テレビで藤子・F・不二雄の特集を見て、早速買ってみた。そうだと思ったが、以前読んだことがあった。それはいいのだが、表題作を再読して、まず思ったのは、カズオ・イシグロの「わたしを離さないで」だった。内容はまったく違うのだが、読者としての思い込みが、もしかしたら間違っていたのではないかと、日頃の思考を大きく揺るがす所が似ている。価値観や教育の問題という抽象化の仕方もあるのかもしれない。あり得ない、と思っていると、いつの間にか、そういうこともあるかもしれないと思い始める。どちらがいいのかわからなくなる。いや、言い悪いを決めようとする考え方が違っているのだと思い始める。こうした物が文学の(もちろんマンガも含めて)大きな存在理由なのだと思う。本の世界はやはり深い。
ミノタウロスの皿: 藤子・F・不二雄[異色短編集] 1 (1) (小学館文庫―藤子・F・不二雄〈異色短編集〉)
- 作者: 藤子・F・不二雄
- 出版社/メーカー: 小学館
- 発売日: 1995/07/15
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- 作者: カズオ・イシグロ,土屋政雄
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