101番目の百物語 5

著/サイトウケンジ イラスト/涼香 レーベル/MF文庫J

女好きイケメンチャラ男が百物語の主人公に選ばれて、美少女な都市伝説を集めて世界の破滅を防ぐお話。
そのネタバレ回。
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詩穂先輩は「2000年問題(ロスト・ミレニリズム)」のロアでした。
若い人には分かんないかもですが、90年代後半に、西暦の下2桁で時制していた当時のコンピューターが、2000年を1900年と認識してエラーを出してしまい、コンピューター依存の文明社会が大変なことになるかも、という世界の危機みたいなお話が本当にありました。それが「2000年問題」です。
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ヤシロちゃんは「ノストラダムスの大予言」のロアでした。
若い人には心底理解できないかもしれませんが、1999年に地球は滅亡すると割と真剣に信じられていました。90年代後半は特にそうですね。隕石が落ちてくるだの旧大陸アトランティスが浮上するだの夏休みの宿題をしなくていいだのネッシーだのアブダクションだのいろいろ言われていました。
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世界を破滅に導く「ノストラダムスの大予言」を、当時世界中で連日話題になっていた最強クラスの都市伝説「2000年問題」に封印する。
そして封印したは良いものの、2000年が過ぎると消えてしまう「2000年問題」のロアを生き延びさせるために、「8番目のセカイ」の管理人としての属性を付与。
これで詩穂先輩は知らない間に、本来の「2000年問題」の他に「ノストラダムスの大予言」「8番目のセカイ」と、合計3つのロアが存在することになったのでした。
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そしてヤシロちゃん(幼いころの詩穂先輩)こと「ノストラダムスの大予言」が復活。これからは、世界の破滅を防ぐためのバトルというか、スケコマシな口説きブコメがはじまりそうです。なんとなくデート・ア・ライブと同じようなお話ですね。
精霊=ロア。どちらも世界を救うために仕方なくハーレムを作ります。これはもう仕方がないんです。世界を滅亡から救うという大義の前では、一夫一婦制なんて枝葉末節じゃないですか。
ハーレム系作品が多いMF文庫Jでは特に顕著ですが、いかにハーレムに必然性を付与するか、これが現代ラノベ作家の腕の見せどころの一つだと思います。