歌舞伎座十二月大歌舞伎

長女が去年あたりから超歌舞伎に興味を持っていたので幕見で連れて行こうかな…と思っていたのですが、ちょうど学校で配布された横浜市の小中学生向け割引チケットのご案内があり、一等席が大人8000円子ども6000円で買えるとのことでありがたく利用させていただきました。

「旅噂岡崎猫」

客席降りのサービスあり、怪談的なケレン味たっぷりの演出あり、という演目で飽きずに観られました。巳之助くんの化け猫もやゑ亮さんの体感芸も見応えありました。なるほど初心者でもわかりやすい演目で楽しいですね。カラーは違うけど演出は四の切みたいだなと思ってみていたら後で猿翁さん演出と知って納得。

 

「今昔饗宴千本桜(はなくらべせんぼんざくら)」

超歌舞伎歌舞伎座進出!ということでなんだかようやくここまで上り詰めましたね…という感慨がありますね。演目としては去年の「永遠花誉功」のほうが使用曲の歌詞の世界観が演目に取り入れられていてストーリーの見応えはあったかなと思うのですが、まあやはり曲として耳馴染みがあるのは千本桜のほうになるんでしょうか。

個人的にはこの演目はイヤホンガイド&ペンライトがっつり用意して参加するのが一番楽しいと思ってます。筋立ての解説としてはイヤホンガイドなくても十分なのですが、大向うタイミングをちゃんと指定してくれるのが楽しいんですよねこれ…。いただきものの大向う機能付きペンライトで参加したのですが実に楽しかったです。獅童さんvs國矢さんの対決シーンは赤ペンライトと青ペンライトの2本持ちで応援させていただきました(RRR脳だから「炎と氷河の抱擁…」みたいな気持ちにもなりつつ…)

ふだんは素人が大向うかけるなんてとんでもない、みたいなところあるんですけど、超歌舞伎では気軽に「萬屋!」言えるのがいいですね。この日は公演期間終盤の土日公演ということもあってか客席のペンライト率が高い!客席が「数多の人の言の葉を、桜の色の灯火を」のセリフで一斉にピンク色のペンライトが客席を埋め尽くすの、劇場版プリキュアの応援みたいと思いつつもやはり一体感があって楽しいです。客層も観劇のノリもいつもの歌舞伎座とまったく違うので、これはこれで楽しい体験だなあと思いました。

作品そのものが刺さってるわけではないのですが、この演目が開拓した客層と新たな歌舞伎の楽しみ方はとても価値があるものだなと思っています。 

「爪王」

引用元:巳之助の化け猫、獅童の超歌舞伎、勘九郎と七之助の爪王に、松緑の赤穂義士外伝~歌舞伎座『十二月大歌舞伎』第一部・第二部観劇レポート | SPICE - エンタメ特化型情報メディア スパイス


さてせっかくここまで来たのでTwitterで評判の良い「爪王」も幕見で。(劇場から遠いので幕見指定席制度ありがたい…!)なるほど歌舞伎版ポケモンバトル…素晴らしかった…期待値上がりまくってたけど超えてきましたね!

歌舞伎座で爪王みた方がTwitterでうわごとのように爪王のことしか呟かなくなるのを理解しました。とても良かったです…。こんなん幕見じゃなくて一等席で観たかった…の気持ちになりました。人外の七之助さんの美しさよ…可愛らしい仕草も見せつつ、戦うときのキリリとした目つきの美しさ…。そして狐勘九郎さんの動きのキレの良さも半端なかったですね、最後のすっぽんせり下がり近くで観たかったなあぁ。

短い舞踊演目ながらふたりのバトルに漂う緊張感は目が離せなくて見応えの塊でした。次の上演の時は一等席で観る…!

 

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2023年12月に観た舞台・映画

12月3日(日) 『ゲゲゲの謎 鬼太郎誕生』

Twitterで大変話題になっているので観てきました。めちゃめちゃに横溝正史的な世界観だったような。八つ墓村で始まってゲゲ郎がスーパーヒーロー着地キメる中盤のアクションシーンあたりから物理で殴り銃で倒すゴリゴリのバディ物アクション映画になり、後半は夫婦愛と家族愛に涙して、ラストで鬼太郎誕生までの流れがサクサク語られて切れ味良く幕…という感じで、たいへん面白く観ました。

水木とゲゲ郎のキャラ造形といい程よく胸糞な物語といい男ふたりが共闘するアクションモノといい、「こんなんオタクが大好きなやつじゃん…」の感想しか湧きませんでしたね。

「好きな絵師さんが一斉にみんなゲ謎の絵を描き始めた…」という理由でゲ謎を観たがる長女にもクリスマスプレゼントに見せてあげたところ、まんまとハマって「癖に刺さる」とか言い出したのでもうこの子は完全にオタクとして仕上がったな…みたいな気持ちになりました。

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12月3日(日)夜 宝塚花組全国ツアー『激情ーホセとカルメンー/GRAND MIRAGE』@相模女子大学グリーンホール

『激情』は月組の珠城りょうさんと愛希れいかさんが上演した時のを映像で観てますかね、振り付けでダンスにはなってますが濡れ場を描写する場面があって、宝塚にしてはまあまあ直接的な演出があるなーという印象でした。

主人公はホセとカルメンなので、柴田先生おなじみ(?)のファムファタールによって破滅する男を描いたやつですね。永久輝せあさんがこういう役をやると「雪組の破滅型男役の血脈…」と思ってニコニコしてしまいます。カルメン役の星空美咲ちゃんももう何の心配もない堂々としたヒロインぶりで、次期トップ娘役に決まってももう誰も驚かないやつですね。

狂言回しと敵役の2役を演じる凪七瑠海さんの安心感…!手堅い演技でがっちり要所をかためてくれてる感じでホッとします。


『GRAND MIRAGE』もセンターにたつ主役が変わると少し雰囲気が変わりますね。ツアー版ということで下級生をひとりひとりゆっくりチェックできるのも楽しかったです。


12月16日 映画『ウィッシュ』

ちょっと期待しすぎましたかね、ディズニー100周年記念作品の企画ありきという印象で、数々の作品へのオマージュは面白く観つつもストーリーの骨格は正直あんまり刺さりませんでした。とはいえI wishソングも革命立ち上がれソングもあって王道ど真ん中すぎるミュージカル構成だったので、舞台化したら見せ場が多くて楽しそう…とは思いました。イケおじヴィランのマグニフィコとか、キャスティング妄想だけでも楽しいやつですよね。

後半マグニフィコの前髪乱れるのぜったい作画の人「これが好きなんだろ…?」って解っててやってんな…と思って笑いが止まらなくなってしまいました。顔がいいのをいじられるヴィラン面白すぎた。舞台版では山本耕史か山崎育三郎あたりにウザめに演じてほしい…と思うなどしました。字幕じゃなく吹替で見た方が知ってる声が多くて楽しかったかも、とちょっと思いましたね。

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12月16日(土)夜 『ベートーヴェン』@日生劇場

ミヒャエル・クンツェ&シルヴェスター・リーヴァイの黄金コンビの新作の日本初演という話題作。世界初演は韓国だったんですね。

井上芳雄花總まりとここまでキャスト揃えたらなんで帝劇でやらずに日生なんだろう…という疑問もありますが、絵面的にも「グランドミュージカルでござい!」という感じの演出だったので、まあ再演ではおそらく帝劇で上演されるのでしょう。

ベートーヴェンについては宝塚のfffである程度履修済みなので「ああこの曲をこういうふうに使うんだ…」みたいな面白さはあったのですが、宝塚版で影も形も登場しなかった弟や恋人がこれだけ大きな存在として出てくるのもまた意外ではありました。

なんか大槻ケンヂメイクのトートダンサーズみたいな抽象ダンサーの方が今回も6人ワラワラと踊っていたのですが、この手の演出大好きなんですけど「もっとたくさん出てきてもっと気持ち悪く踊ってくれよう〜」と思いましたね、出番少なくてちょっと物足りなかったです。
Wキャストはカスパールが小野田龍之介さん、フランツが坂元健児さんの回でした。

なんかここんとこどうも日生劇場のB席と相性が悪いと言うか、来るたびに低気圧のタイミングにぶち当たってしまうのかいまいち体調悪くて集中できない…ということが解ってきました。今回も寝落ちまではいかないものの物語に入り込めないままぼんやり終わってしまった感があり…なんかせっかくこれだけのキャストがそろってるのにもったいない…。

2023年11月に観た舞台

11月4日(土)昼 劇団四季ウィキッド』@JR東日本四季劇場[秋]

引用元:“悪い魔女”と“善い魔女”の前日譚、劇団四季「ウィキッド」10年ぶりの東京公演開幕(舞台写真あり) - ステージナタリー


2007年の初演以来の観劇です。16年ぶり…!?
好きな作品だったのですが「まあ四季だしいつでも観られるだろう」と思っているうちにいつの間にかクローズしてしまい、その後なんと10年間も上演されなくなっており、待ち焦がれていた感じですね。初演で濱田めぐみさんのエルファバを観られのは良かった…

Popularの可愛らしさにニコニコしたり、One Short Dayの多幸感にうっとりしたりするうち、みんなお待ちかねのDefying Gravityですよ…今回ほんとチケットが激戦で客席も「チケット激戦の地獄をくぐり抜けて来た者達だ、面構えが違う」状態ですから、客席が本当にガチ勢しかいないんですよね。もうイントロ始まる前から「来るぞ…来るぞ…」みたいな集中力で観てるのがわかります(私もそうだけど)。もうほんとサビのあたりから息止めて観てるんじゃないかと思うような客席の熱量だったのですが、そんな客席の期待を一心に受け止めるエルファバの小林美沙希さん。パワフルに歌い上げていて「これこれ!これが聞きたかったのよ!」と思いました。いやはやこんな濱田めぐみさんみたいに歌える人が四季にはこんなゴロゴロいるのか…と驚いていたのですが、この週がプリンシパルデビューで今までアンサンブルだった聞いて、さらに驚きました。そういえば幕間に入った瞬間客席がドヨォ…とどよめいていたな…と思い返すなどしました。検索したらTwitterもデビュー初日からめちゃめちゃざわついてましたね。

名指しは避けますが正直ちょっとピンとこないキャストもいらっしゃって、でもその役に関しては初演を観たときも不満だったんですよね。「なんでこんな芝居にしたんだろ?」と疑問に思いつつ脳内で適当に補完したりしていたので、もともとの演出プランがそういう感じなんでしょうか。モヤモヤ。

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11月4日(土)夜 望海風斗Billboard Liveコンサート『MY HOME TOWN』 

素晴らしかった…。チケットの激戦を乗り越えて入手した望海さんのビルボードライブ! 小さいハコで一番安い2階サイド席だったのですがまあ距離が近い…音響がいい…。
ピアノ・ベース・ドラムの3人編成のバンドで、ハコの雰囲気に合わせて、衣装も夜会巻きにシックなロングドレス。前半はしっとりムーディに歌うナンバーが中心で、「ノゾミフウト・クラブ歌手のすがた」という感じでした。いつもと歌い方が違って新鮮〜!
中盤は歌謡曲やJ-POPと来て、圧巻だったのはやはりガイズのナンバーの『Sit Down, You’re Rockin’ The Boat』。JenniferNettlesの女性ボーカルが歌うアレンジの動画を田代万里生さんに薦められたとのことで万里生さんにはお歳暮をお送りしたい…。めちゃめちゃカッコ良かったです! ちょっとガナリもいれつつみんなが大好きなパワフルな望海さん歌唱でしたよね。素敵だった…。
アンコールはジャジーな演奏でムーディに始まったと思ったらなんと横浜市歌でずっこけました(笑)。表拍で手拍子入っちゃってカオスなことに…。横浜きたらどうしても歌いたいんだね横浜市歌…。

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11月11日(土)昼 『マハーバーラタ戦記』@歌舞伎座

引用元:【レポート】人の世を平らかにするのは慈愛か、力か。 「吉例顔見世大歌舞伎」昼の部『極付印度伝 マハーバーラタ戦記』 の画像・写真 - ぴあエンタメ情報


2017年の初演も観ていてとても素晴らしかったので、普段は3階席の住民ですが今回は迷わず1階席のチケットとりました。両花道だものね!

今回、鶴妖朶役は初演の七之助くんに変わって芝のぶさん。芝のぶさんが歌舞伎座のセンターでほぼ主演級のお役を堂々と演じてらして、「成駒屋!」の大向こうかかっててもう感無量です。研辰の金魚ちゃんで「なんかすごく上手い女の人いたよね?」ってみんなで話題にしてからもう22年ですよ!胸熱!大詰の赤い鎧見たらなんかもう胸熱すぎて前のめりかけてしまいました。

七之助くんの鶴妖朶もすごく良かったのですが、芝のぶさんのもまた印象が違っててすごく良かったです。七之助くんは割と「悪女」に振った芝居をしていたと思うのだけど、芝のぶさんはそこまでヴィランみはなくて、女性としての生存戦略の結果こうなったというか、すごく感情移入できる感じの鶴妖朶でした。あの声の艶、ほんともう最高。すっごい悪い台詞言ってるのに聞き惚れてしまいます。前はどちらかというと五人兄弟のほうが正義寄りな印象で鶴妖朶側はヴィランなイメージだったんだけど、今回はどっちともいえない印象になっていましたね。

立ち回りの場面の速さを七之助くんと比べるのはさすがに酷なのだけど(女形さんだし年齢も違いますしねぇ)、まさか階段落ちまでやるとは思わなくてちょっとびっくりしました。

先日SPACのマハーバーラタをみたところなので、同じ宮城聰さんの演出でも共通する部分や違いが色々と感じられて興味深かったです。今回も下座音楽にうっとり。SPACの演奏も素敵でしたがこちらもまた劇場内ということで打楽器の響き方も違っていて耳にも楽しい作品でした。

とても良かったのですがひとつだけ不満が…筋書きの舞台写真の扱い…!せっかく舞台写真入るまで待ってから筋書き買ったのに、芝のぶさんが大きく写ったピンの写真がはいってないんですよね。舞台では鶴妖朶は迦楼奈や阿龍樹雷とほぼ同格くらいの役だと思うのですが…。場面ごとの写真にはもちろん写ってはいるんですけど。まあ格付け的な問題とかあるんでしょうけど、ほとんど主演級のお役なのだから単独映りの写真入れて欲しいな…と思いました。(これは12月の筋書きの超歌舞伎の國矢さんの扱いについてもまた同じことを言いたいわけですが…)

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11月11日(土)夜 『無駄な抵抗』@世田谷パブリックシアター

引用元:https://twitter.com/muda_na_teikou/status/1727631172526809561


初日に観劇。池谷のぶえさんと同級生という設定の松雪泰子さんのふたりを中心に据えた布陣で、このキャラ配置でどうしてオイディプス王…?と冒頭では思ったけど、終盤はなるほどオイディプスみのあるエピソードでした。ギリシャ悲劇のようであり黙示録的でもあり。

池谷さんの声の良さと芝居の上手さは毎度のことなのだけど、本来は物語の核心部分である「彼女の語る過去のエピソード」よりも個人的には「半年前から電車が止まらなくなった駅の駅前広場」という設定のほうが興味深くて、そちらのほうに意識が行ってしまいました。(性暴力を受けていた、というのが舞台作品の中で「登場人物のトラウマを表現する記号」として出てくるのがあまり好みではないのもありますが)

駅に電車が止まらなくなったらその街に住む人にとっては大事件なはずなんだけど、いつのまにかその状況にも慣れて諦めとともに受け入れてしまっている人々の様子が、なんだかだんだん衰退していく日本の社会の未来のように思えました。主人公の物語には最終的に希望があったかもしれないのだけど、この世界観そのものが「ゆっくりと少しずつ死んでいく世界」を描いているようで、なんとなく黙示録的だな…とそんなことを思いました。駅メロが何度か鳴っていたのが天使のラッパを想起させたせいでしょうか。

割と繊細なやりとりの積み重ねで空気感も変わりそうな公演だけに、回を重ねるごとに少しずつ変化しそうな気もしました。終盤にもう一回くらい観てもうちょっと丁寧に読み解きたいなあと思う芝居でしたね。

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2023年10月に観た舞台

10月7日(土)昼 『アナスタシア』@東急シアターオーブ

宝塚版は見ていますが梅芸版は初見です。初演のときちょうどコロナの始まった頃で公演中止になったり再開したり…みたいな時期でしたね。

A席3階バルコニーだったので背景の映像はよく見えない部分もありましたが、曲が良いのはわかってるから安心して観てられます。話がわかっててもメロディが美しすぎてつい泣いちゃう。ヅカ版で今ひとつ分かりづらかったグレブの心情とキャラが腑に落ちたのが良かったです。ビジュアルのおとぎ話感はヅカの方が好みではあったかな。「ここはヅカ版のほうがいいな」「ここは梅芸版に歩が」みたいなところがそれぞれありました。

海宝さんのペテルブルク砲なるほどこれかと納得。元気なクソデカボイス浴びて元気が出ました。大澄ヴラドも愛嬌あって素敵でした〜。麻実さん皇太后と朝海さんリリーの組み合わせには雪組ファンとしてちょっと胸熱です。

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10月7日(土)夜 『レイディマクベス』@よみうり大手町ホール

引用元:ご褒美です、もう毎日がご褒美!天海祐希が歓喜「レイディマクベス」スタート(舞台写真 / コメントあり) - ステージナタリー

この劇場初めてですね…大手町あんまり来ないのですがつい友だちと将門塚前で待ち合わせてお参りしてきました。

マクベスは知ってても、予想してたよりちょっと難解だったような気がしました。あえて時代や場所を特定しないような描き方をしている前半、ややとらえどころ無くて戸惑いつつも、二幕ダンカン横の独白あたりからなるほど家父長制への怨嗟だわ…とグッと引き込まれたのでもう一回最初から観てちゃんと読み解きたいところ。天海さんの声に惚れ惚れ。

アダム・クーパーをキャスティングした意味は話題性や集客以外にはあまり見て取れなかったのだけど、どうなんでしょうね。セリフは言わせず身体パフォーマンスさせる演出なのかと思いきや多少セリフもありましたし、ちょっと振り付けの入る場面はありましたが(動画参照)、正直別にアダム・クーパーである必然性も感じなかったというか…うーん。まあもちろんアダムと天海さんが並んでいるビジュアルはシンプルに美しく目の保養ではありましたが、演劇的な意図としては「?」でした。

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10月18日(水)昼 新感線『天號星』

引用元:古田新太&早乙女太一・早乙女友貴の奇想天外なチャンバラ時代劇 劇団☆新感線 いのうえ歌舞伎『天號星』が開幕へ | SPICE - エンタメ特化型情報メディア スパイス

 

面白かった! 早乙女兄弟と古田新太の殺陣をがっつり生で観られるの、ほんとファンへのご褒美のような公演でした。この作品はもう早乙女兄弟の見応えに尽きますね、クライマックスの盆が回りながらの本気の殺陣がもう見どころの塊であそこだけ何度でも観たい。映像で見たら「いやこれCG?つーかなんか加工?編集?速度に手ェ加えてるやろ?」みたいな気持ちになりそうな速さでしたことよ……。

そしてあのタイトルバック! 一幕終わりとラストのタイトル演出、新感線の作品の中でもカッコよさベスト3に入るやつじゃないでしょうか。ここでこう出してきたか!の絵面の良さ。あれは思わず拍手してしまいます。ラストシーンは夏祭浪花鑑か三人吉三か…みたいな歌舞伎の大詰っぽさがあって痺れました。

「私たち、入れ替わってるー!?」の設定なので、悪い古田新太とヨワヨワの古田新太、悪い早乙女太一とへなちょこの早乙女太一がそれぞれ楽しめるのは楽しいですね、太一くん出ずっぱりで2キャラ演じ分けてましたがほんと芝居がうまくなった…(10代のころから観ていたおばちゃんの感想)

いぶき役の女優さんすげえ身体キレるな…アクションすごい…と思ったら鎌倉殿のトウじゃないですか…!新感線の準劇団員になってください、また出て欲しいです。

せっかく押さえていたチケットが一度コロナ感染で泣く泣く手放すことになっていたのですが、諦めずにリセール眺めていたら無事確保することができました。Theatre MILANO-Zaの2階最後列でしたが意外に見やすくて良かったです。1階最後列より2階のほうが見やすい? 照明の美しさも堪能できて結果オーライでした!

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SPAC『マハーバーラタ~ナラ王の冒険~ -東京芸術祭2023バージョン-』

マハーバーラタ』はク・ナウカ時代に東京国立博物館で上演されたものを観たことがあります。たぶんあれが初演だったと思うのですが。90年代〜00年代の頃はク・ナウカ好きでよく観てたのですが、SPACで宮城さんが静岡へ行かれてからはしばらくご無沙汰していたので、この作品がこんなに長く上演され続けてるとは知りませんでした。

今回は東京芸術祭2023バージョンと銘打ってなんと東京駅前での開催でした。天気も良くて絶景〜!楽屋も丸見えですね。撮影OK、SNS投稿OKでした。(動画はNGでしたが現地でスタッフさんに確認したところ録音はOKとのことでした)

このかぶりつきの桟敷シートはなんと無料でした。ぴあで前日に引換券を入手してコンビニ発券する必要はあったのですが、がっちり手に入れて桟敷席で観てきました。楽しい!

前説、マイクがないので何箇所か移動しながらそこかしこで説明するスタッフさん。…もとい、見覚えある顔だと思ったら演出の宮城聰さんでした。

 

写真にはっきり写ってないのですが、冒頭のこの結婚式のような場面、背景にウェディングフォト撮影中のカップルがいるのです。すごい借景!

前に観たのがずいぶん前なのでもうすっかり忘れていたのですが、賭けのシーンあたりは歌舞伎版マハーバーラタでも似たような場面が出てきましたね。

「なんか太陽と月がのぼって沈んで…みたいな場面があったよな…」と観る前にぼんやり思い出していたら実際その場面出てきて自分の記憶に関心しつつも、「なんでここを覚えてた」みたいな場面でもあったのでちょっと笑ってしまいました。

音楽がとにかく素敵でうっとり聴き惚れつつ、「どうやってタイミング合わせてるんだろう、指揮者はいないようだけど…?」と思いながら奏者のみなさんがカウントとりながら息を合わせる様子を観たり、なと、楽しい観劇でした。

なにせもう20年ぶり近い観劇だったので「美加理さんにそっくりのヒロインの方がいる…」と思ったらなんと美加理さんだったので二度びっくり。えっ全然老けてない…?どういうこと…? 久しぶりに観る阿部一徳さんも相変わらずのいいお声で嬉しくなりました。

カーテンコール。楽しかったです!

歌舞伎版マハーバーラタのときもとにかく音楽が素敵だったので、どんな楽器でどんなふうに演奏してるんだろう…と芝居よりもむしろ演奏するところを眺めてた気がします。水の入ったボウル?のようなものもありましたね。素人なのでどの楽器がどんな音を立ててるのか全然わからないのですが、とりあえず覚書として写真撮ってきたので置いておきます。

 

tokyo-festival.jp

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2023年8-9月に観た舞台

8月3日夜 宝塚宙組『Xcalibur エクスカリバー

引用元:新たなる王と新生宙組の誕生が重ねあわされた『エクスカリバー』開幕! | えんぶの情報サイト 演劇キック


芹香斗亜さんトップ就任プレお披露目公演!おめでとうございます。長かったねここまで…。
珠城りょうさんトップお披露目プレ公演もアーサー王で「いきなり孤独な王様はお披露目公演としてどうなん…?」みたいな気持ちになったものですが、今回のエクスカリバーも「心身ともにボロボロになりながら王位につく芹香斗亜」はここまでの二番手歴の長さを思うとどうしてもメタ的な意味で泣いてしまって「もうちょっとハッピーな演目にできなかったのかよ…!」みたいな気持ちになってしまいましたが。

ナンバーはメロディアスで聴かせる作品ではあるものの、なんとなく「曲ありきで作った作品」に見えるというか、芝居の中で自然と歌につながる…みたいな感じでなく、ナンバーとナンバーを無理くり芝居でつなぎました、みたいに見える作品ですね。もうちょっと演出でなんとかできなかったのかな。装置の予算の問題なのかわかりませんが、「芝居→歌→歌が始まると幕をおろして裏で場面転換→歌が終わると幕を上げて次の場面へ」みたいな演出が多いように思いました。だけど装置もそんな大幅に変わるわけではなかったように思うので、せめて見せる転換のほうが良かったのでは…とか。ちょっと単調に見えてしまう演出でしたね、稲葉先生ならもうちょっと上手くやれそうですが、色々制約でもあったのでしょうか。

ややテンション低めの感想になってますが、マーリンの若翔りつさんとモーガンの真白悠希さんがすごく良かった!いわゆる「路線」ではないふたりのエピソードのほうがよほどドラマチックなのでは、という気すらしますし、ふたりの芝居もすごく良かった。特にモーガンの難曲を堂々と歌い上げて熱のこもった芝居をする研6の真白さんに驚きましたよね…新人公演の主演すらやってないのにこの大役!(オリジナルの韓国版ではモーガンのクレジット3番目だったと思う)これだけ歌えて芝居できるならもっと上に這い上がって欲しい…。応援しています。

 

9月3日(昼) 宝塚雪組全国ツアー公演「愛するには短すぎる/ジュエル・ド・パリ」

引用元:宝塚雪組、華麗な舞台 宇都宮公演、4千人酔いしれる|地域の話題,県内主要|下野新聞「SOON」ニュース|下野新聞 SOON(スーン)


「愛するには短すぎる」何度か宝塚では上演されていますが、よく考えたら2006年の初演みていますねこれ…(えっそんなに前…?)。まだズブズブのヅカオタではなかった頃で解像度が低かったのではっきり覚えていませんでしたが、船上の避難訓練ナンバーで唐突に思い出しました。

婚約者もいて結婚を目の前にした青年が船上でかつての幼馴染だった女性に出会って…という物語で、ふたりは結ばれずに終わるのだけど切なくも後味は良いさわやかな物語ですね。トップコンビの恋は結ばれないけれどどちらかと言うとトップとその友人を演じる2番手男役の息のあった芝居を楽しむ演目でしょうか。

真面目で誠実がゆえに悩む主人公フレッドに彩風咲奈さん、ちょっとチャラくて調子は良いけど悪いやつじゃない友人のアンソニーに朝美絢さん、という組み合わせで、「さきあさ」ががっつり組む芝居を楽しめます。アンソニー役これかなり美味しいやつですよね…軽妙でかっこいいんだもの…。下級生までそれぞれ見せ場もありつつ楽しいコメディでした。

ジュエルドパリはまあ本公演でも見てるのですがクレオパトラ役が叶ゆうりさんには驚いてしまいましたね…ウワァ…叶ゆうりの生腹…(卒倒)!

 

9月10日(日)『ファントム』(ライブ配信

引用元:ミュージカル 『ファントム』 | 東京国際フォーラム


生で見ようと思ってチケット買ってたのですが行けなくなってしまい泣く泣く譲渡、今回は配信観劇のみとなりました。この日は城田優エリック&真彩希帆クリスティーヌでした。

それにしても城田さんはどうしてあんなにコミュ障早口オタクの芝居が上手いの…見覚えのある挙動不審さに共感性羞恥が発動しそう…。城田エリックがだいぶ子どもっぽい役作りなので、クリスティーヌがエリックに抱いてる感情の正体がややはっきりしない印象は正直ありました。師弟愛なのか男女の愛なのか、ベラドーヴァと二人一役にすることで親子愛を挟みこんでねじ伏せた感がなきにしもあらず。

でも仮面の下も観客には見せない演出でこれは良かったですね、観客の想像に任せた方がいいと思うので。(だってどう半顔つぶしたところで加藤和樹氏も城田優氏も美形だもの…)それに、My True Loveからの仮面外した顔見た後にクリスティーヌが腰抜かす演出も良かったです、今まで観たファントムではここでクリスティーヌが叫んで逃げるのひでぇなと毎回思ってたから…。その後エリックが緑の幕振り落として泣き崩れるとこの演出も虚構が崩れる感じでいい演出だったと思います。

エリックの失恋ソングあたりも宝塚版とはちょっと違ったり、1幕はまあまあコミカルに作ってあったりと、宝塚版との違いがいろいろと楽しかったです。

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9月30日(土) 宝塚花組『鴛鴦歌合戦/GRAND MIRAGE!」

引用元:宝塚歌劇 花組『鴛鴦歌合戦(おしどりうたがっせん)』『GRAND MIRAGE!』特集|タカラヅカ オフィシャルグッズ&サービス

『鴛鴦歌合戦』は小柳先生演出ということもあって『幕末太陽傳』を思い出す和風コメディ。柚香さんの和装がまあかっこよくて…いやはやトップさんの着流しの着こなし力が半端ないなと思いました。襟元を撫でるようなちょっとした和装仕草が本当に絵になる。まどかちゃんのヒロインも可愛かった〜。まあちょっと大衆芸能感もある和風オペレッタという感じで好みは分かれるかなとは思うのだけど、たまにはいいですね。

『GRAND MIRAGE』は岡田先生らしいロマンチック・レビュー。こちらもクラシカルな王道レビューですね。最近の流行りからするとちょっと古式ゆかしい印象はありますが、それでも各組1回くらいは観たいやつです。シボネーの場面の熱量などは目を見張るものがありました。美しかった…!

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2023年7月に観た舞台

7月7日昼 雪組『Lilac(ライラック)の夢路/ジュエル・ド・パリ!!』

引用元:宝塚雪組「ライラックの夢路」が開幕、109期生の初舞台 ドイツで夢追う5人兄弟の姿を生き生きと|文化|神戸新聞NEXT

ライラックの夢路」は19世紀のドイツに鉄道産業を興そうとしたドロイゼン家5兄弟を描いた物語。なんだか劇団の創設者にして阪急電鉄の創業者・小林一三氏へのオマージュという感じが強いです。衣装は華やかで装置の雰囲気も美しいのですが、物語はちょっと退屈ですかね。いまひとつ心に響くものがなかったというのが正直なところです。

「ジュエルドパリ」は華やかなレビューで楽しめました。衣装も全体的にクラシカルなタカラヅカ・レビューで、「これぞタカラヅカ!」な雰囲気でした。まるで宝石箱のようなキラキラしたレビューで楽しい! 和希そらくんクレオパトラの生腹筋や、惜しげもなく披露される夢白あやちゃんのおみ足にドキドキしました。

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7月22日昼 野田地図「兎、波を走る」

引用元:NODA・MAP最新作『兎、波を走る』(作・演出:野田秀樹)が開幕~ベールに覆われていたものが見えるとき…【ゲネプロレポート】 | SPICE - エンタメ特化型情報メディア スパイス


構成としてはいつもの野田地図で、前半は抽象的かつコミカルに展開しつつも後半はっきりテーマが浮き彫りになってくる…というおなじみの展開。不思議の国のアリスがモチーフのファンタジックな演出で、近年の野田さんの作品に比べるとにぎやかでおもちゃ箱のよう、遊眠社時代の演出に近いかな…と思ったり。

で、今回のテーマは北朝鮮による日本人拉致問題ですね。袋に詰められて船に乗せられ拉致された娘と母親であることが後半明らかになります。どうしても子を持つ親としてはアリスの母親に感情移入しちゃうので、アリスの悲痛な声に耳を塞ぎたくなりました。つらい。

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7月29日昼 『シュレック』@日本青年館ホール

カーテンコール撮影OKでした!写真OK動画NG表記、撮影タイミングがわかりやすい〜


文化庁 劇場・音楽堂等の子供鑑賞体験支援事業」対象公演ということで、4〜18歳のお子様は各公演250名無料ご招待。太っ腹…!というわけで8歳の次女を連れて行ってきました。無料チケットだし端席か2階かな?と思ったら、青年館ホールでこんな良席座ったこと無い…という6列目ドセンみたいな驚きの良席でした。ありがたい!良く見えた〜

シュレックは子ども客をリズミカルなオナラギャグで笑わせつつも、差別への風刺に満ちた脚本とミュオタが大好きなショーアップナンバー、そして歌ウマキャストのクソデカボイスに気持ちよく殴られる舞台で大人目線でもたいへん楽しかったです。ミュージカルのド定番、I wishソングも革命立ち上がれソングもありましたね。

次女に感想を聞くと「面白かった、ロバの人が良かった声が良かった、名前なんだっけ、そうドンキー!お姫様も良かった、シュレックの耳どうなってんの、童話のキャラいっぱい出てきたけどロバは何の童話なの、なんですみっこぐらし出てきたの?」などなど。「あの王様みたいなちっちゃい人、なんか顔がイヤだった」というから「そういうメイクだからだろうねえ、昔はマリウスやってたしイケメンなんだけどなあ」と泉見洋平氏の写真を見せたら「えええええ」と驚いてて笑った。シュレックのspiさんもマスク取ったらイケメンなんだぞ…? 次女はドンキー役の吉田純也のイケボが気に入ったようでした。確かにいい声でした…!

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