猿猴/田中啓文

猿猴 (講談社文庫)

猿猴 (講談社文庫)

表紙と帯を読んで、背表紙のあらすじを読んで、とてもとても期待して期待を膨らまして読んだわけだったのだけれど。
正直、かなり期待はずれだった。
伝奇物として、すごく面白そうだったし、実際偽書のくだりとかその他もろもろ、材料はとても面白かった。
面白かったのだけれど、正直プロに向かってこんなこと言うのもあれだけど、料理するのがあんまりうまくないなって。
材料で肉付けするべき物語自体が落ちついてないというか、収拾がついてないというか、うまく表す言葉を思い出せない。慌ただしい?
あ、たぶん、支離滅裂、かな。あるいはしっちゃかめっちゃか?
ともかくそんな感じで、ところどころの小ネタが面白くて最後まで読んだのだけれど、なんかすごくとても残念な読後感だった。

春期限定いちごタルト事件、夏期限定トロピカルパフェ事件、秋期限定栗きんとん事件 上下/米澤穂信

春期限定いちごタルト事件 (創元推理文庫)

春期限定いちごタルト事件 (創元推理文庫)

夏期限定トロピカルパフェ事件 (創元推理文庫)

夏期限定トロピカルパフェ事件 (創元推理文庫)

秋期限定栗きんとん事件〈上〉 (創元推理文庫)

秋期限定栗きんとん事件〈上〉 (創元推理文庫)

秋期限定栗きんとん事件 下 (創元推理文庫 M よ 1-6)

秋期限定栗きんとん事件 下 (創元推理文庫 M よ 1-6)

あぁ、やっぱり米澤穂信は面白いなぁって。
派手な事件が起こるわけでもないのに、次に何がどうなるのか、ハラハラドキドキさせられる。
もっとも、秋期ではそれなりに派手な事件が起こっていたけれど。
小市民シリーズと呼ばれる作品群を一気に読んだけれど、どれもとても楽しかった。
小鳩君と小佐内さんの会話のテンポも好きなところかもしれない。
二人の関係も近付いたり遠ざかったり、この流れで冬期も出るものだと思うんだけど、次にどうなっているんだろうかと考えていると待てない。早く出て欲しいな。
日常の謎と言っても、不思議なものは不思議だし、それが面白いお話になっているというところがとてもいいね。
冷めない米澤穂信熱。

ホルモー六景/万城目学

ホルモー六景 (角川文庫)

ホルモー六景 (角川文庫)

面白かった。
後日談かと思いきや、鴨川ホルモーと同時期の違うお話での短編集だった。同時期ばかりでもなかったけれど。
「丸の内サミット」、これで終わりなのかな。すごく続きが気になるのだけれど。
ところどころの京都の描写にニヤニヤしてしまった。

大きな森の小さな密室/小林泰三

大きな森の小さな密室 (創元推理文庫)

大きな森の小さな密室 (創元推理文庫)

これも結構面白そうだと思って読んでみたのだけれど、正直つまらなかった。
たぶん決定的に気に入らなかったのは、台詞ばかりで構成されていること。
登場人物が二人というわけでもないのに台詞オンリーで、だんだんどれが誰の台詞だか分からなくなってくる。
微妙に特徴付けて書いてるように思えたけれど、どれが誰なのか考えることを負担に感じた時点でかなり抵抗を感じるんだね、と、ある意味発見した。
あとは、「正直者の逆説」は、純粋にミステリとして読めるものなのか、謎解きが出来るものなかすごく疑問に思った。あんまりミステリ読む時に自分で謎を解こうとしないから気にならなかったけれど、最後まで読んで、これでいいのかなって気持ちにはなった。