並木空の記憶録

「紅の空」の管理人2の備忘録

重要なお知らせ

お知らせ

 サービス終了につき、はてなダイアリーからはてなブログに引っ越しました。
 日記の新しいURLはこちらになります → https://lan-tian.hatenablog.com/

サイト移転しました

 こちらもサービス終了につき、サーバー移動しました。
 今後は新しいURLの方のみの更新になります。
 新URLはこちらになります → http://one.chips.jp/k-sora/

無国籍FTのセルフパロ『フラクタル』の樋口華蓮『ピアノ』を更新!

フラクタル』を更新しました。

 このシリーズは無国籍FTの登場人物が、「もしも学生だったら?」という“if要素”で構成されているセルフパロです。
 そのため、登場人物の名前が日本人離れしています。
 また本編の関係性や生育環境は、アレンジして持ち込まれています。
 ※本編である無国籍FTは、WEB未発表です。


 フラクタルの総目次ページはこちら。
 https://one.chips.jp/k-sora/s-fractal.html


 『ピアノ』樋口華蓮 三年生・一学期
 https://one.chips.jp/k-sora/s-fractal20.html


 畠山楽瑠と緒方和歩のエピソードもちらりと出てきます。


 楽瑠だと
 『気にしてくれる人がいるのは、幸福なことだよ』
 https://one.chips.jp/k-sora/s-fractal04.html


 和歩だと普通科(理系進学コース)に在籍している理由がちらりと出てきます。


 早川綺月→高尾芽生の要素や鈴本琳の話題も持ち上がっています。
 さらりとですが、北条夜来の話題も出てきます。


 読めばわかる通り、一応のところ樋口華蓮×北条柚香です。
 『フラクタル』の前身である『天上の聖園』では一番事件にかかわってきたカップリングです。
 今回は、樋口華蓮視点で『説明係ありがとう』の回です。


 ルビを振っておらず名前が出てきたキャラクター。
 樋口海(ひぐち・かい) 華蓮の父親 会社員(大学時代に繭の数学の家庭教師でもあった)
 樋口繭(ひぐち・まゆ) 華蓮の母親 専業主婦(安在グループ総帥の一人娘だったが事情により、駆け落ちという名の家出を海に手伝ってもらっている)
 安在蘭(あんざい・らん)華蓮の義理の叔母(華蓮の叔父である人物とは同い年であり、微妙な関係にあった)

WEB拍手、ありがとうございます!

 拍手、ありがとうございます♪
 パチパチっと拍手があって嬉しかったです。

転載『執行猶予の向こう側』

『学園もの』に入っている『執行猶予の向こう側』を転載しました!

 幼なじみの少女チルハを自転車の荷台に乗せて、ケースケはペダルをこぐ。
 ケースケよりも3倍は高性能な生まれたときからの幼なじみは暴君だった。
 それでも満開の菜の花畑の中、ケースケはチルハに付き合い続ける。
 たとえ受験勉強の最中であっても。
 いつの日か、チルハの望みを叶えられるのではないか、そう期待しながら。



 ジャンルとしては、現代ものです。
 視点人物のケースケが高校生なので。
 初出が2007年なので、令和といられると困りますが、平成の青春ものです。
 サイトでは恋愛ものにカウントしていますが、ヒューマンドラマや文芸に近く、高校生時代の一ページみたいな短編小説になっています。
 サイトに公開した時の後書きにも書いていますが、現代ものなので、ハッピーエンドかバッドエンドかは読み手にゆだねる作品です。
 また二人が大人になり、パートナーとしてお互いを選択をするのかどうかは、作者である並木空は語らないで終わらさせていただきます。


 『紅の空』版
 https://one.chips.jp/k-sora/kikaku-haru.html
 『小説家になろう』版
 https://ncode.syosetu.com/n2697ix/
 『カクヨム』版
 https://kakuyomu.jp/works/16818093075616377230/episodes/16818093075616550760


 ページ構成は違うものの、一文字一句同じものが載っているので、読みやすい場所でお読みください。


 桜が散る前に公開したかったんですが、ドタバタしていたら間に合いませんでした。
 申し訳ございません。

WEB拍手、ありがとうございました!

 拍手、ありがとうございました!
 パチパチっと嬉しかったです♪

『菫青石の姫君は先見の王子の羅針盤になる』サイト公開しました!

『菫青石の姫君は先見の王子の羅針盤になる』



 サイト公開をしました。
 第一部・完。
 という状態なので、長編の連載中のカテゴリーに入っています。


 『黄金の左目』の外伝ではありますが、これからは単独で更新していこうと思います。


 略称は『王子の羅針盤』となります。


 『小説家になろう』ではあった誤字脱字誤変換は、できるだけ訂正しました。


 パソコンで閲覧するのを想定して、CSSを組んだので、スマートフォンなどで閲覧している方で、データー通信料を使いたい放題にしていないと、若干、重たいと思います。


 知識のある方は、スタイルシートを切ってください。
 また、その手の知識のない方は『小説家になろう』に作品が全部、掲載してあるので、そちらで読むのも良いかもしれません。


 『小説家になろう』版はこちら。
 https://ncode.syosetu.com/n5618io/


 『紅の空』の『王子の羅針盤』の総目次ページはこちら。
 https://one.chips.jp/k-sora/s-iolite.html

WEB拍手ありがとうございます。

 たくさんの拍手をありがとうございました!
 とっても嬉しかったです♪

『鳥たちの見た夢』番外編「想い出の輪郭」をUP!

『鳥たちの見た夢』番外編「想い出の輪郭」をUPしました!

 本日3月21日で、サイト開設19周年目を迎えました。
 記念すべき日ということで、サイト開設当時から未だに連載が終わらない中華風ファンタジー『鳥たちの見た夢』の番外編をUPしました。


 時間軸は建平元年。
 シ・ソウヨウが南城の城主時代で、フェイ・ホウチョウと再会前です。
 本編第32章から第34章辺りです。
 『第三部 十六夜公主と計略の奇才』の序盤でしょうか。
 シ・ソウヨウが後の字になる二つ名『白厳』を得てからの話になります。


 『鳥たちの見た夢』総目次ページ
 http://one.chips.jp/k-sora/s-toriyume-00.html


 原稿用紙換算7枚の短い話とはいえ、途中にソウヨウが回想するシーンが入るので、それなりにほのぼのしているはずです!
 フェン・ユウシが後半に出てくるので、血なまぐさいシーンは一切、入っていません。
 作者的には『戦場に咲くタンポポ』扱いのキャラクターなので、ソウヨウとの絡みで出てくる場合は、内容はともかくとして日常風景です。
 全国にどれだけいるのかわからないユウシ、ファンの皆さまへの還元です。
 ソウヨウが大司馬になってからは『お友だち』の中でも登場シーンが少なくなっていくキャラクターなので、スミマセン。

フェン・ユウシについて

 ユウシの日常話を番外編で書いてもいいのですが、リクエストが全くないので見送られています。
 他のキャラクターの方がリアルでも、書いて欲しいと言われるので、このままだと本編どころか番外編でも登場シーンが限られてきそうです。


 ユウシは本人が気がついていないだけで、白鷹城の女官さんたちにモテたりしています。
 大出世している&性格が温厚で嫌味のない爽やかさ&恋人がまだいない&チョウリョウの民の平均的な外見。
 父親であるモウキンが愛妻家であり、子宝にも恵まれていて、ユウシ自身も都に帰還してからは、家族に頻繁に会いに行っています。
 旦那さんにするなら、ピッタリってことですね。
 だからこそ『鳥たちの見た夢』では、人気が今ひとつの男性キャラクターだとも言えます*1

番外編について

 逆説的に言えば、リクエストがあって、締め切りが無期限なら、作者は書くということですね。
 その代表例が『外伝・碧桃の花精』なわけでして。
 書けと言われなければ成立しなかったカップリングでもあります*2
 恋愛に限らず、友情や主従関係や、キャラクターの過去編とかでもリクエストがあれば、時間が許す限りに書きたいと思います。
 これはサイト内の他のハッピーエンド済みの作品であっても変わらないので、短いお話で良ければ書きます。

WEB拍手ありがとうございます!

 パチパチっと嬉しかったです♪
 特に拍手にはお礼がないので拍手をいただけただけでも飛びっきりの気持ちになります。

今後の更新予定

 さすがに3月の更新はこれが最後です。
 このblogに流された小話をまとめるのは、もう少し先になります。
 『フラクタル』の灯影×春晏は区切りが悪すぎるので。


 4月は『学園もの』から『小説家になろう』と『カクヨム』への転載予定です。
 『菫青石の姫君は先見の王子の羅針盤になる』の素材を作って、サイトにも公開予定です。


 『フラクタル』の樋口華蓮の視点の新学期を発表予定です。
 サイト内では、かすりもしていないキャラクターですが、WEB未発表の『フラクタル』の元ネタになった無国籍ファンタジーの『天上の聖園』でやたらとキーキャラクターになっているのです。
 楽瑠×好貴がまとまったのも、華蓮がいたからですし。
 『天上の聖園』でも灯影×春晏に陰を落としています。
 華蓮の関わったエピソードがかなり大きいんですよね。
 セルフパロの『フラクタル』でも三年生ということもあって、いくつかの事件に関わってきています。
 華蓮の恋愛話を書いちゃうと、他の連載作品を放棄する結果になるので、自重します。


 とりあえず現在連載中の作品を完結済みにするために頑張りたいんですが、浮気がしたくなるという悪癖が。
 今流行りの悪役令嬢ものの斜め上をいく異世界転移ものとか、契約結婚とか、微妙に書きなぐられています。

*1:癖のあるキャラクターほど人気があるんですよね

*2:シャン・シュウエイのサイト内でもリアルでも人気が高く、書いて欲しいと言われ続けたので、初期稿からだいぶプロットを変えてサイトに公開されました

『闇の王は光の花を愛でる』の転載

神話風異世界ファンタジー『闇の王は光の花を愛でる』

 『アンソロ光』WEB企画
 clew09.web.fc2.com
 主催の綿津見さんに公募した作品です。
 リンク先でも閲覧ができます。


 すでにオリジナル小説サイト『紅の空』には短編小説として掲載されいています。
 また『小説家になろう』にも転載しています。
 この度『カクヨム』にも転載したのでお知らせです。


 『紅の空』版
 https://one.chips.jp/k-sora/s-light01.html


 『小説家になろう』版
 https://ncode.syosetu.com/n0854fr/


 『カクヨム』版
 https://kakuyomu.jp/works/16818093074040266151/episodes/16818093074041073936


 春分の日、ということで、ほのぼの寄りのシリアスです。
 全年齢対象なのでご安心してください。
 乙女向けのラノベですが、あいかわらず流行には乗っていない感じです。

【現代もの】言えなかったひとこと

学園ものにまとめました。

 pixivの公式企画『執筆応援プロジェクト~言えなかったひとこと~』に投稿した作品のうち2作品をサイト内にUPしました。
 舞台は『高校時代』です。
 ハッピーエンドではないので要注意です。

 
 サイト内の『学園もの』の総合ページ
 https://one.chips.jp/k-sora/s-cl.html


 オリジナル小説サイト『紅の空』indexページ
 http://one.chips.jp/k-sora/index.htm


 一作目の『delicate pleasure』は、本来サイト内のカテゴリーなら『学園もの*1』なんですが、そこに入れてしまうと後々、大問題になるので、見送りました。
 関連作品*2があるので、そちらのページに後日*3、もぐりこませます。
 閲覧をしたい方はpixivに行くか、小説家になろうに行ってください。
 スミマセン。

並木空のバインダーを微調整

 長編小説の完結済みに『小説家になろう』さんのアイコンを設置しました。
 アイコンをクリックすれば、『小説家になろう』さんの作品の総合ページに飛ぶことができます。
 外部なので『別窓設定』になっています。
 長編小説で完結済みの作品ページはブラウザやOSによっては大幅な表示崩れをする上に、スタイルシートを切らない限り、並木空が見せたい用にページを装飾しているので、重たい&読みにくい設定になっています。
 アカウントをお持ち&スマートフォンなどで閲覧している方は『小説家になろう』さんで閲覧する方が、ストレスが軽減すると思います。


 短編小説でも問題のない作品は『小説家になろう』さんに転載しているので、気になる方はどうぞ。


 『小説家になろう』さんの並木空のページはこちら。
 https://mypage.syosetu.com/5632/

無事(?)に『菫青石の姫君は先見の王子の羅針盤になる』が落選したのでサイト内にページを作成したいと思います。

 twitterでは長ったらしいタイトルに管理人が耐えられなかったので『王子の羅針盤*4』という略語を作りました。
 進捗はボチボチ呟いていたように、それなりに第二部に向かって頑張っています。
 誤字脱字だらけでも、先に読みたい方は
 https://ncode.syosetu.com/n5618io/
 こちらをどうぞ。


 これからバナー素材や目次ページの素材を製作して、作品用のCSSを組むので、お時間はかなりいただきます。

次回、更新日は3月21日を予定しています。

 サーバーの影響で移転をしましたが、サイトを開設して19周年目になります。
 今年こそは、サイト開設記念日をお祝い(?)したので、番外編で短いお話になりますが『鳥たちの見た夢』でソウヨウが視点人物の話をUPする予定です。
 時間軸はシ・ソウヨウの南城の城主時代であり、フェイ・ホウチョウとの再会前です。
 リアルは春なのに、舞台は春じゃなくて申し訳ないです。
 推敲は何度もしたので、誤字脱字誤変換はない……と言い切りたいところです。

WEB拍手ありがとうございます。

 拍手、ありがとうございます!
 ドタバタしていますが、管理人たちは元気にやっています♪
 応援、ありがとうございました!!

*1:学生中心の読み切り作品

*2:場点記号でお察しくださると助かります

*3:今年中には、と約束したいところですが無理かもです

*4:第一候補は検索しまくったら、すでに使われていたので諦めました

本日の更新

pixivの公式企画『執筆応援プロジェクト~言えなかったひとこと~』投稿しています。

 公式テーマの通り『言えなかったひとこと』です。


 青春と呼んでも良いような高校生時代を思い出す男性視点です。
 台詞のみの台本形式を目指したのですが、最後に伏線を回収しきれなかったので、モノローグが入っています。


 高校生という多感の時期に男女の間に友情は成立するのか。


 過去の二作と違うのは、恋ではないことです。
 なので、お気をつけて閲覧をしてください。


 彼女の台詞の間の端々にあるように、彼女は様々な問題を抱えており、今の社会(令和6年)だということを考えると、デリケートな話題を二人は話しているので、保険のためにR-15のタグを入れました。
 恋愛(性愛)表現のレイティングではありません*1


 企画に三作を無事に投稿することができたので、後日、サイトの方にもまとめて入れます。
 おそらく『学園もの』に入れることになると思います。

三作目 普通になりたかった彼女と何もできなかった俺

 pixiv版
 www.pixiv.net


 小説家になろう
 https://ncode.syosetu.com/n3416ir/

WEB拍手ありがとうございます!

 拍手、ありがとうございます!
 とっても嬉しかったです。

*1:サイトに置いてある『人の影』の設定と同等かそれよりはマシな現代社会の話です

【セルフパロディ】卒業【フラクタル】

卒業

フラクタル』から岡崎灯影(おかざき・とうえい)→古賀春晏(こが・しゅんあん)。
 今回は、春晏の同学年であり、親友の関根舞紀(せきね・まき)が初登場。


 灯影や美澪の本職について伏線を張ってしまいましたが、リアルタイムでホワイトデーまでに回収しきれるような余裕はないので、お待たせする形になると思います。
 WEB掲載前から決まっていて、キャラクター設定にはちらりと書いてありますが。
 しかも二人は未来編の登場人物なので、現・執行部役員から三名ほどネタバレになっている設定が書かれています。 


 このシリーズは無国籍FTの登場人物が、「もしも学生だったら?」という“if要素”で構成されているセルフパロです。
 そのため、登場人物の名前が日本人離れしています。
 また本編の関係性や生育環境は、アレンジして持ち込まれています。
 ※本編である無国籍FTは、WEB未発表です。


 フラクタルの総目次ページはこちら。
 フラクタル 【無国籍FT学園パロディ】


 『ヴァレンタインデー』の続編です。
 【セルフパロディ】ヴァレンタインデー【フラクタル】 - 並木空の記憶録


 レミオロメンではありませんが『3月9日』に更新したかったのです。
 3月9日 レミオロメン 歌詞情報 - うたまっぷ 歌詞無料検索

 卒業式の後、古賀春晏は呼び出されたのだ。
 しかも人気のない高等部の校舎裏。
 相手は在校生代表で、送辞を見事に読み上げた岡崎灯影だった。
 手元に送辞用の紙は用意してあったものの、一度も目線を落さずに卒業生を見ながらスピーチをしたのだ。
 次期生徒副会長にふさわしく。
 今日ばかりは制服を着崩すことなく、堂々と振る舞っていた。
 図書室と家まで送っていく帰り道までしか知らない春晏にとって引っかかりまくる状態の卒業式ではあった。
 親友であり、同じ大学部に上がる関根舞紀は普通に眺めていたけれども。
 在校生から贈られた一輪のスイートピーを手に持ちながら、呼び出された場所に春晏は向かった。
 わがままな後輩は何を言うするつもりだろうか。
 まさかネクタイが欲しい、とか言い出さないことを祈る。
 が、幼稚園舎からいるのだ。
 しかも生徒会役員なのだ。
 その伝統を知らないとは思えない。
 だいぶ昔からあるジンクスだ。
 詰襟の学生服だったら第二ボタンというところだろう。
 明智学院では学年カラーのネクタイを卒業生が在校生に渡すのだ。
 高等部を卒業してしまえば、ネクタイも不要なものだ。
 自分の分身として締め続けたネクタイを手渡すのだ。
 恋の告白として。
 一般的には男子生徒から女子生徒に手渡すのだろう。
 あるいは同級生同士だったら、交換することもあるらしい。
 しかもネクタイには首を絞める形状から「あなたに首ったけで夢中です」という意味もある。
 指定をしてきただけあって、灯影は先についていた。
 春とは名ばかりの風が吹いていた。
 あいかわらず機嫌よく微笑んでいた。
「卒業おめでとう。シュン先輩。
 渡したいものがあったから呼び出したんだ。
 やっぱりシュン先輩は真面目だね。
 来ない、って選択肢だってあったのに」
 灯影は言った。
「それで何の用なの?」
 春晏は緊張しながら尋ねた。
「卒業祝いと、ホワイトデーの約束を取りつけに。
 まずはこれ」
 灯影は手にしていた白い封筒と一輪の花を差し出した。
 綺麗にラッピングされた花はピンクのガーベラだった。
「ありがとう。
 綺麗な花ね」
 春晏は受け取った。
 卒業生用に配られたスイートピーも悪くないものだったが、センスが段違いだった。
 ラッピングペーパーも、つけられたリボンも、花の鮮度も。
 明らかに高そうだった。
 花屋で並ぶような花ではあったからこそ、違いが見せられたようだった。
「……シュン先輩が気に入ってくれたならいいけど。
 美澪が選んだんだ。
 俺がシュン先輩に渡すなら、これぐらいがいいって。
 腕前だけならいいし、俺よりも花に詳しいからさ」
 灯影は微笑んだまま言った。
 悔しさや不快さが混じっていそうな発言だったが、その口調はいつも通りのわがままで穏やかな物腰だった。
「橘くん、お花屋さんでもしているの?」
 春晏は疑問に思った。
「そう大きなお花屋さん。
 おかげで、縁ができちゃったけど。
 しかも高校に入ったら、同じ生徒会役員に選ばれるとか運がないとしか思えないよ。
 卒業どころか、一生に渡って縁が切れなさそうだし」
 灯影は自然と言った。
 どんな関係なのだろうか、と突っ込みたくなかったが、当人がいない場所で訊いてはならないだろう。
 第一、岡崎灯影という人物も一部しか知らないのだ。
「この封筒は開けてもいいの?
 それとも持ち帰った方がいいの?」
 とりあえず春晏は尋ねた。
 ラブレターの類ではなさそうだ。
 それに呼び出しておいてラブレターを渡すとは思えない。
 わがままな後輩だったら、ストレートに恋の告白をしてくれそうだ。
 ……いつものように、軽いノリで。
「シュン先輩が好きな方で。
 確約してくれるなら、持ち帰ってもいいよ」
 灯影は言った。
 嫌な予感がしたので、春晏は開けることにした。
 封筒の中から出てきたのは遊園地のチケットと白いメッセージカードだった。
 メッセージカードには整った筆跡で『古賀春晏先輩。卒業おめでとう。今までありがとう。岡崎灯影』と書かれていた。
 初めて見る灯影の筆跡だったが、国語の教師が書いたように整った見事な楷書体で書かれていた。
 しかも鉛筆やシャープペンシルやボールペンで書かれたものではなかった。
 深みのある微妙に色がにじんだインクだった。
 一般的なブラックでも、ブルーブラックでもなかった。
 微妙に赤みのあるインクだった。
 万年筆で書いたのだろう。
 この手の筆記用具を持たない春晏であったが、高級そうなのはわかった。
 そして意味がわからない数字が羅列していた。
 暗号を出されても困惑するしかない。
 携帯電話も普及していなかったポケベル世代なら解けるのだろうか。
 それともミステリー好きなら理解ができるのだろうか。
「ホワイトデーに遊園地に制服デートをして欲しいんだ。
 だから、きちんと制服を取っておいてね」
 灯影は言った。
「え?」
 春晏は訊き返してしまった。
「だって、遊園地で制服デートなんて、いかにも高校生っぽくない?
 シュン先輩卒業しちゃうからさ。
 ちょっと早い俺の誕生日だと思って付き合って欲しいんだ。
 女の子にお金を出させる真似はしないよ。
 イチゴポッキーをもらったホワイトデーのお返しだからね」
「思い切り、釣り合いが取れてないんだけど?」
 春晏は言った。
 イチゴポッキー1箱と持っているピンクのガーベラですら、対等でなさそうなのだ。
 その上で、遊園地のチケットまで貰っているのだ。
 幼稚園舎からいる上に、生徒会役員に選ばれた岡崎灯影。
 公立の高校に通うよりも安く、手厚いフォローが待っていると知っていて高等部から入学した古賀春晏。
 それぐらいにはかけ離れた存在だった。
 もし、あの日、春晏がイチゴポッキーが入っている自動販売機に行かなければ、出会うはずもない二人だった。
 そして春晏が内申点を上げるために三年間、図書委員会に在籍して、灯影が無類の本好きではなければ、成立しない関係で居続けたのだ。
「シュン先輩って本当に奥ゆかしいね。
 お金はあるところから出させるものだよ。
 消費行動に移さない限り、経済というものは停滞するのだから」
 灯影はあっさりと言った。
「使うな、とは言ってないわよ。
 無駄遣いをしないように、って言っているのよ」
「俺がシュン先輩にかけるお金は無駄遣いじゃないよ。
 それに親のお金に手を出したわけじゃないし。
 自分で稼いだお金を使って、どこが悪いの?
 労働をして、対価として貰ったお金だったら、使い道は個人の自由でしょ?」
「バイトでもしたの?」
 春晏は尋ねた。
 どうにもイメージとは食い違うが、バイトが禁止されているような学校ではない。
 社会的な教育の一環として、届けさえ出して、違法性のない職場だったら、認められていた。
 むしろ、学校側から斡旋してくることもある。
「本業だよ。
 むしろ高校生やっている方が不自然みたいだね。
 少なくとも、俺のことを岡崎って呼ぶような人は時間の無駄とか言うし」
 灯影は言った。
 春晏にはついていかない世界だった。
 生徒会役員としてかたわらで、会社を立ち上げた先輩がいなかったわけじゃない。
 高等部に入学前からWEB上で作品を書き続けて、すでにプロの小説家だった先輩がいなかったわけじゃない。
 すでにアイドルとして活躍していて、音楽科に在籍した先輩がいなかったわけじゃない。
 だが、しかし。
 高校に通うのが無駄と言われるような人材は生徒会役員いなかったはずだ。
 この時代だ。
 大学ぐらいは卒業しておきなさい、という暗黙のルールがあった。
「俺への最後の記念だと思って、遊園地デートして欲しいんだ。
 これでシュン先輩に付きまとうのを辞めるからさ。
 ただの先輩と後輩だったからね。
 こういう言い方するとシュン先輩って同情心が豊富だから、きっと頷いてくれそうだけど。
 ほら、俺って可哀そうな感じに響くでしょ。
 客観的に見ても、まあ、それなりに可哀そうみたいだけど」
 灯影は微笑んだまま言った。
 桜が散るように。
 儚いまでもの空気で微笑んだままだ。
 春晏は言葉に詰まってしまう。
 貰ったばかりの花を握りしめてしまう。
「ありがとう、シュン先輩。
 俺にたくさん想い出をくれて。
 楽しい一年だったよ。
 だから、これで最後のわがまま。
 ……関根先輩も待っているようだよ」
 灯影は言った。
 春晏が振り向くと舞紀が立っていた。
「関根先輩、古賀先輩をお借りして申し訳ないです。
 お二方、ご卒業おめでとうございます。
 ご活躍とご健康をお祈りしています」
 灯影は微笑んだまま卒なく言った。
 次期生徒会副会長にふさわしく。
「ありがとう、灯影くん。
 じゃあ、シュン行きましょう」
 舞紀が言った。
「う、うん」
 途惑いながら、春晏は親友についていった。
 きっと、岡崎灯影は微笑んだまま、見送っているに違いない。
 そう確信しながら、三年間通った校門を出た。
「どうしての? シュン」
 舞紀が尋ねた。
「ちょっとだけ……。
 ピンクのガーベラって、どんな花言葉があったのかなって」
 春晏は親友を見上げた。
 小柄なせいか、標準的な身長の舞紀と目線を合わせようとすると見上げるはめになる。
「シュンの方が詳しいんじゃない?」
「思い出せなくって」
 困ったように春晏は言った。
「そうね。
 その花、灯影くんに貰ったの?」
 舞紀が携帯電話をいじりだす。
「うん」
 春晏は頷いた。
「あら、情熱的。
 ほら」
 舞紀が見せてくれた検索結果に春晏の瞳は釘付けになる。
 『崇高美』と書かれていたからだ。
 春晏は持っていった花を落しそうになる。
 深い意味はない、と思いたいけれども、会話の流れから言って無理がある。
 揶揄うために、贈った。
 その線を考えても、無理があるだろう。
 どうしていいのか春晏にはわからなかった。

WEB拍手、ありがとうございます!

 拍手、とっても嬉しいです!

本日の更新

pixivの公式企画『執筆応援プロジェクト~言えなかったひとこと~』投稿しています。

 公式テーマの通り『言えなかったひとこと』です。


 国語の古典が好きな高校生の女の子の視点で、片思いをしていた彼への想いです。
 卒業までの残り時間に、告白するか決めかねている。
 そんな幸せな片思いの時間です。
 放課後の短い一幕です。

二作目 三十一文字の想い

  pixiv版 
 www.pixiv.net


 小説家になろう
 https://ncode.syosetu.com/n1815ir/

WEB拍手ありがとうございます!

 パチパチっとありがとうございました♪

現代もの短編小説について

pixivの公式企画に参加中です。

 www.pixiv.net
 公式企画「執筆応援プロジェクト~言えなかったひとこと~」に参加中です。
 期間中に三作は投稿する予定です。


 現代ものですが、テーマは「言えなかったひとこと」なので、恋愛が絡んだり、親愛が絡んだりはしますが、「片思い」している話ばかりです。
 青春の一ページというところでしょうか。
 三作とも高校時代にターゲットが絞られています。


 更新時間にズレが生じますが『小説家になろう』でも転載しています。
 pixivにアカウントをお持ちのお方、小説家になろうにアカウントをお持ちの方は、どうぞ~。
 サイト『紅の空』には後でまとめます。

一作目 delicate pleasure

  pixiv版 
 www.pixiv.net


 小説家になろう
 https://ncode.syosetu.com/n0752ir/

WEB拍手ありがとうございます!

 拍手、ありがとうございました♪

中華風長編ファンタジー『鳥たちの見た夢』番外編、更新!

『鳥たちの見た夢』番外編『立ち去る春の宵』を更新しました!

 本編が開始される前の時間軸です。
 主人公のソウヨウが鷲居城へ来る前の作品となっています。
 同じく番外編である『鴛鴦婚』が前提の作品なので、興味のある方は、そちらを先に読んでください。


 作品の性質上、本編である『第四部 邂逅』が読了前提になっています。
 大きなネタバレが過分に含まれているので、お気をつけください。


 鳥陵を支える重鎮中の重鎮。
 人臣の極めについた宰相、翼・燕雀。
 そのただ一つの『恋』。
 鳥たちの名を持つ者たちがする運命の『恋』とは、その喪失すら甘美な痛みだという――。



 視点人物は本編開始には故人となっています。
 ある意味『鳥たちの見た夢』を読むにあたって、タイトルを回収する人物であり、この番外編は主人公のソウヨウも直面する未来でもあります。
 未来を夢の形で知ってしまう斎姫に『恋』をした男性の一つの結果でもあります。


 『鳥たちの見た夢』総目次ページ
 http://one.chips.jp/k-sora/s-toriyume-00.html


 イメージ曲
 【二胡】春よ、来い / 春天哟 来吧【中国語歌詞】 - YouTube
 youtubeへのリンクになっています。
 名曲の二胡による中国のカバーになっています。

WEB拍手、ありがとうございました!

 パチパチっと拍手、ありがとうございます!
 とっても励みになっています。

【セルフパロディ】ヴァレンタインデー【フラクタル】

ヴァレンタインデー

フラクタル』から岡崎灯影(おかざき・とうえい)→古賀春晏(こが・しゅんあん)。


 このシリーズは無国籍FTの登場人物が、「もしも学生だったら?」という“if要素”で構成されているセルフパロです。
 そのため、登場人物の名前が日本人離れしています。
 また本編の関係性や生育環境は、アレンジして持ち込まれています。
 ※本編である無国籍FTは、WEB未発表です。


 フラクタルの総目次ページはこちら。
 フラクタル 【無国籍FT学園パロディ】


 『最低のクリスマス・イブ』の続編です。

 2月に入れば三年生といえども自由登校だ。
 それでも古賀春晏は律儀に図書当番をしていた。
 推薦で大学部に入学できたのも大きい。
 学費が同じなのに、勉強をしないのはもったいない。
 そう思うぐらいには貧乏性なのも拍車をかける。
 結局は、卒業式の間まで、ごく普通の公立高校のようにびっしりと単位をとってしまった。
 毎日のように制服を着て、登校していた。

 2月14日

 ヴァレンタインデーだ。
 こんな日に図書室に来るような人物はいない。
 そんな例外が勢いよく図書室のドアを開いた。
 どこからそんな熱意があるのだろうか。
 まったくもって理解ができない後輩が当たり前のような顔をして、春晏に言った。
「シュン先輩、チョコをちょうだい」
 一年生の岡崎灯影は言った。
「そんなもの用意しているわけないでしょ」
 春晏はためいきをついた。
「じゃあ、今から用意してよ」
 わがままな後輩は言った。
「義理チョコだって、それなり手間がかかるのよ。
 ちょっと高めのチョコを選んだり、ラッピングしたりって」
 春晏は呆れる。
 生粋のお金持ちにはわからない感覚だろう。
 そもそも義理チョコの概念がわかっているのだろうか。
「イチゴポッキーでいいから」
 甘党な後輩は笑顔で言った。
 強引に連れて行かれたのは、二人が出会った場所の自動販売機の前だった。
 幸いなのだろうか。
 それとも悪運なのだろうか。
 お菓子の入っている自動販売機は、きちんとチョコレート菓子が並んでいた。
 春晏は諦めて、自動販売機に小銭を入れてイチゴポッキーのボタンを押す。
 ガコンっと、音を立てて箱は落ちてきた。
「シュン先輩が言った通り、たくさんの人が俺の名前を呼んでくれたよ」
 どこか遠い目をして灯影は微笑んだ。
 まるで冷たい2月の空気に溶けてしまうような、存在感のなさだった。
 自分のことなのに、他人事のような顔をして微笑んでいる。
 春晏の胸がチクリっと痛んだ。
 卒業が近いから、感傷的になっているのだろうか。
 気を取り直して春晏は、自動販売機からイチゴポッキーを取り出す。
「こんなの今年はたくさんの人からもらったでしょう。
 好きな物を新聞部のインタビューでイチゴポッキーって答えたんだから」
 春晏は言った。
「シュン先輩から、もらいたいんだよ」
「義理チョコもいいところだけど?」
 市販の義理チョコよりも安上がりだ。
 こんな庶民的なお菓子にこだわる理由がわからない。
「シュン先輩からもらえるものは、なんでも特別だよ」
 灯影は微笑んだまま言う。
 何も知らない女子生徒だったら勘違いしそうな勢いの言葉だった。
 が、このわがままな後輩の笑顔に騙されるわけにはいかない。
「そう。来年は副会長なんでしょ?
 頑張りなさい」
 春晏は言った。
 後輩でもできれば、このわがままな後輩も落ち着くだろうか。
 春晏の目の前以外では、立派な生徒会役員だ。
 誰からも愛されているし、仕事も投げ出したりはしない。
 特定のファンクラブもあるというのに、生徒会役員の悪癖といった伝統に流されたりはしない。
 きちんと男女の分け隔てなく、平等に接している。
 春晏以外の先輩たちにも、敬っている。
 ……春晏には引っかかりまくる案件であったけれども。
 灯影は空を振り仰ぐ。
 成長期にいる少年がそうすると、春晏には表情がわからなくなる。
「別名、役立たず」
 灯影はポツリと言った。
 さりげなく。
 風に消えてしまうぐらいに、小さな声で。
「誰がそんなことを!」
 春晏は驚く。
「美澪」
 灯影は空を見つめたまま、同級生の生徒会役員の名を挙げた。
 次期、風紀委員長だ。
「ああ、橘くんね。仲が良いのね」
 春晏は納得した。
 品行方正な生徒会役員から見れば、いつだってまともに制服を着ない岡崎灯影はそう映るかもしれない。
「幼稚園舎から一緒だからね。
 腐れ縁ってヤツ?」
 灯影は言った。
 明智学院の幼稚園舎から一緒となれば、家同士のつながりもあるのだろう。
 お互いに良家の子弟といったところだろう。
 高等部から入学した春晏にはわからない感覚だったが、それなりに確執があるのかもしれない。 
「同じ生徒会メンバーじゃない。
 せめて卒業までは仲良くしなさい」
 春晏は励ますように言った。
 灯影が春晏を見た。
 そこにはいつものわがままな後輩がいた。
「美澪とは話がとにかく話が合わないし。
 この歳で勉強が趣味とかありえない」
 灯影は笑ったまま言う。
「学生の本分は勉強です」
 春晏はためいきをついた。
 岡崎灯影が上位の成績をキープし続けているのは知っているが、春晏は言った。
 さして努力をしているわけでもないというのに、文武両道を地で行っている。
 どこか欠点ぐらいあればいいのに、と思うほど卒がない。
「学歴社会だからね。
 一応は大学部までは通うつもりだけど」
 まるで実感のこもらない言い方で、灯影は言った。
「卒業後の進路を決めるのは、まだ早いんじゃない?
 モラトリアムの時代って言うんだし。
 せめて高校生活ぐらい楽しみなさいよ」
 早生まれの後輩は、ようやく高校二年生になるのだ。
 将来なんて決めるのは、まだ先だろう。
 大学部に行く春晏ですら、本当に将来の夢が叶うのかわからない状態なのだ。
 それとも継がなければいかない家業でもあるのだろうか。
 幼稚園舎から通っている、ということはその可能性の方が高い。
 だったら、自由でいられるのは学生時代だけなのかもしれない。
「シュン先輩のいない高校なんて、面白くないよ」
 灯影はあっさりと言った。
 適当に遊ばれている玩具か何かと勘違いしているのじゃないか。
 そんな発言だった。
「いい加減に、彼女でも作りなさい!」
「あいかわらずシュン先輩は残酷だね。
 そんなところも魅力的だけど。
 俺がこんなにも好きって言っているのに」
 笑顔を崩さないまま、灯影は言った。
「イチゴポッキー並みの軽さで言われても信用できないんだけど?
 はい、ハッピーヴァレンタインデー」
 春晏はイチゴポッキーの箱を押しつける。
「お返しを期待していてね」
 灯影はしみじみとイチゴポッキーの箱を見つめる。
「卒業しているんだけど?」
「3月末日までは高校生でしょ?
 ちゃんと生徒会役員として卒業式には出席するから安心して」
 灯影は笑う。
「当然でしょ」
 きちんと生徒会役員として、次期副会長として、在校生代表として、体育館で見送りの言葉をいう姿の後輩が思い浮かぶ。
 今、目の前にいるわがままな後輩ではなく、どこか余所行きの顔をして、堂々と振る舞うだろう。
「誕生日プレゼント期待しているから。
 ありがとう、シュン先輩。
 付き合ってくれて」
 ひどく寂しそうに灯影は微笑んだ。
 そして、イチゴポッキーの箱を宝物のように抱えて、踵を返した。
 春晏はふいに空を仰ぐ。
 正確には、まだ固い蕾をつけた桜の花を。
 これをわがままな後輩は見ていたのだろうか。

 3千文字には届きませんでしたが、原稿用紙換算で10枚はあるそうです。
 そろそろ小話というくくりを考え直した方がいいのかもしれませんね。
 一応、区分としてはショートショート以内におさまっていますが、掌編小説と呼ぶには長いですね。

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実験的小説『人の影』のログ&君の話シリーズ第四話UP!

現代もの実験的小説『人の影』を更新!

 今までblogに載せいていた『小話』3本にタイトルをつけて、サイトにUPしました。


 『人の影』総目次ページはコチラ。
 人の影 【現代もの小説】

『小話』は『番外編』に入っています。

 titleタグを使っているので、英文のタイトルはカーソルを載せればポップアップします。
 が、一応、念のために和訳もここに並べておきますね。
 #06.  I open the window.(窓を開ける)
 #07. The curtain falls.(幕が下りる)
 #08. Orionid meteor shower(オリオン座流星群


 誰だ、最初にタイトルを英文にすると決めたのは!
 と言いたくなりますが、最近は翻訳サイトさんのおかげで簡単に調べられるので楽です。

『君の話』シリーズ 語り手はアユ

 第四話 「彼」が変わった話
 これにてアユが語り手になることは……多分、ないと思います。
 ある意味、「彼」にとっての決定的な話になっているので。

『人の影』の最終話近辺のネタバレを避けたい人は

 『番外編』を読まないでください。
 更新しておいて発言をするのは、どうかと思うのですが、『番外編』には《shi》と《黄昏》との決定的な関係性が、あっさりと描写されているので、二人の曖昧な関係を楽しみたいという方には、向いていません。

最終話について

 あと、最終話を期待している方がいるなら申し訳ないのですが、まだまだお時間をいただくと思います。
 プロットを立てた時も、第一稿を書いた時も、大丈夫だったのですが、若干、時事問題的すぎて時間を空けての更新になります。
 後書きが決まらない。というのも大きいですね。
 ハッピーエンドなのか……難しい話です。
 《shi》が語り手の時に思っているように『人生に終幕はない』ということです。
 一応のところ、一段落はしますが、《shi》の人生は続いていくので。

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『小説家になろう』に投稿してきました!

小説家になろう』に『神の印』の後日談を投稿してきました!

 すでに『紅の空』にはUP済みのSSで『おめでとうが欲しい』です。


 『ローザンブルグに響く歌』の直後の話です。
 銀の騎士であり、レフォール・ジェイド・ローザンブルグ子爵視点です。
 突然、婚約した従兄ペルシ・サルファー・ローザンブルグ伯爵公子に問いかける。


 『ローザンブルグに響く歌』のネタバレが多大に含まれています。


 『神の印』総目次ページはコチラ。
  神の印 【中世ヨーロッパ風ファンタジー・恋愛小説】


 『小説家になろう』の『神の印 SS置き場』
 https://ncode.syosetu.com/n8004il/

この間、投稿した『理想的な結婚』のヒロインのイメージ画をUPするのを忘れていたので今更ですが、UPです。

 Microsoft社のedgeの生成AIで出力してもらったものです。
 ちゃんと合法ですが、生成AIが現時点で問題視されているので、たまたまこのblogを見た人だけ、ということで。
 著作権を行使するつもりはありませんが、個人的な楽しみ以外で加工したり、遊んだりするのはおやめください。
 黒に限りなく近いグレーなので。

メイファ

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現パロ『鳥たちの見た夢』

ヴァレンタインデーも近づいたということで『鳥たちの見た夢』でも現パロで。

 前回の現パロである【現パロ】イフ・海月 - 並木空の記憶録を読んでないとわかりづらい表現があるかもしれません。
 小話と言いながら、3千文字(原稿用紙換算11枚程度)オーバーしています。


 現パロなので、誰も死んでいない状態での平和なヴァレンタインデーネタです。
 中華風ファンタジーから現代ものに持ってきたので、年齢操作してあります。
 視点人物のホウチョウが四大卒の22歳ぐらいになっています。
 現実的な年齢には合わせていないので要注意です。


 本編『第七部 来訪者』読了前提の登場人物も含まれています。
 人物設定の備考欄にも書かれている特技の話も出てきます。


 名前がかすりもしていませんがソウヨウ×ホウチョウのつもりです。

 鳥陵財閥のご令嬢であるところのホウチョウは暇を持て余していた。
 花嫁修業でもしていろ、と兄たちからは言われそうではあったけれども。
 あるいはホウチョウの面倒を見てくれる秘書のメイワは目くじらを立ていたかもしれない。
 幸いなことに、メイワは今日は休日だった。
 今頃、忙しくチョコレートを見繕っているかもしれない。
 妙齢の女性らしく。
 ちょうどいい遊び相手だった華月もあっさり断ったのだ。
 沖達とデートするからダメだと。
 まあ、デートと呼んでいいのかはわからないスケジュールではあったが。
 苦手教科でも、まずまずの成績を修めたので、ご褒美として遊園地に連れて行ってもらうそうだ。
 どう考えても親戚のお兄さんに遊んでもらう子どもだろう。
 デートの相手は鳥陵財閥の子会社の一つの『海月』の代表取締役だ。
 普通だったら休日であっても、それなりに忙しいはずだろうが、ホウチョウのすぐ上の兄が調節してしまったのだ。
 あいかわらず華月には甘いらしい。
 自分の彼女は、どうしたのだろうか。
 そんなことを訊きたくなるような甘さだった。
 その皺寄せで、ホウチョウは暇になってしまったのだ。
 誰かが仕事を休めば、誰かが仕事を肩代わりしなければいけない。
 ホウチョウは暇つぶしにチクチクと刺繍をしていた。
 ぼんやりと窓辺で。
 部屋から出歩いてたらメイワが置いていった秋霖に見つかってしまったのだ。
 華月よりも幼い少女は口数の多さをのぞけば優秀なメイドだった。
 義務教育中の子どもには見えなかった。
 なので、無聊の慰めに刺繍をしていたのだ。
 それももうすぐに終わってしまいそうだった。
 オリーブの緑色の葉が生き生きと描かれている白いハンカチ。
 イニシャルの入りのものである。
 メイワが離席中ということで、せっせと縫っていたわけだったけれども。
 こんなものを見つけられたら怒られるだろう。
 父や一番上の兄が好む華やかな紅ではない。
 年の近い兄が好む落ち着いた藍ではない。
 どこか地味なオリーブドラブである。
 過保護な家族たちは間違いなくホウチョウから刺繍中の白いハンカチを取り上げただろう。
 最後の一刺しを玉止めして、ホウチョウは糸を切った。
 針山に針を戻す。
 枠から外して、ハンカチの出来栄えを見つめる。
 売り物にしても遜色のないものだと、自画自賛したくなる。
 もっとも、それを受け取ってくれる相手はいないのだけれども。
 ホウチョウは深々とためいきをついた。
 今頃、忙しく働いているだろう。
 主に華月に甘かった兄のせいで。
 ホウチョウだってヴァレンタインデーのデートぐらいしたかった。
 体が若干弱いホウチョウが華月のように遊園地に行くことはできないかもしれないが、人気の少ない美術館や水族館ぐらいなら行けたかもしれない。
 別に邸宅の庭を巡るだけでも良かった。
 この季節にしか咲かない慎ましやかな花や花期の長い花を楽しむことぐらいはできただろう。
 あるいはメイワのようにチョコレートを物色できたかもしれない。
 どんな我が儘も許されているように見えるホウチョウではあったが、キッチンに立つことはもちろん、催事場に行ってチョコレートを選ぶなんて許されていなかった。
 通信販売で取り寄せる、という手もあったが、誰に贈るのだ、と家族たちから詰問にあうに決まっている。
 義理のチョコレートであっても、おそらくは兄たちはいい顔をしないであろう。
 自分たちはそれぞれ意中の女性どころか、段ボールを用意しても足りないぐらいに貰ってくるくせに、ホウチョウが男性に贈るのは許されていないのだ。
 憂鬱にもなるような事柄だった。
 年頃の乙女としては、何故、ヴァレンタインデーに便乗をしてはいけないのか。
 どれだけ泣いて訴えても、無駄なのだ。
 昔は許されていたのに、この数年で駄目になったのだ。
 味方であるはずのメイワですらいい顔をしないのだ。
 ホウチョウには理解できなかった。
 これがライバル会社の社長辺りだったら、大問題だろう。
 が、しかし兄たちが信頼している相手なのだ。
 わざわざ仕事を割り振って――というか、仕事を押しつけて、難しい案件であっても裁量を任せるほどの相手である。
 何が不満であるのか、わからない。
 ホウチョウは何度目かのためいきをついた。
 パタパタと軽い足音を立てて、秋霖が部屋にやってきた。
「お嬢様。お手紙が届いています」
 飾り気のない白い封筒は、椿の花のように紅いシーリングワックスで閉じられていた。
 差出人の名前は書かれていなかったが、宛名は見覚えのある筆跡だった。
 それに微かに香るインクの香り。
 万年筆で書かれたそれは流麗で、年の近い兄にも似た文字だった。
 当たり前ではあったけれども。
 親族を亡くした幼なじみと呼んでも差し支えのない相手を面倒を見ていたのは、年の近い兄だったのだ。
 兄たちは弟が欲しかったのかもしれない。
 面白半分で、色々なことを教え込んだのだ。
 もともと上場企業の会社の令息だった少年はエリートコースまっしぐらの道を歩まされることになったのだ。
 ホウチョウに課せられた以上の教育を与えられ、まだ大学生だというのに、すでに複数の会社の面倒を見せられている。
 そのおかげでとっても忙しいわけだったが。
 そんな相手から手紙である。
「ありがとう」
 ホウチョウは手紙を笑顔で受け取った。
 ペーパーナイフで開封すれば、白い便箋が現れる。
 迷いのない筆跡は修正された箇所一つなく、淀みもなかった。
 次にお目にかかる日を楽しみにしているとしめられていた。
 どうやらしばらくは会えないようだ。
「返事は書いちゃダメですよ!
 メイワさんから頼まれているんですから。
 私、見張っていますからね」
 秋霖が釘をさす。
「……秋霖こそ、ヴァレンタインデーだって言うのに、渡したい相手はいないの?」
 ホウチョウは尋ねた。
「チョコレートですか?
 もちろん兄に贈りますよ。
 もっとも、最近は友だちを遊んだりする方が楽しいみたいですけど。
 いい加減、彼女でも作って欲しいとは思うんですよね。
 しっかりしているように見えていて、意外なところは抜けてますから」
 秋霖はサバサバと言った。
「あら、お兄さんにしか贈らないの?
 思いっきり義理チョコレートじゃない。
 好きな相手とかいないの?」
 ホウチョウは尋ねる。
「兄以上に素晴らしい男性がいたら、考えます」
「今、抜けてる、って言ったじゃない」
「完璧な人間と交際したいとは思いませんから。
 自分の欠点ばかり目立って、嫌になっちゃうじゃないですか?
 それに兄の場合、抜けてるのは生活能力という面です。
 他は優秀すぎるぐらいですよ」
 秋霖は言った。
「そうね、秋霖は優秀だから、ちょうどいい兄妹といったところかしら?
 生活能力がないなら、他人を雇えばいいだけなのだから」
 ホウチョウは納得した。
 実際のところ、ホウチョウだって生活能力は皆無だった。
 中流階級の家庭における専業主婦的なことはできないだろう。
「私もヴァレンタインデーらしいことをしてみたいわ」
 ホウチョウは零した。
「ちゃんと手紙をもらっているじゃないですか?」
「どういう意味かしら?」
 ホウチョウは小首をかしげる
「西洋では手紙や花束を男性から貰うものですよ。
 しかもヴァレンタインデーの由来は、結婚を禁じた皇帝の目をかいくぐってヴァレンタイン司祭が秘密裏に結婚式を挙げさせた、というものです」
 秋霖は言った。
「まあ、素敵。
 内緒ってことね」
 ホウチョウはにっこりと笑顔を作った。
 それを知っていて相手も、忙しい中、手紙を書いてくれたのだろう。
「……会えなくても、声ぐらいは聴きたいわ。
 贅沢かしら?」
 自分の名前が書かれている手紙を見つめながらホウチョウは言った。

 『鳥たちの見た夢』総目次ページ
 http://one.chips.jp/k-sora/s-toriyume-00.html
 本編は中華風の建国記ものなので、倫理観に問題もあれば、流血・暴力シーンも含まれていますので、閲覧には要注意です。


 pixivでもヴァレンタイン企画あるので、この小話も投稿するつもりです。

理想的な結婚

 立春ということでオリジナルサイト『紅の空』に掲載されている中華風の恋愛コメディ『小説家になろう』と『カクヨム』を投稿しました

 春の麗らかなある日。
 地方都市の長官の下で、文官をだらだらと世襲のように勤めているリュ家の長女、メイファは父親のナイユから唐突に自分の縁談を聞かされる。



 直通リンク。
 『紅の空』https://one.chips.jp/k-sora/s-short01.html
 『小説家になろうhttps://ncode.syosetu.com/n9394ip/
 『カクヨムhttps://kakuyomu.jp/works/16818023212966040250


 原稿用紙24枚程度の短いお話です。
 一応、舞台は架空とはいえ『唐』ぐらいの文化です。
 年齢制限のない女主人公の恋愛コメディです。
 政略結婚ものですが、シリアスというよりもほのぼのに近いかもしれません。


 作中はカタカナ表記ですが、メイファは『梅花』という漢字を当てます。
 中国の古典文学では、「梅花香自苦寒来」(梅の花の香りは辛い寒さを耐えたからこそ)という意味があり、今でも愛されている花の一つでもあります。

WEB拍手、ありがとうございます!

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