Who Got A Mail

『All For You / Annihilator』

30日深夜(正確には今日ですが)2時から1時間枠で、TOKYO FMの報道スペシャル「Who Got A Mail」が放送されました。
私は録音したものを先ほど聴いたのですが、番組にも出演された藤川毅さんの30日のブログにも紹介されているとおり、今回の著作権法改正についての街の声や、民主党佐藤謙一郎議員がこの問題を知るきっかけになった1通のメールを寄せた学生の声なども取り入れた番組構成になっています。
番組タイトルが象徴するように、ストレートに輸入CD規制問題について語るというより、メールやインターネット、ブログなどの情報ツールの影響の大きさを浮き彫りにするための一例として今回の法改正を取り上げたという感もありますが、ここらへんは中立的スタンスを示していきたい局側の意向もあるように見受けられます。番組ではかなりいろんな曲(カバー曲が多かったのは意図的だろうけど)がかけられ、その合間に藤川さん、佐藤議員、同じく民主党川内博史衆議院議員(横浜での市民集会でのコメント)をはじめ、ドクター中松さん、ライターの方々、一般の人たちの話が紹介されるという形式だったため、実質的な話は半分ぐらいだったように思えます。特に後半部は曲が多かったですね。


早朝のテレビでやってる番組批評のプログラムに近いような、あるいは準ドキュメンタリー番組といったやや微妙な雰囲気でしたが、それでもこの問題に長い時間が割かれてメディア放送されたことの意義は大きいと思います。


番組には今回の著作権法改正の推進派である自民党小林興起衆議院議員も出演していました(ディスカッション形式ではなく出演者が別個に話すというスタイルですが)。推進派の方の生の発言を聞く機会というのは貴重だと思いますので、番組内での小林議員の発言を書き起こしてみました。読みやすくまとめることも可能だったのですが、あえて出来る限り手を加えていませんし、私の個人的なコメントも書かないようにしました。

番組内での小林興起議員の発言


「そうですね、これ反対だっていう意見聞いたことないですね。話を聞いた時、やはりその著作権を持ってらっしゃる方の保護といういうものをきちっと国としてしてあげなきゃいけない、そういう思いが常にありますから。なるほどわかったと。そういうことならやってあげましょう。っていうわけになるわけですよね(笑)。
でもまぁ関係者の間で大丈夫だということで(法改正に)踏み切ってるんでしょうから、そりゃ助けてやらなきゃいけない。でもメインの団体、どんな分野にもメインの団体ってあるわけでしょう。そういところの話はそりゃ行政は丁寧に聞きますよ。役所は。自民党だって対象の中にある国民政党ですからね」


「(ネット上で推進派議員のリストに名前が挙げられていることに対して)いやぁ、別にそんなふうに言われているとは知りませんでした。たぶん推進議員に名前が挙げられたという背景にですね、自民党の中に音楽振興議員連盟というのがあるんですよね、日本の音楽を振興していこうと。あるいは、今これは日本の国家戦略ですけども、知的財産権、そういうものをですね大事にする、これを発展されていくことが大事だという、そういう議員連盟等々に名を連ねていますのでね。きっとそういうことから、法案に自民党は全部賛成しているんですけども、(ですから私が)推進議員という名前を付けられたかもしれませんね。
ま、音楽が専門なんて言ったら、専門の人に怒られてしまうかもしれませんね。好きですけどもね。そりゃまぁねぇ、よく言われますとおり「全部知ってんだろ」なんて言われたって、そんな知るわけないですけど。でも、みなさんから聞かれりゃ、「まぁ、答えましょうか」ってぐらいのことはどの議員も勉強しているんじゃないですか。正式には自民党のこういう問題を、知的財産を扱っている部会でもって決定してですね、そして国会に法案が出されていく。ですから国会審議で何で自民党の国会議員は質問にたたないで、野党ばっか質問してるんだ。自民党の議員はどこでがんばってんだ?これは自民党の部会でがんばってるから。この部会の姿を国民に見せれば、自民党の議員がどれだけ勉強しているかというのがわかるんですけど。部会はね、テレビもどこも報道しないわけですから。ま、そういう仕組みになってるんですね。
法律のいろんな細かいところは専門家がやるんでしょうけど、不備があったらね、そりゃ付帯決議でも何でも直す術があるんでしょうから、直してあげればいい。全然その、日本の音楽ファンに迷惑をかけようと思ってやってる法律じゃないと思いますよ。この国はやっぱり合意でね、みなさんでまとまっていくことを大事にする国ですのでね。法律をよく読んでみたらね、こんなふうにやってやると穴が開くとかね、そういうことをもしやった場合、法的に許されても、世論に許されない。そういう国じゃないですか。そういう日本の歴史、文化、伝統というものを踏まえたら、国会の付帯決議というものは法律と同じように重く受け止められて、そしてそのとおり実行されるというのはこの国の国柄ですからね。わたくしはそんな心配ないと思います。
うちは国政報告会と称してね、地域のみなさんと話をする会をいつも設けておりますし。やはり一般の方はいろんな意見をどこへ持っていっていいかわかんないわけですから、それはやっぱり政治家に持っていくのが一番早いんですよね。それは今は、参議院選挙が事実上スタートしたかたちですので、そういう選挙の話に行った時に聞くということで、しょっちゅうやってますよ。毎週1回ぐらいは必ず開かれてます。
日本人は心優しい民族で、共同体をつくって強者が弱者を抱え上げならが、全体として前進をするというね、そういう日本の歴史、文化、伝統というのを守っていきたいというように考える政治家のひとりです」


「いや、あの、一個人の声に耳を傾けることによって、そこからそこの背景にある大きな問題取り出してね、それを法案にしていくという議員立法をしている方も自民党の中にたくさんいらっしゃいますしね。そりゃ別に必ずしも大きな団体だから話を丁寧に聞く、小さい団体、個人は聞かない。そんなことはないと思いますね。聞いた時の問題の重要性を感じるかどうか。で、だいたい重要性を感じれば当然行政だって動くわけですからね。政府のほうも動いてくるわけですから。思わぬところに波及するような問題があればそっちをきちっと手当てしてあげる、直すということで本当に狙ったことは、たぶん本当に狙ってることについては反対はないんじゃないですかね。今のお話伺って、なるほどそういうところから反対があるのかっていうことをね、知りましたけど。付帯決議の話がありましたけども、全然意図してないことが、こんな場合どうだって考えられるんであれば手を打つ。ということでそういう心配を除くことが大事ですねよ。
ま、私は別に逃げませんから。ある法案に賛成ですかって、「賛成だ」って言った以上ですね。まぁそんなに完璧に勉強していかなくっても、みなさんがほとんど賛成だって、特に私が尊敬するような、専門分野で活躍してるような議員が一生懸命走り回ってる。そういう人から話を聞いて、まぁいいな、と思ったらもうね、「いいですよ、私も賛成しますよ」って言ってしまったとする。そのうちですね流れが変わってね、みんな去って行ってしまった時に、たまたま私がたぶん残るということがあっても、私は一度名前を出したらもう変えない。というのは主義主張としてありますけど。
(苦笑いしながら)それは、もう自分たちにモノをつくる能力などないですけど。しかし、素敵な素晴らしい歌をつくる、曲をつくる、そういう人の権利が侵害されたらね、実際そういう業務に携わっている方がお話しをされるわけですからね。じゃ、そういう素晴らしい音楽をつくってらっしゃる方のね、権利を保護してあげますよ、そういう気持ちになるじゃないですかね(笑)」


「だってこのマイケル・ジャクソンというのもね、アメリカでたぶん著作権で保護されているわけでしょ。そのアメリカで売られている値段でね、日本に持ってくるわけでしょう。だったら全然著作権なんか、ちゃんと保護されてるわけだから、どんどんアメリカから輸入して日本のみなさんが買えばいいじゃないですか。
(声高に)著作権を保護するためにやっているんであってね、その音楽会社を保護するためにね、なんか法案を通してるわけじゃないですから。何の問題もないですよ。そりゃもう、著作権ってね、一生懸命、創意工夫、素晴らしい才能に恵まれたり努力しながら、われわれファンを楽しませてくださってる方の著作権というものをね、知的財産権のひとつと言われる著作権保護しようという、もう非常に誰が聞いたって、「いいじゃないか」ってところからスタートしてるわけですから。そういうことの中で問題があって、この規制したわけであって、今のようなね、アメリカでつくられた素晴らしいレコードをね、アメリカの会社から輸入する、どんどん日本に向けて輸出する。日本はそれを買う。そんなの当然日本で買えなかったらね、そりゃおかしいじゃないですか(笑)。マイケル・ジャクソンに対してだって失礼なわけでしょ」

アナイアレイター [amazon] JP

『All For You / Annihilator』
デビューから15年。通算10作目のスタジオ・アルバム。同じスラッシュ・メタルにカテゴライズされていた連中が次々と失速、あるいはシーンから姿を消す中で、見事に生き抜いたカナダの誇るバンド。事実上は、ギタリストのジェフ・ウォーターズのプロジェクトなのだが。実際、レーベルと契約してるのもジェフ個人なわけで、今回のようにアルバムを製作する時だけメンバーを集めてくるらしい。まるで、傭兵や腕に覚えのあるガンマンを束ねるアウトローのようでカッコイイ。そうしてメンバーの入れ替わりも激しいために、新しい血を取り入れて常に進化してきたことがこのバンドを存続させた大きな理由なんだろう。もちろん、ジェフ・ウォーターズの存在なくして、アナイアレイターは語れない。そして多くのファンがそうであるように、自分がこのバンドのアルバムを聴く目的はジェフのギターにある。タイム感抜群の変幻自在のリフと起伏の激しいスラッシーなサウンドのコンビネーションは、もはや匠の域に達している。この手のギターが好きな人にはたまらんはず。ほんとうっとりしてしまう(笑)。前2作のヴォーカルを務めた元オーヴァーキルのジョー・カミューがドスが利いているのに対して、新しいヴォーカル(カナダの新人)は割りとオーソドックスなタイプ。ブルータルな感じは影を潜めた反面、バラエティに富んだヘヴィ・メタルがこの新作では聴ける。曲のクオリティも悪くないし、もちろんジェフのギターもキレまくっている!