アメリカウーマンリブの底力

今読んでるThe Women's Health Movement: Feminist Alternatives to Medical Controlという本は、アメリカのウーマンリブ時代の女性と健康に関する運動の具体例がいろいろ書いてある。

スペキュラム(内視鏡)で、自分の性器を観察するっていうのは、日本にもリブ時代に導入されたため、結構有名だけど、アメリカはそれ以上だった。

なんでスペキュラムで見てるかっていうと、セルフ・ヘルプ・クリニックで、独自に開発した器具を使って妊娠超初期の中絶をやっていたのだ。その器具の名前がDEL-EM。たぶんdelete embryoの略なんかなって思うが、すごいシンプルな器具。

いちおう医療法にひっかからないように、生理の際の経血吸引器具ってことにしてた(そして経血吸引もしてた)みたいなんだけど、血を吸い出すのと同様に着床したての卵も吸い出してたわけ。これが1971年。

当時、アメリカでは中絶が違法だったので、この「家庭療法」を学びたいっていう草の根女性グループは全国的にたくさんあって、DEL-EMを開発したチームは深夜バスを乗り継いで全国行脚をしたらしい。

私は90年代終わりころに、日本でスペキュラム運動を続けているグループ主催のスペキュラム講座を受けたことがあるんだけど、すごくのんびりした感じだった。なんでスペキュラムで観察とかが、アメリカでそんなに流行ってたのかなーと漠然と疑問に思ってたけど(そして日本では理念的にのみ流行ったみたいだが)、アメリカの厳しい環境の中では、スペキュラム+DEL-EMが熱狂的に受け入れられる理由があった訳だ。見直したわ、アメリカ女子。