みゅ

主に外来語にありがちな、「ミュ」という発音は、言うまでもなく日本古来には無かった発音で、日本人には喋り辛い音である。
よく「シミュレーション」を「シュミレーション」と言ってしまう人がいる、という半分ネタ的な話題があるが、個人的にはこの「シュミレーション」というのは間違いであるとは思わない。それは、この音を発音できないために仕方なく妥協して、言い易いように言い換えているだけであって、すんなり発音できればそんなことをする必要がなかったと思われる行為だからだ。
こういう類いの妥協は、普段は意識しなくても様々な場所で様々な形で行われており、例を挙げるとすると「コミュニケーション」「コミュニティ」から派生した「口コミ」などがある。忠実に言おうとすると「口コミュ」になるけれども、誰もそのように言わないところを見ると、この妥協は暗黙の了解を受けているようだ。先に挙げた「シミュレーション」についても「フライトシム」という言葉については、表記が変わるのを承知しつつも、発音し易い形に変えている。外国人の名前のカタカナ表記なども、知らないだけで、発音上の妥協はかなりあると思う。
だから「シュミレーション」だけがなぜ市民権を得ていないのか不思議な位である。このような考え方が根底にあるので、私が「シュミレーション」と発音してもどうか、どうか莫迦にしないでほしい。