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2012-10-02

『検証 予言はどこまで当たるのか』震災への言及もあるよ

検証 予言はどこまで当たるのか』は、文芸社から出版されたASIOS新刊です。発売日は10/3。古今東西の予言を検証するという内容の本です。安定のASIOS本なので基本は分かりやすく【伝説】パートと【真相】パートを持つ構成となっています。

震災関係のデマや新たな震災が起こるという予言に触れた箇所もちょこちょこあります。


帯コピー

2012年地球滅亡説から、マクモニーグルノストラダムス聖書暗号やファティマ、聖徳太子や出口王仁三郎等、日本・海外を舞台とした古代から現代までの主要な予言をすべて取り上げ、予言は本当に当たるのかを徹底検証。さらに「予言を信じてしまう」心理にも迫る!


目次

まえがき――予言はどこまで当たるのか(本城達也)

第1章

2012年に人類は滅亡するのか?(本城達也)

みずがめ座の時代」には世界は大きな変革を迎える?(山本弘

ピラミッドには過去の重要な歴史が記録され、未来も予言されている?(本城達也)

ジョン・タイターは未来からやってきたタイムトラベラーだった?(本城達也)

ジョー・マクモニーグルはリモート・ビューイングで未来も過去も透視できる?(秋月朗芳)

[コラム]中東の終末予言予言者たち(羽仁礼)

第2章

ノストラダムス王家の運命から自分の死まで予言した? (山津寿丸)

ノストラダムスはフランス革命を予言した?(山津寿丸)

ノストラダムスは2012年人類滅亡を予言した?(山津寿丸)

ノストラダムスは21世紀のために極秘予言を残していた?(山津寿丸)

エドガー・ケイシーリーディングは、未来を予言した?(皆神龍太郎

ジーン・ディクソンの予言の的中率は85パーセントだった?(本城達也)

第3章 日本の予言

出口王仁三郎日本史上最高の予言者だった?(原田実

聖徳太子は死後2000年の未来を予言していた?(本城達也)

「伯家神道予言」は本当に存在するのか?(藤野七穂

『をのこ草紙』は実在した予言書なのか?(藤野七穂

[コラム]予言心理学――人は無知や愚さから信じるのではない(菊池聡

第4章 キリスト教聖書・カルト関連の予言

ヨハネ黙示録」は神の終末計画書だった?(蒲田典弘)

ヨハネ黙示録」はチェルノブイリ原発事故を予言していた?(秋月朗芳)

聖書暗号――聖書は神の予言の書だった?(皆神龍太郎

ファティマの予言はすべて現実となった?(本城達也)

聖マラキは代々のローマ教皇予言した?(山津寿丸)

[コラム]UFO予言「少しだけ先の未来」(秋月朗芳)

第5章  こんなにあった!  当たらなかった世界滅亡・大異変予言オンパレード(外れたときの言い訳つき)(山本弘

予言との賢い付き合い方(座談会


オーバービュー

個々の項目については、ASIOSのメンバーに加え、ノストラダムス研究家の山津寿丸さんが加わっています。コラムと座談会では、心理学者菊池聡さんも登場します。個々の項目自体も当然充実しているわけですが、文芸社ASIOS本の特徴はプラスアルファの部分です。


5章の当たらなかった世界滅亡・大異変予言オンパレード

志水一夫さんの得意としたジャンルに近い雰囲気をもつ章です。怒涛の終末予言(大天変地異含む)は、その数に圧倒されます。この章を読んだ後では、ここまで外れまくっているにも関わらず(もちろん一度も当っていません)新たな予言が出てくるということが、ギャグとしか思えなくなるでしょう。


菊池聡さんのコラム

座談会でも触れられるのですが、震災デマや、これからより悪いことが起こるという予言を信じる心理についての考察が面白いところです。「予言は不安をあおるだけではなく、不安に原因を与える役割がある*1」という視点は、いままで殆ど語られることの無かった視点ではないでしょうか。「人は自分の信じたいことを信じる」→「では、なぜ不幸な未来の予言も信じるのか?」といった疑問についての、ひとつの答えになっています。

菊池聡さんは、そのメカニズムの中心にあるのが「認知的不協和理論」だと言います。色々語りたくなってくるところですが、まずは本書を読んでいただいてからの方がいいでしょう。


座談会

著者達が好き勝手に色々なことを語ります。菊池聡さんが参加していることもあり、心理学系の話題も多いのですが、めくるめく超常現象マニアの会話といったところでしょう。

座談会のテーマである「予言との賢い付き合い方」についての僕の答えは「批判的思考を身に着けるためのネタ」といったところでしょうか。


検証 予言はどこまで当たるのか

*1:宙に浮いた不安という感情の正当な理由になってくれる…不安な気持ちの帰属先の役割を担うという話。

2012-06-14

『最強のクリティカルシンキング・マップ』

著者の道田泰司様より最強のクリティカルシンキング・マップ―あなたに合った考え方を見つけよう献本いただきました。ありがとうございます。


道田さんとの出会い

僕は懐疑論者を自称しているわけなので、懐疑的思考とか科学的懐疑主義とかそういったことを意識する場面が多い方です。そんななかで、たぶん6年ぐらい前に初めて「クリティカルシンキング」という概念を知りました。今思えば、道田さんが本書で「教育系クリティカルシンキング」と分類しているものだったと思います。

その後「心理学クリティカルシンキング」や「論理学系クリティカルシンキング」「哲学クリティカルシンキング」と分類されているような本もいくつも読みました。クリティカルシンキングについてはそれなりに詳しくなったと言っていいと思います。

その頃に出会ったのが道田さんのWebページでした。ここでは道田さんの論文などを読むことができます。

http://www.cc.u-ryukyu.ac.jp/~michita/jiko.html

ここで、共感・対話とクリティカルシンキングの関係について語っていることに、心動かされた覚えがあります。私が求めていたクリティカルシンキングでした。日本人のクリティカルシンキング研究者=道田教授という図式が確定した瞬間です。


本の話

今回の本は今までに無かったクリティカルシンキングの本です。僕はとても道田さんらしい本だと感じました。

巷のクリティカルシンキング本の多くは、クリティカルシンキングの一面的な話しかでてきません。この本では様々なクリティカルシンキング本を引用しながら全体を概観するマップを作っていきます。

クリティカルシンキングを探求する姿の実例を道田さんが示しているような印象も受けました。その中で「よりよい思考=クリティカルシンキング」を浮かび上がらせます。

しかし、この本の中で僕がすばらしいと思うのは、なんといっても6章「学びを深める」のところです。この章は他のクリティカルシンキング本を読んだだけでは、ほとんど出てこない話です。不正確な表現もありますが、ざっと列記してみます。

ここに列記したことについて、何か感じた方なら是非読んでほしいと思います。


追記

過去のエントリでも、クリティカルシンキングのおすすめ本を紹介しています。全くクリティカルシンキング関連の知識がない方はこっちの方を先に読まれた方がよいかもしれません。必読:批判的思考を知るための3大オススメ本 - Skepticism is beautiful

2011-12-14

『検証 大震災の予言・陰謀論』

文芸社の高橋様より『検証 大震災の予言・陰謀論』献本頂きました。ありがとうございます。


本書は「超常現象の謎解きシリーズ」など、超常現象の懐疑的調査が得意なASIOSメンバーと、大震災以降、国際ニュースを追い続けてきたアンドリュー・ウォールナー氏によって書かれた、陰謀論 検証本です。


目次は「ASIOSの書籍紹介ページ」を参照してください。


3.11の東日本大震災以降様々な陰謀論が渦巻いたことは、誰しもが見てきたことだと思います。また、武田邦彦氏のような著名人も、おかしな話をばらまいています。超常現象界隈では予言者が騒ぎ立て、ニセ科学と呼ぶべき主張も色々と表に出てきました。


そんな様々な話を「主張」と「真相」といった形でまとめたのが本書です。ASIOSの書籍らしく、非常に読みやすい本です。また、山本弘さんの地球深部探査船「ちきゅう」インタビュー記事など、陰謀論にさほど興味がなくても面白い話も含まれています。

本書の特徴として、ピックアップされている主張の内容は、科学寄りではなく疑似科学ウォッチャー寄りになっています。ASIOSの得意分野に近いところですから。しかし、なんといっても一番の特徴は、一般向けの和書で類をみない参考文献の多さでしょう。


翻訳ものの一般書は比較的参考文献が載っているものが多いのですが*1、日本の一般書は参考文献リストがないことがお約束にでもなっているかのような惨状です。このおかげで、著者の主張が何を根拠に言っているものなのか、再検証を行いたい場合に非常に苦労するのが常です*2


本書の場合は、そういった心配をする必要は殆どないでしょう。大震災以降、無根拠な主張を根拠に不安を募らせているひと、怒りを覚えているひとが沢山います。中には本書の「真相」が疑わしいと思うひともいるかもしれません。


安心してください。著者らの主張の根拠はちゃんと参考文献としてあげられています。自分で再検証することができます。


『検証 大震災の予言・陰謀論』

*1:それでも、原書から大幅に削られている場合がある

*2:なにかの偶然で発見しない限り、主張の根拠がわからないことも多い

2011-10-03

『もうダマされないための「科学」講義』にダマされるな

著者の一人である片瀬さんから献本頂きました*1。ありがとうございます。目次は以下。

『もうダマされないための「科学」講義』

1章 科学と科学ではないもの 菊池誠

2章 科学の拡大と科学哲学の使い道 伊勢田哲治

3章 報道はどのように科学をゆがめるのか 松永和紀

4章 3・11以降の科学技術コミュニケーションの課題  平川秀幸

付録 放射性物質をめぐるあやしい情報と不安に付け込む人たち 片瀬久美子


出版社の紹介にダマされるな

この本、出版社の宣伝を読む限りは、「科学とは何か」を今まであまり意識してこなかった人、「科学」をあまり知らない人(以下「一般人」と表記します)向けの本なのですが、そこにダマされそうになりました。そういった方が読むと、話題についていけないか、曲解しそうな感じの部分が多いでしょう。

そんな優しい本ではないのです。ハードボイルドです。取扱注意です。むしろ伊勢田さんの2章ででてくる「モード1科学*2」を知っている層(以下「専門家」と表記します*3)にこそ有用な内容です。なぜなら「モード1科学」を知った上で「モード1科学」を超えたところの話がメインになっているからです。

「科学」とか「科学哲学」とか、興味を持って本を読んだりしたことのない人にとっては、3章と付録が読みどころになります。


科学を伝えていく側の指針として

菊池さんの章の内容は、今まで科学というものを意識していなかった層でも、是非とも理解してもらいたいことがたくさんでてきます。しかし、短い文章の中ではどうしても説明不足になっています。菊池さんの章に書いてあるようなことは、専門家が、そして私たちが、さまざまな場面で、噛み砕いてていねいに説明していく必要があるでしょう。

そのとき、社会の中に科学をどう位置づけていけばいいか、伊勢田さんの章の内容が役立つと思います。科学を伝えていく側は、モード2科学について理解していた方が良いのは、間違いなさそうです。

最終的に一般人とのコミュニケーションをとる場合、平川さんの章が役に立つでしょう。

これらの章は、先に書いたように、書かれたままを提示して科学コミュニケーションとするにはつらいというのが事実ですが、科学コミュニケーションの指針として大いに使える本だといえます。


不安に悩まされている人は

一般人は、松永さんの章と片瀬さんの章だけを読むことで混乱せずに済むでしょう。

松永さんの章で取り上げられている食の問題は、毎日の生活の問題です。マスメディアからは、さまざまな情報が入ってきますが、それをどう受け止めたらいいか。生活に密着した一生モノの知識になることは間違いありません。

今、まさに直面している放射性物質と健康に関する話題は、片瀬さんの章で扱われています。放射性物質による健康被害対策として、最近話題になっている方法が、身も蓋もなく否定されています。不当な扱われ方をしているわけではないんです。本当に身も蓋もなく否定できるものなんですから。気分を害するひともいるかもしれませんが、そういった方は、自分が何を求めているのか考える必要があるでしょう。色々と話題になっているけれど「本当のところどうなのか?」を知りたい人にとっては、とても有用です。


今、誰が読むと良いのか

東日本大震災以降、ニセ科学(ホメオパシーやらEM菌やら放射能対策グッズ)が広く一般人に受け入れられているという印象を持っている人は多いでしょう。この状況をきっかけに、専門家の中にもニセ科学のまん延に危機感を持った人がいるとおもいます。これまで非合理批判なりニセ科学批判なりをしてこなかった人たちが、立ちあがってきている場面ではないでしょうか。

僕は、こういった層にこの本を読んでもらいたいと考えています。なぜなら、専門家が得意な「科学のやり方(モード1科学)」では目の前の問題に対応できないからです。専門家にとって、ニセ科学は科学的な誤りを簡単に見抜けるものですし、誤りである根拠も簡単に用意できるでしょう。科学的な正誤の問題ならよかった。でも、問題の焦点はそこにはないのです。

もちろん、専門家による情報提供はとても重要ですし、有難いものです。しかし、問題点を最も伝えたい相手である一般人とのコミュニケーションの問題に立ち入ると、正しい情報と詳しい説明だけではどうにもなりません。そこでこの本の内容が役立ってくるはずです。

本当だったら1+2+4章と、3章+付録という2冊に分かれていればよかったのにと僕は思いました。その方がターゲットが絞り込めて、格段に宣伝しやすいですから。

というわけで、1番のお勧めは、最近の情勢に危機感を持ち、積極的に情報発信をしていかなければならないと思い始めた専門家ということになります。いま、科学の情報を必要としている一般人は3章と付録を読み現在の問題に対処する。科学の考え方の基礎は他の本で身につけてから1+2+4章をじっくり読むという読み方がよいのではないでしょうか。

*1:催促したともいいます。

*2:一般的にいう「自然科学」のことと考えていいかと思います。

*3:科学者に限定しているわけではありません。専門知識を持つ一般の人も含みます

2011-09-12

『アメリカ陰謀論の真相』はアメリカ政府の陰謀か

文芸社の高橋様より献本頂きました。ありがとうございます。

本書は、あの『陰謀論の罠 』の奥菜秀次さんが再び陰謀論を取り上げて種明かしを行った本である。内容は陰謀論マニア奥菜クオリティである。

『アメリカ陰謀論の真相』目次は以下に

  • まえがき
  • アメリカは真珠湾攻撃を察知していたが、英国を救い破綻した経済を立て直すため、あえて一撃を待った。
  • 歴史を影で操り、世界戦争を画策する米英資本家の悪行!
  • 20世紀最大の陰謀 − ケネディ大統領暗殺事件
  • 北ベトナム政府はベトナム戦争終結後もアメリカ人捕虜を密かに拘束し、アメリカ政府はそれを知りながら彼らを見殺しにした!
  • 氷山との衝突事故で沈んだタイタニック号は、実はアメリカの大資本家の手で他の船にすり替えられ、故意に沈められていた!
  • キング牧師暗殺犯は冤罪で、真犯人は米政府関係者だった!
  • ロバート・ケネディ暗殺犯は洗脳され、現場には共犯者がいた!
  • ウォーターゲート事件謎の情報源が示す、軍産複合体の魔手!
  • ガイアナ人民寺院集団自殺の背後に、CIAの策謀があった!
  • 911テロ陰謀論
  • 9.11テロの首謀者ビンラディンは殺されていなかった!
  • エピローグ − 感覚と論理の差
  • あとがき − アメリカ陰謀論から見る日本の未来
  • 参考資料一覧

本の構成は「陰謀論」として、世に出回っている陰謀論の説明があり、「真相」として事実が語られるという形式をとっている。つまり、トンデモ超常現象XXの真相やASIOSの謎解きシリーズ などと同じ形式である。この形式だと、そもそも詳しく知らない陰謀であっても謎解きを楽しめるのでありがたい。


ただ、今回の本については「ライト層でも問題なく読めますよ」とは言いにくい面もある。『検証 陰謀論はどこまで真実か』に比べるととっつきにくいというのが正直なところだ。短い文章の中に情報を詰め込みすぎているところがある。ただし、それはより深く真相へ切り込みたい層にとっては、メリットとなるだろう。読み物ではなく、資料として扱いたいところだ。


個人的には、調べよう調べようと思いつつ、全く手付かずでほったらかしにしていたジョン・F・ケネディ大統領の暗殺に関する陰謀論が、90ページにも渡って、詳しく取り上げられている点がうれしかった。

私が知っていた結論はオズワルド単独犯説が有力というぐらいのところだった。私の中の最大の謎として「政府文書が2039年まで非公開なのはなぜか?」という疑問が残っていた。オズワルド単独犯ならば、単なる殺人であって、なにも機密にするような情報などないと考えるのが適当だろうと。

この本によれば、2039年まで非公開だったはずの資料は既に公開されているらしい。私が知らなかったというだけで、最大の謎でもなんでもなかった。機密になった理由はNSAとK○○関係なのだろう*1


ケネディ大統領の陰謀論については、UFO関連の陰謀論*2と似た面もある。よく考えればUFO陰謀論も同世代のものだ。そう考えると、お互いがお互いの手法を真似して使っていたのではないかということも考えられる。1980年代以降のアメリカは陰謀論に染まっていた。アメリカの陰謀論史という視点で捉えてみるのも面白いかもしれない。


陰謀論者がどのようにして陰謀を作り上げたのか。どのようにして荒唐無稽な陰謀論に説得力を持たせたのか。陰謀論メーカー達の手法は同じことの繰り返しである。この本でそういった手法を知っておくことは、今後も必ず現れる陰謀論を見極める力となるだろう。


陰謀論を信じる人々に対する評価や、ソーシャルメディアに関する考えなど、奥菜氏の考え方に同意できない点はあるものの、資料の質には影響はない。


最後に、これだけは絶対に言っておかなければならない。ところどころで出てくる「正直、すまんかった((c)佐々木健介)」とか「禁則事項です((c)朝比奈みくる)」とか・・・については、ハードな地の文から非常に浮いている。奥菜氏には猛省していただきたい!!


『アメリカ陰謀論の真相』

*1:機密の理由はこの本でも語られていないので、私の推測にすぎないけれども

*2:政府は宇宙人との密約を隠している…という陰謀論