ぽんこつ勇者の下剋上

著/藤川恵蔵 イラスト/ぐれーともす レーベル/MF文庫J

MF文庫J12月新刊。
第13回MF文庫Jライトノベル新人賞《審査員特別賞》。
聖剣の運び手に選ばれた主人公が、勇者の元に聖剣を届けるための物語。
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勇者にしか見えない・聞こえないはずの聖剣の精霊ホリーを認識できる主人公。
しかし素養は皆無で、勇者では絶対にありえないと断言されてしまいます。
そんな主人公が、5年後に魔王が復活するから可及的速やかに勇者の元に行きたいと宣言するホリーに一方的に運び手に選ばれ、勇者の元に聖剣を届ける救世の任務を請け負います。
しかしホリーは他の人には見えません。
よって魔王復活や聖剣の精霊を説明するわけにもいかず、つまり王家が保管している聖剣は盗むしかなく、盗んだ後は王都から逃げるように出立します。
というか逃げます。
聖剣窃盗でガチ死罪だからね。
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そんなホリーは超人の勇者としか会話したことが無く、過去の勇者は全てイケメンでした。
凡人で容姿人並みの主人公はホリーにゴミクズのように扱われながらも、勇者の元に届けさえすればそれだけで救世の歴史に自分の名が残ると奮起。
そうしてホリーに足を引っ張られながらもようやく見つけた勇者は奴隷の少女で、ロリコン領主に買われたこの子を取り戻すのにもまた一苦労。
苦労したのは主にホリーに足を引っ張られたせいです。
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やっと聖剣と勇者がであったと思ったら、二人はまったくコミュニケーションをとりません。
子どもと女は反吐が出るほど嫌いとのたまう聖剣様は、どうやら勇者が少女でやる気なくなった御様子。
ほんとどうしようもない聖剣に頭を抱えながらも、王都に戻って勇者誕生を証明しようと思ったら、剣を向けられたホリーが怒って暴れ出して主人公は牢獄イン。
それでも策を練って命を懸けてどうにか聖剣を勇者に握らせることができ、誤解は解けてハッピーエンド。
最初から最後まで、主人公はほんと頑張ってたと思う。
自分の矮小な承認欲求を自覚しながら、それでも誰よりも世界のために身体はってました。
でもこの聖剣、あかんわ。
性能はもの凄いんだけど、ほんまあかんわ。
あかんすぎて可愛く見えてくるくらい。