精霊使いの剣舞 17 魔王都市の女王

著/志瑞祐 イラスト/〆鯖コハダ キャラクター原案/桜はんぺん

MF文庫J2月新刊。
イラストレーターが変更になりました。
桜はんぺん→仁村有志ときてこれで3人目です。
シリーズも17巻ともなると、こういうこともあるんでしょう。

〆鯖コハダ先生の絵は可愛いんだけど、やや幼すぎるような。
あと3巻で終わりということなのでちょうど20巻で終わるようです。
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というわけで最終章突入の17巻。
物語は佳境に入り、色んな伏線が回収されはじめました。
ブレイドダンスは結構間が空くので、次の巻で忘れないように、感想というよりメモ書きしときます。
ネタバレなので未読の人はスルーしてね。
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「赤死の砂漠」に逃げ込んだ教国第二王女サラディア・カーンを追う「正統オルデシア」ことチーム・スカーレット。
第二王女が向かった、魔王スライマンの遺体が残るとされる「魔王の墳墓」を目指します。
墳墓を守護するスフィンクスと戦ったカミトは見事、「魔王の後継者」たる証を見せ、魔王の墳墓に足を踏み入れたものの、そこは1000年前の魔都ゾハールだったのでした。
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それは「魔王都市の女王」イリスが、人間世界とアストラル・ゼロの狭間にあるアルカザルドに作り出した泡沫の世界。
そこでカミトはイリスから1000年前の魔王戦争の真実――魔王スライマンの一生について聞かされます。
人類のためにその類い稀なる精霊使いの力を行使して英雄となったスライマン。
しかし敵だったエルフの少女と恋に落ちたことで人間王の怒りを買い、エルフの少女と二人の間に生まれた子供が殺されてしまいます。
怒り狂ったスライマンはその力を復讐へと向け、人類を守護する英雄は人類最大の敵となりました。
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圧倒的なまでの戦闘力を人類に行使し世界を震撼させたスライマンはしかし、姦計によって捕えられ、激しい拷問を受けます。
人類に絶望しながら死にゆく中で、五大精霊王の盟主たる聖王アレクサンドロスの声を聴いたスライマンは、世界に破滅と混沌をもたらす代わりに愛するエルフの少女・イリスを生き返らせてもらうという悪魔の契約を行い、ここに「魔王」スライマンが誕生したのでした。
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世界に調和をもたらすはずの聖王アレクサンドロスは、この世界の在り方にさじを投げたのか、世界を滅ぼして新たな秩序を再構築しようとしています。
カミトが見た「天使の軍勢」は侵攻するための軍団。
「魔王の墳墓」にあったのは、スライマンの遺骸などではなく、聖遺物――スライマンが最後の力で封印した「決して解き放ってはならないもの」。
ラスボスは、この辺りの人知を超えた超越者たちになりそうです。
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この巻ではバトル要素はあまりなかったものの、最後に締めのメインバトルとしてカミトvsルーリエが用意されています。
ルーリエはかつて聖女と呼ばれた「奇跡の癒し手」にして、前々回のブレイドダンス優勝者。
ブレイドダンスを連覇したカミトと、前々回のブレイドダンス優勝者ルーリエの頂上決戦です。
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というわけで最終決戦間近の終わりに向かって走り始めた雰囲気が全編通して漂う怒涛の17巻でした。
面白かった。