『湖月抄』の有川武彦

講談社学術文庫に『源氏物語湖月抄』が入っていて、分厚いのが三冊で、売っていれば結構目立つものです(ASIN:406158314X)。北村季吟の著で「有川武彦校訂」とあります。巻頭に秋山虔による「『源氏』味読のための理想的注釈書」という文章があって、

ここに「学術文庫」版として覆印された『増註源氏物語湖月抄』は、北村季吟の原著の『湖月抄』に、それ以後の右に触れた主要「新注」を増加したものであるが、その詳細については校訂者有川武彦の自序によって知られたい。

と記すものの、有川武彦がどういう人物なのか、全く記述がない。刊記にもカバーにもない。前から気になっていたのだが、『犬十八題』*1という著書があるようなので買ってみた。題名から、文学の中に現われた犬について書いてあるのだろうと思ったが違っていた。自分自身の飼った犬を回想しているのだ。それで、履歴等もおおむねわかる。龍谷大の教授であったが、その前は京都や鹿児島で中学や専門学校の教師をしていたらしいことがわかった。

京都であればもしや、と『京都大学国文学会々員名簿』(昭和二十九年十一月末現在)を引いてみたら載っていた。春日政治先生らと同期の、初代(明治44年)の卒業生らしい。これによれば、昭和14.3.14歿。

著作権切れが確認できた。


ASIN:B000J6JL32った。これには、有川武彦について書いてあるだろうか。

*1:弘文社 昭和三年 ASIN:B000JB9JNO 湖月抄は弘文社 昭和二年