メルボルンでこつこつとやる

2007-01-31 女性は生む機械

[][]女性は生む機械 14:40

柳沢厚生労働大臣の「女性は生む機械」発言にたいし激しい論調で非難がなされています.ネットで引っかかってきた毎日新聞社説ですと,女性蔑視の発言で開いた口がふさがらないというようなことが書かれています.

http://www.mainichi-msn.co.jp/eye/shasetsu/news/20070130k0000m070108000c.html


マスコミ報道の論調としてはどこもそんな感じです.


ただ,この発言の要旨を読む限り,適切とは言えない表現かもしれませんが,辞任を要求したり,首相の任命責任を問うたりするような発言ではなかったとわたしは思います.ひどい女性蔑視とも思いません.

報知新聞に載っていた要旨を以下に引用します.

 ◆柳沢厚生労働相発言要旨 なかなか今の女性は一生の間にたくさん子どもを産んでくれない。人口統計学では、女性は15〜50歳が出産する年齢で、その数を勘定すると大体分かる。ほかからは生まれようがない。産む機械と言ってはなんだが、装置の数が決まったとなると、機械と言っては申し訳ないが、機械と言ってごめんなさいね、あとは産む役目の人が1人頭で頑張ってもらうしかない。(女性)1人当たりどのぐらい産んでくれるかという合計特殊出生率が今、日本では1.26。2055年まで推計したら、くしくも同じ1.26だった。それを上げなければいけない。

http://hochi.yomiuri.co.jp/topics/news/20070130-OHT1T00025.htm より一部抜粋

上を読んでわかるように「女性は生む機械」発言は,話を分かりやすくするための例え話です.また,大臣自身,この例えが必ずしも適切でないことを認め,ことわりをつけて発言しています.「ごめんなさいね」とまで言っています.

人間を機械に例えることはそんなにおかしなことですかね.もちろん母性というものは特別なものです.神聖なものといっても良いかも知れません.この例えを気に入らない人も多いでしょう.ですから,この発言が政治家として適切であったとはわたしも思いません.それでも,ただの例え話,しかも本人がよい例ではないと謝りながら述べている例え話にたいして,ヒステリックな糾弾をする必要がどこにあるのでしょうか?「ごめんなさいね」と謝っている様子などはむしろ女性に対する気遣いが見えるくらいです.少なくとも女性蔑視とはほど遠い態度です.

人を機械に例えたからと言って,人を機械として扱っているわけでないのは自明のことです.認知心理学ではヒトをコンピュータという機械に例えますが,ヒトを機械として扱っているわけではありません.進化生物学の語り手Richard Dawkinsは,ヒトを乗り物に例えますが,ヒトに乗ったり荷物を載せたりすることはありません.

今回のような言葉尻をとらえたヒステリックな糾弾は非常に馬鹿げていると思います.

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2007-01-29 異色と意外の科学者列伝

[]異色と意外の科学者列伝 12:57

異色と意外の科学者列伝 (岩波科学ライブラリー)

異色と意外の科学者列伝 (岩波科学ライブラリー)

物理学を中心にした科学者評伝.ドイツイギリスの19世紀に関する部分は大変参考になりました.19世紀ドイツ心理学誕生の舞台でもありまして,心理学科学としての心の探究としてはじまった背景となる社会事情や文部科学行政などにかんする情報も得られました.

この本はふつーに読み物としても読みやすい.ラザフォードなんてそんなに知らなかったですから,大変興味深く読みました.テスラはむかし読んだ通俗本だと明らかにおかしな人だったので,この本を読むことである程度知識が補正された気がします.

以下,印象に残ったところをメモ.

  • ドイツにはハイテク研究と産業を結びつけるフラウンフォーハー協会というのがある.これは18-19世紀に活躍した光学専門家フラウンフォーハーに由来する.彼はガラス職人としてレンズ磨きの技術を磨き光学の退化となった人物である.

[]01/29/2007 18:27

  • 監督仕事.とりあえずこれで一段落.忙しい週とそうでもない週が交互にやってきてなんだか疲れた.今週はそうでもないしゅうの予定.
  • 学内研究費関連の書類Aと書類Bの作成を本日終了.Aは事務に点検をしてもらい提出も終了.Bの提出は共同研究者の先生にお任せ.
  • 時間論文.Reviewer 2への対応もほぼ書き終わる.最後の部分がまだなので明日午前中にやろう.2-3文書けばよいだろう.明日の午後にある会議でじっくり読んで検討する予定.
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2007-01-21 意味がなければスイングはない

[]意味がなければスイングはない 08:14

意味がなければスイングはない

意味がなければスイングはない

ロックからジャズそしてクラシックに至るまで村上春樹が音楽を語る本.結構まじめに書いているのでこちらもかなりまじめに読んでしまいました.一番,ハッとさせられたのは「ブルース・スプリングスティーンと彼のアメリカ」の章でした.Born in the USAとかHungry heartの歌詞があんなに陰気だとは思わなかった.彼をウディー・ガスリーに連なる文脈で見たこともなかったし,政治信条もそれほど意識していませんでした.レイモンド・カーヴァーとの比較を通して語られるボスは,村上春樹自身の長いアメリカ体験と深い音楽体験が融合して,わたしには非常に新鮮で新しかった.ボス=ワーキングクラス・ヒーローというのもわたしにとってはあくまでも抽象的な概念で,血や肉もなく,目も鼻もついていないものだったと再認識されました.

最近,新しい音楽にとんと手が伸びず,それどころか音楽を聴くことすらあまりない生活になっています.久々にCDでも買いに行こうかなあ.

[]4 TEEN 08:14

4TEEN (新潮文庫)

4TEEN (新潮文庫)

石田衣良直木賞受賞作.長い時間をかけて書かれたものらしく,章を追うごとにだんだん完成度が高くなっていくところがおもしろい.個人的に一番良かったのは「空色の自転車」のところです.うまく現代性(少年犯罪,少年報道)を取り入れつつ,友情,暴力などの古典的なはなしをきれいに仕上げている.最後の盛り上がりもいい.読んでて楽しいです.

全体として,ストーリーのドライブ感は池袋ウエストゲートパークのほうが上に感じられる.あっちで直木賞が候補止まりでこっちで取れたってのは少し不思議ですが,まあ,巡り合わせみたいなモンなんでしょうね.

[]1/21/2007 08:14

  • 日本全国で繰り広げられた聞きしにまさるハードな監督仕事に参加.これはきつい.あ,上の本は仕事中に読んでたんじゃないですよ.そんなことできる空気じゃなかったです.
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2007-01-19 スタア・バーへようこそ

[]スタア・バーへようこそ 19:04

スタア・バーへようこそ

スタア・バーへようこそ

ここのところ仕事でつまらないものをたくさん読まなければいけないので,なんか軽いものが読みたくなり駅で買いました(購入したのは文庫版です).筆者は銀座のバーのオーナー兼バーテンダー.彼が語るカクテルモルトウイスキーのうんちくやバーの仕事の裏話をおそらく口述筆記したものでしょう.軽くくだけた内容で読みやすい.読んでいたらウイスキーが飲たくなって,そのまま乗換駅でおりて軽く飲みました.そういう気分にさせてくれるすてきな本です.

[]01/19/2007 19:04

  • Jの論文を読む.たったこれだけの操作で,こんなにおもしろいことができたってのがすばらしい.こういうのやりたいよなあ.おもしろくて,簡単で,結果がはっきりしてる.いいなあ.久々のヒット.
  • 利き手の季節変化に関する論文サーベイ.結構人数を取らなければいけない&Mはかなり詳しいデータを取っている(エジンバラではなく詳しいものを使い,さらにパフォーマンスも測定している).紙まいて終了って訳にはいかないかなあ.
  • s誌の審査結果を読み直し,細かい修正を行って送付する.これにて終了.
  • 時間論文.信号検出分析の結果,表をつくって,本文を書く.考察は来週にまわそう.さらに指摘されたminor point も直す.
  • 論文指導.なかなかおもしろい話になりそうなんではないか?今後に期待ですね.
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2007-01-18 「武士道」を読む

[]「武士道」を読む 19:10

『武士道』を読む 新渡戸稲造と「敗者」の精神史 (平凡社新書)

『武士道』を読む 新渡戸稲造と「敗者」の精神史 (平凡社新書)

国家の品格で,「武士道」が高く評価されていたせいか眼について購入しました.新渡戸稲造の武士道は大昔に読んだっきりでたいして憶えてもいません.新書で改めて解説つきで概観できるのはよい体験でした.

この本,最初のほうが視覚的でとてもよいです.すきっと晴れわたった空が広がるようなさわやかな感じを与えてくれます.エッセイストとして評価される筆者の筆力の技でしょうか,内容もさることながら雰囲気の良さが大変に好印象でした.

内容は,書籍「武士道」に留まらず,新渡戸稲造の生涯から家族,友人,関係者まで登場し,ある意味では雑多です.まあ,新書ですし,ひとつのものを詳しく書くよりもいろいろ紹介することに目的があるのかも知れません.

さまざまに盛り込まれたなかでもやはり目を引き,内容にも説得力がありおもしろいのは,新渡戸稲造と筆者の共通点でもある,郷土,南部および南部人の話,そして,同じく共通点であるキリスト教に関するところでしょうか?この2点についてはここまで詳しく感情を込めて書ける方はおそらく他にはいないでしょう.そのくらい生き生きしていて読んでいて楽しかったです.

[]01/18/2007 19:10

  • 時間論文の改訂およびレスポンスの作成.reviewer 1への対応は一応ひと段落.あす,きちんとまとめ直して,reviewer 2への対応へ移ろう.
  • 研究発表を見てコメント.うーん,微妙.みんなもうすこしできる子だとおもうんだけどな.
  • 電車で評価すべき資料を読む.うーん基礎的なとこがなってないよな.どう指摘するべきなのか....
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2007-01-17 脳は空より広いか

[]脳は空より広いか 12:47

非常に評価が難しい本です.ただし,読んで勉強になりました.一番勉強になったのは,わたしはこういう理論化にはあまり興味がないのだということでした.

この本でエーデルマンは脳が組みあがる過程を自然選択から説明します.また,脳の機能単位の生成には基本的にはヘッブ型の学習規則が用いられており,同期と繰り返しにより組織が起こると説明されます.まあ,ここまではよくある話でしょう.もちろん,脳の部位ときちんと絡めた議論をしている点は非常にすばらしい.

この本でのエーデルマンのオリジナリティは意識を生み出す過程として「オリジナルコア」を提唱したことだと思います.これは視床と皮質をつなぐネットワークに由来する機能でこれが刻一刻と変わるわれわれの意識を司っているとされます.

このオリジナルコアが個人的には余りピンと来なかった.意識の因果的な説明になっていると言うより,わたしに脳内機構における代替物のようにしか読めませんでした.もちろん理解が足りないのでしょうか,意識の持っている表面的な特性と視床と皮質をつなぐネットワークの特性に類似したものがある,としか読めませんでした.

加えて,モデルの実証的検討についてほとんど書かれていないのも個人的には欲求不満でした.まあ,筆者自身がそういう目的の本ではなく,理論を解説するためのもんですよといっているわけでしょうがないのですが.

意識をはじめとする精神的な現象はまだまだ事実を博物学的に集積する段階だとおもうんですよね.まだまだ集め切れていないおもしろい事実がたくさんあるはずです.そういうのに引っ張られて理論ができるのをどうしても期待してしまうところがあります.そんな個人的な嗜好とこの本は必ずしも一致しませんでした.

[]01/17/2007 19:31

  • S誌の査読.評価をとりあえず書き終わる.金曜日に読み返して送ろう.最初に思ったよりもかなり難産だった.結果はそれほどは悪くないけど,目的と考察がいかん.こういうのは指摘すんのが大変だ.全面的な書き直しが必要になるだろう.
  • 書き終わったと思ったら,次の査読依頼.orz ピアレビューは当然やるべきことですからもちろんお引き受けいたします.でも,評論家じゃないんで,評価ばっかりやってるのはやっぱつまらん.
  • うつバイアス実験2.データ集計3/4まで終了.こつことやるだけです.
  • 秘密の評価仕事.ひとつは条件付きで,もうひとつはやさしさを込めて通し.
  • 秘密の評価仕事上級編.ひとつをとりあえず軽く読む.
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2007-01-16 クロンバックのアルファ係数

[]クロンバックのアルファ係数 19:12

心理測定法の基礎です.大学ですと2年生くらいで習うのではないでしょうか?

これは信頼性係数と呼ばれるもので,複数の項目で測定されたものの内的な整合性を示す指標です.よーするに,いくつかの物差しで測ったものについて,それぞれの物差しが一貫してるかを表す指標です.

で,これをクロンバッと呼ぶ人がいます.Lee J. Cronbachはアメリカ生まれのアメリカ育ちなので,クロンバッです.

人名は難しいですよね.これからテストのかた,なにとぞお間違えのなきよう.

[]01/16/2006 19:12

  • 秘密仕事の秘密事項作成.
  • 論文査読のために論文を5本ほどざっと読む.査読コメントを書き始める.明日には終わるだろう.当初思ったよりも厳しい評価になるかもしれない.だって引用がいい加減なんだもん.結果の解釈もよく見ると微妙.
  • 論文指導.および投稿お作法の指導.
  • 秘密の資料 X 4を取ってくる.電車で2つ読む.つかれるなあ.
  • 秘密仕事の調整.なんとかなった.ほっ.
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2007-01-15 国家の品格

[]国家の品格 11:54

国家の品格 (新潮新書)

国家の品格 (新潮新書)

今更ですね.家族が渡してくれたので読みました.

むかしから藤原正彦が書いたエッセイは好きでした.若き数学者のアメリカ (新潮文庫)遥かなるケンブリッジ―一数学者のイギリス (新潮文庫)など,海外生活を書いたものを海外に出る前自分の将来と重ねあわせて読んでものでした.それ以外も出版されたものはほとんど目を通していると思います.

ベストセラーになった本書ですが,内容を一言でまとめると「論理でなく情緒を大切に」ということ.これを分かりやすく,しかも幅広い教養を背景に説得力を持って語っています.情緒の大切さは誰もがわかっているのですが,はっきりとその論拠を打ち出すことが出来なかったと思います.それを分かりやすく,説得力を持って伝えたことがベストセラーにつながったのでしょう.道徳に理由はないって喝破してるところも良かったです.悪いことは悪いから悪い.確かに子どもにはそれで充分なのです.

この本が売れたと言うことは,潜在的に「論理でなく情緒を大切に」と考える人が多いことを示唆していると思います.ま,アメリカ的なガチガチ社会ってのはそれはそれで異常ですし,情緒を大切にした社会のほうが感情的に豊かに生きられることは間違いありません.人間てのは理屈よりは感情が前に出るものですから,相対的にどちらを重視すべきは個人的には明白だと思います.

[]キミは他人に鼻毛が出てますよと言えるか 11:54

キミは他人に鼻毛が出てますよと言えるか (幻冬舎文庫)

キミは他人に鼻毛が出てますよと言えるか (幻冬舎文庫)

読んでいてものすごく恥ずかしくなる本です.

やりたくても出来なかったことをやってみたら,言いたくても言えなかったことを言ってみたらどうなるかを試してみたノンフィクション.標題のような,あえて別に言わなくても良いようなことや,やらなくても良いようなことを42才のフリーライターがいろいろ試していく.当たり前ですが,いろいろ失敗して,恥をかいたり,惨めな気持ちになったり,軽いもめ事に巻き込まれたりする.このときの気持ちが赤裸々に書かれていて,読んでいて身につまされるし,読んでいるほうまでなんかものすごく恥ずかしくなりました.

個人的に一番気に入ったのは,ポエトリーリーディングの章.自作の詩を朗読する会に参加するという試みなんです.最初その行為を(おそらくは)かなりバカにしており,実践することに死ぬほどの恥ずかしさを感じていたにもかかわらず,ポエトリーリーディングへの認識が徐々に変わってくるところがおもしろい.自身の経験を経て,詩を発表するってのはそんなに肩意地を張ったものではないという認識変化がおこり,やがて誘われるままに自分も発表したり聞きに行ったりするようになる.

なんつーんですかね,出会いに照れるなという箴言を思い出しました.

[]01/15/2007 18:09

  • 講義2つこれにて今年度終了.
  • 演習1コマ.
  • 種々の仕事依頼.秘密仕事2.翻訳の企画書1.あとのほうはちとうれしい.
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2007-01-13 Interpreter of Maladies

[]Interpreter of Maladies 09:53

Interpreter of Maladies

Interpreter of Maladies

インド系の女性作家Jhumpa Lahiriのピュリッツァー賞受賞の短編集.彼女自身やその周辺や出来事に基づいたインド移民が経験する文化的な摩擦,価値観のギャップを背景にしつつも,結婚生活や貧困,職業などさまざまな日常的な延長線上にある出来事について普遍的なメッセージを投げかけてくる作品集です.

どれも物語がすごく良くできています.わずか20ページ足らずの中に驚くほど大きな展開が繰り広げられることもあります.しかも,展開としてはでかいのに設定としては,決して不自然ではありません.小説内の出来事としてはありふれたものとすらいえるかもしれません.例えば,浮気とか妊娠とかそういうもんですね.しかし,そのありふれた出来事が息をのむような展開を生み出します.これは語り手の技のなせる技でしょう.

彼女自身が経験したであろうインド移民としての視点は,当たり前ですが物語にエキゾチックな要素を与えています.私たちのしらない世界が確かにそこには書かれている.しかし,表面的な違いは大きいものの,内在するものには確かな普遍性があることが読んでみるとひしひしと伝わってきます.例えば,形態はどうあれ結婚子育てに伴う喜びや悲しみには確固たる普遍性があるわけです.むしろ,表面における違いの大きさがあるからこそ,内在する普遍性に強く気づかされるのかもしれません.インドからやってきて,アメリカへの適応に苦しむ姿はインド人特有のものに見えるかもしれません.しかし,その苦しみには誰にでもに共通した何かがあるのです.

9つの作品がありますが,視覚的な美しさと展開のすばらしさ,そして彼女だけが醸し出すことができるエキゾシズムがふんだんに盛り込まれているタイトル作品のInterpreter of Maladiesは大変読ませます.もちろん他の作品もすばらしい.

個人的にじわーんと感動したのはThe third and final continent です.ものすごく淡々とはじまって,じわじわ,盛り上がってきて最後に一気に持っていく感じがありました.話の筋としてはインドからアメリカで働きはじめた男性の独白のようなものなんですが,市井の人間の基本的な喜びみたいのが凝縮されているようにわたしには感じられました.

あと,Jhumpa Lahiriはかなり美人なのね(ぐぐりました).インド的にはよくわからないのですが,ヨーロッパベースというかそういう美的価値観ではかなりのもんです.来年公開される彼女の長編The Namesakeを映画化したものには出演もするそうです.

少し残念なのは今のところ2つしか著書がないこと.もっと読みたいなと思わせてくれます.ものすごく,ものすごくいい本.

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2007-01-12 インテリジェンス 武器なき戦争

[]インテリジェンス 武器なき戦争 18:44

インテリジェンス 武器なき戦争 (幻冬舎新書)

インテリジェンス 武器なき戦争 (幻冬舎新書)

もともと社会情勢や政治に特別に興味があるわけでもないですし,種々の事情でその辺の事柄にここのところだいぶ疎くなっておりましたので,大変興味深く読みました.筆者たちの見ているものやものの見方が非常に物珍しく,新鮮にうつりました.収穫です.

素材は「外交」あるいは「国際情勢」というものを扱っています.そこを行きかう情報をいかに解釈し,自身の「インテリジェンス」として昇華するか,それが本書の題材です.ナマの情報はそのままでは役に立たない,それをあらゆる角度から分析し,適切な解釈を行ってはじめて意味を持つということが何度も何度も出てきました.また,情報の収集能力よりそれのらの分析評価能力が重要であることも繰り返し強調されていました.要するに目利きですよね.そこが重要で,しかも,日本が劣っているところなのだそうです.

さて,この目利きの話,科学的な研究ですと,事実と解釈をわけるという文脈で語られる話と近いのかと思いました.解釈に使うツールが必ずしも標準化されていないところが,科学的な研究とは違うところでしょうか.突き詰めると個人の知識とか,経験に依存した解釈しか,外交の土俵では行えないのかなと思いました.まあ,現実世界に再現性だの,事象の統計的分布だの,仮定の単純性だの,説明力だのはさほど役には立たないのでしょうが.

以下,印象に残ったところをメモ.

  • 何か起こったあと「そんなことは知っていた」などというあと解釈は役立たない(心理学で言うところのあと知恵バイアスですね).田中角栄立花隆の例.角栄があんなことをやっているのなんてみんな知っていたなどと言った記者は何となく知ることと裏を取って差を全く理解していない.ナマ情報とインテリジェンスの差がわかっていない.知らないことはきちんと「教えてください」というものである.
  • アメリカネオコンの元は世界自由民主主義革命を理想としたトロキシズムのグループ.独裁者をやっつけてみんなで民主的な世界をつくろうと考えている.だから,余所の国に自由を押しつけようとしている.
  • 北朝鮮との交渉において拉致問題はすべてに優先する.国民への人権侵害と国家への国権侵害を回復できない国に国家としての存在意義はない.平壌宣言に出てくるような朝鮮半島平和をもたらすというような文句は全く必要ない.それは北朝鮮韓国の問題である.拉致問題に全く触れていない宣言は非常に問題だ.手段と目的が逆転している.
  • 外交には薄っぺらい論理が必要.歴史問題とかを絡めるからややこしくなる.表面的に法律や条約に違反しているからと言うことだけで事を構えるべきである.例えば,中国での大使館襲撃では,大使館を襲撃するのは国際法上悪いことだという一点に絞って中国とやり合うべきだ.
  • 秘密情報の98%は公開情報から得られる.しかし,それらを見ても重要性がわからないのではしょうがない.その重要性を判断するには知識が必要である.しかし,知識を得る場がない.まともに本を読む奴らもいない.どの本を読んでいいかもわからない.だからインテリジェンスに対する知識が付かない.
  • ロシアではちゃんと愛しているなら週16回は必要である.平日朝夕1回ずつ.土日は昼も入れて3回.タフだなー.

[]01/12/2007 18:44

  • 講義の準備.これが今年度最後.ふー.
  • 時間論文.レビューワーコメントをしっかり読んで対策をぼんやり考える.だいたいまとまりつつある.
  • S誌の査読.もう一回しっかり読む.だいたいの方向性が決まる.来週,引用されている論文図書館で読んでおこう.あー今混んでんだよなあ.
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2007-01-10 ひとつ,村上さんで....

[]「ひとつ、村上さんでやってみるか」と世間の人々が村上春樹にとりあえずぶっつける490の質問に果たして村上さんはちゃんと答えられるのか? 08:03

読者から寄せられたメールに村上春樹が書いた返信をまとめたもの.何百ものやりとりがあって,重いものあり,軽いものあり,どれも読んでいておもしろい.すごい量なのだけれど一つ一つは短いのでちびちび楽しみながら読み続けることができる.

村上春樹のエッセーには非常に軽くて読みやすいものが多いのですが,このメールにはその心地良い軽さがふんだんに含まれています.

一方で,これだけの返信をまとめると,全体としてのメッセージというか,返信する村上春樹のスタイル,考え方というべきものが見えてくるからおもしろい.メッセージは量によって質を伝えることもあるのだなと思った.また,このひと中心は割とぶれないが,周辺は結構軽やかな人であることもわかる.そこがまた魅力だ.

[]01/10/2006 18:50

  • B誌からの査読依頼.年末に書いたコメントをもう一度見直し,少し修正して送る.重要なメールは少なくとも一晩寝かせた方がよい.とにかくこの仕事は終了.やれやれ.
  • 共同研究者にメールを2つ.どちらもポジティブな内容なので気が楽だ.
  • 昨日,家族と話していた話が研究になるか少しサーベイ.先行研究的には何とかなりそう.問題はサンプルがどれくらい確保できるか.5,6人に頭を下げれば何とかなるかなあ.
  • 編集者と世間話.教科書を書いてほしいらしいけど今はちょっとなあ.むしろ翻訳がやりたいのです.企画になるか打診をしてみたところ好感触.要約を渡しておく.
  • うつバイアス実験2.データ集計は1/2まで終了.ぼちぼちです.
  • 時間論文修正.信号検出分析,Exprt 1-3 までd' と c を出す.Exprt 1の分散分析まで終了.
  • 進路指導.まあこつこつやれば良いんじゃないでしょうかね.うん.
  • 重要書類を受け取る.
  • ああ,1-3月の予定調整を忘れてた.orz
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2007-01-09 視覚世界の謎に迫る

[]視覚世界の謎に迫る 14:43

視覚世界の謎に迫る―脳と視覚の実験心理学 (ブルーバックス)

視覚世界の謎に迫る―脳と視覚の実験心理学 (ブルーバックス)

たいへん分かりやすくて,おもしろい視覚心理学の入門書です.おもしろい入門書というとどうしても翻訳物が多かったのですが,最近は少しずつ変わって来つつあります.

この本のおもしろさがなぜ生まれるのか?それは誰もが興味を持てるようなおもしろい実験を(おそらくは慎重に)選び,それらを無駄を省き簡潔に説明しているからだと思います.事実で語り倒す.おもしろい実験心理学の本を作る王道をきちんと守っていると思います.著者自身が現役の研究者であることもあり,むかしの話から新しい話までいろいろ幅広く登場するところもまたよしです.

知覚の実験心理学を知りたい人にはもってこいの本だと思います.こんなふうに読みやすくて,おもしろくて,しかも安い本ってなかなかないですよ.

以下,メモ.

  • 杉田らの実験.単一波長のもとで成育したサルは色の多様なバリエーションを知覚できない.単一波長を1分ごとに赤,緑,青と変化させ,すべての錐体を活性させても同様である.
  • 視運動性眼振の解剖学的ルート.水平方向の運動対象について,中心周辺の動きは皮質へ,周辺中心の動きは皮質下へ投射される.生後3ヶ月以下では後者のみ有効.
  • 両眼融合は頑健だが,両眼立体視は壊れやすい.斜視の事例より.
  • 乳児は左右対称図形を好まない(偏好視実験では)
  • 人間の顔は1000人分くらい記憶に留めておくことが出来る.顔の記憶は時間の経過や表面的にな形状の変化にも極めて頑健.25年後のクラスメートの顔すら識別できるくらいである.
  • 人種効果(異人種効果?)の説明とValetineの顔空間モデル.吉川らの実験人種によって顔認識において重視する部位が違うことを示唆.例えば,英国人は髪,目の色,日本人は目が二重かどうかを重視する.
  • 特殊な環境により表情の認識が変化する.養育放棄を受けた子は悲しみの表情を,虐待を受けた子は怒りの表情を認知しがちというバイアスがある.

[]不細工な友情 15:25

不細工な友情

不細工な友情

お互いが必要とし,尊重もしてるのに,嫌い合ってる.そういう不思議で複雑な感情ってのがある程度濃い人間関係にはかならず出てくると思います.人間って単純じゃないですからね.その複雑な感じをすごく的確にしかもユーモラスにとらえています.ホントにおもしろい.

わたしとは完全に同世代なので,いろいろ共感できるところもあります.大学入学時のエピソードなんかは完全にシンクロする部分もあります.ただやはりいろいろ立場は違うので,同じものを違う視点から見ていることがわたしにとってはかなり興味深いです.サークル新歓コンパの話,大学デビューを画策する話おもしろかった.W浅野のゆう子のほうを目指して紺ブレを着たという大久保の発言や,ソバージュをかけて髪の量が3倍になったという光浦の発言はデジャビュを見るようでした.あと,「だしょ?」って相打ちをうつ奴とか.うーん,哀しくもありそこはかとなくおかしくもありといったところでしょうか.

同世代には抜群にお勧めです.もちろん別の世代にも.

[]宮本「なにわのモーツァルト」です! 15:39

ザルツブルクオーストリア)8日=西尾雅治】ザルツブルクに移籍したDF宮本恒靖(29)が「なにわのモーツァルト」になって成功を収める。宮本は7日(日本時間8日)に現地に到着し、クラブ幹部、現地メディアら30人に出迎えられた。自身の選曲CDを発売するなどクラシック通だけに、モーツァルト生誕の地で音楽を最大限の息抜きとし、新天地での飛躍につなげる。

日刊スポーツより一部抜粋.全文は以下のURLにて.

http://osaka.nikkansports.com/news/p-on-tp1-20070109-140155.html

これは将来的な「髪型」のはなしなんかな.なにわのモーツァルトといったらあのかたですからね.

[]01/09/2007 20:26

  • 共同研究者からのプロポーザル.コメントを書く.一晩おいて明日読み返して送ろう.Bは仕事速いなあ.
  • B誌から査読結果がかえってくる.一カ所,先方が勘違いして方法論的問題点を指摘した箇所がある.それ以外は,もう少しちゃんとレビューしろとか,この分析も試せとか波風のかけらもないコメント.手堅い研究にはありがちな対応だ.先方の勘違いは簡単に解決できるだろう.だからrevisionはさっと書いてさっと返すことにする.last in fast outが仕事の原則.2ndラウンドで問題が出てこなければスムーズにacceptまで行くのではないか?と希望的観測.
  • うつバイアス実験2.データ集計3/8まで終了.少しずつやるしかありません.
  • 1−3月の日程確認.思ったよりもとびとびで会議などが入る.1週間くらい出張しようと思っていたが,うまい具合に時間を捻出できるのだろうか?早めの調整が必要だ.明日にでも相談しよう.
  • 会議ひとつ.なんか将来的には面倒くさそうになりそうな案件がふたつ.とほほ.
  • 明日,重要書類を取りに行かなくてはならないことが発覚.忘れないようにしよう.
  • 番外.知り合いに新しいテイラーを紹介してもらい,採寸と打ち合わせに行く.初回なのでお試し的なベーシックなスーツをオーダーする.なんかずいぶん安くてびっくりした.注文閑散期のセールなんだろうけど.....

2007-01-05 Borat

[][]Borat 06:35

友達に勧められて見てみた.爆笑.ここ2時間くらいYouTubeで片っ端からmovieを見て笑いっぱなしです.

例えば,こんなのとか.

D

How much is she? はタイミングといい内容といい -Priceless!

他にも

D

How do you recommend to cook this? は掛け値なしに -Cooooool!

まだまだまだまだ見切れないくらいある.ほんとに久々に大笑いしました.

[]1/05/2007 17:24

  • うつバイアス実験2データ集計.1/4まで.まだまだだ.
  • B誌へ返す査読コメントを見直す.週明けに送ろう.
  • s誌から査読依頼があった原稿をざっと見る.そんなにひどくはない.理論的な補強をすればもっと良いとこにも出せるようにも思うのだが,わたしのしんぱいすることではないか...できるだけはやく返したいところですが,わたしのところに来るまでですでにだいぶ時間がかかってるらしい(エディター情報).いくない.
  • ま,今日は試運転.夕方から自宅に客が来るので早めに帰る.
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2007-01-04 キャップ

[]キャップ 14:49

中学生の頃からかれこれ20年以上,たまには休みながら,走り続けています.もちろんメタフォリカルな意味ではなく,朝近所を走ったり,マラソンのレースに出たりしています.

ランニングはシューズがあればスタートできるスポーツですから,道具にこだわる必要はあまりありません.ただ,あると便利なもの,あるいはあると非常に楽になるものというのはあります.

その代表例はキャップ,すなわち帽子です.真夏の炎天下を除いて,帽子自体の競技への効果はほとんどありません.かぶったからといって速くなったり,遅くなったり,疲れなくなったりというものではありません.

キャップが与えてくれるのは,競技上の効果ではなく,社会関係上の効果です.

昨今の世知辛い世相を反映してか,いい年をした男がウロウロしていると視線が結構厳しいものがあります.昼間や夕方なんかに走っていると不審者扱いをされます.小学校や中学校のそばや,通学路なんかですとかなり露骨です.Tシャツ短パンで小学校のそばなら通ろうもんならかなり警戒されます.職務質問まがいのことすらされます.地域の特殊事情とわたしの外見的事情もあるのですが,やはり不審者あつかいはキツイです.イヤです.

昼間がダメなら夜にすればいいのかと言えばそうでもない.痴漢に間違えられたり,泥棒に間違えられたり,酔っぱらいに絡まれたりします.マジで.

ところが,ランニング用のキャップをかぶっていると余り不審者扱いをされません.運動をがんばっているさわやかな人だというあつかいをしてくれます.

また,キャップには匿名性を高める効果もあります.実際帽子をかぶるだけでその人の印象は変わりますし,視線が顔だけでなく帽子に向くので同定しづらくなります.あまり親しくない人に走っている姿を見られると少し面倒くさいですし,気恥ずかしいので匿名性があがることにもプラスの作用があります.

そんなわけでわたしにとってキャップは必需品です.もっとも,ベビーフェイスな人なら要らないかもしれないですが,こればっかりは愚痴を言ってもはじまらないですね.

[][]非認定大学博士号 吉村作治学長も取得 15:06

早稲田大学教授で「エジプト博士」として知られる吉村作治サイバー大学学長(63)が、米国の非認定大学パシフィック・ウエスタン大学(PWU)ハワイ」の博士号を取得していたことが29日、分かった。同大学は、米国で「学位の乱発」と問題化した「ディプロマ・ミル」(DM)の一種とされ、吉村氏は「うかつだった」と話している。ほかの未認定大学博士号を取得した英語教育の著名専門家も反省の意を示しており、教育界に「学位商法」の波紋が広がっている。(池田証志)

一部抜粋,全文は書きURLにて.

http://www.sankei.co.jp/shakai/jiken/061230/jkn061230002.htm

かっこわりーなー.

普通の人はディプロマミルが出すインチキ学位ときちんとした大学が出す学位(博士号)の区別なんて出来ないでしょうから,それなりに機能してしまうのはある程度しょうがない.そんななかで,このように新聞でもインチキ学位を問題として取り上げたのは良いことだと思います.インチキ学位は詐欺的な行為に結構利用されてますからね.インチキ学位を見せびらかして商売をしてるような奴にロクな奴はいない.それを見分けるいい材料になると思います.

しっかし,大学関係者や大学の許認可や評価を扱う部署なんかはそんくらい知っといてくださいよ.ある程度の知識があるなら少し調べればわかるんだから.

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2007-01-02 カラマーゾフの兄弟

[]カラマーゾフの兄弟(*0) 10:38

カラマーゾフの兄弟〈上〉 (新潮文庫)

カラマーゾフの兄弟〈上〉 (新潮文庫)

何年ぶりでしょう.とても久しぶりに読みました.

最後はあんなんだったかな?というくらい内容は忘れていましたが,全編に流れる過剰なぐらいの勢いと力強さにはやはり読んでいて力を奪われました.終始壊れんばかりに興奮しています.あんなに長いカギ括弧やあんなにたくさんの感嘆符が使われる小説って滅多にないですよね.疲れる読書です.

今回この長大で興奮に満ちた小説を読んで,浮かんできたイメージがありました.それは,

Samuel L. Jackson

わたしの中でかれは「説教俳優」という位置づけなのです.カラマーゾフの兄弟を読んでいたとき,まるで怒り猛ったSamuel L. Jacksonに説教を食らっている感じを受けました.パルプフィクション(*1)の殺し屋役で銃をつきつけて聖書の一節(*2)を怒鳴りつけるあのシーンですね.この小説には映画のあのシーンのような圧倒的な興奮と力強さがあると思った次第です.

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(*0)以前別のところに書いたものを再掲しました.

(*1)映画をご参考まで.

パルプ・フィクション [DVD]

(*2)あのせりふは聖書の一節じゃなくて昔の千葉真一主演映画のせりふらしいですね.

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