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10-05-2005 『ヒトはなぜするのか』書評

[]『ヒトはなぜするのか

ナイルズ・エルドリッジ

(2005年3月11日刊行,講談社インターナショナル,ISBN:4770027907


【書評】

※Copyright 2005 by MINAKA Nobuhiro. All rights reserved

この著者がほんの25年前にはクラディストの先頭を走っていたとはねえ.まったく面影ないなあ.「ウルトラ・ダーウィニスト」という言葉は彼によって広まったが,意外に定着しているような気配あり.Simon Conway Morris の収斂進化本『Life's Solution: Inevitable Humans in a Lonely Universe』(2003年,Cambridge University Press,ISBN:0521603250)にも出てくるし.

genealogocal hierarcy と economical hierarchy とを“並立”させて議論を進めるというこの著者のスタイルは本書でも踏襲されているようだ.でも,なんだか方々で「崩れて」いるような廃墟感が漂うのはなぜ.一般向きの本だから?

本書のバックグラウンドにあるエルドレッジの「二元階層論」については,20年前の本:Niles Eldredge『Unfinished Synthesis: Biological Hierarchies and Modern Evolutionary Thought』(1985年,Oxford University Press,ISBN:0195036336)とそれを踏まえた続編 Niles Eldredge『Macroevolutionary Dynamics: Species, Niches, and Adaptive Peaks』(1989年,McGraw Hill,ISBN:0070194742)を参照.それから,未見だが,Marjorie Grene との共著:Niles Eldredge and Marjorie Grene『Interactions: The Biological Context of Social Systems』(1992年,Columbia University Press,ISBN:023107946X)もある.

エルドレッジが標的とする“ウルトラ・ダーウィニスト”って誰のこと? ドーキンスだけなのであれば,反論例の取り上げ方に違和感はあるが,そこそこに妥当なものいいであるかもしれない.しかし,それ以外の進化学者も射程に入っているのだとしたら,エルドレッジの反対論は明らかに「誤爆」あるいは「暴発」に近いものがあると感じる.遺伝子だけで進化現象が説明できるとみなしている進化学者ってふつういないから.複数レベル淘汰とか,遺伝子-文化共進化とか,関連しそうな話題への言及はゼロ.戯画化されたターゲットを設定している本書は,「俗受けする反ドーキンス本」と評するのが適当だ.

三中信宏(10/May/2005)



【目次】

第1部 生命のふたつの側面 7

 第1章 遺伝子にとりつかれて 9

 第2章 ニワトリが先か卵が先か:生命にはふたつの側面がある 28

 第3章 自然界で行なわれている経済的活動 52

 第4章 なぜ子どもを作るのか 64

 第5章 これが公式?? 経済性+子ども+時間=進化 78

 第6章 クローン,コロニー,そして社会生活について 98

第2部 人間という変わりもの 119

 第7章 生物の常識からはずれた現代人 121

第3部 ヒューマン・トライアングル:セックスと経済と子づくり 133

 第8章 生殖から切り離されたセックス 135

 第9章 個人的レベルで見たセックスと経済と子づくり 148

 第10章 社会的レベルで見たセックスと経済と子づくり 177

 第11章 おわりに 232

註 250

訳者あとがき 282


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