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2008-06-18

信奉者の説得について

信奉者の説得について、色々な意見が出ています。なかなか高尚な意見が多いなというのが正直なところです。

poohさん奈辺に愛か存じませぬが:Chromeplated Ratのコメント欄に端を発し、TAKESANさんのところ(説得という事: Interdisciplinary)や、id:dlitさんのところ(「ビリーバーは説得できない」について - 思索の海)でもエントリがあがっている。


相手に直接伝えることの問題

正直な話、問題はもっと下世話なところにあると思います。私が考える「信奉者は説得できない」という発言の問題は、批判者がそれを明言すること自体にあります。「あなたはバカなので説得できるわけありませんよね。*1」と言われた時に、誰がその人の話をひとまず聞いてみようと思うでしょうか?*2

いや、もちろん聞く人もいるでしょう。しかし、その人は高い確率で「批判の反論」又は「自身の正当化」という強い動機付けができています。そんな状態では届く言葉も届かないでしょう*3

対話の途中で実際に相手に「説得できるとは思っていません」と投げかけなくても、そういった発言を公にしているのであれば効果は少々弱まるだけで同じことだと思います。


ギャラリーへの影響

それでは、ギャラリーとしてみている信奉者にとってはどうでしょうか?ある程度判断力のある人ならば、自分が信奉者側に居ることは理解して論争を眺めているはずです。そこに「信奉者は説得できないから」という言葉を投げかけたらどうでしょうか?

意見を受け入れないように動機付けられる可能性は十分あるでしょう。間違えるポイント・傾向はガチガチの信奉者でもゆるい信奉者でもそんなに変わりませんし、あえて言うなら懐疑主義者でもそんなに違いません。

この言葉(だけ)を聞くと、どうも上から目線を感じるとか、馬鹿を切り捨てているとか、そういう「「お前らは違う何かだ」みたいに言うなよ」というような類の感想を持たれてしまうことがよくあるようですが

「ビリーバーは説得できない」について - 思索の海

そういう印象を受ける人がそれなりに居るだろう事は想像に難くないということですね。それは、信奉者に限りません*4。これはキャッチフレーズ化されて使われるとより大きくなる問題です。そして、一部ではキャッチフレーズ化していると感じています*5


公に表現するメリットは何か?

私は、「信奉者は説得できない」と思っていないので、そういった発言をしたことがないと思います。正直なところ、そういった発言に何の利益があるのかよくわかりません。つまり、私はリスクベネフィット関係から、「信奉者は説得できない」と発言することは、百害あって一利無しだと考えています。

「説得できる」と考えていた場合の問題が存在しないわけではありません。「説得できるはずなのにできない」という現実にぶつかったとき*6、「説得できる」という信念に固執すれば、そこには誰も得をしない不幸が生まれそうです*7。その対抗信念として「信奉者は説得できない」という信念を用意することが健全なときもあるかもしれません。

でも、そういったことではないのです。誤解して欲しくないのは、私が問題視しているのは「考えること」ではなく「公言」することだからです。


一転

ある意味でトートロジーでして、「説得できないほどのビリーバーは説得しない」というような意味です。

説得できないほどかどうかは対話を通して見極めているつもりなのですけど、どうやってとか、何を根拠にとかは人に伝えがたいです。こういうのは、勘と経験なので(^^

そういう意味では、「説得の通じないビリーバーがたくさんいることを知っているので、そういう人たちに対しては説得の努力をしない」と言ったらいいのかな。

by きくち (2008-06-17 23:32)

奈辺に愛か存じませぬが:Chromeplated Ratのコメント欄

私は、「信奉者は説得できない」がキャッチフレーズ化された*8大きな原因のひとつが、きくちさんの発言だと考えていました。ところが、ここできくちさんと私の間に、認識の違いが殆どないと分かりました。頑張って上ったところでハシゴを外された気分です。

それなら、キャッチフレーズは「説得できないようなら、それ以上の説得をあきらめる」でいいのではないでしょうか。


追記(2008-06-19)

この話題について、新たに、apjさんのArchives » ページが見つかりませんでしたと、poohさんの「説得する」:Chromeplated Ratという記事が投稿されました。

今回の一連のやりとりから、「信奉者は説得できない」の文脈に沿った本来の意味は、「説得の限界を弁える」ということだということが明らかになったと思います。信奉者をはなから相手にしない言い訳や、信奉者に対する配慮のない言動の根拠として使うのは、明らかな「誤用」ということになるはずです。

私は、それでも誤解を生みやすい*9表現なので、使わない方が良いと考えますが、使う人は文脈から切り離さないように注意が必要です。

*1:こんな表現をする人はまず居ないでしょうが、信奉者にはそう伝わるだろうことは想像に難くない。

*2id:mojimojiさんとのやり取りと同じ話ですそれでも私は彼らをバカなどではないと言い続けるッ!! - Skepticism is beautiful

*3:弱い意味の批判的思考を使うように動機付けている。弱い意味の批判的思考=批判的思考の悪い使い方についてはこちら使い方次第で批判的思考は良くも悪くもなる - Skepticism is beautiful

*4:こっそり言うと、私もそう感じたことがあります。

*5:むしろ、キャッチフレーズ化されたから問題が発生しているように見えた

*6:ほぼ確実にぶち当たります

*7:TAKESANさんの言う「限界を弁える」ですね

*8:注:合意が得られていないのに事実化して語っています

*9:誤解を完全に排除できないからダメという意味ではない

apj_yamagataapj_yamagata 2008/06/18 22:15 きくちさん、というか、ニセ科学批判の人は分かってないな

ある表現があったら、それが『科学的事実に対する言明として受け取ることが可能なもの』であっても、そう受け取られるとは限らないし、そう受け取らなければならない訳でもない。そう受け取りたい人はそう受け取ればいいけどね。大体からして、科学的な言明として受け取るためには「固有の訓練=ディシプリンの習得」が必要でしょう。固有の勉強をしなきゃ、(もしも科学的な言明として受け取るのなら)そもそも何の話をしてるかすら、分からないんだから。「固有の訓練」を受けていない人は、科学的な言明として受け取ることはできない。

例えば、多くの物理学者は「生物学の命題」を科学的な言明として受け取ることはできない訳だ。なぜなら、固有の訓練を未だ積んではいないから。
とある物理学者が発した言葉が、たまたま生物学者にとっては生物学の科学的言明として受け取ることができるものになっていたとしても、当の物理学者にはそのつもりがない、なんてことがある訳だ。
それと同じってことが分からないかな?

http://schutsengel.blog.so-net.ne.jp/2008-06-13-1

田部勝也田部勝也 2008/06/18 23:27 信奉者に向かって、直接「ビリーバーは説得できない」と言う人は稀なのではないでしょうか。
批判者に向かって、「ビリーバーは説得できない(から、そのへんでやめとけ)」という文脈で使われてきた標語だと思いますけどね。それが(誰によってだか知りませんが)文脈抜きで拡大解釈されてきているのだとしたら、断固抗議すれば良いと思いますし、すべきだと思います。ただし、当初の文脈が忘れ去られるのは困ります。

lets_skepticさんもおっしゃっているように、批判者はみな、「「説得できるはずなのにできない」という現実にぶつかったとき、「説得できる」という信念に固執すれば、そこには誰も得をしない不幸が生まれそうです」という経験をしてきているわけです。
いや、これはあまりに甘すぎる表現でしょう。批判者の説得により、(その説得の試みがなければ恐らく有り得なかったほどに)信奉者がより頑なに先鋭化・カルト化なってしまう事を、みんな経験しているわけです。そんな信奉者を見て、逆に批判者のほうが「科学原理主義」のような状態に陥ってしまう例も少なくないわけです。
余談ですけど、多くの「ニセ科学批判者」がオウム真理教の教訓から目を背ける事ができないという心理的事情の影響がまったくないわけではないという点は、指摘しておいても良いかも知れません。

そんななかで生まれたのが、「ビリーバーは説得できない(から、ほどほどでやめとけ)」なわけです。そういう文脈は広めていかなければならないのでしょう。

SSFSSSFS 2008/06/19 01:15 kikulogや旧事象の地平線での投稿をチェックしてみればわかることですが、ビリーバーを真剣に説得しようとする「丁寧な説明」を見たことがありません。はなから相手を見下したり、下調べを疎んじたり−−そんな事例をたくさん目にしてきました。学者というものは皆、懇切丁寧にいろんなことを説明する習性があるとそれまでは好意的に考えてきましたが、そうではないタイプもいるということを今は認識しています。むしろ、そうではないタイプの言うことがあてにならないのに、思考停止してお説ごもっとものビリーバーがはびこっていることを憂います。

lets_skepticlets_skeptic 2008/06/19 09:10 > apj_yamagataさん
 よく分からないのですが、ふまさんですか?そうではないとしても、紛らわしいハンドルネーム禁止。

> 田部勝也さん
> 信奉者に向かって、直接「ビリーバーは説得できない」と言う人は稀なのではないでしょうか。

 少なくとも、私は何度も見ていて、それを問題だと考えているということだけを伝えておきます。一部といえば一部なのですが、問題が大きいと思ったのです。信奉者側から相談を受けたこともあるもので余計に。

> 批判者に向かって、「ビリーバーは説得できない(から、そのへんでやめとけ)」という文脈で使われてきた標語だと思いますけどね。

 それが、周回遅れの人にも伝わるように使われていれば問題ないのだと思います。現状はそうではない(なかった)状態でした。今回、みなさんがそれぞれの観点からエントリを上げたことで、意味の統一はできたのではないかと思います。

> それが(誰によってだか知りませんが)文脈抜きで拡大解釈されてきているのだとしたら、断固抗議すれば良いと思いますし、すべきだと思います。

 はい。このエントリはそのつもりでした。

> ただし、当初の文脈が忘れ去られるのは困ります。

 確かにその配慮は足りなかったと思います。追記します。

lets_skepticlets_skeptic 2008/06/19 09:22 > SSFSさん
 私は、ビリーバーを真剣に説得しようとする「丁寧な説明」を見たと感じています。認識の違いは大きいようですね。

DocSeriDocSeri 2008/06/19 10:11 >ビリーバーを真剣に説得しようとする「丁寧な説明」を見たことがありません
いやー……私を含め、kikulogの常連さん達が一体どれだけの言辞を以て貴方を説得、というか説明しようと(無駄な)労力を払ってきたことか。
そうしても尚、ビリーバは「俺の意見を否定した→こいつは俺を見下しているに違いない」などと、端から人の意見を聞こうともしない。そのうちこちらも疲れて「どうせ無駄だからもう止めようぜ」ということになるわけで。機序が逆なんですな。

SSFSSSFS 2008/06/21 23:04 そうですか。「あなたが懐疑主義だと思っているものは懐疑主義ではない」「懐疑主義者が批判的思考を実行しているとは限らない」といった最近のエントリは、「丁寧な説明」を面倒がる具体的なニセ科学批判者を念頭に立てられたものだと思っていましたが。疑うだけで調べようとしない彼ら彼女らは、いつになったら改心するでしょうね。

タビー♪タビー♪ 2008/06/22 11:56 ニセ科学批判と超常信念と批判的思考 - alice-2008の日記
http://d.hatena.ne.jp/alice-2008/20080621/1214012442

zukunashizukunashi 2008/06/27 13:28 SSFSさんは今はYAHOO!掲示板でssfs2007さんとして「マイナスイオン」監視室 に書き込んでいる方と同じ方でしょうか?だとしたら、あなたのしている事は「丁寧な説明」の意味すら理解していないという事だったんですね。
なんか納得できました。ROMっている者から見ればあなたの方が上から目線ですよ(^^ゞ自分の姿は分からないのもですね。

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