ポール・アルテ「カーテンの陰の死」

「第四の扉」以降ずっと読み続けて、すでに四作目。完全に殊能将之に踊らされている感はあるものの、なんだかんだAmazonしちゃう自分がいる。

ポール・アルテ探偵小説のいかにもな雰囲気を出すのが非常に巧い。その臭さが好きな人にはたまらない作風だろう。そしてツイスト博士の(推理披露までの)タメの長さったらミリオネア級である。

個人的にミステリは大雑把に読むたちなので「第四の扉」は喝采ものだったが、「死が招く」あたりはいまいち乗り切れなかった。そういう理由もあって、今回もトリック・動機などはいまいちピンとこなかったのだが、入り組んだ物語がほどけてゆく様、たたみ込むような解決がフォローしてくれたので非常に愉しめた。ちりばめられている小ネタも面白い。

なんだかんだ言って、次に邦訳されるのが待ち遠しい。

次は殊能センセーが1位に挙げている「狂人の部屋」だそうです。