Life and Pages

本や映画、音楽、日々の雑感

ミノタウロスの皿

テレビで藤子・F・不二雄の特集を見て、早速買ってみた。そうだと思ったが、以前読んだことがあった。それはいいのだが、表題作を再読して、まず思ったのは、カズオ・イシグロの「わたしを離さないで」だった。内容はまったく違うのだが、読者としての思い込みが、もしかしたら間違っていたのではないかと、日頃の思考を大きく揺るがす所が似ている。価値観や教育の問題という抽象化の仕方もあるのかもしれない。あり得ない、と思っていると、いつの間にか、そういうこともあるかもしれないと思い始める。どちらがいいのかわからなくなる。いや、言い悪いを決めようとする考え方が違っているのだと思い始める。こうした物が文学の(もちろんマンガも含めて)大きな存在理由なのだと思う。本の世界はやはり深い。

わたしを離さないで (ハヤカワepi文庫)

わたしを離さないで (ハヤカワepi文庫)

A MOST WANTED MAN

ジョン・ル・カレの本。最新作ではないが、まだ翻訳は出ていない。長くて苦戦したが読み終えた。スパイ小説の大家にしては、ちょっと変化球の一冊かな。

A Most Wanted Man

A Most Wanted Man