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Life and pages

2018-06-19

映画 万引き家族

とてもいい映画だった。よくできた寓話だ。毎回言っているような気がするが、邦画はほとんど観ない。年に一回見観るくらい。ジブリか、どうしても気になったものだけだ。今回はカンヌ受賞作ということもあるが、ネットでのとんちんかんな批評があったりして、わくわくして観にいった。疑似家族という題材は過去の映画でも描かれていたと思うが、なんだろう、様々な視点やメッセージが重層的に描かれていて、それでいて、とても直球なのだ。多くの家族を描いた映画では「この役者さんは上手だね」と思うのだが、今回はそうは思わなかった。演技はみんな上手い。でもこの映画は、演技をあーだこーだ言うより、描かれている気持ちが伝わってくるのだ。仲のいいということが伝わってくる。信頼の度合いが伝わってくる。疑似家族として互いに相手を選び取り、ビジネスパートナーとしての絆を深めたから仲がいいのだなどという理屈付けもいらない。怒ったり、叩いたりしなくても、家族でいられるのだ。そのことを日本人は忘れてしまっていたのではないだろうか。強くて太い人間らしさを描いている。昔ならイタリア映画にでもありそうな話だ。こんな邦画に出会えて驚いている。邦画の素晴らしさもすっかり忘れていたことに気がついた。日本にはこんな家族はいないよ、などという見当違いの批判は無視しよう。

2018-03-22

フィリップ・マーロウの教える生き方

フィリップ・マーロウの出てくる小説はみんな読んでいる。何度も読んでいる。違う訳者でも読んだし、あまりに好きになって、ついついペーパーバックでも読んだことがある。ハードボイルドと言われる小説の魅力は、主人公である私立探偵のタフさとその行動にある。そしてチャンドラーが作り上げた、この主人公はたくさんの比喩で自分を、世界を語る。辛辣でもあるし、卑下して聞こえる時もあるが、こうした寸言(ワンライナー)にはぐいっと心をつかまれた。そうした台詞を集めたのが、この本だ。
abc順に並べられ言葉を読み進めると、ああ、これだ! と、小説のストーリーを思い出す。やっぱりいいなあと。それでも、こんなこと言っていたっけ、というものもある。あんなに読んだのに、凄く好きなのになんでだろうと思う。きっと、ストーリー展開の中で読んでいるからだと思う。あまりに多くの比喩表現がでてくるから、記憶に長くとどまるものとそうではないものだって出てくる。それと、英語で読むのと日本語に訳された比喩を読むのとでは、気になる言葉が違うのだと思う。
そしてこれは何かに似ているなあと思い出したことがある。広告のキャッチフレーズを集めた本を読んだときの気分と似ている。どのキャッチフレーズも覚えていたが、最初に広告の中で目にしたときのまぶしさ、強さが抜け落ちていた。それは発表された当時の時代の気分やデザイン要素がなくっているからなのだと思う。それでも、もともとの広告を思い出すためのきっかけ集としては役にたつのだが。
この本もまた、チャンドラー愛を呼び起こさせてくれる装置としてはとてもうれしい。しっかりとした装丁ファンにとってはありがたい贈り物だった。

2018-02-19

珈琲が呼ぶ

珈琲をテーマにした初めての、片岡義男のエッセイだ。彼の小説に珈琲は登場するが、それは珈琲をはさんで差し向かいになった人との会話のシーンとしてである。珈琲に関するエッセイは、これまでほとんどなかったというのは意外だ。若い頃は神保町の喫茶店で200字詰原稿用紙に鉛筆で原稿を書いていたそうだから、毎日何杯もの珈琲を飲んだに違いないし、飲まなくても注文したはずだ。今も打ち合わせは喫茶店が多いようだから、珈琲の出てくるシーンには事欠かない。もちろんここでいう珈琲とは、喫茶店のことでもあり、そこで流れている音楽、同席者のことでもある。そして珈琲の出てくる映画の1シーンであり、ペーパーバック小説の描写についてでもある。ここまで広がれば、片岡義男のいつもの世界だ。アメリカ文化を垣間見せてくれる彼の話を読みながら珈琲を飲む。

珈琲が呼ぶ

珈琲が呼ぶ

2018-01-29 ライフハック大全

時間の使い方や習慣の作り方などをまとめた本。以前はこの手の本をよく読んでいたのだが最近はまったく読まなかった。数日前にたまたま書店の店頭で見つけて手にした。生活習慣を変えるべき時が来たのかもしれない。
内容は小さな習慣250のアイデアが書いてある。この著者の本はずっと前に何冊か読んだことがある。すでに知っていることや実践していることもあったけれど、一度やろうと思ったのにすっかり忘れていることや、前は関心がなったけれど、今ならやってみようかということがあって面白い。以前と大きく変わったのはスマホアプリ活用だ。予定を入れるなら、手帳よりもスマホのカレンダーが優れているし、パソコンで書いた文書が外出先でもスマホで確認できるのはありがたい。新しいアプリも使ってみようと思う。
この本は時折読み返すといいのかな。でも一年経ったら、アプリのところだけでも改訂が必要になっているのだろうなと思う。

2018-01-15 ラブラバ

ハードボイルドタッチの展開と会話でとても愉しめた。マイアミビーチを舞台に強烈なキャラクターの登場人物たちがそれぞれ勝手に自分にとって都合のいい思惑を展開する。極悪人はいないのだが、自己中心的な連中ばかり。だからこそドラマがダイナミックに動く。それぞれが思い描いていたシナリオが主人公ラブラバの登場によって、少しずつ変わっていき、物語の中盤から加速するストーリーがあっとおどろく結末を迎える。映画を見ているような読後感。フィルム・ノワール、そして40年代頃のハードボイルド映画へのオマージュか。とても好きな作品。