機巧少女は傷つかない 9 Facing "Star Gazer"

著/海冬レイジ イラスト/るろお レーベル/MF文庫J

現在大好評アニメ放映中のマシンドール第9巻。
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夜会が後半戦に入り学生総代・金色のオルガ、ずっと謎だった雷真の寮のお隣さん<下から一番目>ヴェイロンと言った上位勢が続々参戦。
激闘が続く中、1巻からかませ犬ポジションでインフレの波から一人取り残されていたメインヒロインの一人シャルはオルガとの戦いで愛機シグムントを破壊され、ついにパワーアップイベントが発生。
幼いころに捨ててしまった精霊との交感能力を取り戻すべく、旧ブリュー邸にて鏡の精霊ロッテと対話し精霊使いとして精霊使いとしての能力を取り戻します。
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竜王ドレイクが作り上げたシグムントの魔術回路=有を無に換える防御不可の消滅魔法・魔剣<グラム>。
シグムントから魔剣の魔術回路を受け継いだシグムトを駆り、精霊のアシストで魔剣の力を完全に引き出したシャルは、防御不可の必殺技ラスターカノンを鏡の精霊で反射させたり、魔力を収束させて巨大なラスターカノンの巨大な奔流を撃ち出したりと、周りのインフレをさらに一歩飛び越えるチート級の強さになって復活したのでした。
そして精神的にも強くなったシャルは魔王(ワイズマン)を目指すことを諦めます。
なぜなら魔王になって家族やブリューの家名を取り戻せたとしても、そのために大事なパートナーを失っては意味がないと分かったから。そして既に自分の周りにはブリュー家のシャルロットを認めてくれる仲間たちがいるのだから。
シャルが心身ともに成長したお話でした。
夜会からは脱落です。
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サブタイトルの「Star Gazer」は隕石落としの大魔法のこと。
シャルの父親エドガーがメテオストライクを発動させたことから。
行方不明だったシャルの父親が出てきたこともそうですが、物語が佳境に入ってきて色んな話が分かって来たり繋がってきたりし始めました。
・予言により今回の夜会で神性機巧(マシンドール)が誕生
・<薔薇の師団>結社は反権力反支配の組織で、今は来たるべき世界戦争を止めるために活動中
エドマンド黒太子のところに花柳斎の作った夜々そっくりの機巧人形が
・夜々の身体が崩壊しつつあって、先は長く無いっぽい
エドマンドが英国王を暗殺して成り代わり
・キンバリーが所属するネクタルはほぼ味方確定
・雷真に魅せられたエドガーは妻を取り戻すためにネクタルの助力を得て結社と戦うことに
・アリスがちょこっとだけ再登場
・ロキ、フレイ、シャル、日輪は共闘する仲間。オルガ、ヴェイロン、アリスもピンチとの時はイの一番で助けてくれそう
などなどetc...
とても面白かった。

冴えない彼女の育てかた FD(ファンディスク)

著/丸戸史明 イラスト/深崎暮人 レーベル/ドラゴンマガジン文庫

ドラゴンマガジン2013年11月号ふろくの短編。
詩羽先輩の生まれた街を紹介してもらいながら新作ネタ出しをかねたデートをします。
詩羽先輩派ヒロインたちの中では最もヒロインらしいヒロインしてて可愛いらしいと思います。

バーガント反英雄譚 3 揺れる王都の騎士姫君

著/八街歩 イラスト/珈琲猫 レーベル/富士見ファンタジア文庫

ファンタジア文庫9月新刊。
前半は王宮詰めから騎士学園防衛任務へと左遷された義妹ソフィーと、ソフィーのいいライバルで左遷の原因を作った事を気に病むリュリシアとの微妙な関係を主人公シュンが取り持ってあげて、ヒロイン同士が友情で結ばれる学園青春ファンタジー
そのまま絆を深めるイベントが後半発生して学園ハーレムできゃっきゃうふふするのかと思ったら、後半からは別作品ってくらいに激しく物語が動きます。
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両親の復讐に燃える義姉モニカ。
四天劍を招集してモニカ捕縛した王国第一騎士団長ペルデが、彼女が魔王の娘であることを知り魔族への宣戦布告として公開処刑することを宣言します。
これによって30年前に終わったはずの、互いに相容れない人間vs魔族の殲滅戦の火蓋が再び切って落とされることになりました。
一連のあれこれは耄碌しかけの国王に代わって実権を握ったペルデの事実上のクーデターかと思ってたら、王国の王様が実は魔族で、衰えた振りをしていただけという驚きの展開に。
今後の魔族との全面戦争を命に代えても成し遂げると決意を述べに来たペルデが意気揚々と退出した後、別人のように生気を漲らした国王が、

「戦争は、三十年前、とっくに終わっているのだよ……魔族の勝利という形でな」

とつぶやいて4巻に続きます。
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国王が魔族ってことは、もちろんその子供であるダブルヒロインの1人王女リュリシアも魔族って事ですね。
魔族は姿かたちが人間と変わらないため、当の昔に人間社会に溶け込み普通に生活していたのでした。
騎士学園でシュンの担任だったミュスカ先生も魔族で猫をかぶっていました。相当数が人間社会の中にいるようです。
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そんなこんなで激動の後半を経て、次の4巻で第1章「モニカ編」が終了。
どうやら30年前の戦争に関して人間側には相当後ろ暗いことがあるみたいです。
タイトルも「反英雄譚」だし主人公は魔族側に近い立ち位置で戦うのでしょう、魔族側というよりも人間と魔族が共存できる世界を作るため、でしょうけど。
モーレツな展開だったので次巻がとても楽しみです。