私選 長編異世界ファンタジー以外のライトノベル11選

なんとも中途半端ですが、6万PV御礼ということで。次は10万(までいくかなー……)がいいですね。

どんな選び方にするかもだいぶ迷って、こんな形にしました。これまた微妙な選択方法ですが、総合にしてしまうと、他の選び方をしたときに被る作品が多すぎるので。

まあいっそアンケートでも取ろうかと思ったんですが、誰も答えてくれないと切なくなりそうなので勝手に決めました。基本的にネガティブなので、知らないでいられる真実は知らないでおきたいんです。

いい加減内容の話に入ります。ルールは

・一人の作者に1作品
異世界ファンタジーはナシ(定義が微妙ですが)
・世間の評価は気にしない
・一応ライトノベルだと思われるものの中から選出

一応ランキングにしてありますが、よく見たらジャンルの好みでほとんど決まっているような気がするので、大して気にしなくてよいと思います。

なんで11とかまたしてもクソ中途半端な数かというと、10のつもりで並べて下から書いていったら11ノミネートしてて修正するのが面倒になったからです。数も数えられないやつのオススメなんて大丈夫なのか。

まあ、飛ばして評価だけ見るなり、ラインナップだけ確認するなり、少しでも役立てば幸いです。


11.イリヤの空、UFOの夏

言わずと知れた秋山御大の代表作。「少年と少女が織り成す、切なくておかしくてどこか懐かしいSF青春ラブストーリー」というキャッチコピーのボーイミーツガールで、内容の紹介としては極めて適切だと思います。とりあえずうまい、ひたすらうまい。ただ、読後感が結構切ないので、人によってはちょっとなあ……となる可能性があります。<評価>
日常系★★★★
コメディ★★★☆
悲劇★★★☆
友情★★★☆
純愛★★★☆
セカイ系★★☆


10. 紫色のクオリア

紫色のクオリア (電撃文庫)

紫色のクオリア (電撃文庫)

一時期アマゾンの売れ行きでものすごい高順位がなぜかついた(はずの)小説。読めば納得のクオリティでもあります。

一人の少女を救うために主人公の少女が縦横無尽に駆け巡る話なのですが、その試みのセンスオブワンダー(SFネタとして珍しいわけではないと思いますが)と疾走感が半端じゃないです。また、密度の濃さと読みやすさを同居したという意味ではこの小説も素晴らしく巧いと思います。

しかし、最も注目すべきはそのテーマ性。少女を救う試みはなぜ成功しないのか?その答えにたどり着いた衝撃は忘れられません。ストーリーが先行するタイプですので、テーマがでしゃばってくることもない、絶妙なバランスなのもいいです。

SFというと拒否感のある方もいらっしゃると思いますが(私は苦手です)、この小説は詳しい設定にはこだわらないので、安心してストーリーを追えます。<評価>
友情★★★★
無双系★★★
ビルドゥングス・ロマン★★★★
ミステリ★★★☆
テーマ性★★★★☆


9. All you need is kill

All You Need Is Kill (スーパーダッシュ文庫)

All You Need Is Kill (スーパーダッシュ文庫)

この作品は何人に薦めたか覚えてませんが、今のところ全勝しています。そういう意味ではベストセラーに近いかもしれません。

地球外生命体であるギタイに押され、着実に領土を減らしている人類。その最前線で戦う一人の兵士、キリヤ・ケイジは初出撃で死んでしまうが、なぜか意識を取り戻すとベッドに戻っている。いわゆるループものですね。

殺伐とした世界観といい、どことなく洋画っぽいシニカルなテイストといい、色んな意味でライトノベルらしくない作品です。しかし良質で密度の高いシナリオや、派手なアクションなど、「面白さ」を的確に捉えている作品ではないかと思います。<評価>
コメディ★★☆
悲劇 ★★★☆
友情 ★★★
無双系 ★★★★
ビルドゥングス・ロマン ★★★★☆
純愛 ★★★★


8. マルドゥック・スクランブル

今気づいたんですが、ここまで全部SFですね。やはりSFは心のどこかで読むのを面倒くさいと思っているんじゃないでしょうか。

世界観としてはSFなんですが、主人公の少女が殺されかける事件をきっかけとして、巨大な陰謀を暴いていくサスペンスでもあり、全てを失った少女が生きる目的を探す成長譚でもあります。これらが全て高いクオリティの元で融合している傑作です。

エンタメとしては、バトルもさることながらカジノでの読みあいがやたら熱かったりします。あと政治のパワーゲームなどのマクロ要素を存分に取り込んだ構成も、SFというトンデモない要素をうまく地に着けていたり、この小説ならではの要素がたくさんあるので、一度は読んで損はないと思います。<評価>
因果応報★★★☆
無双系★★★★
ビルドゥングス・ロマン★★★★☆
純愛★★★★
テーマ性★★★★


7.さよならピアノソナタ

さよならピアノソナタ (電撃文庫)

さよならピアノソナタ (電撃文庫)

杉井光から一作チョイスするなら、どうしてもこの作品になってしまいます。私にギターを握った原因の半分はこの小説ですからね……。

そういえばこれもボーイミーツガールです。作者得意の魅力的なキャラ、質の高いコメディ、葛藤をめぐるシリアスな展開等どこも全開ですが、最大の特徴はその音楽描写。著者が元バンドマンだっただけあって、バンドの描写がひたすら熱いです。まあ、ここまで熱くなれることはめったにないので注意が必要ですが、ってそんなことはどうでもいい。<評価>
ハーレム(受動系)★★★★
コメディ★★★★
無双系★★★☆
ビルドゥングス・ロマン★★★☆
純愛★★★★
テーマ性★★★★


6.戯言シリーズ

クビキリサイクル 青色サヴァンと戯言遣い (講談社文庫)

クビキリサイクル 青色サヴァンと戯言遣い (講談社文庫)

西尾維新から一つだけ選ぶと、どうしてもこれになってしまうんですよね。ほかのシリーズは別のランキングを作ったときに入れます。

どんな話か非常に説明が難しいのですが、ミステリの体裁をとりながら、その実テーマ性を持って延々とだべる話です(ぇ

過剰なまでに饒舌な文章や、必要以上に記号的に作られたキャラクター、没個性的な性格を目指しながらこれ以上ない個性を獲得した主人公など。西尾維新がこのシリーズで業界に与えたインパクトたるやどう説明したものか。

クビキリサイクルはミステリとしても高いクオリティを持っていますが、後の作品はジャンル分けが非常に困難です。テーマ性を持った長い会話、メタ的なテーマ性などそれこそ西尾維新ブランドとでも言った方が適切ではないかと。

個人的には、全ての読者の予想を覆したラストが素晴らしいと思います。<評価>
日常系★★★
コメディ★★★☆
友情★★★
ビルドゥングス・ロマン★★★★(誰の…?)
純愛★★★
ミステリ★★★★
セカイ系★★★
テーマ性★★★★☆


5.文学少女シリーズ

万人受けするラノベを一シリーズ選べと言われたらこれかもしれません。

一応ミステリでしょうか。一冊につき一つずつ古典の名作をテーマに事件が起きますが、それを文学少女の透子先輩が「想像」することによって誰もが予想できない結論を導き出します。主人公はワトソン君こと心葉です。

まずなんといっても構成が見事です。有名な古典を題材にした意味深なプロローグから、謎でぐいぐい引っ張っていって、なんとなく予想がついたかと思いきや最後にあっと言わせる。

これが単純にトリックを見破るようなミステリだったら特別なことではありません。しかし常に対象となる謎は人間関係にあり、それ自体がドラマになっているというのは非凡ではないかと思います。

一つ一つの話の質も非常に高いです。特に後半は主人公の成長譚にもなっているので辛い部分もありますが、シリーズ全体としての読後感は素晴らしいです。2,4巻は注意が必要ですけど。透子先輩との恋愛も必見。<評価>
悲劇★★★☆
友情★★★★
ビルドゥングス・ロマン★★★★☆
純愛★★★★☆
ミステリ★★★★★
テーマ性★★★★☆



4.アンゲルゼ

アンゲルゼ 孵らぬ者たちの箱庭 (アンゲルゼシリーズ) (コバルト文庫)

アンゲルゼ 孵らぬ者たちの箱庭 (アンゲルゼシリーズ) (コバルト文庫)

やはり須賀しのぶは外せません。ただし流血女神伝異世界ファンタジーなのでこちらをチョイス。

人類を確実な速度で侵略する「アンゲルゼ」。そのアンゲルゼと人間の戦いの間で翻弄されながらも、懸命に生きる少女の物語です。

この小説で最も感じるのは、成長を志す強い意志です。

主人公は最初何もかもを全部周りのせいにして、責任逃れしています。しかしそこから、凄まじく過酷な状況に放り込まれる。これによって、いかに自分が周囲に甘えた存在だったかを思い知らされていきます。まさしく一流のビルドゥングス・ロマンだと思います。

また傑作にふさわしい物語性の強さ=エンターテイメント性が極めて高いところも素晴らしいと思います。<評価>
悲劇★★★★
友情(親愛)★★★★
ビルドゥングス・ロマン★★★★★
純愛★★★★
セカイ系★★★☆
テーマ性★★★★★


マリア様がみてる

マリア様がみてる 1 (コバルト文庫)

マリア様がみてる 1 (コバルト文庫)

シリーズ総合の評価です。

簡単に言えば、主に山百合会と呼ばれるリリアン女学院の生徒会メンバーを中心に描いた学園物です。

何回もいっていますがこれは友情、信頼と成長の物語です

一冊一冊は、ありえないくらい読みやすくて驚くとは思いますが、話がそれほどドラマチックなわけではありません。洗練はされているものの、むしろ日常系と呼ばれる、ゆったりしたやさしい世界の話に感じます。

しかし詳しくはこの辺で述べたとおりですが、長くて、大半は大きな事件も起きず日常の話をしているように感じるけれども、それこそが信頼が説得力を持つ根拠となります。

そして積み上げが大きくなってきたとき、この話は真価を発揮します。もう一挙手一投足が愛おしくてたまらなくなりますよ。うそだと思うなら読んでみてください!

とりあえず今野マジックと呼ばれる文章に触れる意味でも、一度は手に取った方がいいと思います。<評価>
日常系★★★★☆
友情★★★★★
ビルドゥングス・ロマン★★★★★
テーマ性★★★★


2.犬憑きさん

犬憑きさん 上巻 (スクウェア・エニックス・ノベルズ)

犬憑きさん 上巻 (スクウェア・エニックス・ノベルズ)

知る人ぞ知るのか、普通に有名なのかいまいち判断できないのですが、唐辺葉介からはこの一冊を。

管狐や蟲毒など、オカルトものを題材にした……なんだろう、ほんの紹介をパクって来ると「女子高を舞台に陰で巻き起こるオカルト事件と、異端の犬憑き少女「楠瀬歩」の活躍を描く学園怪奇小説開幕」ということなんですが、これで説明できているかというとかなり心もとないです。まあジャンルとしては比較的間違いないですが、多分話の印象は全く違います。

まず感じるのは圧倒的なリアリティ。別にファンタジーであることははっきりしているはずなのに、触れられそうなほどはっきりと人物を感じると思います。姿かたちなどの描写が優れているというより、その描き出す内面によってです。

また特徴として、ほとんど一貫しているテーマ性が挙げられると思います。私が薦めてきた限りでは、好きな人はたまらなく好きだし、分からない人はさっぱり分からない類のもののようですので、この辺がメジャーにならない原因かもしれません。いや、私は大好きなのでいいんですが。

ただし、この作者を知らない人は注意した方がいいと思います。表紙からは全く想像できないほど残酷な話が冒頭から繰り広げられるので、覚悟して読まないと壮絶にショックを受ける可能性が大です。<評価>
因果応報★★★★★
親愛★★★★
ミステリ★★★
テーマ性★★★★★

1.ソードアート・オンライン

ソードアート・オンライン1アインクラッド (電撃文庫)

ソードアート・オンライン1アインクラッド (電撃文庫)

貫禄の一位。これ以外はありえませんでした。

フルダイブ型MMORPGのデスゲームものといえばまあ通じる人には通じると思いますが、なにせいろんな要素がてんこ盛りで説明しづらいので、公式の紹介に譲ります。

クリアするまで脱出不可能、ゲームオーバーは本当の“死”を意味する―。謎の次世代MMO『ソードアート・オンライン(SAO)』の“真実”を知らずにログインした約一万人のユーザーと共に、その苛酷なデスバトルは幕を開けた。SAOに参加した一人である主人公・キリトは、いち早くこのMMOの“真実”を受け入れる。そして、ゲームの舞台となる巨大浮遊城『アインクラッド』で、パーティーを組まないソロプレイヤーとして頭角をあらわしていった。クリア条件である最上階層到達を目指し、熾烈な冒険を単独で続けるキリトだったが、レイピアの名手・女流剣士アスナの強引な誘いによって彼女とコンビを組むことに。その出会いは、キリトに運命とも呼べる契機をもたらし―。個人サイト上で閲覧数650万PVオーバーを記録した伝説の小説が登場。
(電撃より転載)

完成されたエンターテイメント、高いテーマ性。この辺でもなんか世迷いごとを言いましたが、とにかく傑作です。

確かに、6巻までは「ありがち」という批判をかわすことは難しいかもしれない。例え現在では新しいプロットなど完全には存在しえないとしても。しかしそれ以降に潜行していくテーマ性を考えれば、その主張もむなしいものだと思います。

これに関してはアニメじゃダメです。原作を読まないと。やはり一人称の小説はアニメでは良さを伝えにくいんでしょうか。<評価>
ベタ甘★★★★
親愛★★★
無双系★★★★★
ビルドゥングス・ロマン★★★★☆
純愛★★★★☆
ハーレム(能動)★★★★
ミステリ★★★★
テーマ性★★★★★

                                                          • -

どんなものでしょうか。賛否あると思いますが、あくまで私見ですので、大して重ならなくても気にしない方がよいと思います。

星の数も適当ですし。イマイチ評価が固まりきっていないので。

まあ冒頭に書いたとおり、これを読んだ方のラノベライフの、何がしか足しになればいいなあと思います。

ここまで読んでくださって、ありがとうございました。

また遅刻・一週間休みます

予想以上に大変でした。ラインナップ自体は速攻で決まったのですが、いざ記事にするとなると。二度とやりたくないような、けどまた紹介したくなるような。とりあえず土曜日のはずが遅くなってすいません。

明日から諸事情により1週間ほど更新をお休みします。多分次はまた日曜日です。

ランキングとはなにも関係ないのですが、なんとなくいいタイミングだったと思います。

よろしくお願いします。