高橋輝次
(2006年5月20日刊行,右文書院,ISBN:4842100699)
130ページほど読み進む.敗戦前後の関西での書店・古書店・業界人のエピソード.本の話もたくさん.
古書目録の「誤植」をめぐる挿話をひとつピン留め:
先日も東京から届いた合同目録のある店のページの冒頭に,誤植でお騒がせしたおわびの文が記されてあった.それによると,前回の目録で『馬留謄抄』小沼丹著,となっていて,小沼丹にそんな著作がまだあったのかと,全国の小沼ファンからの注文が殺到したらしい.正しくは岩波などからも本を出している小泉丹という寄生虫学者のの本だった由である.これも傑作の一つに数えるべきか!(p. 98)
ぼくらの業界ならば,逆に,「小沼丹」という作家の名はぜんぜん知らなくても,ラマルク『動物哲学』をはじめとして岩波文庫でダーウィンやメンデル(*)の翻訳を出した動物学者「小泉丹」はもっと広く知られているだろう.
それにしてもフシギなのは小泉丹著『馬留謄抄』という本がいかなる内容なのかがまったくわからない.インターネットで調べてみてもぜんぜんヒットしないし,Webcat にも入っていない.何なんでしょ,これって?(タイトルの“読み”すらわからない……)
註*)〈青空文庫〉に小泉丹が訳した『雑種植物の研究』が入るらしい.