『滝山コミューン一九七四』

原武史

(2007年5月20日刊行,講談社,286 pp.,ISBN:9784062139397版元ページ

著者はぼくよりも4つほど年下になる.「1974年」と言えば,ぼくがちょうど高校生だったころで,当時の京都の府立高校は蜷川虎三知事の教育方針である「十五の春を泣かさない」というスローガンのもと,徹底した小学区制が敷かれ,結果として「十八の春に大泣きする」高校生が少なくなかったと個人的には記憶している.ぼくが通った宇治市の府立高校でも,数学の先生が朝早く駅頭で『赤旗』を配ったり,民青系が生徒会に入り込むという「ポストお祭り」な雰囲気だった(ぼく自身はほぼ不登校だったので高校の中で何があっても知ったことではなかったが).著者は本書で東京近郊の小学校での「ある物語」を再構成しているが,読むのがとても楽しみな一冊だ.

【目次】
1. 序 6
2. 改革 23
3. 「水道方式」と「学級集団づくり」 39
4. 二つの自己 68
5. 代表児童委員会 88
6. 「P」と「T」の連合 114
7. 6年になる 131
8. 自由学園・多磨全生園・氷川神社 159
9. 林間学校前夜 186
10. 林間学校 217
11. 追求 237
12. コミューンの崩壊 261