やっぱりラテンだぜ!(ラテンの秘伝書外伝)by 風樹茂

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  • 2018-10-31 仮面を剥がされたサウジアラビア ムハンマド皇太子(4)

    []仮面を剥がされたサウジアラビア ムハンマド皇太子(4)

    テロ法の拡大解釈
     サウジアラビアイラクシリアの内戦の影にかくれてあまり報じられないが、90年代からテロが頻繁に起こっている。外国人居留地で英米人が狙われることが多い。10月には、サウジアラビア西部ジッダにある宮殿の西門付近で、男が自動小銃で兵士に発砲するテロ事件があった。当時、ムハンマド・サルマーン皇太子はジェッダにいたと伝えられている。

     キャンプなどの治安対策はどうだったのだろうか。

     「リヤドのサイトに入る時の、セキュリティGateだけは面倒だったな。朝の6時ころ到着したのに、ライフルを持つ門番が英語を全く理解せず、こちらの運転手の素振りも解らず、サイトの門の外の食堂・喫茶のような所で3時間も待たされた」 

     T さんが滞在した2014年にはサウジアラビアでは日本に先駆けて「テロテロ資金に対する対策法」が施工されている。国内外で過激宗教・思想集団に対して所属、支援、支持の表明をした場合、懲役5年以上30年以下の懲役刑、さらに容疑者を6カ月留置でき、外への連絡は90日間禁止される。捜査当局は容疑者の尾行・盗聴・家宅捜索が可能となった(参考『サウジアラビアを知るための63章 「11章 初の包括的テロ対策法」』中村覚 明石書店)。

     同法を盾に2015年7月には、サウジアラビア治安当局は、ISILに連なるテロ関係者431名を逮捕し、同年9月にも、東部州及びリヤド市内に潜伏するテロリスト多数を摘発している。と、同時に人権活動家、ジャーナリスト、ブロガ―などにも適応され、テロと無関係な人間が監禁され、国民の口封じとなっている。 

     5月には、国連代表が人権状況をサウジアラビアに視察に行き、推定無実の囚人との面会を求めたが、認められなかったこともあり、国連は反テロ法の拡大運用による人権侵害言論の自由を封じる弾圧に対して非難している。

     いずれにしろ、原油価格の低迷と人口増加(90年は1500万人、現在は3200万人)を考慮すると、2万人の王族を筆頭とする超金満格差社会が、今後も続けられるとは思えない。11月にはムハンマド・サルマン皇太子の指示により、汚職容疑で王子11人、他大物実業家、現職閣僚ら有力者数十人が一斉に逮捕されたのは記憶に新しい。

    サウジ維新はどうなる? 
    「王族からの権力と金力の奪取、宗教の呪縛からの解放」―これらは明治維新時に、大名と武士の特権を奪い、廃仏毀釈により仏教弾圧したのと似ている。サウジは王室の最高位が自分以外の旧体制を打破しようとている点で、江戸幕府が消滅してしまった日本とは違う。けれども旧体制の権力を削ぎ、国柄を刷新するという意味では、サウジ維新といえそうだ。

     維新の成否について、その阻害要因となりそうな気がかりな3点を挙げておく。

    1.労働にかかわる長年の慣習や意識は簡単には変わらない。外資により職を作っても、その職を全うできるサウジアラビア人は当分不足する。その意味で、若者は海外でのインターンでの就労などで、別の労働環境体験することが望ましい。中長期で人材育成が変革を妨げるリスクとなる。

    2.アラムコ株式上場政府の収入増のためには、原油価格を上げる必要がある。けれども原油に頼らない国を作るために、原油に頼るという苦しい状況ともいえる。今後バレル60ドル(WTI原油先物)をつけ、もしも70ドル台へと価格が上りつめていけば、再び原油頼み経済に戻ってしまうのではないか。産油国とは案外そういうものだ。サウジアラビアGDP−20%を記録(82年)したときにも、石油依存体質を抜け出さない限り、サウジアラビア王朝は危ういといわれていた。

    3.イエメン内戦への介入はサウジアラビアに高くついたのではないか。無差別爆撃や陸海空封鎖処置によるイエメン国民に対する非人道的な行為が明らかになっている。空爆などの犠牲者は1万人を越え、人口2700万人のイエメンで700万人が飢餓状態で、90万人がコレラなど疫病に感染している。多くは子供たちだ。

     さらに11月4日には敵対するフ―シー派により、首都リヤド近郊の国際空港に向けてイエメンから弾道ミサイルが発射され、サウジは石油プラントの防御を厳重にする必要が生じている。
    日本、韓国スペイン企業などがかかわった南西部にある新興のジザン製油所(ジザン経済区)は、フ―シー派が支配する山岳地帯のイエメン北国境から100キロ程度しか離れていない。サウジアラビア内が戦争状態になれば、原油はバレル100ドルを目指して急騰するだろうが、外資は進出に二の足を踏むし、外国人が働きに行くのも躊躇する。サルマン皇太子が自ら前のめりになったイエメンへの軍事介入が、改革をとん挫させ、自らの失脚を招きかねない最大のリスクとなっている。

      
     トルコイスタンブールサウジ領事館での杜撰で残忍なジャマル・カショギ記者殺害事件は、まさに独裁の由縁を思い起こさせる。独裁者は全能感のゆえ、杜撰になり失敗する。けれども何度失敗しても乗り越えてしまうのが独裁だ。

     このムハンマド皇太子がどのように育てられ、どう教育されたのかは、わからないが、基本的に他者の痛みなどこれっぽちも感じない人間であることは確かである。身内の不幸のときだけ、心を震わせるとしたら、まさにヤクザマフィアコカインカルテルの一員とその人間性には変わるところはない。


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    フェイクニュースはこうして広まり、定着し、真実となるーべネズエラの「インフレ率1000万%」を人はなぜ信じるのか? 

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     さて、安田純平氏が解放された。喜ばしい。産経新聞は、「国際テロ情報収集ユニット」のおかげだという記事を俄かに掲載したのだが。レバノンのメイドカフェと日本人人質 安田純平氏

    2018-10-27 仮面を剥がされたサウジアラビア ムハンマド皇太子(3)

    []仮面を剥がされたサウジアラビア ムハンマド皇太子(3)

    格差は続く
     最近のサウジの事情が知りたく、今年の6月、プラント技術者のTさん(キャリア40年)に数年ぶりで会った。2014年10月〜15年4月まで中東最大のジュベール工業都市でジェット燃料生産プラントの建設現場で働いていた。施工は韓国系の企業でオーナーはアラムコである。

     石油精製、石油化学、鉄鋼などのプラント工業群から成る、ジュベールには日本の主要な建設会社やエンジニアリング会社は一度は進出したはずだ。筆者もジュベール港出港のサウジ産の鉄加工品を別の国で何度も受け取ったことがある。

     「暑い? だから今回はまだ過ごしやすい4月〜10月だけの勤務にしたんだよ。命令するほうだから、勤務はそんな大変じゃなかった」
     「息抜きといえばバーレンに行くぐらいかな。食事インドフィリピンインターナショナルの3種類が食べられるようになっていたよ」

     筆者と違い位が高いので一時カタールにいたときのように私のように残業、残業というわけではない。

     他の国の人はどうなのだろうか。

     「フィリピンインドは職場の中間層で、仕事や生活もまだ余裕があるんじゃないかな。フィリピン人は家族も呼んでいた。外人女性も外ではアバヤを被っていたな。大変なのはクラークや掃除夫のネパール人で、知り合ったひとりは朝から夜まで働いて残業代を稼いで、長年サウジから家族に仕送りをしていた。月給? 1000ドルいくかいかないかぐらいじゃないかな」

     世界中どこでも勤務時間が長く辛い職種に限って報酬は少ない。とはいえネパール国内の建設労働者は月給100ドル前後だろうから、10倍にもなる。

     「サウジの人間も何人かいたよ。何割か雇わなきゃいけないって政策だからね。でも彼らは新聞を読むか煙草を吸っていたな」

     サウジアラビアは人口の3分の2ほどを30歳以下の若年層が占め、失業率は20〜30%。政府サウジ人の雇用を増やす(サウダイゼーション)意向だが、そう簡単ではない。何ら税金はなく(2018年から消費税5%導入の予定)、教育も無償となると、勤労意欲は湧かない。せいぜい公務員になって日に2、3時間就労すればいい。また、初等教育義務教育として確立したのは2004年である。

     「プロジェクト本部はリャドにあったから、そこまで車で4時間の行程で、途中テントとか仮小屋のような家を見たね。あと、アラムコのプロジェクトに従事する人間は別格だよ。30歳そこそこでベンツに乗っているし、欧米に留学している。我々に命令するほうだから。アラムコのあえらいさんが一時日本に新婚旅行できたよ。成田から電話が突然きて、案内にしろっていうのさ」
    「そういえば、映画館の建設が許可されたみたいだな」


     外は灼熱だ。宗教警察の目も光っている。冷房のきいた映画館もまだないのだから、人々は自然ゲームなどの室内の娯楽に関心を持つ。だから、日本のオタク文化好きがたくさんいる。経済改革計画「ビジョン2030」は娯楽面の拡充もうたわれ、17年の2月にはジェッダで、オタク文化の祭典『コミコン』が開催されて2万人前後が参加したという。

     けれども映画の上映には保守的な宗教界が反発している。王家宗教警察の力を削ごうとしていて、宗教界と王家の綱引きが続いている(サウジ維新の行方に続く)。

    フェイクニュースはこうして広まり、定着し、真実となるーべネズエラの「インフレ率1000万%」を人はなぜ信じるのか? 掲載されました。ノーベル医学生理学賞 本庶佑さんがおっしゃるようにどんな権威だって信じてはいけない、はあらゆる面で当てはまる例です。

    2018-10-23 仮面を剥がされたサウジアラビア ムハンマド皇太子(2)

    []*仮面を剥がされたサウジアラビア ムハンマド皇太子(2)

    事実はマスコミには書けない
     その日の夜、もっと恐ろしいこんな話をK氏に聞いた。

     ある国の駐在員の妻が殺され、第一発見者の夫が疑われて拘置所に入れられ、その国の大使館派遣企業が解放に手をつくした。けれども、拘置所を出た時には精神に異常をきたしていた。
    この手の話は欧米や日本の駐在員の間で語り継がれる都市伝説のようものかもしれないが、いい悪い別として、サウジ国柄からして欧米流の人権は通じないのだから、ありそうなこと思え、恐怖を感じたのを覚えている。

     あれから20年ほど立った今も、そんなサウジアラビアの状況は変わらないままなのだろうか?

     その日の夜、もっと恐ろしい話を聞いた。
    「ある商社駐在員がオフィスから戻ったら、妻が血を流して死んでいた。警察に電話した。第一発見者だから、疑われて拘置所行きになった。もちろん大使館や企業は釈放してもらうように手を尽くしただけど」
     サウジアラビア裁判アラビア語で行われ、通常、通訳がつかないという。弁護人はついたりつかなかったりのようだ。
    「結局、刑務所から出たときには精神に異常をきたしていた。会社は日本のマスコミには手をまわして記事にならないようにしたけどね」
     死刑になるのは、殺人、麻薬売買、窃盗、不倫売春、国王や宗教への冒涜である。

     もちろんこれは都市伝説ではなく、事実。実際には日本の商社マンに起こったことである。
     20年たった今も、この国の基層文化や政治の基盤は、今回のムハンマド皇太子によるカショギ氏の杜撰な暗殺により、その仮面は剥がされてしまった。(最近のサウジアラビアへ続く)



    フェイクニュースはこうして広まり、定着し、真実となるーべネズエラの「インフレ率1000万%」を人はなぜ信じるのか? 掲載されました。
    日本と世界のマスコミをなで斬りします。

    2018-10-21 仮面を剥がされたサウジアラビア ムハンマド皇太子(1)

    []仮面を剥がされたサウジアラビア ムハンマド皇太子(1)

     もともとサウジアラビアは、独裁警察国家である。以前より、フィリピンなどから来る家事手伝い
    メイド他は、家族にパスポートをとられ、自由のない暮らしをするどころか、行方不明となることもあった。
    フィリピン領事館には不明者捜索の担当官もいた。

     2014年にはサウジアラビアでは日本に先駆けて「テロテロ資金に対する対策法」が施工されている。
    もちろんそれは、テロリストの摘発だけではなく、同時に人権活動家、ジャーナリスト、ブロガ―などにも適応され、
    テロと無関係な人間が監禁され、国民の口封じの手段となっている。 

     今回は、ジャマル・カショギ記者という著名なジャーナリストが、トルコイスタンブールサウジ領事館で、生きたまま
    切断され殺されるという劇的な殺害方法だったので、世界の目を惹いている。けれども 国の基層文化・政府の出自を白日の下に
    曝しただけで、もともとそのような国の仮面が杜撰な手口のせいで剥がされただけである。

     以下は以前WEDGEInfinityに掲載された 
    サウジアラビアイスラム開発銀行に雇われてみた」独裁の命運7
     の引用と公になる文章には、書けない訂正と加筆(青字)である。つまり、マスコミには隠されてしまう、本当に大事な
    ことや、瑣末に見えるようだが、読者の関心を書きたてたり、お笑いにつながったり、あるいは物事の本質を浮かびあがらせたりすることを、今回青字で記載する。

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     サウジアラビアは、昔からの文化、社会の規範をそのまま続けてきた国だ。日本は極端に欧米化したが、石油の恵みのあるサウジは超然として宗教を軸とした君主制をつい最近までは続けてきた。そんな国の商業都市ジェッダに拠点を置くイスラム開発銀行に雇われたことがある。 

    スポーツ新聞は空港で没収だ

     ジェッダのキング・アブドゥルアズィーズ国際空港では、どの国と比べても緊張した覚えがある。パスポートコントロールと税関で厳重に審査され、回りの女性たちの黒ずくめのニカーブから眼だけを晒している姿が、中東は初めてだった筆者に威圧感を与えていた。

     「女の裸の掲載された週刊誌は当然だけど、スポーツ新聞だって没収だよ。相撲の裸だって女か男かわからないっていうからね。聖地のメッカメディナがあるから厳しい」

     そう言ったのは、筆者ら調査団を迎えてくれた商社駐在員のK氏だった。彼は大阪外語大学(2007年大阪大学に吸収)のアラビア語学科を卒業していた。外国人向けの瀟洒なプールつきのコンパウンドに単身で住んでいる。

     筆者が所属した研究所にコンタクトしてきたイスラム開発銀行は、1975年設立され、加盟57カ国の経済・社会開発のための資金供与が主な目的である。世界銀行アジア開発銀行イスラム版だが、金融はシャリア(イスラム法)に則って無利子である。

     そこで銀行の賢い人は自身と加盟国の利益を同時にあげるうまい逃げ道を考え出した。加盟国の工業化のためにリース産業を勃興させようというのである。銀行ローンではInterest(利子)が収益となるが、リース産業ではそれをReturn(収益)と言い変えることができる。彼らは欧米よりも日本のほうが好ましいと思っていたらしく、ある商社を通して我々に話が回ってきた。

     イスラム開発銀行のカウンターパートはスーツ姿のパキスタン人の集団だった。シャリアに係る税務会計のルールは白いトーブに身を包み、頭に赤いシュマーフを被ったサウジアラビア人の会計士から仕入れることができた。銀行には礼拝場が設けられ、仕事の最中でも彼らは中座した。どこからか礼拝を呼び掛けるアザ―ンが聞こえてくる。

     最初の候補地となる調査対象国を2カ国に絞る段階では、銀行側はアフリカ中東の砂漠の国を選びたいようだったが、筆者はトルコマレーシアとすることで押し切った。その2カ国はリース産業がすでにある程度発展していた。「イスラム金融のリース産業」の成功モデルを作る必要があるし、熱い砂漠で調査活動をする気にはなれなかった。

     歓迎の昼食会で筆者は仕事よりも知りたい質問をサウジ人に投げかけた。
    「好きな女性や結婚相手の候補を選ぶのはどうするんだい。顔を見れないようだけど」
    「自分の姉妹がいれば、彼女らに相手の容姿や性格を聞くんだよ」
    「姉妹がいなければ、母親?」
    「うーん、母親の友人の女性では年がずっと上だから、ちょっとね」
     そういって彼は笑った。

     筆者が思うにサウジアラビアでは女性よりも男性が厳しい状況に追いやられているといえる。結婚するには女性の家庭に300万円前後を支払い、結婚式の費用、家政婦、妻のための車とその運転手を用意する義務がある。女性は労働、家事労働ほかの雑事から解放され、大学で教養を身につけ、消費に勤しむことができるのだから、ある意味ユートピアである(参考 『不思議の国サウジアラビア竹下節子 文春新書

     女性の運転解禁とは、男性の負担の軽減でもあったわけだ。



    ジェッダの娯楽
     街は清潔で綺麗で近代的だった。夜にはレストランなどが煌びやかなネオンサインに彩られた。サウジ産の野菜もオマーンからの輸入ものも、乾燥した厳しい環境で育ったせいか、美味だった。子羊の脳みそなどの珍味も味わった。

     ワッハーブ派は音楽も禁止だと聞いていたが、街の土産店でアラブ音楽のCDを何枚か購入することができた。ジェッダは国際商業都市なので内陸部の首都リャドなどよりも、イスラム戒律は緩いのだろう。

     ゴルフ場では、欧米人が真昼にプレーしていた。土漠の中なのですべてバンカーで、気温は40度を越え日射しは熱刺というのが相応しかった。車のボンネットの上で目玉焼きができるという。治安の悪い中米に長く駐在した同僚は「ここなら住んでもいい」といったが、筆者はこの凶暴な日射しに晒されて生活するのは願い下げだと思った。

     K氏のおかげで、紅海のプライベートビーチで泳ぐ機会があった。隣は女性専用ビーチで、ニカーブ姿でそのまま海に入っている女性たちが、遠目に認められた。泳ぎが下手な筆者はシュノーケルで恐る恐るリーフのそばまで行き海底を覗くと、カラフルな熱帯魚の集団が遊泳していた。沖縄小笠原カリブ海、南太平洋の海よりも美しかった。

     しかしその海底は何10メートルの距離があった。海辺に戻って気がついたが、シュノーケルの口を加える部分が切り裂かれていた。小心な私は怖くて歯を食いしばっていたのだ。つまりシュノーケルを噛み切った。恐るべし歯先よ。恥ずかしいので、「いやー、美しかった」とだけいって借りていたシュノーケルをK氏に戻したのだった。 
     さて、今回の殺害事件でサウジ王室は恥ずかしく思っているのだろうか。 否! へまをやらかしたと考えているだけだろう。次はうまくやると。
     つまり殺害部隊が罪に問われるとすれば、その目的ではなく、行為の方法にあるといえよう。



    宗教の桎梏と都市伝説
     ゴルフや水泳はできても、映画館は禁じられていた。男女は公共バス、学校、浜辺などで隔離されていた。女性の写真を写しただけで宗教警察(勧善懲悪委員会=ムタワ)に捕まって刑務所にぶちこまれるかもしれない、とK氏に脅された。

     「フィリピン人のメイドがたくさんいるけど、行方不明になっているのも多いんだよ。家政婦のパスポートは雇い主が預かっている。で、言うことを聞かないとキリスト教を布教したとかの理由で訴えられるのさ」。フィリピン大使館には行方不明者を探すための担当官がいるという。

     870万人前後(2016年)いるインド東南アジアアフリカ、欧米、日本などの外人労働者は、サウジアラビア人の中では心理的に身分が区分されているようだ。2400万人前後の自国民も階層が大きく別れ、格差が大きい。日本では金満サウジなどといわれるが、カタールなどと比べて誰もが金満なのではない。

     筆者の知人は90年代後半に「掘立小屋に住んでいるあきらかに奴隷を見た」と驚いていた。サウジアラビアには、もともと奴隷階級が存在していた。公式な奴隷解放令は1962年であるが、社会慣習として奴隷がまだ存在している可能性がある。

     もちろん、お金よりも生活スタイルを守りたいという人々がいる。ジェッダの街には高層ビルのマンションがいくつかあった。ベドウィン用に建てられたものだという。「空いている部屋が多い。彼らは定着しないんだよ。移動と砂漠が好きなんだ」(K氏)

     現在の王朝サウード家は20世紀初頭にベドウィンイスラム原理主義ワッハーブ派へ改悛させ、定住させることで各部族を征服・支配下に置いてきた(イフワーン運動)。それに恭順しない部族もまだいるのだろう。

     思考の幅を広げて見ると、アメリカ合衆国建国からの由来のひとつは西部開拓であり、西へ西へと先住民を征服しながら進出し、最後には日本と出会い、日本を征服した。それと同様に、たとえ政府が関与していなくてもサウジアラビアワッハーブ派の布教を別の国へと広げようとするのは、宗教に内在する拡張の意志と国家統一の歴史の由来から来ているといえるかもしれない。それは悪くするとテロ支援や戦争へと繋がる(続く)。

    2018-09-30 炎上死した新潮45と劣化するマスコミと社会の行きつく先(2)

    []炎上死した新潮45と劣化するマスコミと社会の行きつく先(2)

    f:id:latinos:20180929114917j:image:left 少なくとも次の号を出すべきだったのではないか
     それにしても新潮45がこんな簡単に白旗を上げるとは意外だった。少なくとも、次号で編集長自らが、なぜこのような特集を組んだのか、
    なぜそうせざるをえなかったのかを書いて、それを最終号にしてもらいたかった。雑誌が抱える問題を世間に訴えるきっかけにもなったし、連載を持っていたり、
    すでに企画が通って原稿に手をつけていた書き手や担当編集者に対する配慮でもある。

     この炎上死により、新潮社は、最終号に掲載されたレポートの書き手を2重の意味で棄損してしまったのである。
    経営者側は、いつ廃刊にするかチャンスを待っていていい機会だ、と思ったに違いない。

     それにしても、安倍首相の周囲に群がるマスコミ人や執筆者はろくなものがいない。小川栄太郎は安倍よいしょ本でデビューし、
    組織買によりベストセラーとなっているような著者であるという。類は類を呼ぶとまで言いたくないが、いかんともしがたい。

    子供たちに顔向けできるのか
     今回の新潮45炎上死を見て、雑誌の編集長、編集者は寒からぬ思いをしたものも少なくないだろう。
    私が雑誌や新聞に書くようになったのは、2001年頃からだった。そのころはまだ日本は左寄りだったのでないか。私はむしろ国家を忘れた日本人の咎について書いていた。

     ところが、あっという間に世間は驚くほど右寄りになった。バブルの崩壊韓国中国の勃興が影響しているのだろう。マスコミは商売右翼として、乗じるようになった。
    一杯の毒は、2杯、3杯と増えて行った。編集者たちはそのうち毒を煽り過ぎて、以前は信じてもいなかった毒の中の現実を本物と錯覚し始めたに違いない。
     現実を見失って行くコカイン中毒者のようなものである。

     世間が右ならばそれを越えなくては本は売れない。ヘイト、少数者叩き、韓国中国への侮蔑、それにより酒場で溜飲が下がる者も多いのだろう。
    危険な兆候だ。ナチスゲッベルスデマゴーグを思い出す。中身のないデマにドイツ国民は熱狂したのである。

     新潮45の炎上死を他山の石として、数少なくなった総合誌の編集長、編集者、加えて書籍の編集者もデマに加担し、社会をいっそう劣化させるのは、もうやめたほうがいい。
     歴史は必ずはデマゴーグの跋扈に加担するあなたたちを裁断するときがくる。そんなとき、あなたたちは子供や孫に顔向けすることができるのか!

     合掌! 新潮45に

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