代議制民主主義の外にある力を甘く見ないほうがいいよ

 ちょっとわくわくする記事。


太田誠一衆院議員:社民・福島党首を「極左」と中傷 - 毎日jp(毎日新聞)(→cache)


 自民党の議員が、社民党を「極左」よばわりするのは、まあよくわかる。ヨーロッパから見れば韓国や日本が「極東」に見えるように、立ち位置が右に寄った人にとって「ちょっとした左」も「極左」に見えるのだろうから。
 不可解なのは、「極左」とよばれた社民党の対応である。

 社民党福岡県連の豊島正章幹事長は同日、「(あいさつの中では)名指しを避けたものの、党首に対し、極左、すなわちテロリストのイメージをあおるような発言は断じて許すことができない。社民党もテロ撲滅に向けて、全力を挙げており、国民に著しい誤解を与える」と批判した。


 社民党とうとう終わったな、というのが私の感想。後述するように、社民党が滅ぶのは、われわれ極左勢力にとって歓迎すべきことなのだけど。
 まず、この「われわれは極左とちがうよ」発言によって、社民党は全国に500万人いるとも言われる極左有権者たちに見限られることになるだろう。さようなら、社民党、フォーエヴァー。
 さらに決定的なのは、彼らが極左を「テロリスト」と同一視しただけにとどまらず、その「極左=テロリスト」を「撲滅」する姿勢を打ち出したことである。これによって、社民党は日本全国で少なく見積もっても3千万人はいると思われる、われわれ潜在的「テロリスト」を敵にまわすことになるだろう。社民党も今後われら人民による直接行動の標的になることが決定いたしました。おめでとう。
 ほんとうに社民党は見通しが甘い。というか、彼らはみずからの標榜する「社会民主主義」とは何かということが、よく解っていないのではないのか。
 「社会民主主義」とは言いかえれば「修正マルクス主義」、すなわち来たるべき世界同時革命を遅延させるための体制内安全弁にほかならない。つまり、社民党の本来の役割とは、世界システムの中核諸国にあって、プロレタリアの不満を吸収し、なだめすかし、やわらげること、これによって資本主義を延命させることにある。
 社民党に投票する者は、潜在的には、議会内諸勢力*1が言うところの「テロリスト」である。彼らの不満が爆発の手前でくすぶっている限りにおいて、彼らは社民党に、はかない期待(実際のところ、どうせかなわぬ期待なのだが)をいだき投票するかもしれない。しかし、議会内の社民勢力が「自分たちはテロリストとちがう」と主張し、潜在的「テロリスト」をなだめすかす努力をやめるならば、われわれは投票所に行くかわりに街頭にくり出して蜂起するだろう。うひひ。
 この点、現状認識としては、自民党の太田という議員のほうがよっぽど的確なように思う。

 太田氏はあいさつで、新テロ対策特別措置法の成立を踏まえ「国際的テロに対し、西側の一員として戦う決意をはっきりさせた」と強調。その上で「あらゆる政治活動のどこかに、テロリストの流れがあることをよくわかっておかないといけない。我が党と正面から戦っている党の中にも、その流れは2、3割はいる」と述べ、同法に反対した民主党も批判した。


 さよう、社民党だけでなく民主党の左派にも「テロリストの流れ」は潜在している。本来は反体制分子として蜂起するはずの人民の多くが、まちがって社民党やら民主党やらに投票しているのが現状なのである。
 そして、この太田氏がまことに慧眼だと思うのが、「西側 vs 国際的テロ」の抗争として、政治を認識している点である。まったくその通りなのだ。われわれ日本の人民は「国際的」なネットワークと連帯によって「西側」を打倒すべきなのである。ことは一国内の階級対立や地域間対立なんかではない。西側の多国籍資本と万国のプロレタリアとのあいだの闘争なのである。
 ただひとつ、太田氏が見誤っていると思われる点は、かれが自身を「西側の一員」と規定していることである。これは現状の認識としては妥当かもしれないが、5年後10年後にも通用する認識とは考えにくい。
 近い将来、日本は依然「西側」の一角、すなわち世界システムにおける中核諸国の地位にあると断言できるだろうか。日本が「経済大国」などと言っていられるのは、そう長くないのではないだろうか。中国に抜かれ、インドに抜かれ、ロシアに抜かれ、いずれブラジルに抜かれ、「大国」の座から滑り落ちるのは、時間の問題じゃないかしら。
 そうなったとき、多くの後進国の政府が脆弱な基盤しか持ちえないように、日本政府も各地で蜂起するわれわれ人民に手を焼くことになるだろう。
 太田さん、そして社民党の諸君。それでもあなたたちは、弱体化した後進国日本の政府ないしは議会内勢力として「西側」体制に媚びを売り、しがみつくつもりなのですか? 今日のムシャラフやマリキは明日の君たちの姿かもしれないよ。われわれ人民は、あなたたちを打倒するために、南米やアフリカ、そしてアラブの人民たちと手を組みますよ。

*1:自民党社民党共産党もふくむ。