『科学哲学』

ドミニック・ルクール

(2005年8月30日刊行,白水社文庫クセジュ891], ISBN:4560508917



なんつーか,悪くはないんだけど,たった数ページしかない文章を「章」に仕立てるのはやめた方がいいんじゃないだろうか?(詐欺じゃん) まあ,試験直前の「要点確認シリーズ」みたいな本ですな.細かく分割された“章”ごとにしっかり参考文献が付けられているので,関心のある方向に読者各自がそれぞれ勉強を進めていくといった感じの本.フランスの科学哲学はバシュラールにカンギレムなんですね.生物学哲学に関しては〈小部屋〉のドアをノックしただけに終わってると思う.訳者は本書を科学哲学の「ラフスケッチ」(p. 161)と呼ぶが,こりゃあどちらかといえば「紙版ポータルサイト」みたいな本じゃないでしょうか.便利ではあるけど,味ないなあ.




【目次】
序 9
第1章 哲学の中の諸科学 12
第2章 科学哲学の始まり 20
第3章 「エピステモロジー」という語 23
第4章 征服する哲学 —— オーギュスト・コント 26
第5章 危機の哲学 —— エルンスト・マッハ 34
第6章 科学的哲学? 47
第7章 論理実証主義に反対するウィトゲンシュタイン —— 誤解 58
第8章 アメリカのウィーン —— カルナップからクワインへ 67
第9章 帰納の問題 71
第10章 予言から投射へ —— グッドマン 79
第11章 認識論の自然化? 84
第12章 科学哲学から思考の哲学へ 87
第13章 科学の論理学か,方法論か? 90
第14章 洗練された方法論 —— ラカトシュ 98
第15章 告発された方法論 —— ファイヤアーベント 102
第16章 歴史的要請 —— ハンソンとトゥールミン 106
第17章 クーンと社会学的試み 109
第18章 フランスの伝統 117
第19章 発生的認識論 —— ジャン・ピアジェ 137
第20章 生物学の哲学と生物学哲学 139
第21章 二つの伝統が遭遇する可能性 150
第22章 諸科学の中の哲学 155
訳者あとがき 161
原著者による読書案内 [xxviii-xix]
参考文献 [v-xvii]
人名索引 [i-iv]