レーザー光を吸収する「反レーザー」

 レーザーに対して、それを吸収する「反レーザー」なるものが実現できるという。最大の応用分野は次世代のコンピュータであるという。光コンピュータというか「レーザーコンピュータ」となるのだろうか。

米研究者、世界初の「反レーザー」を発明(ITmedia)
光を吸収する「反レーザー」(WIRED VISION 2010.8.3)

 レーザーは、もともと電気エネルギーをレーザ光の光エネルギーに変換されたものだが、このレーザ光を捕らえて今のところ熱エネルギーに変換することにより「反レーザー」になるという。ただ、熱エネルギーではなく電気エネルギーに変換できる可能性があるという。熱エネルギーならばエネルギーは散逸してしまうだけだが、電気エネルギーに戻すことができれば、かなりエネルギー効率の良い装置となるかもしれない。


 最近はレーザーといえば大袈裟なものではなく、確かに身近なものになっている。スクリーンに写すレーザーポインタや、LEDの代わりにレーザーを使う「レーザーマウス」のようなものもある。子供の頃はレーザー光線のイメージといえば、レーザー銃のような殺人光線だった。正確に相手に照準が定まって相手を射抜くようなものであった。


 コンピュータのチップに応用できれば、シリコン媒質の中を移動する電子に代わり、レーザーと「反レーザー」でビットの1,0が実現できることになる。光の方が電子よりも高速であり、熱エネルギーの放出も少ないかもしれない。さらにいえば、量子コンピュータなどの原理の1つにもなっている「可逆コンピュータ」も作れるかもしれない。そもそも量子コンピュータよりはレーザーというありふれたものを使うだけに、実現性が高いかもしれない。


 そういえば、レーザーは半導体チップの溝を掘る微細加工装置に使われている脇役だが、今度はそのレーザ光そのものが、コンピュータの主役にとって代わる日は来るのだろうか。