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双風亭日乗はてな出張所 このページをアンテナに追加 RSSフィード

     編集屋の戯れ言

2007-05-25

山口県母子殺害事件の差し戻し控訴審――弁護側が傷害致死を主張 03:16


いまフジテレビの木曜22時に「わたしたちの教科書」というドラマが放映されています。中学生の娘をいじめ自殺で失った女性弁護士・珠子が、苦労しながら証拠を集め、いじめはなかったとする学校側と法廷で闘う、というのが話の概略です。


珠子が調査を進めるうちに、副校長はいじめの存在を知っていたことがあきらかになります。しかし、副校長は別の弁護士・直之(珠子の元恋人)を雇い、学校にはいじめがなかったことを法廷で証明する準備を進める。その過程で、いじめがあったことを知っている副校長に対して、直之がした質問がたいへん印象的でした。その質問とは、いじめがなかったことを証明するためには、本当のことを知っておく必要がある、というものです。


まだドラマのなかで、副校長が直之に対して「ほんとうはいじめがあった」といっているわけではありません。が、おそらくそういう流れになるであろうことは予想がつきます。ちょうど、このドラマを見る直前に、テレ朝の「ニュースステーション」を見ました。山口県母子殺害事件の差し戻し控訴審がトップニュースで、弁護側が取って付けたような理由を元に、被告の量刑が死刑ではなく傷害致死が適当であると主張したことが報道されていました。


たとえば、同事件の弁護人が、「わたしたちの教科書」のごとく、「死刑が妥当でないことを証明するためには、ほんとうのことを知っておく必要がある」と被告に問いかける。そして、被告が弁護人に事件の「ほんとうのこと」を話し、それがあきらかに死刑に相当する犯罪であったことを知ったうえで、弁護人が傷害致死が妥当といっている……。それも、死刑から傷害致死への減刑を求める弁護人のほんとうの狙いが、被告の弁護よりも「死刑廃止」の一般へのアピールにある(とニュースのコメンテーターの加藤さんはいってました)のだとすれば、被告の弁護人らの振る舞いには疑問を持たずにいられません。


こんな、ちゃんちゃらおかしい弁護をしている21人の大弁護団に対して、ニュース映像のなかの本村さんが冷静に批判している姿が、凛々しくもあり、もの悲しくもありました。妻と子を殺した被告を裁く法廷を、弁護人による「死刑廃止」のアピールにされてしまっては、本村さんの憤りの行き場がなくなってしまうでしょう。この部分では、私も情緒的にならざるをえません。だからといって、被告が死刑になればいいと私が思っているわけでもありません。この部分が、簡単に二者択一で答えを出せる問題ではないことは、以前のエントリーで書きました。


情緒的な思いを取り払い、冷静になって被告の罪状が何かを考えてみましょう。それでも、すでに報道などで公表されている範囲で事件の経緯を見るかぎり、法に素人の私の目から見ても、被告の罪状は殺人であると考えざるをえません。にもかかわらず、弁護人が「死刑廃止」アピールのために被告の傷害致死罪の適用を求めるのは、著しく正当性に欠けていると思うのですが……。ちなみに、古館伊知郎さんも番組で、被告に妥当な罪状は傷害致死ではなく殺人だ、とコメントしていました。


弁護人って、被告の「ため」に、法廷で被告の弁護をするものだと思っていました。まあ、弁護の功績をあげたいという意味では、当然、自分の「ため」にという部分もあろうかと思いますが。いろいろな形式があっていいかと思います。だがしかし、本村さんの事件に関していえば、「死刑廃止」のために被告を弁護するという弁護団のスタンスは、感心できませんね。被告の話を直接聞いたわけではありませんが、「わたしたちの教科書」の直之と副校長のような関係性を、弁護団と被告が築いていないければいいのだが……、といまはただただ思うのみです。


参考までに、ウェブ上にアップされていた関連ニュースを、以下に貼り付けておきます。



光市母子殺害、差し戻し審で初公判


 最高裁が無期懲役の判決を破棄した山口県光市の母子殺害事件。差し戻し控訴審の1回目の公判が開かれました。死刑を避けるための十分な理由があるのかどうか、これが争点です。

 967人が傍聴券を求めた注目の公判。本村洋さん(31)は遺影を手に広島高裁に入りました。死刑を求め続けてきた8年間。

 「自らの性欲のために2人を殺害する行為は、万死に値すると思っていました」(02年、遺族の本村 洋 さん)

 本村さんの妻と長女は99年、山口県光市で、排水検査を装って自宅に上がり込んだ当時18歳の少年に殺害されました。検察は、元少年に死刑を求刑しましたが、一審・二審の判決は、更生の可能性があるとして無期懲役を言い渡しました。しかし、去年、最高裁が「犯行時に18歳だったことが死刑回避の決定的な事情とは言えない」として、無期懲役の判決を破棄、審理を高裁に差し戻しました。

 元少年が乗っているのでしょうか、広島拘置所から車が出てきました。裁判所の方向へ向かいます。26歳になった元少年。うつむき加減で入廷し、冒頭、自分の名前を小さな声で答えると、後ずさりして被告席に着席しました。

 「表情や態度は、事件当初とあまり変わっていない」(遺族の本村 洋 さん)

 検察側は、犯罪事実については既に最高裁も認定しており、国民の法感情を考慮すると極刑をもって臨むしかないと主張しました。

 一方、弁護側は、事実関係を争わなかった前の控訴審から一転、新たに組織された21人の弁護団が、「この事件は元少年が自殺した母親恋しさに、本村さんの妻に抱きついた結果、偶発的に起きたもので、殺意や暴行目的はなかった」と主張。傷害致死罪が相当だとして死刑の回避を求めました。

 「検察官、あるいは裁判所が認定するような計画性のある、あるいは凶悪性の強い事件ではない」(弁護団)

 元少年は、退廷する際に傍聴席に向かって一礼しましたが、遺影を胸に抱いた本村さんと目を合わせることはありませんでした。

 「今回、弁護団が多数ついたことで、少年自身が自分の罪を見つめる機会を得たのか、その機会をそこなったのか、どっちに転ぶか分かりませんけども、真実を語ってもらいたい。そして妻と娘に心の底から謝罪し、自分の行為を悔い改めてほしい」(遺族の本村 洋 さん)

((5月24日 17:58、TBS News i)

参考 … 藤井誠二のブログ http://ameblo.jp/fujii-seiji/entry-10034695526.html

本音で語ろうよ本音で語ろうよ 2007/05/25 23:36 50のジジイが殺人を犯すのと、18のガキが殺人を犯すのでは、更生という点で刑罰に差が出ても仕方ないと思う。どちらも人間のクズには違いないが、18歳のクズなら今後何十年かの人生でクズ以上の何者かになる可能性があると思う。

ここで綾瀬の話を持ち出すなら、刑を終えた加害者がその後どのような軌跡をたどって、なぜ中の一人は再び犯罪者になったのか、その過程は一般には知られていない。知られていないのをいいことに、「ほれみろ、あいつまたやりやがった」という人がいる。本当にそれだけなのだろうか?

人を裁くというのは一種の職人技だと思う。それは人を相手にする仕事の多くがそうであるように、「科学というよりアート」に近いと思う。万人が褒め称えるものなんてたいていくだらないし、芸術家にはあくまで自分の一瞬の信念をとらえてもらいたい。

ま、私が裁判官だったら逮捕の翌日に犯人を公開処刑しますがね。(笑)そんなことになったらもっと怖いでしょ?

?? 2007/05/27 00:42 だいたい死刑を感情や信条で語り出したらキリがない。カトリックの信者は死刑だけでなく人工中絶をやめろと言い出すだろうし、それが過ぎるとファシズム社会の到来となるのだろうし。誰かが線を引く必要があって、刑法をもとに裁判官が死刑かどうかを決めているだけ。とくにこの国のくだらないジャーナリズムはやたらに一方に流れたがる。同じような人間が同じようなことを、微妙に言葉を変えて言ってるだけ。朝のワイドショーなんてそのいい例でしょう。いったいレレレさんには自分の意見というものがあるのですか?周囲をキョロキョロしながら自分の立ち位置を決めているようで、正直読んでいて痛いなと思うことがあります。そんなに人から受け入れられたいんですかねぇ。私には自分を殺しているようにしか思えないんですが。

lelelelelele 2007/05/27 02:27 なんだか、達観している人が多いんですね。私はそんなに達観できないので、迷ってばかりです。それほど達観されているのでしたら、自信を持って、署名をつけてコメントしていただきたいものです。いかがでしょうか?

私は、「だいたい死刑を感情や信条で語り出したらキリがない」とはあまり思ってはいません。また、私は中絶反対には反対だという前提でいうと、「カトリックの信者は死刑だけでなく人工中絶をやめろと言い出すだろうし、それが過ぎるとファシズム社会の到来となるのだろうし」という発言をカトリック信者から見たら、ファシズムに見えるということも、考える必要があると思っています。

「いったいレレレさんには自分の意見というものがあるのですか?」と聞かれれば、書いてることが意見ですと答えるしかありません。意見というものは、旗色や立ち位置を鮮明に「しなければならない」ものではない、と思っています。

「そんなに人から受け入れられたいんですかねぇ」には笑いました。私が書いたものを人がどう受け入れるのか。それは、私には決められないので、「受け入れられたい」なんて思ったこともありません。ですから、「?」さんのように、「人から受け入れられたい」と私が思っている、と思いたいのなら、そう思えばいい話しだと思います。

私にとっては、「周囲をキョロキョロ」しないで、絶対的な正義感を持ってコメントを書いたり、物事に達観していらっしゃる方のほうが、痛く見えたりするし、怖く見えたりもします。

syakekansyakekan 2007/05/27 10:36
無期制度の実情
http://d.hatena.ne.jp/youhei2007/20070309

世の中知らないことが多いものです・・・ちなみに僕は大量の弁護団という映像(そんなに必要なの?)とはちゃめちゃな論理の滑稽さに思わず笑ってしまいました。少しも笑い事じゃないんですけど。。。

木村さんを見ていると胸がいたくなります(悲劇として消費しているであろう自分が嫌でもありますが・・・・)。横田夫妻にしても人は賢明に生きさせられことのツラサとでも言うのでしょうか?

藤井さんとの後援会で宮崎哲弥さんが「そんなに真面目に生きなくてもいいんだよ」という一言が木村さんを癒したというのが印象に残っていますね。しかし藤井さんの本は凄い本です。

?????? 2007/05/27 23:57 私の読み方が間違っているのでしょうか?レレレさんの文章を読んでいると、社会に対する僻みというのでしょうか、権力に対して嫌悪感を持ちながら、一方で強い羨望をお持ちである様子がうかがえます。私が書いた「人に受け入れられたい」というのは、貴社を通して本を出版されている藤井さんや宮台さんへの媚びる姿勢が見られるということです。このブログはそもそも貴社のPRのためのものなのですか、それともレレレさんの個人的思想を発表するためのものなのですか?「いや、私はただ自分の思ったことを書いているだけで、PRと感じようが、思想と感じようがあなた次第ですよ」なんて応えるのでしょうかね。

lelelelelele 2007/05/28 00:05 そのとおりで、あなた次第です。
それにしても、このコメント欄でそのようなことを「確認」して、いったい何になるのかぜんぜんわかりませんし、また何のためにそんなことを突っ込んで知りたいのかがわかんないんですよね。ここは2ちゃんじゃないのに、自分の名前も出さずに、人をイジろうとするじめっとした物言いが、なんともいえません。そういうのは、もうやめませんか。ねえ、●●さん(笑)

第三者第三者 2007/05/28 22:24 上の投稿してる奴、もう止めてくれないかな。ブログ主さんへの批判はもっと個人的にやってよ。そもそもおかしなことを書かれていると思わないけど。『18歳のクズなら今後何十年かの人生でクズ以上の何者かになる可能性があると思う』だって?貴方どっかおかしくない?可能性なんかで刑罰を変えられてたまるか。裁判って本来は罪を裁くんだろ?そうでなきゃ犯罪の抑止にならないだろう?何が目的か知らないが、訳のわからんことを書いて、第三者を不愉快にするなよな。判ったか!

OguraHideoOguraHideo 2007/06/02 17:59 まず、弁護団が死刑廃止のために上記主張をしたというのは単なる偏見でしょう。死刑廃止を個別事件に優先するのであれば、適用法条を落とすことなど狙わずに、純粋に死刑制度の違憲性を訴えるはずです(罪名が、傷害致死+強姦に落ちてしまったら、死刑制度の是非を問うことができません。)。ネットの方々は、マスメディアに煽られすぎです。

OguraHideoOguraHideo 2007/06/02 18:11  ネット上では、マスメディアに煽られるがままに、この弁護団の活動を非難する声が大きいのですが、被告人に接見した際に上記のような事情を打ち明けられた弁護人はどうすべきだというのか、私には理解ができません。この事件では高裁までは、恭順路線が功を奏して死刑を回避してきたが、それが最高裁で覆されたわけで、今更「そんな風に事実関係を争っても受け入れられる可能性は低いし、かえって裁判所の心証を害して量刑が重くなりかねないので、やめた方がいい」とは言えません。「遺族の気持ちを考えろ」とか、「世間の評判を気にしろ」なんてこともまた、このままで行けば死刑判決が下される可能性が高い被告人にいってみても無駄な話です。
 してみれば、死刑に処せられることがほぼ確実な被告人のために、最後に主張したいことを全力で主張してあげるというのは、どんな悪人でも資格を持った弁護人を附する権利を認めた近代司法制度が予定している弁護人の姿としてはまさにあるべきものであるというべきでしょう。

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