昨日は根津美術館へ、今日は晴れて薫風吹き渡る

 昨日の朝は雨が止んでいたがお昼近くになりまとまった雨が降った。その雨が止むとこんどは晴れ間がひろがった。ただ気温は上がらず肌寒かった。
 昨日の午前中は近くの特別支援学校に行き、校内のカフェでいつものように珈琲を味わい、友だちや顔なじみと会話を楽しんだ。
 家で昼食をとった後、2時過ぎに出かけた。銀座線・表参道駅から歩いて10分ほどのところにある根津美術館で開催中の「光琳と乾山」を観に行くためだ。いちばん観たいのは尾形光琳の「燕子花図屏風」で6曲1双の屏風図だ。友だちに杜若が咲く季節に毎年、この屏風が公開されると聞き、なるべく早いうちに行きたいと思っていた。
 根津美術館は建物や庭も美術品のひとつのといえるような美術館で、竹の植込みと竹の壁に誘われるアプローチを歩いて入口へと着く。苑内には茶室がいくつかあり、水を引いて池がつくられ杜若が咲いていた。花の時季は盛りをすぎているがまだまだきれいだ。美術館の建物からゆるやかな下りの道が幾筋かあり、池の方へと向かっている。
 展示会場に入って2作品めが光琳の「燕子花図屏風」で、連なる6曲の屏風の2組で構成されている。右側は同じ図柄、同じ彩色の杜若群が2回、屏風の凸の部分と凹の部分に繰り返されていてすばらしい効果をあげている。また、2組の屏風の彩色っは一方は明るい青を多用し、一方は暗めの群青色を多用し、離れて見るとみごとな効果をもたらしている。どちらも同じような青の使い方であったらとても単調な世界になっただろう。
 光琳と乾山は兄弟で、兄光琳の絵付けで弟の剣山が焼いた焼き物がいくつか展示されていた。光琳の絵もたくさん展示されていたがやはりインパクトが強いのは「燕子花図屏風」である。
 館内のロビーでは5時半から能の「杜若」が仕手舞で演じられると知り、絵を鑑賞した後、庭園を少し散策し、館内に戻った。人が多くて2階に上り、やっと立ち見で見れる場所を確保した。仕手舞いとは能の装束をまとわずに謡だけで舞うことを言うそうだが今回は謡だけでなく笛(能管)を加えた構成で行われた。
 在原業平東下りや女性遍歴が謡われているようなのだがまったく内容が聞き取れなかった。舞いと能管の音色を楽しんだ。

ガラス壁の向かふ苑は新緑 葉のみどり匂ふ根津美術館 

新緑の苑を景に能管の音と杜若の舞響きあふ


根津美術館の庭園
盛りを過ぎた杜若だがきれいだった


今日は昨日と打って変わって朝は肌寒いものの時間がたつにつれて気温が上がった。朝から晴れわたりさわやかな少し強めの風が吹く。干している洗濯ものが風に吹かれて何回か地面へと落ちた。
 昨日洗った洗濯ものも今日洗ったものもすっかり乾いた。
 午前中、浜松の友だちに電話をした。今年の3月に東京で会ったのだがまた5月にも来ると言っていたのでどうだろうと思いつつの電話だ。東京国立博物館で展示している長谷川等伯の「松林図」を見たいと友だちは言っていたが「松林図」は5月初旬で展示期間が終わった。こんなこともあり、またいろいろ遠出できない事情があるようで今回は東京行きは見送ると電話に出た友だちが言った。3月はほぼ4年ぶりの再会だった。次に会うまでどのくらいの年月が過ぎるかはわからないが元気でいてほしい。