成22年1月時点でのAの考えに近いところ,Aは,同年7月に上記考えを大幅に変更しているにもかかわらず,何故,同年1月時点の考え方に沿った本件遺言をしたのかについて合理的な理由は見出しがたいことに照らし,Aには本件遺言書作成当時,遺言能力がなかったと判断した。判例タイムズ1419号173頁

弁護士中山知行

2016-09-14 建物収去土地明渡請求と賃料(地代)相当額の損害金 このエントリーを含むブックマーク このエントリーのブックマークコメント

自分土地上に第三者Aの建物があり,Aがその建物をBに賃貸している場合,Aに対しては,建物収去土地明渡請求地代=賃料相当額の損害金の請求ができ,Bに対しては,建物退去土地明渡請求ができます。Aに対する地代相当額の損害金(賃料相当損害金)は固定資産評価額の5%が年間の損害金となります。Bに対しては特段の事情がない限り損害金の請求はできません。

福岡高等裁判所判決平成19年12月20日

建物収去土地明渡請求に付随する賃料相当損害金請求につき,その支払義務は認めたが,賃料相当損害金を認定する証拠がないとして請求を棄却した第1審判決を取り消し,固定資産評価額に年間利回りとして5分を乗じて賃料相当損害金の額を計算するのが相当であるとして,その限度で請求を一部認容した事例

判例タイムズ1284号253頁

1 本件は,親族間でその係争物となっている土地の所有権ないし占有権原の帰すうをめぐってもっぱら争われた事案であって,本件土地1及び2の所有者であるというXは,当該土地上に存する本件建物1ないし3につき,その所有者であるY1に対し,当該各建物を収去して本件各土地の明渡しを,また,本件建物1の占有者であるY2に対し,当該建物から退去して本件土地1の明渡し,本件建物3の1階部分の占有者であるY3に対し,当該建物部分から退去して本件土地2の明渡しをそれぞれ求めるほか,Yらに対し,本件各土地の占有部分に応じた賃料相当損害金の支払を求めた。

2 Xの請求に対し,Yらは,本件各土地がXの亡父Zの所有であったとして,Xの所有権を否認したうえ,Y1による時効取得の完成を理由に,Xの所有権の喪失を主張したほか,本件各土地の占有権原として使用貸借契約を主張した。しかし,1,2審とも,本件各土地はXがZから贈与を受けて所有権を取得したものであって,Y1の本件各土地の占有は自主占有ではなく,その所有権がXに帰属していることを前提に,本件各土地のうち,1及び3の建物については,土地使用貸借契約が認められるが,使用収益をするのに足りる期間が経過したとして,その終了を認め,Yらに対する建物収去土地明渡請求ないし建物退去土地明渡請求を認容すべきものとした。

3 以上の請求に付随する賃料相当損害金請求についても,1,2審とも,本件各土地に本件各建物を所有して本件各土地を占有しているY1の支払義務を認めたが,第1審は,Xが提出した不動産業者の作成した評価書等は,その見積りに過ぎず信用性に欠けるとし,Xの主張する賃料相当損害金の額についても比較検討した結果,「Xにおいて賃料相当損害金を認定するに当たり必要な立証を行っていないことは明白であり,他に本件各土地の賃料相当損害金を認めるに足りる証拠はない」として,当該請求を棄却した。

これに対し,その控訴審判決である本判決は,第1審と同様に,不動産業者作成の評価書等は容易に採用することができないとしたが,そうであれば,「本件各土地の賃料相当損害金の額は,本件各土地の固定資産評価額に年間利回りとして5分を乗じたものと認めるのが相当である」として,その見地から賃料相当損害金の額を算定し,その算出された額の限度で当該請求を一部認容すベきものとした。

なお,Xは,建物の占有者であるY2及びY3に対しても,その占有部分に応じた賃料相当損害金を請求しているが,1,2審とも,建物の占有者にすぎないY2及びY3は,特段の事情のない限り,当該建物を所有して土地を占有しているY1とは別に,賃料相当損害金の支払義務を負う者ではないとして,当該請求を棄却している。

賃料相当損害金の額について

 ア 1審原告は,本件建物1,2の敷地の各賃料相当損害金について,本件建物1,2の床面積割合により計算しているが,それぞれの敷地が区画特定されているものとは認められないから,前記の請求は,本件土地1全ての明渡し済みまでの賃料相当損害金の支払を求める趣旨と解される。また,本件土地1のうち本件建物2の敷地のみの賃料相当損害金について,上記のような計算によることが必ずしも相当とは考えられないから,本件建物2の床面積(主たる建物のもの。)の本件土地1の地積に占める割合によるのが相当である。

 イ 本件各土地の賃料額の認定証拠として,甲第22号証から第24号証まで,及び乙第14号証が提出されているが,いずれも不動産業者作成の評価書等であり,十分な算定根拠が示されているわけではないから,容易に採用することはできない。そうすると,本件各土地の賃料相当損害金の額は,本件各土地の固定資産評価額に年間利回りとして5分を乗じたものと認めるのが相当である。

 証拠によると,本件土地1の平成16年度及び平成17年度の固定資産評価額は1052万6481円,平成18年度及び平成19年度のそれは979万1566円であり,本件土地2の平成16年度及び平成17年度の固定資産評価額は555万9027円,平成18年度及び平成19年度のそれは517万1397円であることが認められる。

 ウ 上記により,本件各土地の賃料相当損害金の額を計算すると次のとおりとなる(円未満切捨て。以下同じ。)。

 (ア) 本件建物2の敷地の平成16年7月10日から平成17年8月28日までの賃料相当損害金の額

                        1年当たり5万6764円

1052万6481円×0.05×35.80÷331.94=5万6764円

 (イ) 本件土地1の平成17年8月29日から同年12月31日までの賃料相当損害金の額

                       1年当たり52万6324円

            1052万6481円×0.05=52万6324円

 (ウ) 本件土地1の平成18年1月1日以降の賃料相当損害金の額

                       1年当たり48万9578円

             979万1566円×0.05=48万9578円

 (エ) 本件土地2の平成17年8月29日から同年12月31日までの賃料相当損害金の額

                       1年当たり27万7951円

             555万9027円×0.05=27万7951円

 (オ) 本件土地2の平成18年1月1日以降の賃料相当損害金の額

                       1年当たり25万8569円

             517万1397円×0.05=25万8569円

2016-09-03 離婚訴訟・婚姻無効確認訴訟の国際的裁判管轄権 このエントリーを含むブックマーク このエントリーのブックマークコメント

法の適用に関する通則法

平成十八年六月二十一法律第七十八号)

婚姻の成立及び方式

第二十四条  婚姻の成立は、各当事者につき、その本国法による。

2  婚姻の方式は、婚姻挙行地の法による。

3  前項の規定にかかわらず、当事者の一方の本国法に適合する方式は、有効とする。ただし、日本において婚姻が挙行された場合において、当事者の一方が日本人であるときは、この限りでない。

(婚姻の効力)

第二十五条  婚姻の効力は、夫婦の本国法が同一であるときはその法により、その法がない場合において夫婦の常居所地法が同一であるときはその法により、そのいずれの法もないときは夫婦に最も密接な関係がある地の法による。

(夫婦財産制)

第二十六条  前条の規定は、夫婦財産制について準用する。

2  前項の規定にかかわらず、夫婦が、その署名した書面で日付を記載したものにより、次に掲げる法のうちいずれの法によるべきかを定めたときは、夫婦財産制は、その法による。この場合において、その定めは、将来に向かってのみその効力を生ずる。

一  夫婦の一方が国籍を有する国の法

二  夫婦の一方の常居所地法

三  不動産に関する夫婦財産制については、その不動産の所在地

3  前二項の規定により外国法適用すべき夫婦財産制は、日本においてされた法律行為及び日本に在る財産については、善意第三者に対抗することができない。この場合において、その第三者との間の関係については、夫婦財産制は、日本法による。

4  前項の規定にかかわらず、第一項又は第二項の規定により適用すべき外国法に基づいてされた夫婦財産契約は、日本においてこれを登記したときは、第三者に対抗することができる。

離婚

第二十七条  第二十五条の規定は、離婚について準用する。ただし、夫婦の一方が日本に常居所を有する日本人であるときは、離婚は、日本法による。

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東京地方裁判所判決平成17年9月9日

本件は公示送達による事件であるが、

ア.まず本件のような婚姻無効確認訴訟国際的裁判管轄権はわが国の裁判所に認められると解するのが相当であることを前提として、

イ.韓国人である被告が日本人である原告との婚姻届により在留資格を取得し長期間就労できる目的の便法として仮託されたもので、いわゆる偽装結婚による婚姻届は婚姻意思を欠き無効判断し、原告の請求を認容した事例

       主   文

 1 平成2年9月11日東京都豊島区長に対する届出によってなされた原告と被告との婚姻は無効であることを確認する。

 2 訴訟費用は被告の負担とする。

       事実及び理由

第1 請求

   主文と同旨

第2 事案の概要

   本件は,被告との婚姻届を提出した原告が,同婚姻届出は偽装結婚の目的でなされたものである旨主張して,無効であることの確認を求めた事案である。

 1 当事者の主張(請求原因)

 (1)原告は,昭和**年*月*日生まれの日本人,被告は19**年*月*日生まれの韓国人である。

 (2)平成2年9月11日,原告と被告の婚姻届(以下「本件婚姻届」という。)が東京都豊島区長に対して提出され,受理された。

 (3)原告は,暴力団関係者である訴外A及び訴外Bから,韓国人女性との偽装結婚に応じるよう強要されたため,報酬として最初に30万円,その後月々5万円の支払を受けること,籍は2年で抜くことという約束でこれを承諾し,その結果,Aが本件婚姻届を提出したものである。

 (4)よって,本件婚姻届による原告と被告との婚姻は,原告において婚姻意思を欠くものとして無効である。

 2 被告は,公示送達による呼出しを受けたが,本件口頭弁論期日に出頭しない。

第3 当裁判所の判断

 1 離婚訴訟の国際的裁判管轄権の有無を決定するにあたっては,被告の住所がわが国にあることを原則とすべきであるが,原告が遺棄された場合,被告が行方不明である場合その他これに準ずる場合においては,原告の住所がわが国に存しているのであれば,わが国の裁判所に国際的裁判管轄権が認められるところ(最高裁昭和37年(オ)第449号,同39年3月25日大法廷判決・民集18巻3号486頁参照),婚姻無効確認訴訟の場合においても,その性質に反しない限り,同様に解するのが相当である。

   そこで,これを本件についてみると,証拠及び弁論の全趣旨によれば,被告は,東京都新宿区〈省略〉に住所を有していたが,平成3年10月12日に成田空港から出国して以来,住居所及び就業場所等が不明であることが認められるから,本件婚姻無効確認訴訟の国際的裁判管轄権は,わが国の裁判所に認められるというべきである。

 2 次に,本件は,日本人男性と韓国人女性との婚姻無効確認訴訟であるところ,婚姻の当事者が婚姻の意思を有するという婚姻の実質的成立要件については,法例13条1項により,その当事者の本国法が準拠法として適用されるというべきである。

 3 そこで,原告の主張について判断すると,証拠及び弁論の全趣旨によれば,請求原因1ないし3の各事実に加え,被告は,平成3年3月ころ日本に入国し,Aの関係する飲食店で働いていたが,原告と被告とは一度も面識がなかったこと,被告は,同年9月ころ,ビザの延長を申請したが,その際,法務省入国管理局に原告との婚姻が偽装結婚であると判断されて在留期間更新が認められず,平成3年10月12日,成田空港から出国し,その後現在まで日本に再入国した形跡はないことが認められる。

   ところで,民法742条1号によれば,「当事者間に婚姻をする意思がないとき」は婚姻は無効とされるところ,同号にいう「当事者間に婚姻をする意思がないとき」とは,当事者間に真に社会観念上夫婦であると認められる関係を欲する効果意思を有しない場合を指し,たとえ婚姻の届出自体については当事者間に意思の合致があったとしても,それが単に他の目的を達するための便法として仮託されたものにすぎないときは,婚姻は効力を生じないと解される(最高裁昭和42年(オ)第1108号,同44年10月31日第二小法廷判決・民集23巻10号1894頁参照)。

   これを本件についてみるに,上記認定事実によれば,原告と被告とは,本件婚姻届の前後を通じて面識はなく,本件婚姻届出後の同居も予定されておらず,本件婚姻届がなされたのは,韓国人である被告が,日本人である原告との婚姻届をすることによって,日本人の配偶者としての在留資格を取得し,日本において長期間就労できるようにする目的のための便法として仮託されたものにすぎないことが認められるから,本件婚姻届は,原告において婚姻の意思を欠くものとして無効であるというべきである。

 4 よって、原告の本訴請求を認容することとし,主文のとおり判決する。

    東京地方裁判所民事第12部

     



参考

最高裁判所大法廷判決昭和39年3月25日

外国人間の離婚訴訟の国際的裁判管轄

外国人間の離婚訴訟にあつて原告が遺棄されたものである場合又は被告が行方不明である場合その他これに準ずる場合においては、被告の住所が日本になくても、原告の住所が日本にあるときは、日本の裁判所は、前記訴訟につき、国際的裁判管轄権を有すると解すべきである。

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参考

東京家庭裁判所判決平成19年9月11日

1 外国裁判所の離婚判決が我が国において効力を有しないことを理由とする離婚の無効確認を求める訴えが許容された事例

2 オーストラリアの離婚判決が民訴法118条1号及び3号の要件を欠き,我が国において効力がないとされた事例

3 離婚無効確認(本訴)について

 (1)人事訴訟法2条1号は,協議上の離婚の無効確認を人事訴訟とする旨定めているが,本件のような外国離婚判決に基づく現在の法律状態としての離婚の無効確認を求める訴えについては,明文をもっ規定がされていないものの,こうした訴えを人事訴訟から排除すべき理由はなく,これについては,同条柱書にいう「その他の身分関係の形成又は存否の確認を目的とする訴え」に該当する人事訴訟であり,それゆえ家庭裁判所の職分管轄にあると解すべきである。

 (2)なお,従前本件のような事案については,外国離婚判決の無効確認訴訟として扱われる例が多かったが,本来,確認訴訟の対象は,現在の権利又は法律関係の存否に限られるべきものであり,判決が無効であることを訴訟上主張するに際しても,その判決自体の無効確認を求めることは,一般には許されず,そのような場合には,その判決が無効であることを前提として,その結果生ずる現在の権利又は法律関係の存否の確認を求めるべきである。したがって,外国離婚判決の無効を前提として,その結果生ずる現在の法律関係(離婚の無効又は婚姻関係の存在)の確認を求める訴えは適法であると解される。

 (3)また,外国離婚判決が有効かどうかは,外国判決の承認問題であるから,民事訴訟法118条の要件を充足する場合に限り,我が国においてその効力が認められると解すべきである。

 (4)そこで,こうした見地から,以下,原告が主張する同条1号及び3号の要件を具備するかどうかについて順次検討する。

 (5)民事訴訟法118条1号の要件不備

 ア 外国裁判所の確定判決が我が国において効力を有する要件として,民事訴訟法118条1号は,「法令又は条約により外国裁判所の裁判権が認められること。」と定めているところ,「法令又は条例により外国裁判所の裁判権が認められること。」とは,我が国の国際民事訴訟法の原則から見て,当該外国裁判所の属する国がその事件につき国際裁判管轄(間接的一般管轄)を有すると積極的に認められることをいうものと解されるが,どのような場合に判決国が国際裁判管轄を有するかについては,これを直接に規定した法令がなく,また,よるべき条約や明確な国際法上の原則もいまだ確立されていないことからすれば,当事者間の公平,裁判の適正・迅速を期するという理念により,条理に従って決するのが相当である(最高裁判所平成10年4月28日第3小法廷判決(民集52巻3号853頁))。

 イ そして,我が国の渉外離婚事件の国際裁判管轄については,原則として当該離婚事件の被告住所地国に裁判管轄権が認められるが,例外的に,原告が遺棄された場合,被告が行方不明である場合その他これに準ずる場合には,原告の住所地にも管轄権を認められると解すべきである(最高裁判所昭和39年3月25日大法廷判決(民集18巻3号486頁),最高裁判所昭和39年4月9日第一小法廷判決(裁判集民事73号51頁))。

 したがって,外国離婚判決が民事訴訟法118条1号の要件を具備するかどうかについては,このような法原則に従って判断するのが相当である。

 ウ これを本件についてみると,前記認定のとおり,原告(離婚訴訟の被告)の住所地は我が国にあり,被告自身も我が国において原告と婚姻し,共同生活を営んでいたのであり,しかも,被告は,我が国において仕事に就いており,原告と被告とは婚姻後オーストラリアに居住したことは一度もないのである。こうした事実からすれば,当事者間の公平,裁判の適正・迅速の理念や前記イの法原則に照らせば,本件豪州裁判所に原告及び被告の離婚訴訟についての管轄権があるとは認められないというべきである。

 なお,オーストラリアの家族法では,当事者の一方がオーストラリア国籍を有する場合には,同国裁判所の国際裁判管轄権を認めるとされており,本件離婚判決においては,この規定に従い管轄権を肯定したものと解されるが,当事者の一方が自国民でさえあれば当然のこととして管轄権を肯定するというのは,離婚事件との関連では,過剰な管轄というべきである((横山潤「オーストラリア離婚判決の承認に関する鑑定書」))。

 エ 被告は,原告が本件豪州の離婚訴訟において本件豪州裁判所の裁判管轄については争わなかったので,応訴管轄が生じていると主張しているが,前記認定のとおり,原告が本件豪州の離婚訴訟において主張したことは,まずは本件豪州裁判所にそもそも管轄権がなく,たとえそうでないとしても,本件豪州裁判所が本件離婚請求を審査するのに適切な裁判所ではないため,却下を求めるというものであり,これからしても本件豪州裁判所の裁判管轄について争っていたことは明らかである。なお,仮に原告が不便宜法廷地の抗弁のみを主張したとしても,本案前の抗弁を主張したにとどまるから,応訴管轄は生じ得ないし,また,そもそも本件のような家事事件では,応訴管轄は認められないという考え方や,原告すら住所を有しない国に応訴管轄は認められないという考え方もあることからしても,被告の主張は採用できない。

 オ したがって,本件豪州裁判所に本件豪州の離婚訴訟の裁判権は認められないというべきである。



弁護士中山知行

2016-08-31 trust  信託の定義 このエントリーを含むブックマーク このエントリーのブックマークコメント

trust の定義ですが,この中にすべてが込められています。

A trust is a fiduciary relationship with respect to property whereby one person, the trustee, holds legal title to the trust property subject to the enforceable equitable rights of another, the beneficiary.

fiduciary relationship

信託(trust)は,受託者(trustee)と受益者間(beneficiary)に信認関係(fiduciary relationship)があります。

信認関係というのは,その関係の範囲内の事項についてもっぱら他人(この場合は,beneficiary)の利益のために行動する義務を負っている関係を指します。

信認を受けた人は,一般信頼関係よりも高度の忠実義務(duty of loyalty)を負い,相手の利益を最優先にして最高度の信義誠実を尽くして行動しなければなりません。

duty of loyalty を負うのは,受託者以外にも,取締役(対会社),弁護士(対依頼者),パートナー(対パートナーシップ,対他のパートナー)等があります。

legal title

コモンロー上の権原 trustee は,legal title を持っています。

equitable title

エクイティー上の権原 beneficiary は,equitable title を持っています。

Equitable title is the beneficial interest of a person whom equity regards as the real owner but the legal right vests with another.


legal title と equitable title が分かれることはほかにも例があります。

例えば

Equitable title is the beneficial interest of a person whom equity regards as the real owner but the legal right vests with another.

For example, a purchaser under a contract for sale has equitable title to the property she intended to purchase.

In the case of the vendee, the equitable title vests at once, although the bare legal title remains in the vendor as security for the payment of the purchase price.


enforceable equitable rights

履行を強制することのできる権利は,beneficiary(受益者)のみ有します。

従って,受益者がいない場合はトラストは誰も執行するものがおらず無効となります。

charitable trust 公益信託)は,society is the beneficiary 公共社会全体が受益者になります。

Charitable trust created for advancement of education, promotion of public health and comfort, relief of poverty, furtherance of religion, or any other purpose regarded as charitable in law.

Charitable trusts (unlike private or non-charitable trust) can have perpetual existence and are not subject to laws against perpetuity.

弁護士中山知行

2016-08-25 Google, Yahoo! 等検索サイト運営会社に対する訴訟 このエントリーを含むブックマーク このエントリーのブックマークコメント

過去の軽微な犯罪歴等が一度ネットに載ってしまうと,情報は無期限にしかも際限なく拡散するので,検索できないようにするしかない。

検索できないようにしても,情報自体を消したわけではない。

プライバシー定義は,「自分の情報をコントロールすることのできる権利」だ。

現実検索サイト運営会社によって精神的苦痛を受けいる人が多数おりその人達の救済が必要だ。

この問題は基本,私人間(削除を求める人と検索サイト運営会社)の争いであり,表現の自由とは関係ない。

表現の自由は,対国家権力の問題であり,私人間の問題ではない。

僕はそう思うが。




インターネット上の不都合個人情報を消す「忘れられる権利」を欧州連合(EU)の司法裁判所が認めてから2年。検索最大手グーグル欧州で、削除要請に応じる態勢を整えてきた。どんな課題が浮かび、「忘れられる権利」は今後どうなっていくのか。グーグル法務顧問ピーターフライシャーさんに聞いた,という記事

http://www.asahi.com/articles/DA3S12525314.html




弁護士中山知行

2016-08-24 損害拡大防止義務(duty to mitigate damages) このエントリーを含むブックマーク このエントリーのブックマークコメント

損害拡大防止義務については最高裁判例があります。

http://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/200/037200_hanrei.pdf

最高裁判所第二小法廷判決/平成19年(受)第102号

【判決日付】 平成21年1月19日

【判示事項】 店舗賃借人賃貸人の修繕義務の不履行により被った営業利益相当の損害について,賃借人が損害を回避又は減少させる措置を執ることができたと解される時期以降に被った損害のすべてが民法416条1項にいう通常生ずべき損害に当たるということはできないとされた事例

【判決要旨】 ビルの店舗部分を賃借してカラオケ店を営業していた賃借人が、同店舗部分に発生した浸水事故に係る賃貸人の修繕義務の不履行により、同店舗部分で営業することができず、営業利益相当の損害を被った場合において、次の(1)〜(3)などの判示の事情の下では、遅くとも賃貸人に対し損害賠償を求める本件訴えが提起された時点においては、賃借人がカラオケ店の営業を別の場所で再開する等の損害を回避または減少させる措置を執ることなく発生する損害のすべてについての賠償を賃貸人に請求することは条理上認められず、賃借人が上記措置を執ることができたと解される時期以降における損害のすべてが民法416条1項にいう通常生ずべき損害に当たるということはできない。

        (1) 賃貸人が上記修繕義務を履行したとしても、上記ビルは、上記浸水事故時において建築から約30年が経過し、老朽化して大規模な改修を必要としており、賃借人が賃貸借契約をそのまま長期にわたって継続し得たとは必ずしも考え難い。

        (2) 賃貸人は、上記浸水事故の直後に上記ビルの老朽化を理由に賃貸借契約を解除する旨の意思表示をしており、同事故から約1年7か月が経過して本件訴えが提起された時点では、上記店舗部分における営業の再開は、実現可能性の乏しいものとなっていた。

        (3) 賃借人が上記店舗部分で行っていたカラオケ店の営業は、それ以外の場所では行うことができないものとは考えられないし、上記浸水事故によるカラオケセット等の損傷に対しては保険金が支払われていた。

文献 http://www.ritsumei.ac.jp/acd/cg/law/lex/11-3/yamada.pdf

英米法圏で発展した損害軽減義務の法理については,谷口知平「損害賠償額算定における損害避抑義務――Avoidable consequences の理論示唆」我妻榮還暦記念『損害賠償責任研究 上』(有斐閣1958年)235頁,吉田和夫「債権者の損害避止義務及び損害拡大防止義務について」ジュリ866号(1986年)78頁,斎藤彰「契約不履行における損害軽民法416条1項の「通常生ずべき損害」と損害軽減義務――損害賠償額算定の基準時との関連において」石田喜久夫 = 西原道雄 = 高木多喜男還暦記念『損害賠償法の課題展望 中』(日本評論社1990年)51頁が紹介している。また,内田貴強制履行と損害賠償――『損害軽減義務』の観点から」曹時42巻10号(1990年)1頁〔同『契約の時代』(岩波書店2000年)所収〕は,損害軽減義務が日本民法上の原理としても存在することを説くが,この主張はその後,履行請求権の体系的な位置づけをめぐる議論へと発展した(森田修「『損害軽減義務』について――履行請求権の存在意義に関する覚書(その二)」法学志林91巻1号(1993年)119頁〔同『契約責任の法学的構造』(有斐閣,2006年)に所収〕)。なお,内田論文以降の議論状況は,吉川吉樹「損害軽減義務と履行請求権」内田貴 = 大村敦志編『民法の争点』(2007年)174頁以下を参照。

もとは,common law 上の原則です。

What is the duty to mitigate damages?

A non-breaching party has a duty to mitigate damages. In other words, a non-breaching party has the duty to take reasonable steps to minimize damages. The failure to mitigate damages may cause the victim to only be allowed to recover damages that would have resulted if mitigated.


There are several limitations on awarding damages to make the non-breaching party whole.

A party cannot recover for loss which she could have avoided or mitigated through her reasonable efforts.

A person injured by the wrongful acts of another has a duty to mitigate or minimize the damages and must protect herself if she can do so with reasonable effort or at minimal expense, and can recover from the delinquent party only such damages as she could not, with reasonable effort, have avoided.

The duty to mitigate damages is sometimes referred to as the doctrine of avoidable consequences.

Damages are limited to those losses which were foreseeable.

Special damages are recoverable when special circumstances exist which cause some unusual injury to the plaintiff.

The plaintiff can only recover special damages if the defendant knew or should have known of the special circumstances at the time the defendant entered into the contract.

Avoidable consequences doctrine is a legal principle that places the responsibility of minimizing damages upon the person who has been injured. The plaintiff after an injury or breach of contract should make reasonable efforts to mitigate the effects of the injury or breach. If the defendant can show that the plaintiff failed to mitigate damages, the plaintiff's recovery can be barred or reduced. The major function of the doctrine is to reduce the damages brought about by the defendant's misconduct.

弁護士中山知行

2016-08-18 公正証書遺言の口授 このエントリーを含むブックマーク このエントリーのブックマークコメント

今のところ,最高裁判例では,遺言者が遺言の趣旨を口授せず,「はい」と返事したのみで公正証書遺言有効としたものはありません。だからこそ,現在でも高裁が「口授」がなかったとして公正証書遺言を無効にする判例が出続けています。 http://d.hatena.ne.jp/kusunokilaw/20160605

弁護士中山知行

2016-08-12 固有必要的共同訴訟か類似必要的共同訴訟か このエントリーを含むブックマーク このエントリーのブックマークコメント

固有必要共同訴訟とは,全員が漏れなく共同原告又は共同被告として訴え又は訴えられるのでなければ当事者適格を欠くことになるものである。類似必要的共同訴訟とは,判決の効力が当事者以外の関係者に及ぶ関係で,その者が共同して訴え又は訴えられた場合には訴訟目的が全員につき合一に確定されることが必要とされるが,全員が原告または被告とならなくとも当事者適格を欠くことにはならない。

最高裁判所第一法廷決定平成23年2月17日

数人の提起する養子縁組無効の訴えにおいて共同訴訟人の一人が上告を提起した後にされた他の共同訴訟人による上告の適否;数人の提起する養子縁組無効の訴えにおいて共同訴訟人の一人が上告受理の申立てをした後にされた他の共同訴訟人による上告受理の申立ての適否:数人の提起する養子縁組無効の訴えにおいて,共同訴訟人の一人が上告を提起した後に他の共同訴訟人が提起した上告は,二重上告として不適法である。;数人の提起する養子縁組無効の訴えにおいて,共同訴訟人の一人が上告受理の申立てをした後に他の共同訴訟人がした上告受理の申立ては,二重上告受理の申立てとして不適法である。

数人の提起する養子縁組無効の訴えは,いわゆる類似必要的共同訴訟と解すべきであるところ(最高裁昭和43年(オ)第723号同年12月20日第二小法廷判決・裁判民事93号747頁),記録によれば,上告人兼申立人が本件上告を提起するとともに,本件上告受理の申立てをした時には,既に共同訴訟人であるX1が本件養子縁組無効の訴えにつき上告を提起し,上告受理の申立てをしていたことが明らかであるから,上告人の本件上告は,二重上告であり,申立人の本件上告受理の申立ては,二重上告受理の申立てであって,いずれも不適法である。


最高裁判所第三小法廷判決平成元年3月28日

共同相続人間における遺産確認の訴えは、固有必要的共同訴訟と解すべきである。

遺産確認の訴えは、当該財産が現に共同相続人による遺産分割前の共有関係にあることの確認を求める訴えであり、その原告勝訴の確定判決は、当該財産が遺産分割の対象である財産であることを既判力をもって確定し、これに続く遺産分割審判手続及び右審判の確定後において、当該財産の遺産帰属性を争うことを許さないとすることによって共同相続人間の紛争解決資することができるのであって、この点に右訴えの適法性肯定する実質的根拠があるのであるから(最高裁昭和五七年(オ)第一八四号同六一年三月一三日第一小法廷判決・民集四〇巻二号三八九頁参照)、右訴えは、共同相続人全員が当事者として関与し、その間で合一にのみ確定することを要するいわゆる固有必要的共同訴訟と解するのが相当である。これと同旨の原審の判断は正当として是認することができ、原判決に所論の違法はない。

遺産確認の訴えを当該財産が現に共同相続人による遺産分割前の共有関係にあることの確認を求める訴えとして理解し、遺産分割審判の前提問題として、その遺産帰属性を争う余地をなくするためにそのような訴えを適法とする見解を採る限り、それは、機能的には遺産分割審判の手続(これは一般の共有物分割裁判の手続に対する特別手続である。)の前提手続として意味を持つことになる。そして、一般手続である共有物分割請求訴訟が固有必要的共同訴訟であることは、大審院以来の一貫した判例理論であり、学説上も異論がないこと(大判明治41・9・25民録14輯931頁、菊井=村松・全訂民訴法I 333頁等)、遺産確認の訴えと同類型とみられる目的物件につき一定の数人の間に共有関係が存在するかどうかの確認を求める訴訟も固有必要的共同訴訟と解されていること(大判大正2・7・11民録19輯662頁、菊井=村松・全訂民訴法I 333頁等)、一部の相続人を除外してされた遺産分割協議は無効であり(注釈民法(25)907頁)、遺産分割の審判も同様、全員につき合一に確定することを要し、いわゆる固有必要的共同訴訟類似の手続形態を生じると解されていること(鈴木忠一「非訟事件の裁判の既判力」263頁、岡垣学・家事審判法講座2巻56頁)との整合性からみて、遺産分割審判の前提手続としての機能を果たすべき遺産確認の訴えも、当事者の範囲に関してはこれと同一であることを要するとしなければ、所期の目的を達成することはできないことは明らかと思われる。学説は、いずれも、遺産確認の訴えにつき、固有必要的共同訴訟説を説く。田中恒朗「遺産分割の前提問題と民事訴訟(上)」ジュリスト608号93頁、同「遺産分割手続の前提問題」現代家族法大系5 50頁、小山昇「遺産の範囲確定のための民事訴訟」島津ほか編・新版相続法の基礎(実用編)156頁、山本克巳「遺産確認の訴えについての若干の問題」本誌652号23頁。本判決は、前記の見地から、遺産確認の訴えは、全共同相続人が関与し、同一確定を要する固有必要的共同訴訟と解したものである。判例タイムズ698号202頁


最高裁判所第二小法廷判決昭和43年12月20日

養親の実子の提起する養子縁組無効の訴と訴の利益:養親の実子は、養親死亡後養子相手方として養子縁組無効の訴を提起する訴の利益を有する。

数人の提起する養子縁組無効の訴は、いわゆる類似必要的共同訴訟であるから、訴を提起した共同訴訟人のうち一名または数名だけでも、有効に訴を取り下げることができるものである(大審院大正九年(オ)第八〇二号同一〇年二月一五日判決民録二七輯二八九頁参照)。そして、その控訴審において右訴の取下があったときは、民訴法二三七条二項の適用があることは、所論のとおりであるが、これによって訴訟の目的である権利関係が確定するものではなく、訴の取下をしなかった共同訴訟人と相手方との間の判決の効力は、人訴法二六条、一八条規定によって、訴の取下をした共同訴訟人に及ぶものである。したがって、原審において訴の取下をしたみつゑおよび善四郎は、被上告人らと上告人らとの間の本件訴訟の判決の効力を受けるのであり、両名または被上告人らと上告人らとの間の各法律関係に所論の矛盾を生ずることはないといわなければならない。


最高裁判所第三小法廷判決平成16年7月6日

共同相続人間における相続人の地位不存在確認の訴えと固有必要的共同訴訟:共同相続人が,他の共同相続人に対し,その者が被相続人の遺産につき相続人の地位を有しないことの確認を求める訴えは,固有必要的共同訴訟である。

被相続人の遺産につき特定の共同相続人が相続人の地位を有するか否かの点は、遺産分割をすべき当事者の範囲、相続分及び遺留分の算定等の相続関係の処理における基本的な事項の前提となる事柄である。そして、共同相続人が、他の共同相続人に対し、その者が被相続人の遺産につき相続人の地位を有しないことの確認を求める訴えは、当該他の共同相続人に相続欠格事由があるか否か等を審理判断し、遺産分割前の共有関係にある当該遺産につきその者が相続人の地位を有するか否かを既判力をもって確定することにより、遺産分割審判の手続等における上記の点に関する紛議の発生を防止し、共同相続人間の紛争解決に資することを目的とするものである。このような上記訴えの趣旨、目的にかんがみると、上記訴えは、共同相続人全員が当事者として関与し、その間で合一にのみ確定することを要するものというべきであり、いわゆる固有必要的共同訴訟と解するのが相当である。

以上によれば、共同相続人全員を当事者としていないことを理由に本件訴えを却下した原審の判断は、正当として是認することができる。


最高裁判所第二小法廷判決昭和56年9月11日

遺言無効確認訴訟が固有必要的共同訴訟にあたらないとされた事例:単に相続分及び遺産分割の方法指定したにすぎない遺言の無効確認を求める訴は、固有必要的共同訴訟にあたらない。

原審の適法に確定した事実関係のもとにおいて、本件遺言無効確認の訴が固有必要的共同訴訟にあたらないとした原審の判断は、正当として是認することができる。

(固有必要的共同訴訟か否かの点について) この点について、遺言無効確認訴訟は、遺言が有効であればそれから生じるべき法律関係が存在しないことの確認を求めるものと解されるのであるが、本件のような遺言では、それが有効であれば被告らが遺産の一部である不動産につき、それぞれの単独所有あるいは共有として遺産分割される権利を有するのであるから、本件の訴は、そのような権利を有しないとの確認を求めるものということができよう。そのような訴訟は、相手方の単独所有権や共有持分権の不存在の確認訴訟に類似したものとなる。学説(中村英郎「特別共同訴訟理論の再構成」中村宗雄教授古稀記念論文集197頁、同・判評248号39頁、斎藤編・注解民事訴訟法(1)総則I 353頁、栗原平八郎「遺言無効確認の訴えの被告」相続法の基礎316頁、岡垣学「遺言無効確認の訴と必要的共同訴訟」本誌390号232頁など)は、このような考えに立つて、遺言無効確認訴訟を固有必要的共同訴訟にあたらないとしている。もつとも、遺言の内容は千差万別であり、内容いかんによつては固有必要的共同訴訟の取扱いを要するものがありうるから(その一例は、複数の遺言執行者が選任された場合である―静岡地裁浜松支判昭25・4・27)、本判決は、本件の事案に即して単に相続分及び遺産分割の方法を指定したにすぎない遺言書について、固有必要的共同訴訟の取扱いを要しない旨を明らかにしたものと解される。したがつて、一種の事例判例であるが、その射程距離は相当広いものと解してよいであろう。判例タイムズ454号84頁


最高裁判所第一小法廷判決昭和61年9月4日

前婚の離婚無効確認の訴え及び後婚の取消の訴えと必要的共同訴訟:前婚の妻の提起する前婚の離婚無効確認の訴えと後婚の婚姻取消の訴えとは、必要的共同訴訟に当たらない。

必要的共同訴訟とは、訴訟の目的が共同訴訟人の全員につき合一にのみ確定すべき場合(民訴法62条)であって、訴訟の判決が共同訴訟人に区々になることが法律上許されない場合である。判決の合一確定の必要は、単に事実上又は論理上合一である要請があるというだけでは足らず、法律上合一確定しなければならないところ、具体的にいかなる場合に合一確定の必要があるかは、民訴法62条の規定から明確にすることはできず、実体法及び訴訟法から検討されなければならないといわれている(斎藤秀夫編・注解民訴法(1)341頁)。身分関係訴訟についてこれをみるのに、数人が一個の身分関係を形成する場合、第三者がこの身分関係の存否の確認又は取消を訴求するときは、その身分関係の主体全員を共同被告にすべきであり、その身分関係の主体の一人が他の主体を相手に身分関係の存否確認又は取消を訴求するときは、他の全員を共同被告にしなければならない(前掲注解民訴法350頁)。判例をみるのに、身分関係訴訟で固有必要的共同訴訟にあたるとしたものとして、離縁の訴えは養親である夫婦が共同原告となるべき必要的共同訴訟であるとした大判明35・12・20(民録8輯114頁)、利害関係人たる母からの認知無効の訴えは父と子が生存するときは父と子を共同被告とすべきであるとした大判大14・9・18(民集4巻635頁)、夫婦が共同でなした養子縁組について無効確認の訴えを第三者から提起する場合には養親とともに養子である夫婦双方を被告とすべきであるとした大判昭14・8・10(民集18巻804頁)などがあり、これに対し必要的共同訴訟に当たらないとした判例として、嫡出親子関係不存在確認の訴えにおいては父子関係と母子関係との各不存在を合一に確定する必要はないとした最高3小判昭56・6・16(民集35巻4号791頁)などがある。判例タイムズ624号124頁


最高裁判所第三小法廷判決平成22年3月16日

固有必要的共同訴訟において合一確定の要請に反する判決がされた場合と不利益変更禁止原則:原告甲の被告乙および丙に対する訴えが固有必要的共同訴訟であるにもかかわらず、甲の乙に対する請求を認容し、甲の丙に対する請求を棄却するという趣旨の判決がされた場合には、上訴審は、甲が上訴または附帯上訴をしていないときであっても、合一確定に必要な限度で、上記判決のうち丙に関する部分を、丙に不利益に変更することができる。

共同相続人が,他の共同相続人に対し,その者が被相続人の遺産につき相続人の地位を有しないことの確認を求める訴えは,固有必要的共同訴訟であるというのが判例の立場である(最三小判平16.7.6民集58巻5号1319頁,判タ1172号143頁)。そして,固有必要的共同訴訟においては,共同訴訟人の1人による上訴の提起は,利益な訴訟行為として共同訴訟人の全員のために効力を生じ(民訴法40条1項),上訴を提起しなかった共同訴訟人も上訴人の地位に立つとするのが通説・判例であり(秋山幹男ほか『コンメンタール民事訴訟法?〔第2版〕』408頁,伊藤眞『民事訴訟法〔第3版4訂版〕』598頁,最三小判昭38.3.12民集17巻2号310頁参照),これを前提とすれば,Y2の上告により,Y1も上告人の地位に立つことになる。なお,Xは,当初,Y1及びY2のみならず,亡Aとの養子縁組届出がされていたY3(Y2の妻)も本件請求の被告としており,Y3に対する本件請求に係る訴訟は,Y1に対するそれと同様の経緯をたどっていたが(本判決とともに民集に掲載される予定の本件の第1審判決及び原判決参照),Y1による本件上告の後,X,Y3間に係属していた亡AとY3の養子縁組の無効確認請求訴訟において同養子縁組の無効確認判決が確定し,本件請求に係る訴訟につきY3が元々被告適格を有していなかったことが客観的に明らかとなったため(養子縁組無効確認判決は,確認判決であるというのが判例の立場である。最三小判昭38.12.24刑集17巻12号2537頁参照),Y3に対する本件請求に係る訴えは取り下げられた(Y3は,そもそも本件請求に係る訴訟の当事者となるベきではなかった者であり,Y3に対する訴えの取下げを認めた処理に問題はないと思われる)。本判決は,まず,本件請求に係る訴えが固有必要的共同訴訟であることからすれば,1審判決は,Y1に対する本件請求をも棄却したものであって,XのY1に対する控訴につき控訴の利益が認められることは明らかであり,また,原審は,Y2に対する本件請求を認容する一方で,Y1に対する本件請求を棄却した1審判決を維持したものであり,そのような判断は,固有必要的共同訴訟における合一確定の要請に反するものであると判示した。このように,原判決には,その全部につき合一確定の要請に反する違法があると考えられるが,本件ではXから最高裁に対する不服申立てがされていないため,不利益変更禁止の原則との関係で,原判決のうちXが敗訴した部分(XのY1に対する本件請求を棄却した1審判決を維持した部分)を破棄することができるかが問題となる。この問題につき,本判決は,判決要旨のとおり判示して,Y2に関する部分のみならずY1に関する部分についても原判決を破棄することができるとした。判例タイムズ1325号82頁



固有必要的共同訴訟

訴訟の目的が全員につき合一に確定されなければならないため関係者全員が共同して訴え又は訴えられる必要があるとされる共同訴訟〔民訴40〕の1形態。訴訟物たる権利又は法律関係について数人が共同でのみ管理処分ができる場合や,他人間の法律関係の変動を生じさせることを目的とする形成訴訟又は変動を生じさせると同程度に重大な影響を与える確認訴訟がこれにあたる。前者の例として,共有物分割の訴え〔民258〕,数人の選定当事者による訴え〔民訴30〕などが,また,後者の例として,第三者が提起する婚姻の無効・取消しの訴え〔人訴12<2>〕,取締役解任の訴え〔会社854<1>・855〕などが挙げられる。入会権あるいは分割前の相続財産など,共同所有に属する財産に関する訴訟については争いがある。最高裁判所は,共同所有者が入会権確認の訴えを提起した場合については,必要的共同訴訟の成立を肯定し(最判昭和41・11・25民集20・9・1921),他方,土地の所有者が地上建物の共同相続人に対してその収去と土地明渡しを求める訴えについては,必要的共同訴訟でないとしている(最判昭和43・3・15民集22・3・607)。また,土地の共有者が隣接する土地の所有者を相手に境界確定(⇒境界確定の訴え)を提起する場合についても,合一確定が必要であるとして,全共同所有者が原告になる必要があるとする(最判昭和46・12・9民集25・9・1457)。もっとも,土地の共有者のうちに提訴同調しない者がいるときは,その者を被告として訴えを提起することができるとされている(最判平成11・11・9民集53・8・1421)。[株式会社有斐閣 法律学辞典第4版補訂版]


類似必要的共同訴訟

判決の効力が当事者以外の関係者に及ぶ関係で,その者が共同して訴え又は訴えられた場合には訴訟の目的が全員につき合一に確定されることが必要とされる〔民訴40〕共同訴訟の1形態(⇒必要的共同訴訟)。例えば,数人の株主が提起する会社合併無効の訴え〔会社828<1>〔7〕〔8〕〕や株主総会決議取消し又は無効・不存在確認の訴え〔会社830・831〕,役員等に対する責任追及の訴え(いわゆる株主代表訴訟)〔会社847<3>〕など。[株式会社有斐閣 法律学小辞典第4版補訂版]

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弁護士中山知行