彼岸の花 遠くの私


天に手をさしのべる彼岸花
降りてくる魂を受けとめようとしてるみたい
異名を数持つこの花に名前をあげるとしたら 千手花

お盆は各お家に戻ってくるおしょらいさん
秋の彼岸の間はこの花に宿をとるようで
お彼岸過ぎてこの花は灰がちの炭が白く燃えるみたいにわらわらしていて
人が出てった空き屋を思わせる
秋 飽き 空き 明き 紅きあき



ごく小さい頃、母は病弱でよく伏せっていました。
二つ上の兄と外で遊んでいたら彼岸花の真っ赤に咲いているのを見つけました。
あまりに豊かに咲き誇っていて感動したのを今も覚えています。
ぽきぽき手折って一抱え、母の病床にお見舞いしたら
母は手振りでそれを下げさせました。
目をつむって花を見ようともしない母に呆然として、
あぜ道に咲いてはいてもれんげ草と違ってとても立派で大きかったので
お百姓さんに無断でこんなに手折ってきたのを咎められたのだとションボリしました。
あとになって何故だかわかって、弱っていた母にすまないことをしたという思いと
世の中に縁起の悪い花があるのだということに愕きました。
子供の目には本当に艶やかに美しく、元気にまっすぐ咲く花としか思えなかったのです。
今も私の中ではある日突然に真っ赤に咲くこの花は
幼い私と繋がる美しくて大事な花。
現在母は別人のように元気です。







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おおきに