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至る処に私がいる

2007-05-19

[]「同人誌と表現を考えるシンポジウム

警察庁の「バーチャル社会のもたらす弊害からこどもを守る研究会」の報告を受けて、

豊島公会堂で「同人誌と表現を考えるシンポジウム」が開催され、約1200人が集まった。

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開会に先立つ挨拶の中で、挙手によって確認されたところによると参加者の半数は、

サークル関係者。残りの四割が一般参加者。一割弱がコミケスタッフであった。

また、全体の人数割りでは少ないが、印刷・出版関係者も数多く参加し、

同人誌業界が一同に会した初めての集会となった。

 シンポジウムは、2部構成で行われ、

一部では「今、どうなっているのか?〜現場からの発言〜」として、中村公彦・コミティア実行委員長の司会で、印刷業者、同人誌書店、即売会主催者による討議が行われた。

 登壇したのは、中村さんのほか武川優さん(日本同人誌印刷業組合・(株)緑陽社代表取締役)・鮎澤慎二郎さん((株)虎の穴)・川島国喜さん((株)メロンブックス)・市川孝一さん(コミケット準備会共同代表・COMIC1準備会代表)・武田圭史さん(赤ブーブー通信社

 

 討議の中心となったのは、主に18禁同人誌の修正の問題であった。

 武川さんからは、現在同人誌印刷業組合には29社が所属し、

同人誌印刷の80〜85%のシェアを占めていることが説明された。

また、近年データー入稿が増加したことなどで、新たに同人誌印刷に参入していることを説明、

その上で組合内では、修正基準が一定となるよう努力していることが説明された。

「我々の修正基準をクリアしないと、印刷自体できないので発行することができません。基準を一定にするために組合所属の業者間では、印刷した同人誌を配布し合って基準を決めているんです」

 と武川さん。さらに、場合によってはコミケ準備会に問い合わせて、修正を決めることもあるという。

 では、同人誌書店はどうかというと、虎の穴メロンブックスはそれぞれ独自に自主規制で対応しているという。

「まず、見本誌をみて確認する方式です。ただ、社内の確定基準というものはなく、あいまいな部分もあり、サークルにもわかりにくいことがあるのではないかとも考えています。ただ、即売会で販売できないものを扱うことはありません」

と、虎の穴の鮎川さん。対して、メロンブックスは、

「10項目のガイドラインを設けて対応しています。もちろん、随時ガイドラインについては検討しています。現在のところ、大きな問題になったことはありません」

と話した。

 続いて、市川さんは資料として配付されたコミケットアピールを元に見本誌を取っていること等を説明した上で発言。

「まずコミケットアピールで、修正についても呼びかけいます。また、即売会は対面販売ですから、どうみても18歳以下の方には頒布をやめてもらっています。ひとつひとつのサークルがゾーニングを行っているという認識です」

 と、ここまで男性向け同人誌を中心にして話が展開したが、女性向け同人誌を主に扱う、コミックシティを主催する赤ブーブー通信社でも「やおい本」への対応を行っている。

「女性向けイベントの参加者は、男性に比べて、対岸の火事的な認識が強いです。一昨年に、女性向け同人誌には18禁表示を表紙で行ってるサークルが少ないことに気づきました。そこで昨年11月から、表示を入れるようにアピールを行い、春コミ以降18禁同人誌を販売している表示・カードの配布を行いました。以外と表示を入れることが浸透しているようで、カードの配布は春コミで40〜50枚と以外に少なかったです」

と、武田さんは現状を報告した。

 また、市川さんからは、

「修正とは、男性のカリ、女性のクリをしっかり白抜き・ベタ・モザイクなどとにかくきちんと修正すること」

と、具体的な発言。

また、成人マーク、奥付がしっかりと入っている物については、責任の所在がはっきりとしているので、甘めにチェックしていることも説明された。

 この奥付については、武田さんからも修正をお願いした際に、トラブルが起こった同人誌には、奥付がないものが多いと発言。武川さんからは、最近、奥付に印刷社名が記載されないものが多いとの発言もあった。

 さらに市川さんからは

「昨年の冬コミから、女性サークルでの修正が増加し、二桁となりました。まだ修正を入れるという意識がないのではないか」

 との発言もあった。

 第2部では、「どうすべきなのか」と題し有識者討論が行われた。

 登壇したのは、司会の坂田文彦さん(ガタケット事務局)・斎藤環さん(精神科医)・永山薫さん(マンガ評論家)・藤本由香里さん(編集者/評論家)・三崎尚人さん(同人誌生活文化総合研究所)・望月克也さん(弁護士)・伊藤剛さん(マンガ評論家・武蔵野美術大学芸術文化学科講師)。

 討議では、まず坂田さんの問題提起を受け永山さんが、第一部で行われたような、各々の規制をこれまでアピールしてこなかったことが問題であると発言。

同人誌が評価されないのは、即売会などが外に出して行くという意識が低かったのでないか。こういった機会にアピールし、日本文化にも経済的にも貢献してゆくことで“けしからん”といっている人々を納得することができるのではないか」

 と発言。

 坂田さんの児童ポルノ法についての問題提起に対して、望月さんは、法律家の立場から一度は、法律に目を通したほうがよいと発言。

「一度見ただけでは理解できませんから、現場とリンクして発言して行く機会になる」

と意見を述べた。

 藤本さんは、91年の弾圧を知る立場から危機感を提起。

「91年の弾圧と同じような自体が起きた時に、どうなるか未知数で後退の危機感があります」

 と発言した上で、自由とは表現の自由であると発言。

やおいに対して、ゲイ差別を告発した事例もあります。表現をするものの責任があるわけでなにをやってもよいわけではありません。表現者として責任を見せること、(即売会等が)ちょっと厳しい基準を設けることは、長期的に表現の自由を守ることになるとおもいます」

と意見を述べた。

 斎藤さんは精神科医の立場から発言。

「(性的創作物が悪影響を与えることについて)精神医学に研究の蓄積はありません。メディア論でも性的なものを扱った研究はないんです。限定効果論についても政治信条の例に行われた研究を援用した仮説にすぎません」

と述べた。

 三崎さんは、斎藤さんが触れた91年の弾圧によってコミケ幕張メッセを使用できなくなった事件から、アピールの原形ができることを述べた上で

同人誌ほど、紙で人が表現をしている例はない」

と発言。

 伊藤さんは、規制推進派に対して罵倒・中傷よりも対話する精神が必要であると提唱するが

「規制によって表現は痩せる。見たくないものだからといって、出版するなとはいわない。ゾーニングの利害調整が必要」

と、安易な規制への危機をならした。

また、「しょせん、こんなもの…」というオタクルサンチマンから発生する、悪ぶる風潮に警鐘を鳴らした。

 第2部終了後、質疑応答が行われ閉幕。参加者は、それぞれに会場を後にした。

 なお、会場には関西・九州から訪れたイベント主催者の姿も見られた。

 また、噂の革命的非モテ同盟が、会場内で熱心にビラ配りをしていたことを付け加えておく。

 (以上、発言は要旨)

 

 音声ファイルは、以下から。3分割しています。

 http://ddo-jp.ddo.jp/download.php?no=648

 http://ddo-jp.ddo.jp/download.php?no=650

 http://ddo-jp.ddo.jp/download.php?no=651

 

 

コミックマーケット30’sファイル―1975‐2005

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