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2011-10-03

『もうダマされないための「科学」講義』にダマされるな

著者の一人である片瀬さんから献本頂きました*1。ありがとうございます。目次は以下。

『もうダマされないための「科学」講義』

1章 科学と科学ではないもの 菊池誠

2章 科学の拡大と科学哲学の使い道 伊勢田哲治

3章 報道はどのように科学をゆがめるのか 松永和紀

4章 3・11以降の科学技術コミュニケーションの課題  平川秀幸

付録 放射性物質をめぐるあやしい情報と不安に付け込む人たち 片瀬久美子


出版社の紹介にダマされるな

この本、出版社の宣伝を読む限りは、「科学とは何か」を今まであまり意識してこなかった人、「科学」をあまり知らない人(以下「一般人」と表記します)向けの本なのですが、そこにダマされそうになりました。そういった方が読むと、話題についていけないか、曲解しそうな感じの部分が多いでしょう。

そんな優しい本ではないのです。ハードボイルドです。取扱注意です。むしろ伊勢田さんの2章ででてくる「モード1科学*2」を知っている層(以下「専門家」と表記します*3)にこそ有用な内容です。なぜなら「モード1科学」を知った上で「モード1科学」を超えたところの話がメインになっているからです。

「科学」とか「科学哲学」とか、興味を持って本を読んだりしたことのない人にとっては、3章と付録が読みどころになります。


科学を伝えていく側の指針として

菊池さんの章の内容は、今まで科学というものを意識していなかった層でも、是非とも理解してもらいたいことがたくさんでてきます。しかし、短い文章の中ではどうしても説明不足になっています。菊池さんの章に書いてあるようなことは、専門家が、そして私たちが、さまざまな場面で、噛み砕いてていねいに説明していく必要があるでしょう。

そのとき、社会の中に科学をどう位置づけていけばいいか、伊勢田さんの章の内容が役立つと思います。科学を伝えていく側は、モード2科学について理解していた方が良いのは、間違いなさそうです。

最終的に一般人とのコミュニケーションをとる場合、平川さんの章が役に立つでしょう。

これらの章は、先に書いたように、書かれたままを提示して科学コミュニケーションとするにはつらいというのが事実ですが、科学コミュニケーションの指針として大いに使える本だといえます。


不安に悩まされている人は

一般人は、松永さんの章と片瀬さんの章だけを読むことで混乱せずに済むでしょう。

松永さんの章で取り上げられている食の問題は、毎日の生活の問題です。マスメディアからは、さまざまな情報が入ってきますが、それをどう受け止めたらいいか。生活に密着した一生モノの知識になることは間違いありません。

今、まさに直面している放射性物質と健康に関する話題は、片瀬さんの章で扱われています。放射性物質による健康被害対策として、最近話題になっている方法が、身も蓋もなく否定されています。不当な扱われ方をしているわけではないんです。本当に身も蓋もなく否定できるものなんですから。気分を害するひともいるかもしれませんが、そういった方は、自分が何を求めているのか考える必要があるでしょう。色々と話題になっているけれど「本当のところどうなのか?」を知りたい人にとっては、とても有用です。


今、誰が読むと良いのか

東日本大震災以降、ニセ科学ホメオパシーやらEM菌やら放射能対策グッズ)が広く一般人に受け入れられているという印象を持っている人は多いでしょう。この状況をきっかけに、専門家の中にもニセ科学のまん延に危機感を持った人がいるとおもいます。これまで非合理批判なりニセ科学批判なりをしてこなかった人たちが、立ちあがってきている場面ではないでしょうか。

僕は、こういった層にこの本を読んでもらいたいと考えています。なぜなら、専門家が得意な「科学のやり方(モード1科学)」では目の前の問題に対応できないからです。専門家にとって、ニセ科学は科学的な誤りを簡単に見抜けるものですし、誤りである根拠も簡単に用意できるでしょう。科学的な正誤の問題ならよかった。でも、問題の焦点はそこにはないのです。

もちろん、専門家による情報提供はとても重要ですし、有難いものです。しかし、問題点を最も伝えたい相手である一般人とのコミュニケーションの問題に立ち入ると、正しい情報と詳しい説明だけではどうにもなりません。そこでこの本の内容が役立ってくるはずです。

本当だったら1+2+4章と、3章+付録という2冊に分かれていればよかったのにと僕は思いました。その方がターゲットが絞り込めて、格段に宣伝しやすいですから。

というわけで、1番のお勧めは、最近の情勢に危機感を持ち、積極的に情報発信をしていかなければならないと思い始めた専門家ということになります。いま、科学の情報を必要としている一般人は3章と付録を読み現在の問題に対処する。科学の考え方の基礎は他の本で身につけてから1+2+4章をじっくり読むという読み方がよいのではないでしょうか。

*1:催促したともいいます。

*2:一般的にいう「自然科学」のことと考えていいかと思います。

*3科学者に限定しているわけではありません。専門知識を持つ一般の人も含みます

SSFSSSFS 2011/10/05 00:33 久しぶりです。2008/11/27のエントリに「これまでに菊池氏や天羽氏は、嘘やいいかげんな物言いをずいぶんしてきました。それらを目こぼししたままだと、ニセ科学批判はいまに足元をすくわれますよ」と書きました。原発事故での対応のまずさからニセ科学批判一派は、逆に批判の対象になっています。本書で菊池氏はマイナスイオンについて以前からのダメな認識を改めて披歴しています。とても大学教授とは思えない貧しい判断であり、依然として知識人然としているのが不思議なほどです。彼に対する見方は変えた方がいいんじゃないでしょうか。

lets_skepticlets_skeptic 2011/10/05 08:37 これはこれはお久しぶりです。きくまこさんは、別にこれまで言ってきたことと変わらず、同じことを言っているだけなので(本で書かれたというだけで)、僕のきくまこさんへの評価は変わりません。
SSFSさんも相変わらず同じことを繰り返しているだけのようですので、SSFSさんへの僕の評価も変わりません。

SSFSSSFS 2011/10/05 23:27 例えば菊池氏は本書で「東芝はマイナスイオン発生家電はもうやっていないようです」と真っ赤なウソをついています。断言はしていないという逃げ道はありますが、大企業の名前を出しておきながら、確認もしていないデタラメを書いたという点で罪を免れることはできません。どちらにしろ、菊池氏はファクトファインディングをしないで物事を決めつけるという科学者にあるまじき振る舞いをずっと続けています。それを放置するのは、ニセ科学批判一派の罪でもあります。

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