大阪サイレン製 LED 警光灯を解剖 LF-11D 〜4〜
この実物を手に入れる前から点滅の制御には「マイコンを使っているんだろうなー」と思っていました。 でも、メーカー製となると「特別に設計されたマイコンチップだろうなー」とも。
今回コレを手に入れて、真っ先に基板を手に取り眺めていると・・・。
8 本足の表面実装タイプのチップを発見しました。 恐らくこれが警光灯の心臓部でしょう。 ということで、ルーペで型番を確認すると・・・。
なんと、私が作ってきた警光灯でも使った Microchip 社のマイコン PIC12F629 だったのです!
よりにもよって PIC が使われているとは最初は目を疑いましたが、要はただの LED チカチカプログラムなので、いろんな意味でローコストな 8bit の PIC を使うのも納得です。 でも、型番まで同じとは。
さて、ここで後学のために全体の回路図を基板とにらめっこしながら書き出してみました。
PIC 周りはというと、Port.0,1 に親機と子機を駆動するトランジスタが繋がっており、減光入力のフォトカプラは入力専用ポートである Port.3 に繋がっています。
基板上には PIC を実装した状態で書き込みが出来るよう ICSP 用の 5 ピンのコネクターも付いています。そこで、プロテクトされて読み込みは出来ないだろうなーと思いながらも、プログラムを Read してみました。
すると何の問題もなく読み込みが完了しました。
そして、出てきた .HEX ファイルをフリーの逆アセンブラ(帝 3.3.3 + 帝 4.0 betaの詳細情報 : Vector ソフトを探す!)に通したら、アセンブラコード .ASMが出てきました。
▼ アセンブラファイルの一部
一応これは非公開とさせてもらいます。
さて、ここからが本題です。
一番最初に自作警光灯を作ろうと思ったとき、ランダムフォーとトリプルフラッシュの点滅周期は、Youtube に上がっている緊急自動車の動画を一コマ一コマ動かして解析しました。
参考:ヘタのモノ好き - 電子工作 - LED警光灯の製作3台目
以後、これを基にして警光灯の点滅プログラムを組んで作ってきました。 元の動画と見比べても同じなので、点滅パターンを正確に再現していたと自負していましたが、やはりホンモノに勝るものはありません。
そこで、ロジックアナライザという便利なモノで、点滅周期を直に計測してみることにしました。
これが実測した警光灯の点滅パターンになります。 これが欲しかった!
自分の解析したものと比べると、トリプルフラッシュの交互のタイミングが少し違うことを除き、点滅自体はほとんと同じだったので思わずニンマリです。 これで点滅周期が正確にミリ秒単位で判明したので、プログラムを修正して正確な警光灯を作っていきたいと思います。
それでは最後に動画をどうぞ!
▼ 大阪サイレン LED 警光灯 LF-11D-1 フラッシュパターン
上の埋め込み動画で画質が悪い場合、Youtube にジャンプして再生すると HD 画質で見ることが出来ます。
https://www.youtube.com/watch?v=Dh9W_Jy1fBw
大阪サイレン製 LED 警光灯を解剖 LF-11D 〜3〜
それでは親機のほうを見ていきましょう。
見た目は全く同じですが、こちらは内部に部品が詰まっているので少しだけ重みがあります。
この基板も同じ配列で同じ個数と同じ枚数が載っていますが、子機側の LED の電流制限抵抗が 91Ωだったのに対し親機には 12Ωが使われています。
実際に親機と子機を横に並べて見比べてみると、親機のほうがちょっとだけ明るく見えます。
親機には子機になかったフラッシュモード切り替えスイッチが付いています。これは以下の 4 モードに切り替え可能です。
- ランダムフォー・同時
- ランダムフォー・交互
- トリプルフラッシュ・同時
- トリプルフラッシュ・交互
左側スイッチで点灯パターン、右側スイッチで同時/交互の切り替えとなります。 基板のシルク印刷によりメーカー出荷時の標準設定は「ランダムフォー・同時」になっているようです。
それではさらに内部を探っていきましょう。
使われている部品を一つ一つ眺めていきましょう。
まずは電源回路を見てみますと、+12V はショットキーバリアダイオード(電源の逆接続保護)とツェナーダイオード(過電圧保護)を通り、バリスタ(サージ電圧保護)があって 5A のヒューズを通ったあと、最後にノイズフィルター(高周波防護)を通したモノが親機・子機の LED の電源供給されています。
さすがメーカー製は保護素子が十分に入れられていて、今まで自分の作ってきたモノと比べると雲泥の差ですね。ここは大いに見習うところでしょう。
デジタルトランジスタ 2 個とパワー MOS-FET で親機と子機の LED を駆動するようになっています。 MOS-FET はドレン電流 40A というかなり余裕を持ったものが使われているようです。
親機には減光モードにするための青色の線(マイナスに落とす)があるのですが、その線はフォトカプラ(NEC 2701-l016)につながっています。たとえば間違って過大な+−電圧を加えたりして壊さないよう、完全にこのメイン基板とは分離されている訳ですね。
さて、それでは「点滅の制御って、どんなマイコンを使っているのかなー」とさらに基板上の部品を見ていったら、なんと衝撃的なモノを見てしまいました!
それはまた次回。
大阪サイレン製 LED 警光灯を解剖 LF-11D 〜2〜
製品のページは以下になります。
警光灯機器 照明機器 電子サイレン | 消防活動をサポートする大阪サイレン【製品紹介】
それではまずは子機のほうから見ていきましょう。
実際に手に取ってみると意外と大きいモノです。
子機のコネクターには黄色(+)と白色(-)の2線が出ているだけで、これに12Vの電圧を加えると光ります。制御もなにもなく自動車に付けるデイライトのように、中身はただ LED を並べた基板があるだけですね。
LED の玉は Flux タイプのモノで、91Ωの抵抗を介して 3 個直列につながっており、それが 6 列あって合計 18 個の LED が基板一枚にのっています。
上のような回路の基板が前面に 2 枚、左右に各 1 枚、合計 4 枚使われています。この数は親機も同じです。計算により子機一台の消費電流は約1.6アンペアほどでしょうか。
子機には他に見るべきものがないので、内部はこれくらいにして元通り組み立てます。
外観ですがさすがに作りはしっかりして、クリアレッドのカバーの周囲にはゴムパッキン、全てのビスにはパッキンが入れてあり防水対策はしっかりされております。
テストで子機単独で 12V の電圧を加えて点灯させてみたら、今まで自作してきた警光灯の明るさがお子様レベルに感じるほど爆光でした。
次回、親機を解剖していきましょう。
大阪サイレン製 LED 警光灯を解剖 LF-11D 〜1〜
前々から研究用に欲しいなーと思っていた“ホンモノ”の LED 警光灯を手に入れましたので、これから何回かに分けて中身をじっくり思う存分舐め回してまいりましょう。
比較のために以前自作した警光灯(自転車のテールライトを改造)を並べて置いてみました。
↓ こちらをどうぞ
ヘタのモノ好き - 電子工作 - LED警光灯の製作3台目
さて、「LED の並べ方は?」「電子部品と回路はどーなってるの?」「正確な点滅パターンは?」といろいろホンモノを前にして興味は尽きなくワクワクしますね。
次回より分解していきます。
LED警光灯フラッシュユニット rev.2
この記事をまとめました。
あけましておめでとうございます!
昔はこんな画をたくさん描いて公開していましたねそう言えば。 久しぶりに描いてみました。
スタトレ(TVシリーズ)の新シリーズの話もなく、最近はもうこの世界から遠ざかっていました。
私の本家サイトも更新が止まりすでに半分閉鎖状態です。
今年こそはこの界隈で何か進展がありますように。。。
娘が父親を見る目の変化
むかし読んだ小説の中で書かれていたことがずっと心に残っている。それがこれ。
- 4歳「パパはなんでも知っている」
- 7歳「パパはいろんなことを、ホントにいろんなことを知っている」
- 10歳「父さんはすべてを知っているわけではない」
- 12歳「それもそうね、父さんなら知らないのが当たり前」
- 14歳「父さん?どうしようもなく時代遅れ」
- 21歳「うちのオヤジ、2+2の答えが3だと思っているような馬鹿」
- 25歳前後「あの人もすこしはものを知っているみたい。ま、それほどでもないけど」
- 30歳「父さんの考えも知っていたほうがいいかな」
- 35歳「焦ることはないわ。どうするか決める前に、父さんの竟見を聞いておきましょう」
- 50歳「父さんが生きていたら、これをどう思うかしら?父さんはほんとうに頭がいい人だったわ」
- 60歳「もし父さんがまだ生きていて相談に兼ってくれるというなら、わたしはなにを差しだしても悔いはないわ。だって、父さんはなんでも知っていたのだから!」
別に娘じゃなくて息子でも同じ。 SF だったかと思うけども、何ていう本だったか忘れた。
それでは、よいお年を!