成功体験が脳の回路を強くする

昨日に引き続き、茂木健一郎著「『脳』整理法」の文章を紹介します。チャレンジすることが大切だ、とはよく言われることですが、なかなかリスクを犯して新しいことに向かっていくのは勇気の要ること。そんな時に思い起こすと、元気が出そうです。

ある大学のキャンパスで、芝生の上を人が歩くときにどのような道を通るかを定期的に写真に撮って観察した実験があります。それによると、芝生ができたばかりの頃にはいろいろな経路を通っているのに、やがて多くの人が特定の道を通るようになり、芝生の一部がはげて地面が出てくると、みながその道を通るようになったのです。
私たちの脳の使われ方というのは、この、芝生上に人の通る道ができるプロセスに似ています。一度あるルートが使われれ、それでうまくいくか、それほどヒドイ目にも遭わないことがわかると、そのルートが強化されて、次からも同じルートが使われる可能性が高くなるのです。
成功するかどうかわからない、不確実な状況に直面したときに、不安な気持ちを乗り越えてチャレンジし、それが成功するといった体験が一度でもあると、「不確実な状況下でチャレンジする」という脳のルートが強化され、そのような行動が苦労しなくても無意識のうちにとれるようになります。一方、不確実な状況を前にして、尻込みしてチャレンジすることを避けてしまって、それで済んでしまったということがあると、次に似たような状況が訪れたときに、ふたたび挑戦を回避してしまう傾向が強められてしまうのです。

チャレンジに限らず、脳の作用にはそうした傾向がある気がします。休日をいかに活動的に過ごすか、なんてことに関しても、活動的な人はより一層活動的になってどんどん色んなことに手を出していく(つまりは活動的になることによる成功体験が『芝の上の道』を作っている)。恋愛なんかも、そうした傾向が強く現れる分野かもしれませんね。
芝の上の道を作るべく、日々挑戦する毎日を送りたいものです。

挑戦者のイメージ (タイ ムエタイの試合にて)