「モバセク」のiモードメール転送サービスを使ってみた

20日付けで第一報をエントリした通り、この連休中にimotenを一旦停止し、「携帯秘書モバセク」の「ドコモ メールを転送(ベータ版、以下ドコモメール転送)」を試してみました。昨年12月からサービスされていますが、その存在を知ったのはimotenよりも後で、しかも転送による受信しかできないものと長い間勘違いしていました。送信も返信、新規ともに可能です。以下、このサービスの使用手順と使用感についてまとめておきます。


1. 最初にやること/各種設定
まず、このサービスもIMoNiやimoten、imMailerなどと同様にiモード.netを利用するサービスですので、iモード.net(¥210/月)を申し込んでいない人は申し込みが必要です。
すでにiモード.netのアカウントがある人は、モバセクのサイトから、ドコモメール転送へのサインアップを。

  • 画面右側にあるログイン入力領域の下のほう「お申し込みはこちら」をクリック→「ドコモメール転送を申し込む」をクリックし、IDとなるメールアドレスとパスワードの入力、利用規約の承認→iモードメールアドレス、iモード.netのdocomo IDとパスワードの入力→転送先メールアドレス(IDとなるメールアドレスとは同一でも別でも可。メール転送先の設定は、スマートフォンではプッシュ対応のアドレスを使うと便利でしょう)の設定。転送先メールアドレスを設定すると、そのアドレス宛に受信確認メールが届く→最後に「設定完了」をクリックするとトップページに遷移。この時点で転送設定は完了しており、1時間ほどでデフォルトの設定で転送が開始されます。
  • ログインしたらトップページから「iモードメール転送(ベータ版)を設定」をクリック。「iモード.netの設定」「メール転送先(パソコン)の設定変更」「転送メールの設定変更」「送信メールの設定変更」が可能ですが、まずは転送メールの設定を。転送を行う曜日や時間帯について細かい設定が可能です。標準状態では平日の9:00〜22:00になっていますので、休日の夜中に設定して直ちに使い始めたい場合は、全曜日にチェックを付けた上で「終日」への変更をお忘れなく。転送間隔も「随時」「30分」などの指定が可能。もちろん、後からでも設定は変更可能。

  • 転送設定には、50個までのメールフィルタや本文へのメールヘッダ情報(件名、日時、アドレスなど)の挿入設定、保存容量など、非常に多数の設定項目が。送信設定も同様で、返信先(相手のみ/To:/Cc:を含む全員)や送信メールの自分宛コピー(Bcc:)など。このあたりの設定項目の豊富さときめ細かさは、有料で提供されている本格的なビジネス向けPCメール転送サービスがベースになっているだけのことはあると思います。


2. 受信について
今回は無料版でテストしていますので、転送メール(受信、自分が受け取る方のメール)には本文先頭に広告が挿入されます。結構長い広告ですが、拒否はできません。送信メール(相手が受け取る方)にも、デフォルトではモバセクの広告が本文末尾に入りますが、こちらは送信設定から、挿入されないように設定が可能です。
モバセクによるiモードメールの送受信は既存のアカウントを使って行いますので、メールソフト側では特別な設定は一切必要ないです。
メールの受信は転送間隔を「随時」にしていても、ややタイムラグが発生します。明示的な転送間隔の最短「30分」よりは短いタイミングでiモード.netにログインして取りに行っているようですが、相手が送信したタイミングにもよるものの、10分程度の遅れが出ることもありました。
なお、絵文字やデコメール、添付ファイルは受信されません。デコメールのHTML部分は削除され、添付ファイルは受信したファイル名だけが本文の先頭部分(広告の下)に記述されます(設定により記述削除も可)。

添付ファイルを付けてソフトバンクからドコモのアカウント宛に実際に送ってみたメールの例。広告、添付ファイル名はこんな感じで入ります。


3. 送信方法
送信先のメールアドレスはモバセク特有のものです。モバセクトップページ→「iモードメール転送(ベータ版)を設定」→「iモード.netの設定」から確認できます。


転送で受信したメールに対して返信を行う場合は、そのまま返信すればOKです。
転送メールのFrom: は「"相手のメールアドレス" <自分のアドレス先頭数文字-識別子(16進インクリメント)@mobaseku.net>」となっています。識別子は元のメールを特定するのに使われます。たとえば自分が myaddress@docomo.ne.jp で相手がexample@softbank.ne.jp の場合、「"example@softbank.ne.jp" 」という形式になり、メール自体はモバセクの myaddress-1a@mobaseku.net 宛に送られ、モバセクを経由して example@softbank.ne.jp 宛に送信が行われるわけです。
で、実際の送信にはiモード.netの送信サーバーが利用されているようで、相手がPCメール受信拒否や、なりすましメール受信拒否を設定していても、ちゃんと届きます。ちなみに受信とは異なり、送信については特にタイムラグはなく、相手には普通に瞬着です。
新規送信を行うには、メールソフトのTo:欄に直接相手のメールアドレスを書くのではなく、先の「iモード.netの設定」画面から確認できる「サービス専用新規送信メールアドレス」宛に送信します。アドレスは「myaddress.new@mobaseku.net」のようになっているはずです。相手のメールアドレスはメール本文の先頭に「t:宛先メールアドレス」の形式で書き込みます。例えば「t:example@softbank.ne.jp」のように。t:はTo:になり、c:がCc:、b:がBcc:となります。メールアドレスを手打ちしたりコピー&ペーストするのは面倒かもしれませんが、Android端末であれば、連絡先として登録済みのメアドの入力には、日本語IME「Simeji」のアドイン「Contact Picker」が便利かと思います。
なお、既存のスマートフォンやPC用の絵文字入力環境(Simejiのアドイン「Emoji Picker」やPC用「i絵文字」など)を利用した絵文字の送信は可能です。

試しに絵文字を入れてPC(Becky! Internet Mail)からUTF-8エンコードでメールを送信。

Windows Mobile端末で受信した結果。このように受信されます。
この新規メールの送信方法、ちょっとわかりづらかったです。モバセク全体の汎用FAQとして http://mobaseku.net/faq/faq052/ に書いてあるのですが、この情報がどこにあるのかが探しにくく、「サービス専用新規送信メールアドレス」宛に空メールを送信してみて、返ってきたエラーメールを通じて初めて知った次第です。ドコモメール転送だけのまとまったマニュアルのようなものが必要に思います。


4. メリットとデメリット
スマートフォンやPC用の普通のメールアプリとメールアカウントがそのまま使える上、自宅サーバーの構築や連続運転が必要ないというのはメリットかと思います。設定も基本的な使用であればさほど難しくないでしょう。しかも、相手には確実に届きますし。豊富なフィルタによる受信メールの選択的な転送機能も、このサービスならではのものといえます。
iモード.netを利用したサービスといえば、気になるのは例の「ログイン通知メール」ですが、ログインするたびに届きます。今回は転送間隔を「終日」「随時」にしていたこともあって、3月20日の2:00から21日の20:00までの42時間に届いた通知メールの数は432通にもなりました。30分とかにすればもう少し減るでしょうけど。
それと受信のタイムラグ、有料化までにはもう少し短くできれば、と思います。ログイン通知メールが問題になりそうですが、imotenでもIMoNi(1.60以降)でもほぼ解決できていることですし、解決は可能と思います。
絵文字やデコメ、添付(写メ)が見られないというのも、ユーザーによっては気になる部分でしょうが、現在のスマートフォンからPCまでを幅広くターゲットとした最大公約数的な仕様だと、難しいかもしれません。
結局iモードメールには未対応、モバイルアプリも既存の2回線持ち前提仕様でリリースされることになったXperia。モバセクのドコモメール転送はiモードメールをドコモのスマートフォンでも積極的に活用したいというユーザーには適さないかもしれませんが、iモード端末からの機種変更で、iモードメールを引き続き補助的に使い続けたい人や、いずれはmopera UGmailなどに移行するつもりでしばらく過渡的に使いたい人には便利かと思います。
あとBlackberryでは今のところiモード.net用アプリが公式、サードパーティともに存在しないので、自分でサーバーを立てずにiモードメールを自動受信で使うための数少ない選択肢といえます。iPhoneをはじめ、他キャリアのスマートフォンのユーザーにとっても同様でしょう。

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以上です。
ちなみに、従来からサービスされているモバセクのメール転送は、もともと今回のドコモメール転送とは真逆の、PCのメールを携帯電話用のキャリアメールアカウントから利用するためのサービスです。PCメールを携帯に転送して読んだり、転送されてきたメールに対して携帯からPCアドレスのまま返信したり、携帯から本文先頭にt:やc:やb:でメールアドレスを書き込んで専用アドレス宛に送信することで、PCアドレスからの新規のメールを相手に送ることが可能なものです。この既存サービスを正反対の形で応用してiモード.netに対応させたのが、今回のドコモメール転送というわけです。
個人的には専用のSMTPサーバーを用意して普通にTo:やCc:/Bcc:に相手のアドレスを書き込んでiモード.net経由での送信ができる形のオプションサービス(まさにimoten SMTPASP版そのものですが、SSL/TLSの導入が個人では結構敷居が高いので、商用サービスによる解決に期待していたり)や、デコメ・添付(写メ)への対応、あとログイン通知メール問題の技術的解決にまで踏み込み、より本格的なスマートフォン/PC向けのiモードメールソリューションとしての提供を期待したいところなのですが、今のサービス内容でも十分だと感じる人も決して少なくないでしょう。
ネット上ではIMoNi、imotenの認知度がXperiaのリリースあたりからかなり高くなっていると感じるものの、モバセクは現時点でもそもそもあまり知られていないと思われる上に、受信はともかく送信機能(使い方、可達性)についての情報があまり伝わっていないように思えます。ちょっともったいない気がしますね。
ここでこれまで繰り返し語ってきたように、スマートフォンが世に広まる前提条件、中でもドコモのスマフォ普及の鍵はキャリアメールへの対応にあると思います。この先、仮にXperiaや今後リリースされるドコモのスマートフォンが1台持ちで済む形でiモードメールに公式対応したとしても、対応が放置されそうな過去の機種や他社のスマフォ、PCなどでも使えるこの手のサービスは、有料でも結構需要があることでしょう。というか自分での管理や運用の手間が極力不要な、安定した商用サービスを望む層は必ずいるはずです。モバセクの進化と拡充に期待します。