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ボタニカルアート・徒然日記 このページをアンテナに追加 RSSフィード

2018-05-12

[] 《サクラ ‘染井吉野’ 》

 4月に近くの公園で咲いていた‘染井吉野’を描き始め、やっと仕上がりました。

 サクラを見るたびに「いつか描かなきゃマズイなぁ」と毎年勝手にプレッシャーを感じていたのですが、兎に角クリアで一安心です。


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染井吉野’ 部分


 公園のサクラなので現地でラフデッサンをした以外は主に写真を見て描くことになりました。写真は何枚も撮ったのですが細部まで描こうとすると形がはっきり分からない所も多々あり、花の構造や枝からの花の付き方を考慮しながら形を決めていきました。


 ‘染井吉野’というサクラはエドヒガンとオオシマザクラの種間雑種で、その種間雑種の中の栽培品種(園芸品種)が‘染井吉野’です。学名で表すと、Cerasus × yedoensis ‘Somei-yoshino'となります。


 サクラを描くとなってあらためて調べてみると、数えきれないほどの園芸品種があって、開花の時期、花の色や形や大きさ、萼筒の形や長さ、毛のあるなし等々、それぞれ顕著な特徴があるのに驚きました。

 特に‘染井吉野’を描いて興味深かったのは花柄や萼筒でした。やや下がふくれた長い萼筒で、5つに分かれた萼片はよく見ると小さな鋸歯があり、花柄と萼筒には毛が生えています。その特徴は両親のエドヒガン(萼筒は下部がふくれ上部がくびれた壺形、花柄、萼筒とも毛がある)とオオシマザクラ(萼筒はほっそりで萼片に鋸歯、花柄、萼筒は毛がない)をちょうど足して二で割ったようだと実感できたのは貴重なことでした。


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染井吉野’ 蕾


 今回、‘染井吉野’を描きましたが、並行して‘横浜緋桜’も描いていて鋭意努力中です。‘横浜緋桜’は割と新しい園芸品種で、横浜界隈では公園などでよくみられる濃いピンク色をした華やかなサクラです。‘染井吉野’と比べると紅白というくらい色が違うと思います。両方出来上がって並べたらきれいだろうなぁと目論んで描いているわけです(笑)

 また、最近読んだ『桜の科学』は桜について植物学的な解説は勿論、文化的、歴史的なアプローチもあり興味深かったです。素人の私でもとても読みやすく桜について楽しく学ぶことができました。

桜の科学 日本の「サクラ」は10種だけ? 新しい事実、知られざる由来とは (サイエンス・アイ新書)


 『よくわかる栽培12か月 サクラ』はご存知のかたも多いコンパクトな本ですが、サクラの鉢植えの栽培方法が紹介されているのが面白かったです。ちょっとやってみたくなる内容でした。

サクラ [改訂版] (NHK趣味の園芸 よくわかる栽培12か月)


 作品《 サクラ‘染井吉野’》はこちら→「花の棲み家−ボタニカルアート」


 

2018-04-10

[] 《房咲きスイセン

 やっと房咲きスイセン(ニホンズイセン、八重房咲きスイセン、黄房スイセンの3種類)が仕上がりました。


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ニホンズイセン

 一口にニホンズイセンと言っても園芸店にあるものや植わっているものをよく見ると、それぞれ副花冠(花弁の内側のカップの部分)の大小やフリル具合が微妙に違うようです。

 

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八重房咲きスイセン


 一本の花茎から複数の花が出ているのが房咲きで、しかも八重になっているタイプです。こちらも“サー・ウインストン・チャーチル”“チャフルネス”等、色々な園芸品種があってどれなのかは分かりませんでした。

 

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黄房スイセン


 黄房スイセンは切り花で買いました。球根では“グランドソレドール”が有名ですが、はっきりしないのでざっくり黄房スイセンということで。


 房咲きスイセンは他にもニホンズイセンの副花冠まで白くなったような“ペーパーホワイト”や、ニホンズイセンの花弁を細くしたような“グランドモナーク”など割と見かけるように思います。


 そもそもスイセンは花茎に一つの花がついたラッパズイセンがありますし、形状はバラエティ豊かです。その分類方法はちゃんと決まっているようで、下記の「辻堂海浜公園スイセンガーデン」のPDFで分かりやすい資料がありましたのでご参考までに。

 

 http://www.kanagawa-park.or.jp/tujidou/top/suisengarden.pdf


 今回の作品では3種類のスイセンを横長の画面に並べるように入れ、花を中心に描きたかったので長い茎や葉は思い切って下をカットしてみました。蕾も配置しリズミカルになるようにしましたが、バランスが難しかったです。また、水滴も入れてみました(笑)


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ワンポイント的な?


 初っ端の彩色でどうも上手くいかず「このまま進んでも-20くらいからのスタートだなぁ」と思い、下描きからもう一度やり直しました。最後まで構図に悩んで消しゴムで少々紙面が荒れてしまったのは猛省すべき点でした。

 途中でミツマタを描いたりと、スイセンが仕上がるまでに物凄く時間がかかってしまいましたが、兎に角やっと解放されました。

 とは言っても、次の花が続々控えているのですが…描く花が多い春は正に嬉しい悲鳴という感じですね。


☆サーバー移転いたしましたのでHP「花の棲み家−ボタニカルアート」のアドレスがhttp://www.botanical-art-hananosumika.comに変わりました。お手数ですがブックマークの変更をお願いいたします。m(__)m


 作品《房咲きスイセン》はこちら→「花の棲み家−ボタニカルアート」

2018-04-06

[] 「至上の印象派展 ビュールレ・コレクション」

 国立新美術館で開催中の「至上の印象派展 ビュールレ・コレクション」を見てきました。


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 展示作品は全てエミール・ゲオルグ・ビュールレ(1890〜1956)による印象派を中心としたプライベート・コレクションで、点数はそれほど多くありませんでしたが質の高い作品ばかりでした。

 平日ということもあってか思ったほどの混雑はなく、一点一点じっくり見ることが出来ました。

 

 

 クロード・モネ《陽を浴びるウォータールー橋、ロンドン》は、光や靄に包まれた橋や川面が淡いピンク色、クリーム色、薄紫色などで混然一体に描かれた作品で、絡まる筆致は全てを画面に定着させようとするかのようでした。


 エドゥアール・マネ《燕》は、草原に白いドレスと濃い灰色のドレスの女性が座り、傍に黒い燕が飛んでいる風景が描かれています。

 無彩色が爽やかな緑に映え、手応えのある色として存在感がありました。マネの「黒」は有名ですが、こんなところにも効果的に使われているのかなと思いました。


 今回一番印象的だったのが、ドガ《リュドヴィック・ルピック伯爵とその娘たち》でした。ドガの卓越したデッサン力が人物の形や雰囲気までを的確に捉えていて、その生き生きとした線は本当に魅力的でした。

 さらに色遣いも大胆で、特に手前の白い服に赤いリボンをした娘さんと背景のエメラルドグリーンが鮮やかでした。小さいながらも意志的な彼女を包む白がとても力強い色に感じました。

 ポスターの美少女《可愛いイレーヌ》は勿論美しい作品でルノワールの巧みさは抜群でしたが、私はドガのこちらの娘さんの方が好きです。


 もう一つドガの《控え室の踊り子たち》は踊り子が逆光で描かれている作品で、暗い室内の様子や踊り子と窓とドアの隙間から差し込む明るい光とが、美しいコントラストを作っていました。

 構図は細長い画面の対角線に添うように、一つは床と壁の境界線、一つは踊り子たちの並びの線があり、二本がクロスしているように見えました。光の方向も絶妙で素晴らしかったです。


 どの展覧会を見てもやはり花の絵が気になります。ゴッホ《花咲くマロニエの枝》は心に残りました。白い花が空色の流れるタッチに取り囲まれているのが晴れやかで、同じく白い花を描いた《花咲くアーモンドの木の枝》を思い出しました。

 マロニエセイヨウトチノキ)は、小葉の側脈がとてもはっきりした細い線になっています。私にはその線とゴッホ特有のマッチ棒のようなタッチとが呼応するように見えて興味深かったです。


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マロニエ 花    画像:季節の花300


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マロニエ 掌状複葉(葉柄の先に小葉が放射状についたもの)  画像:季節の花300


 最近、自分の好みのルネサンスフランドル絵画、ラファエル前派などを見ることが多く印象派の展覧会を見るのは久しぶりでした。その分新鮮で色々と気づくことが多かったです。

 印象派の光にあふれた明るさと平面の強さは次の時代へと続く新しさを感じさせて凄いなと思いました。また、タッチやストロークもいつも見る絵画とは違って自由でのびやか。こちらの心まで豊かに開放的になるようでした。

 「印象派展良かったですよ」と薦めてくださったKさん、どうも有り難う! 


国立新美術館 「至上の印象派展 ビュールレ・コレクション」


 

2018-03-20

[] 《ミツマタ

 教室でミツマタを描いていらっしゃる方に、「ミツマタ面白いモチーフで良いですね(^^♪」と話していたら、有難いことに後日持ってきてくださいました。


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ミツマタ》部分


 ミツマタジンチョウゲ科で、三つに分かれた枝先に3、4cmほどの半球状に集まった小さな花が下向きに咲きます。ジンチョウゲと同じく花に見えるのは筒状になった萼の先が4裂したものだそうです。萼や苞が花に見えるっていう植物、結構ありますよね。

 蕾は外側から咲いてきて最初は濃い黄色、それがだんだんと白っぽくなっていきます。


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ミツマタ》蕾 部分


 萼にはびっしりと毛が生えていて、蕾のうちは緑がかった白から灰色、それがだんだんクリーム色になってくるように見えました。描く時は微妙な色の変化と何より白い毛が描き過ぎで黒くならないことがポイントですね。

 蕾には絵具の白は使わずに白抜きにしましたが、咲いたものは一部分に絵具の白も使いました。毛を描く時は、紙の白を残したり絵具の白を使ったりと工夫して描いています。


 また、枝にある白い皮目や、葉の落ちた痕の葉痕がとても多かったのが手間でした。描いたものが特に多いのか、ミツマタという植物の特徴なのか悩むところでしたが、とりあえず忠実にと…(;^_^A。枝は山などで見られるものに比べて剪定が良くされているせいか太目な気がしました。


 それにしても、見れば見るほど興味深い植物で蕾などはちょっと子猫的?と思ったり。またミツマタはとても良い香りがします。描いている間ずっと香りが漂っていました。


 作品《ミツマタ》はこちら→「花の棲み家」

 

2018-03-19

[] 箱根湿生花園

 先週の土曜日に箱根湿生花園へ行ってきました。

 HPでお目当ての花の開花状況をチェックしていて、丁度良い感じになってきたので出かけることに!

 

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ミズバショウ


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ミズバショウ

 

 ミズバショウはサトイモ科の植物で、小花が集まった棒状のもの(肉穂花序)を白い苞(仏炎苞)が覆っています。

 お店でよく見るカラー(オランダカイウ)も同じ科でよく似ていますが、ミズバショウはカラーと違って花軸まで白い苞が巻きついているのが特徴なんですね、しっかり確認しました。


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ザゼンソウ

 

 ザゼンソウも同じサトイモ科の植物。写真のを含めて2株しか見つけることは出来ませんでしたが、初めて見たので感激です。ザゼンソウの名は達磨大師が光背(仏炎苞)の元で座禅する姿に由来するとのこと。

 以前、この植物が発熱すると読んだことがあり驚きました。ネットで調べると発熱する植物は色々あるようですね。( 発熱する植物!? −ザゼンソウの不思議−)


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カタクリ


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セツブンソウ


 カタクリは蕾のものが多かったですが、いくつか咲いていました。セツブンソウは思いの外小さな花で見逃しそうでした。スプリング・エフェメラル(春の儚いもの、春の短い命)と呼ばれるこれらの花たちは、見るからに可憐で儚げで「大切に見守らなければ」という気持ちにさせます。

 また、スプリング・エフェメラルは短い時間に花を咲かせ種子を作って枯れていくので繊維組織にコストをかける余裕がなく、枯れると繊維質はほとんど残らないそうです。正に消え入るように地上を去っていくんですね。


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ショウジョウバカマ


 ユリ科ショウジョウバカマ、猩々袴と書きます。花を赤い顔をした猩々、葉を袴に見立て名前らしいのですが、ピンときませんね〜。頭の毛のバサバサした感じは分からなくもないが…。昔の人は想像力があったのでしょうね。 


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ミツババイカオウレン


 キンポウゲ科のミツババイカオウレン。所々にまとまって咲いていました。バイカオウレンは葉が5つに分かれています。こちらは三つ葉です。

   

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 箱根湿生花園は初めて訪れましたが、山野草系が充実していて興味深かったです。園内は広すぎず、じっくり見たい所に時間をかけられるので私には丁度良い感じでした。園の背景に山があるのも開放的で気持ちが良かったです。


箱根湿生花園