丁未堂さんの『万物説』展と胡同の虹と四合院の図書館
先々回、ご紹介した北京デザインウィークの催し。
実は、798やら前門の一帯やらのあちこちで関連する展覧会が開かれていたのですが、
前門の胡同では、身近な感じのする、温か味のある展示が光っていました。
まずは、茶児胡同で開かれた版画作家の丁未堂さんの個展、『万物説』展。
壁がボロボロだったので、わざわざ自分でペンキを塗り直したという展示空間の手作り感も、かえっていい味に。
懐かしの古道具やおもちゃや食べ物を作品にしたものも。
普通の胡同の大雑院の中にあるので、付近の住民も準備の様子に興味津々だったもよう。
展示中も、近所の子供が気軽に入ってきたり、
椅子に座って作家の丁未堂さんと自由におしゃべりできたり、
自分でハンコを押すことができたり。
気ままな時の流れと、人と人が自在につながる感じが、
ソーシャル空間としての胡同の特徴を存分に感じさせ、素敵でした。
建築事務所MADの馬岩松さんが以前、
やはり空が灰色だった日、
798のギャラリー空間の中に虹を浮かび上がらせていたのを思い出しました。
嬉しかったのは、この日、以前から憧れていたプロジェクトにも出会えたこと。
古い四合院の中に、築山のような形で子供用図書館を作ったプロジェクトです。
古木を囲むように、建物があり、子供はもちろん、大人の心もくすぐられる階段が……
相棒によると、上からの眺めはこんな感じ。
脇の部屋でも、絵本の展示がおこなわれていました。
院内には普通に生活している住民がいて、来客も少なくはないのですが、
壁がどっしりしていて、緑豊かなせいか、どこかひっそり感が。
これは、張軻さんを筆頭とするZAOスタンダード・アーキテクチャーというところが手掛けたプロジェクトで、
素敵な絵本にもなったので、印象に残っていたのでした。
http://www.wtoutiao.com/p/1e4id34.html
日本のメディアも紹介していて、こちらには他の四合院プロジェクトもあります。
http://www.aij.or.jp/jpn/touron/top.html
胡同エリアの残念なところは、子供の遊べる広々としたスペースが少ないこと。
車が少なかった頃は、まだ胡同で遊ぶのも気楽でしたが、今は、行き交う車も不法駐車も増えたので、
子供はもちろん、大人だってなかなかのびのびとは遊べません。
そんな中、こういう図書館が胡同のあちこちにできれば、本当に素敵。
私だって、こんな空間で毎日気ままに本を読めたら、天国かも。