『分類思考の世界:なぜヒトは万物を「種」に分けるのか』

三中信宏

(2009年9月20日刊行,講談社[現代新書2014],本体価格800円(税込価格840円),328 pp.,ISBN:9784062880145目次leeswijzers stamboomコンパニオンサイト版元ページ

9月11日(金)に見本刷を手にした.幅広のカラフルなオビにくるまれていて,質量感からいえば,現代新書というよりはむしろブルーバックスのそれに近いものがある.いい仕上がりだったので,大満足です.どうもありがとうございました.連載時の最初の予定では「分類」をメインにして「種」はサブにという心づもりがあったのですが,初期段階での編集部からの強力な教育的指導により,「種問題」の闇に足を踏み入れることになってしまった.結果的には,書くべきことはすべて書いたし,10年前,未完のまま終わった『生物科学』誌の論考のリベンジをやっと果たすことができたのではないかと思っている.「Species, RIP」.

総ページ数は「328ページ」.本文テキストのみの分量は,図抜きの初校段階で「ゲラ265頁×600字/頁=159000字」だった.400字詰に換算すれば約400枚の枚数に相当する.さらに,巻末の文献リストは「ゲラ20頁×1000字/頁=20000字」だから,これまた400字詰にして50枚になる.ここまでで計「450枚」.その後,初校や再校のゲラにかなり加筆をしたので本文字数は160000字をまちがいなく突破しているだろう.図版のキャプションや索引(3ページ)を追加すれば,今回の『分類思考の世界』は400字詰にして「500枚」の大台にかなり接近しているのではないかと思う.連載時の初回二回分(400字詰にして40枚分)は新書には含めていない(コンパニオンサイトでは公開している).それがもし付け加わっていれば360ページ近い厚さにふくれあがっていただろう.前著『系統樹思考の世界』も,もう少し薄かったが,それでもテキストの分量は「450枚」ほどあった.

—— 以前,倉谷滋さんに,「みなかさん,新書なんか書いているようじゃダメですよ!」と言われたのはいつのことだったか.「見返してやるぅ」という気持ちはさらさらないのだが(ナチュラルヒストリーシリーズでも負けたけど……),ブツを手にして「ことを成し遂げた」という安堵感はある.全編にわたって,小骨(=呪文)や胡椒(=暗号)が地雷のように埋め込まれているので(前著と同じく),体裁こそ「新書」でも「流動食」のように読んでしまうときっと消化不良を起こすでしょう.その点では,『系統樹思考の世界』よりも,今回の『分類思考の世界』の方がはるかにマニアックかもしれない.

追記]9月16日(水)の夕方には都内大手書店のいくつかですでに店頭に並んでいました.(2009年9月17日記)