『宇宙怪人しまりす 医療統計を学ぶ:検定の巻』

佐藤俊哉

(2012年6月5日刊行,岩波書店岩波科学ライブラリー・194],東京,vi+110 pp., 本体価格1,200円,ISBN:9784000295949版元ページしまりす君のメッセージ宇宙怪人の部屋

前著:佐藤俊哉『宇宙怪人しまりす 医療統計を学ぶ』(2005年12月6日刊行,岩波書店[岩波科学ライブラリー114],東京,iv+119pp., 本体価格1,200円, ISBN:4000074547版元ページ口上)の続編.六年ぶりに登場する宇宙怪人しまりす君はいまや大学院生として吉田近衛町で勉学に励んでいる.



医療統計と銘打たれているが,前著と同じく一般の生物統計学に通じる内容がほとんどだ.とりわけ,統計的検定に関わる前半三話がとてもわかりやすい.統計の初学者の多くがつまずくにちがいない箇所が取り上げられているので,ピンポイントの学習資料として利用できる場面が多いだろう.後半二話は,ワタクシにとってはやや医療統計プロパーな話題が取り上げられていて親近感があまり湧かなかったが,本書の想定読者層にとってはそんなことはないだろう.



前著とはちがって,話者のアイコンが新たに行頭添付されている.コンテクスト依存でアイコンの表情が変わるようすは,「ピンク本」こと粕谷英一『生物学を学ぶ人のための統計の話:きみにも出せる有意差』(1998年3月15日刊行,文一総合出版,東京,199 pp., ISBN:4829921234)の統計問答を髣髴とさせる.



それにしても,イノダコーヒがご贔屓の「先生」に毎日いじられているしまりす君の前途はなかなか多難だ.博士課程に進んでもなお地球征服の道のりは遠くきびしい.「先生」がりすりす星にアブダクションされないことを祈るばかりだ.